上野のアメ横や公園付近でおっさんを探した
意外といない、キャップのおっさん
おっさんがかぶっているものといえば野球帽。以前同じように上野のおっさんを調べたところ、395人中50人くらいがかぶっていた。大体おっさん8人に1人である。
参考 『おっさんは何を着ているのか』
ところが実際に目視でさがしてみると思ったよりいないものである。
苦労した。人混みの中からおっさんの野球帽を目視でよりわけていく。野鳥の会のような気持ちで野生のおっさんを探した。
野鳥の会のような気持ちで帽子をさがした
2日に分けてさがした
あまりにも集中したのか体調がわるくなり、2日にわけてさがした。そして171人のサンプルが集まった。
結果から見せよう。その内訳はこうだ。
これがグラフ化されたおっさんの帽子だ!
写真の中からおっさんを拡大して何が書いてあるのか調べて何のメーカーなのか調べて……これがまたはてしなく面倒くさかった。
ここからグラフとともにおっさんの帽子の特徴を見ていこう。
前回の調査ではおっさんの帽子といえば「月桂樹やワシをあしらったトロフィーのような柄」とした。しかしそれは間違いだった。
数をきちんととってみるとアディダスが強かったのだ。
一番多いのはアディダスで11人
無地の皮っぽいものも5人と多かった
最も支持を集めたのはアディダス、無地も人気
おっさんの帽子で最も多いのはスポーツ系、それもスポーツメーカーのロゴキャップである。その中でも最も支持を得たのはアディダスで11人。スポーツ2位のナイキの5人の倍以上である。
ここから「おっさんの帽子といえばアディダス」ともいえるのだが、これだと同じ帽子をかぶる中高生がかわいそうだ。
なのでアディダスの社員が11人いた、それがおっさんだったということにしておきたい。
ジャンルでいえば無地も多い。黒無地と皮の無地で合わせて11人、アディダスと同じ人数がいる。これは広げるおもしろさもない。おっさんもおしゃれがしたかったということだろう。
さて次はふしぎと多かったメーカー2つ。ダンロップとG.T.ホーキンスである。
タイヤのダンロップは3人。ベンツやBMWのレーシングキャップでさえ1人ずつなのに。
靴のG.T.ホーキンスも3人。ワシがついてるから人気なのか?
なぜ多い? ダンロップとG.T.ホーキンス
なんでこんなに多いんだ? とふしぎだったのがタイヤのダンロップ社。モータースポーツは全体でも10人と人気であるがそのなかでも人気だったのがダンロップで3人。そんなに人気なのか、タイヤ。
そして靴のG.T.ホーキンスも人気。これはロゴにワシが入ってる場合があるのでおっさんとの親和性が高いのだろう(トロフィーっぽさ)。
しかし靴をかぶるか、いやそうなのである。
服飾小物の帽子が人気
ふしぎと人気だったジャンルとして服飾小物がある。靴のG.T.ホーキンスやコンバースオールスター、サングラスのオークリーなど。なぜ靴やめがねをかぶるのだろう。
中にはボルサリーノと書かれたキャップもあった。イタリアの伊達男の帽子だ。野球帽でいいのか、おっちゃんよ。
高級ハットブランドのキャップをかぶるおっちゃん。さすがふかふかしてる
おっさんに米軍関係者は多い
ジャンルでいえばミリタリー関連も7人いる。米軍と自衛隊は半々くらいである(※)。
なかには南北戦争時のグラント将軍と思われる人がいた。死んだと思われていたが、けっこうカジュアルにいるものである。
※グラフには米軍6人とあるがよく調べたら自衛隊のまちがいだったのが2人ほど
CSAは南北戦争の南軍、もしくはアメリカ陸軍参謀総長の略か。グラント将軍は北軍である。詳細はわからないがとにかくスケールのでかいおっちゃん。
アメリカ空軍アカデミーと書いてある。こちらもすごい経歴のおっちゃんだ。
おっさんの帽子にいる動物といえばワシ
ところでおっさんの帽子にいる動物といえばなんだろうか? なぞなぞではない。答えはワシである。
おっさんの帽子はトロフィーっぽいなと思っていたがやはりワシが一番多かった。軍関係だけで4羽、全体で7羽いた。次点はゴルフウェアのGoldenBearのクマ3頭。
しかしモチーフだけでいえば月桂樹が一番多い。11人。これは最多のアディダスと同数である。おっさんの帽子はトロフィーっぽいというのはまちがいでもなかった。
おっさんの中に優勝した者は多いのだろう。
イスタンブールのおっちゃん
遠いところからきたおっさんも多い
地名も7人と人気である。それも日本国内ではなく、どれも外国のもの。「テキサス州バンデーラの大平原」や「フロリダ州ブエナビスタ湖」といったピンポイントのおっさんもいる。
そんな七人が上野に集ったのだ。ありふれた日常も目をこらすと奇跡の連続であることがわかる。
音楽の都、ウィーン発のおっさんだ
スケートカルチャーのTHRASHERだ。なぜこんなおっちゃん(おじいさんくらい)が……
オーパーツ的なおっさん
グラフの「若者向け3人」とはユースカルチャーの帽子。THRASHERは西海岸のスケートカルチャーのブランドであり、「BOY LONDON」というのを調べたら「パンクの代表的ブランド」とあった。
今回おっさんおっさんといってるのは見た目が50代以上の人のことで、おじいさんも多い。それがスケートやらパンクやらである。
そしてDJホンダっぽいDJ BOYというのもいた。おっちゃんから最も遠い名前だ。
応援してるぞ、DJBOY!
おっさんの帽子を読むということ
おっさんの帽子のなかで最も味わい深いのは何の帽子かわからないものである。
不明は27人いて、それプラス文章だけ読める者が10人いる。ここが味わい深い。なんだかわからないがおっさんに「Explosion(爆発)」とか書いてあるのだ。
そうか、爆発か。超新星みたいなものか、おっちゃん。なんだかわからないがとにかくすごい。
さあここからは考察もなにもない。辞書を片手にゆっくり味わうようにお父さんたちの帽子を読み込んでいこう。
「集まろう、そして悟ろう!」教祖誕生の瞬間である
頭に「頭」と書いてあるタイプのおっちゃん
「攻撃的に爆発! 冒険の精神」どうやら爆発するおっさんが多い
よく見ればワシと環境保全のようなことが書いてある。やはりおっちゃんはワシが好きなのだろうか
そしてこんなところにいた、シャーロック・ホームズの登場だ
思い込みでシャーロック・ホームズはやってくる
なんてスケールのでかい男たちなんだ。軍の最高司令官がいたり、世界中から集ってきたり、爆発したり最終的にはシャーロック・ホームズまでいた。
夢ではない、彼らは本当にいたのだ。だってそう書いてあるのだから。(Dream Weaver と書いてるおっさんもいた)
"信じる力"ということばがJPOPでは頻出する。今まであまりピンとこなかったが、こういうことかなと思う。
日常はあまりにも平凡で退屈だ。そこを飛び越えるには信じる力が必要なのではないか。おっさんの帽子に書いてあることを信じる力、アメ横の閉店セールを信じる力。
信じればきっと見える。目の前のおっさんが、シャーロック・ホームズに見えてくる。
アメ横の「閉店します!」と叫んでる人もアディダスだった