赤目にならない方法を調べる
どうやって赤目写真を撮るか。通常では嫌がられる赤目写真なので赤目写真防止のハウトゥーはたくさんある。
そこの「やってはいけない」を全部やっていけばいいのではないだろうか。まずは赤目写真の理屈をWikipediaで学習する。
参考 wikipedia『赤目現象』
赤目写真の仕組み。瞳孔が大きくなると目の赤い部分を写せるそうだ
瞳孔がひらくと赤目写真になる
理屈はこんな感じに理解した。
目の奥には赤い板(※)があるような状態だ。そして瞳孔はゲート。暗いところだと光を集めようとして瞳孔が大きくなる。
ふだんは赤い板まで光がとどかないのだが、瞳孔のゲートが開くとフラッシュの光はその赤い部分までとどいてしまう。これが赤目現象だ。
・ 暗い場所にいて瞳孔を大きくする
・ フラッシュを使う
・ 目はまっすぐレンズを見る
以上の3点がまず必要だと考えられる。それに追加して今はカメラに赤目防止機能がある。フラッシュと画像補正の二点であるがこれも全部切る。
・ カメラの赤目防止機能をオフにする
※網膜の血管
カメラの赤目防止系は全部切る。その逆をいく
フラッシュなし
フラッシュあり。はい。ならない
なりません
ためしに寝室を暗くしてフラッシュで撮ってみた。カメラは自分の手に持って一人撮影をした。
ならない。部屋は暗いし瞳孔は開くはずだ。だが何枚か撮ってどれもならなかった。これはうんともすんとも系の企画かもしれない。
うんともすんともと言いながら1ページで終わるネット上の徒花となるのか。しかしこのサイトはそろそろ徒花で花束ができるころだ。これは卒業生として送り出されるかもしれない。
人に手伝ってもらってお互いを撮ることにした
人を撮ることにした
自分で撮っててどうにもならないのでいったん人を撮ることにした。
友人のシンガーソングライターのひよせさんに来てもらったのだがもちろんここではシングもソングライティングも行われない。
でも本人は(ソングライティングはなくてもシングくらいはあるんでしょ?)くらいの気持ちできているかもしれない。ようこそ、今からここは奈良公園です。
ならない
完全に暗くしてもらって街頭の光が入らないように下をむいててください
ならない
暗いところで本読んでもらってていいですか
ならない
赤目にならない
1時間ほど場所を変えたり条件を変えたりバシャバシャ撮りまくってみたがいっこうに赤目になる気配がない。
写真はこの数十倍ある。プロの歌手を暗がりに座らせ「赤目にならない」とぶつぶついってると、とにかく気まずさがすごい。夢なら早くさめてほしい。
もしかしたら自分を撮ってもらう方がいいのかなと、野生動物のような自分もたくさん撮ってもらった。成果がでれば現場も盛り上がるはずだ。
そして、ならない。
しょうがないので野生っぽさだけ意識した。せめてサファリパークに来た気分で帰っていってもらいたい。友人としてできることはシマウマになりきることくらいだ。
ごらんください。鹿です。この時間帯になると畑に出てきます
イノシシも里におりてきました
経験者のアドバイスがきた
ならねえ、赤目にならねえ……やけ酒をあおりながらTwitterにぐちを書いていると、アドバイスをくれた方がいた。経験上以下の点が必要だという。
・ ストロボ光は強ければ強いほど良い
・ 望遠レンズで遠くから撮ると良い
・ 瞳の向きも大事
・他の光が少ない場所がいい、ステージなど
・ ストロボ光だけで写るような暗めのカメラ設定で
なるほど、図にするとこういうことだろうか。
フラッシュは強く、距離をとる、他の光を弱める
式典の記念写真のような状況
理屈はわかる。その後卒業アルバムをつくる仕事の人にもきく機会があったが、たしかにステージ上の記念写真は赤目率が高いという。
カメラマンが遠くから望遠で撮る、生徒たちは暗いところを見てるから瞳孔が大きくなる、よけいな光がない、といった条件に合致する。
よし、とりあえずこちらでできることといえば強いストロボだ。
ストロボを買いにいったら抽選をやっていた
大人の力を発揮した
今後も撮るかもしれないしな、とぶつぶつ言い訳しながらストロボを購入。2万円を超えたので早く忘れたい。この先インタビュー記事に赤目の社長が出てきたらあれだなと思っていただければ。
増税前でにぎわう家電量販店では福引を開催しているらしい。フロアをまたいで案内してもらい、引いたガラガラでは「おめでとうございま~す!!」なんてこった。当たったようだ。
赤目の写真を撮りたかったはずが、気づけば5等の海苔を手にしていた。
赤目の写真を撮りたいと思っていたら、いつのまにか海苔を手にしていた
若さも入れとくか
被写体にも若い瞳孔を投入しておく。瞳孔はどうやって大きくしたらいいのだろうと思って眼科医の知人にきいてみた。
・ 若いほど暗いところで瞳孔が大きくなる
・ 30代でぎりぎり赤目になるかどうかじゃないか
・ 瞳孔が大きくなる薬だと高齢者でも赤目写真になる
一点ドーピングがまじっている。どうにもならなかったときは今日はこの方法もある。しかしその前にできるだけのことはしよう。
被写体はデイリーポータルZ編集部で一番若い藤原に頼んだ。もう後半であるが、彼も一応二十代だ。
二十代の藤原に海苔をくわせる
暗いバルコニーで目を手でおおってさらに瞳孔を大きくし……
むむ! いってるのか!? どうなんだ!?
いった!! これは赤目いった!
この人を早く超能力研究所に!
撮れた、しかしこれが求めていたものなのか!
ついに撮れた。待ち望んでいた赤目写真がついに撮れたのだ。
そこに写った藤原は超能力者のようだ。マンガ『ハンター×ハンター』にこんな人、出てきた気もする。やった、しかし、やったなのかこれは。
専門家をまきこんで大枚はたいてぎゃーぎゃーいってやっと手に入れたのがこの写真なのか。これでいいんだっけ。
すごいにはすごいが、なんていうかずっと叫んでないといけない系のすごさだ。虚勢を張っていないとすぐに(……だからなんなんだっけ)とわれに返ってしまいそうだ。
回し車にいるハムスターのようにこの喜びをつづけよう。とにかく赤いぞ、すばらしいぞ!
自分でも多少なったが、やはり20代の藤原が強い
さあ念願の、茂みで撮ると野生動物っぽくなるのか企画だ
いた! 野生動物だ!
人里に降りてきた!
森林の開発でエサがたりなくなり、自動販売機のゴミをあさりにきたイノシシ
野生動物があなたのかばんを狙っていますよ!
だんだんノウハウもたまってきた。目は手で暗くしておけば瞳孔は大きくなる。
記念写真も赤い目で! (真ん中は松本さん、右は仕込みiPhoneで有名な森翔太さん)
だんだんコツがわかってきた
コツがだんだんわかってきた。レンズは望遠でも広角でもいい。とにかく撮影者から一定の距離がいる。
そして多少明るいところでも手で目をおおってやれば瞳孔は大きくなる。手をのけた瞬間にパッと写真に撮ればいい。
あとはストロボもあればいいが、デジカメのフラッシュでもなんとかなった。フラッシュを強める設定だとやはりいい効果が出た。
つまりあのストロボは買わなくてもいいものだったのだ。
カメラ内臓のフラッシュでも強めにやれば赤くなっていた。2万円超のストロボは必要ないことがわかりました
赤目写真を撮る方法
ノウハウができたのでまとめます。
やるべき
・ フラッシュを使う
・ 被写体はレンズを見る
・ デジカメの赤目設定はできるだけオフ
・ 遠めから撮る
・ 暗い場所
できればやったほうがいい
・ 強いストロボを使う
・ 暗めのカメラ設定
・ 直前まで手で目をおおって瞳孔を大きく
・ AF補助光は手で目をおおって見ない
・ 若い人ほどいい
・ 瞳孔が大きくなる薬を処方されたときはチャンスタイム到来
子供は簡単にできることを大人がやる
野生動物のようなワイルドさがやっと達成できた。もちろん赤目になりやすい人はかんたんにできることだし、価値がないことなのかもしれない。
しかしできるようになったのが誇らしいのだ。思い出してほしい。逆上がりができるようになったあの日のことや自転車にはじめて乗れるようになったあの日のことを。
そんな大人の赤目写真である。
私たちが大人になって失ってしまったものは多い。あれもこれもできるようになって、あれもこれも知ってしまった。未開拓の世界やそれに立ち向かう純粋な心、それに大きな瞳孔である。
そう、今まさに少年のように目を輝かせるときがきたのだ。それも真っ赤に、うさぎか超能力者かというほどに真っ赤っ赤に染め上げよう。
そんな赤目写真にチャレンジしたくなった方はこちら↓
赤目と白目の投稿募集!『紅白目合戦』
突然ですがこの赤目写真の投稿を募集します。デイリーポータルZの日曜の投稿コーナー「たのしさ一万尺」で赤目写真と白目写真をきそわせる『紅白目合戦』をはじめます。
お手持ちの赤目写真と白目写真をお送りください。写真の説明などもつけていただけるとありがたいです。
紅組『なかよし三人組』 その場で知り合った三人ですが意気投合して赤目に
対して白組は『おいしくて』 カメラを新調し、連写を試し撮りをしてたときの一枚です