



そのおかげで感動界にインフレが起こり『本当にあったちょっといい話』くらいじゃ物足りない『ウソでしかも盛った話』じゃないと私たちは泣けなくなりました。
倫理や真実はどうでもいい。ウソでもいいから泣ける要素を。ウソ泣け話2回目の投稿が集まりました。

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> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー
左手でいいかげんに書いたような泣ける話が
あまりにもいいかげんで心なく、ただ泣けることに特化したお話5編をごらんください。







「新しい監督はあの…」 高校時代のウソの思い出話です
僕はサッカー部に入ってたんですけれど、チームがすごく弱かったんです。
というのも、部員がみんなフィールドに立ち続けることすら難しいほどの重病人だったからなんです。
ですが、ある日「外科手術の魔術師」という異名を持つすごい名監督が赴任してきて、みんなを完治させつつ立派なサッカー選手に鍛え上げてくれました。
そのおかげで全国大会で優勝もできたし当時のチームメイトもみんな元気です。
あと、今年の夏には監督のお孫さんが生まれるそうです。
by 鹿の後頭部

最後、感動がぽこぽこといいかげんに押し寄せてくるところも泣きました。







「雪男を探しに行った夫が…」
全部ウソなんですが、奇跡の話を聞いてください。
夫には夢がありました。少年誌で見た雪男、イエティをいつかこの目で見るという夢が。学生時代は探検部に、そして冒険家となった今ついにエベレストに向かって旅立ちました。
ところがしばらくすると夫が遭難したいうニュースが。どうすることもできない私は毎日近くのお地蔵さまにお祈りに行きました。お地蔵さまお願いです、夫の無事を、それがだめならせめて夢だけでも叶えてあげてください。
その甲斐むなしく、ある日夫の遺体とカメラが見つかったという知らせが。半年後、失意の中帰ってきたフィルムを現像すると、なんていうことでしょう。そこにははっきりとイエティが写っていたのです。
それを見た私は涙があふれました。そのときのイエティの顔はお地蔵さまの顔そっくりだったのです。
by 御鼻水チャー子先生










「受験のために飛行機が…」
東京で生まれ育ち、大学受験したことがないのですが聞いて下さい。
地方に住んでいた私は子供の頃に両親を事故で亡くし、アルバイトをしながら東京の大学に進学するために猛勉強をしていました。
受験のために生まれて初めて乗った飛行機が離陸してから、乗り間違えたことに気づきました。
行き先は東京ではなく、鳥取とアナウンスで聞きパニックに陥りました。
事情を理解した乗務員さんが機長室へ走りました。
その直後に、なんと飛行機が急旋回をしたんです。
「管制塔から許可がおりました。ただいまから、この飛行機は行き先を変えて羽田に向かいます。」
機内から拍手が起こりました。
それ以来、乗り物に乗る前には必ず行き先を確認する習慣がつきました。
by pris

最初の方で受験と無関係に両親をサックリ死なせているところもひどくて泣けました、ううっ……







「あの商品の背景には…」
これはウソなうえに先週の「トイレその後に」ウソの商品背景のマネなんですけど聞いてください。
幼いころから母入院していて、ある日見舞いに行くと母はこう言いました。
「ここから大介(この名前もウソです)たちが自転車で学校に行くのが見えるんだけどね。どれが大介かわからないのよ」
その後、私は大きい自転車を買いました。お母さんからよく見えるようにと。ところが大きすぎてハンドルの扱いが難しく、よく転んでいました。母は私のあざを見て泣いて言いました。
「ごめんね、お母さんがよく見えるようにあんなに大きい自転車乗ってくれてるのね、お母さん大介のことよく見えてるよ。ありがとうね。ありがとうね」
それから間もなく母はなくなりました。
もう大きい自転車に乗る必要もなくなり、近くの鉄工所で自転車のハンドルを曲げて持ちやすくしてもらいました。なぜ曲げるんだい?と鉄工所のおじさんにきかれて思わず号泣してしまいました。
その後、地元の中学生にマネされ、カマキリハンドルが田舎の小中学生を席巻します。
by 熱血店長ハッピーバースデイ








「ヘレン・ケラー、ウソの奇跡…」
ヘレン・ケラーにまつわるウソの物語をご存知でしょうか。
生後19ヶ月で視力と聴力を失ったヘレンにはサリヴァンという家庭教師がついていました。サリヴァン自身も弱視だったため、自分の経験からヘレンに指文字を教えたのです。それはたいへんな努力と忍耐の毎日でした。
たとえばある日のこと。サリヴァンはヘレンの左手に何度も文字を書いては、ヘレンの右手にあっつあつのどろっとしたものをたらします。あまりの熱さに泣き叫ぶヘレン。それを見てもサリヴァンは指文字をつづけます。
まるで鬼のようなサリヴァン……しかしよく見るとサリヴァンの目にも涙が。サリヴァンにとってはヘレンはかつての自分なのです。サリヴァンは指文字を繰り返しながら、そして涙を流しながら何度も大声を出します。「あ、っ、つ、あ、っ、つ、の、と、ろ、み、あ、ん」と。
そしてついにヘレンが叫びました。「熱々のとろみあん!」と。
by 織田裕二


投稿をひきつづき募集しています
他にね、いいかげんな、ほんとに雑な投稿があってすごくいいんですよ。すぐ恋人死なせたうえで天下一品の味を語ったりとか。適当に書きなぐった感じのむちゃくちゃな話がたくさんあってどれも泣かされてます。
さて今週も投稿を募集します。300字オーバー続出したので400字にもどします。
・ウソの泣ける話を募集
・400字以内(短いほうがいい)
・ウソだとわかるような書き出しで
最近かんたんに家で泣ける方法を発見したんですよ。娘の楽しみに残しておいたものを食べてしまうんです。こっそり。
残念がる娘。誰も悪くありません、あのいよかんが甘かったから、甘くて父が食べてしまったから悪いのです。はあ、泣けるなあ。
もう一歩すすんで、娘に「今日チョコレート買ってきたよ」とあおるだけあおって食べた包み紙だけ渡すとかしてみようかなと。泣き叫ぶでしょうね……ううっ。
さあ、誰かが止めてくれないと、新たな積木くずしがはじまります。投稿をお待ちしております。


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