特集 2014年3月4日

これが本当の綱渡り入稿だ

これが真の綱渡り入稿!
これが真の綱渡り入稿!
危険をおかすこと、絶体絶命の瀬戸際、本当に危機一髪の状態を指して「綱渡り」と表現することがある。
例えば〆切タイムリミットぎりぎりに原稿を送信する行為は「綱渡り入稿」と言われたりする。

実はいま、まさに「それ」なのだ。
1973年京都生まれ。色物文具愛好家、文具ライター。小学生の頃、勉強も運動も見た目も普通の人間がクラスでちやほやされるにはどうすれば良いかを考え抜いた結果「面白い文具を自慢する」という結論に辿り着き、そのまま今に至る。(動画インタビュー)

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現在、綱渡り入稿中

現在ご覧いただいている記事は、2014年3月4日(火)の11時に公開されているはずのものだ。
で、その記事をライターが編集部に送る〆切は公開24時間前。遅くとも前日(3月3日)の午前中いっぱいには送らないと諸々困ったことが起きる。
いま、この辺りにいます。もう危険地帯です。
いま、この辺りにいます。もう危険地帯です。
さて、正味の話をしよう。
いまこれを書いているのが3月3日の11時を大きく過ぎたところ。
すでに公開24時間前は突破して、完全に綱渡りタイムだ。
完全にやばい。絶対にやばい。
完全にやばい。絶対にやばい。
この原稿、取材先で場所をお借りして書いてます。
この原稿、取材先で場所をお借りして書いてます。
さらに言うと、これまでライターの原稿をWEB用にコーディングしてくれていた編集部の橋田さんが、おめでたいことに2月末から1年間の産休に入った。
橋田さんの代わりは、ライターの藤原くんが編集バイトとして勤めることになったのだが、慣れていない作業だけに時間はかかるだろう。
時間がギリギリになればなるほど、危険なことが起きる可能性は高まる。
藤原「きだての野郎、まだ原稿送ってきやがらねえ…」
藤原「きだての野郎、まだ原稿送ってきやがらねえ…」
なぜそんな危険な時間まで原稿を書いているかというと、単に一度「これが本当の綱渡り入稿だ」というのを言ってみたかっただけである。
〆切を多少過ぎただけで綱渡りとか、そんな甘い話をするつもりはない。
どうせなら見たまんま、綱渡りオブ綱渡りの、真の綱渡り入稿に挑戦してみたいのだ。
苛立ちながらF5キーを連打する編集部藤原。
苛立ちながらF5キーを連打する編集部藤原。
時間はきりき゛り ふじわりれくん まつててくたさい
今から ぼくか゜ほんとにツナわりわしなからこの現行わおくります
綱渡りで書いて、送信。ザ・必死。
綱渡りで書いて、送信。ザ・必死。

綱渡り入稿、練習風景

さて。
前のパートで言いたいこと全部なので、この先は単なる余録である。

時間は数日ほどさかのぼる。
ここからは、事前に原稿を書いている。
さすがに本当に綱渡りしながら記事全文を書くというのは無謀に過ぎるだろう、という真面目な判断によるものだ。

さらに真面目なことに、「ぶっつけで挑戦して綱にも乗れなかったら話にならない」と、事前練習に来ている。自分が真面目すぎて恥ずかしい。
ちゃんと事前に練習する生真面目さが身上だ。
ちゃんと事前に練習する生真面目さが身上だ。
ここは、都内でもインドア用スラックラインを常設している数少ないスポーツジム、神田神保町『ZERO Fight & Fit』さん。

スラックラインとは、下の写真のような幅広の帯みたいなロープを張ってその上に乗って遊ぶ、つまりは「綱渡り」だ。
元々は、天気が悪くて山に登れなかったクライマーが、登山用ラインを木と木の間に張り渡して乗って暇つぶしに遊んでいたのが発祥とも言われている。

弊サイトでも、2年前に『誰でも出来る綱渡り体験会』という記事でライター馬場さんが挑戦している。
これがインドア用スラックライン。高さ30cmほどなので落ちても安心。
これがインドア用スラックライン。高さ30cmほどなので落ちても安心。
こんな感じのきしめん的なやつに乗る。
こんな感じのきしめん的なやつに乗る。
あらかじめ電話で取材を申し込む時に「本当の綱渡り入稿というのがやってみたくて」と正直に言ってみた。
ふざけるなと怒られたら即謝って企画をボツにしようと思っていたのだが、なんと「変なこと考えるんですねー」と笑いながらオッケーをいただいた。ありがたい。
スラックラインで華麗に技を披露する運動お化けこと岡本先生。
スラックラインで華麗に技を披露する運動お化けこと岡本先生。
こちらがZERO Fight & Fitのオーナー、岡本さん。
元はWebクリエイターながら、普段はこのジムで個人トレーニング指導や空手の指導をしつつ、自分はトライアスロンまでこなす鉄人。僕のようなド文系インドア派からすると運動お化けのような人である。

この岡本さん指導のもと、スラックライン未体験の40代が綱渡りしながらPCが操作できるように練習してきた風景をご覧いただこう。
小太りのおっさんが真面目な顔をして変なポーズをとっている素材集として使っていただいても結構だ(著作権フリーにします)
まずはラインに立つところから。すでに危うい。
まずはラインに立つところから。すでに危うい。
手足でバランスをとって、落ちないよう堪えています。ふざけてません。
手足でバランスをとって、落ちないよう堪えています。ふざけてません。
岡本先生に全身でのバランスを教えてもらってます。真面目です。
岡本先生に全身でのバランスを教えてもらってます。真面目です。
基礎的なバランスを30分ほど教えてもらったのだが、なかなか上手くは行かない。ラインの上で足を2~3歩進めるのが精一杯である。
しかし今回は綱渡りするだけが目的ではない。綱渡りをしながら原稿を編集部に送らねばならないのだ。
ラインに乗りながらPCで作業するやり方を先生と模索する。
ラインに乗りながらPCで作業するやり方を先生と模索する。
基本的にスラックラインは手と足を伸ばしてバランスをとる。片手でPCを持ってもう片手でキーボードを打つということは、上半身がほとんど使えないということになる。
岡本先生も、もちろんラインの上でノートPCを操作した経験はないという。
当たり前だ。

「視線を前にしてバランスを取りたいので、できるだけPCは持ち上げましょう」
「落ちそうになったら、PCも重り代わりにしてバランス取るのがいいかもですね」

今後ぜったいに役に立たないであろうノウハウがどんどん蓄積されていく。

「でも、手を使わないでバランスとるトレーニングとして意外と面白いですね。今度別のところでやってみようかな」

先生にそう言っていただけると、まだ救われる。
自分で見てもだいぶ面白いことになってる。
自分で見てもだいぶ面白いことになってる。
先生がやるとかっこいいのは何故だ。
先生がやるとかっこいいのは何故だ。
練習でPCを落として壊したら大変なので、体幹トレーニング用のバランスクッションを代用にして綱渡り入稿の練習は続く。
前略、綱の上から。(一世風靡セピア風ポーズ)
前略、綱の上から。(一世風靡セピア風ポーズ)
我ながらよくこう面白いポーズで落ちれるものだ。
我ながらよくこう面白いポーズで落ちれるものだ。
この練習の成果が、冒頭パートにつながっている。
果たして無事に「本当の綱渡り入稿」は叶ったのか。無事に藤原くんの元にデータは届いたのか。
では、今から入稿しに行ってきます(冒頭に戻る)

真面目にやってるつもりなのに、ポーズがおかしい。
真面目にやってるつもりなのに、ポーズがおかしい。
今回はどう考えても出オチの一発ギャグにしかならない企画だったので、せめて引っ張らずに記事の頭の方で全部言っちゃう構成にしてみた。
ただ、「これが本当の綱渡り入稿だ」という部分よりも、後半の僕が綱の上で暴れている写真の方が面白いと思う。我ながら本当によくもこう面白い姿勢が出来るものだと感心した。

スラックライン自体はやっているうちにスーッと無心になれる楽しいスポーツなので、興味のある方はぜひ一度トライしてみて欲しい。
ZERO Fight & Fit
東京都千代田区 神田神保町1-16-3 TSI神保町ビル1F
TEL:03-6273-7098
営業:月~金曜 11時~22時 土曜 10時~19時まで
定休:日曜・祝日
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