オシャレ系
まずは海外アナログゲームの真骨頂とも言えるオシャレなゲームからいこう。
オシャレという要素は子供にとってはまったく必要のない要素で、むしろオシャレさはかえって興味の対象外になるケースもあることもある。
フランス・ギガミック社のピロス (Pylos)
フランス・ギガミック社は、こういう木製のシンプルでおしゃれなゲームが得意でいくつも出している。その中で特に私がいいなと思ったのがこれ。こういうのを見ると、
「ああ、ヨーロッパだな~。」
と感じるかたも多いかと思う。
むっちゃおしゃれ!
見ての通り、木製のボールを積んだピラミッドである。
オブジェとして玄関などに飾っておいてもいい感じだ。
交互に玉を積んでいき、頂点に載せた人が勝ちという非常にシンプルなゲーム。
思わず触りたくなるコロコロとした木の玉。
反射的に玉を乗せてみたくなる、たこ焼き焼き器のような土台。
この手のストーリー性のない抽象的なゲームは、“やってみたくなる何か”があるかどうかが鍵だ。それが無いと「ふ~ん」という感じで終わってしまったりするが、このゲームにはその“何か”がしっかりある(と思う)。
一番上に乗せた人が勝ちという勝利条件も直感的でわかりやすい。
ただこれ、囲碁やオセロなどと同様、運の要素がまったく無いアブストラクト・ゲームなので、最初の数回こそ子供が勝つこともあったが、しばらくしたらまったく私が負けなくなってしまった。
これは前回の記事のまとめにも書いた、
「子供は自分が勝てないゲームはしない」
という法則に反するが、さすがにこれだけシンプルだと子供的にも
「どうして父ちゃんが勝つんだろう?」
と、けっこう食い下がってきた。
ただ、今のところは楽しめてるが、やり込んだら必勝法が見つかりそうな気もしないでもない。
(ちゃんとしたルールは
こちら。)
子供はほとんど考えずにサクサク置いていく。
囲碁も意外に子供に人気。
アブストラクト・ゲームといえば、囲碁もうちではけっこう人気がある。
実は私もちゃんとルールをわかってないところがあるが、子供は「相手の石をたくさん取るゲーム」として気楽にやっている。
超早指し。見てて気持ちいいくらいテキパキと(テキトーに)打っていく。
不思議なゲーム
次はこちらもまたシンプルで不思議な味わいがあるゲーム。
エクゼキュオ、もしくはツェ・クヴェオ。 (Xe Queo!) ボードゲーム界の巨匠・故アレックス・ランドルフの作品。
ルールだけ聞くと「こんなんでゲームになるの?」と思うほどシンプル。
お互い秘密裏に色を選び、その色のコマをリングまで進めれば勝ち(リングをもらえる)。が、相手に自分の色を読まれて指摘されたら負けなので、ブラフをかけて違う色を進めることも必要。7本勝負で先にリングを4つ取った人が勝ち。
1つのリングを目指してコマがわらわらと近づいてくる。その中に相手が選んだコマと自分が選んだコマが1つずつある(あるいは同じ色かもしれない)。
相手が動かしたのは本物かブラフか?
自分は本物を動かすべきか、悟られないようブラフをかけるべきか?
考えれば正解がわかるというのものでもなく、いかに相手の心理を読むかなので誰とやっても楽しめる。子供が相手なら子供の思考パターンを読む楽しさがある。
似たゲームに、同じランドルフ作の「ガイスター」があるが、ガイスターは将棋的な要素もあって小さい子供とやると心理戦以外の部分で大人が勝ってしまうのに対し、こちらはより純粋な心理戦になっている。
※エクゼキュオという名前では絶版で、今は同じ内容で「それだ!(Der isses!)」という名前で売ってます。
抜群の食いつき
ところで、ある時期から私はあからさまに子供向きのゲームはあまり買わないようになった。というのも、いろいろなことに興味を持つ子供は案外飽きるのも早く、だったら大人が楽しめるものを買った方が、子供が飽きても少なくとも大人は楽しめるからいいと考えるようになったから。(大人の考え方が子供っぽいという指摘はおいといて)
そんな中、大人同士でも楽しめる内容にもかかわらず子供に圧倒的とも言える訴求力を見せたのがこれ。
チーキーモンキー (Cheeky Monkey)
なんと、サルのぬいぐるみが、どどーん!と入っている。
中にはゲームで使うチップが大量に入ってる。
このぬいぐるみへの子供の食いつきがすごかった。
⇒ かわいい!
⇒ お腹に何入ってるの?
⇒ これゲーム?
⇒ やりたい!
という完璧な流れで導かれていった。
そしてゲーム自体も子供にわかりやすい内容。
運の要素が大きく、初戦で子供が勝利。
その後何度もリピートすることとなった。
サルの背中に手を突っ込み、チップを1枚引く。(ストーリーは特にない)
チップは全部で8種類あり、同じのが出ない限り何度引いてもいい。同じのが出たらバーストで、手番に引いたチップを全部戻さないといけない。引き際が肝心。
ぬいぐるみが空になったところで集計。種類ごとに数が最多の人にはボーナス点がつく。
サルのぬいぐるみといい、チップのじゃらじゃら感といい、とにかくこのゲームはウケがいい。
運の比重が大きいゲームだが、どこで見極めるか判断力を求められるところもあり、大人がやってもすごく楽しい。
磁石の力でヤギを飛ばす
こちらは知り合いにやらせてもらって衝撃を受けたゲーム。
ヤギのベッポ(Beppo der Bock)。 2007年ドイツキッズゲーム大賞受賞。
昼寝をしてたヤギがパチンコ玉を当てられ怒って子供たちを突き飛ばす、という設定らしい。(思い切り見開いてるけど)
木製のヤギの下に超強力磁石が仕込んであり、それにパチンコ玉が吸い寄せられる勢いでヤギを弾き飛ばし、相手のコマに当てる…というゲーム。
という説明を聞いても、たぶんチンプンカンプンだろう。
パチンコ玉と、その下の超強力磁石。
が、実際の動きを見ると、予想外の激しい動きにけっこうびっくりする。というわけで動画でどうぞ。
ゲームは基本すごろくで、ヤギのアタックをかいくぐってゴールした人が勝ち。他にもクローバーの台(座布団?)が1つあり、これを敷いていればとヤギが1回当たってもダルマ落としのようにクローバーの台だけが飛びコマは無事といったギミックもある。
これはもう、ものすごくうちの子供にもウケていて、何度もリピートを要求された。
見ただけでできる
こちらもやらせてもらったもので、くるくる回転する飛行機を手元の台でバチンと弾いてコインを落とすゲーム。
(ボードゲームと言うよりこれはもうおもちゃだが)
くるりんパニック (Looping Louie)。飛行機の動きが秀逸。動画撮っとけばよかったな。。
子供とゲームするシチュエーションは大きく2つあり、ひとつは家族で同じゲームを何度も繰り返し遊ぶシチュエーション。もうひとつは子供が大勢集まる場や、あるいは他の子供が遊びに来た時に接待的に、というシチュエーション。
前回の記事で、「多少難しくても教えればできる」と書いたが、それはあくまでも繰り返しプレイが前提の場合。後者のような初めての子が集まる場面には向いてない。そういう場面では「ヤギのベッポ」や「くるりんパニック」のように説明不要ですぐできるゲームが重宝する。
しかし一方で、そういったゲームは家で繰り返しプレイするには飽きが早そうでもある。どちらを買うかは悩ましいところだ。(保存用に買うべきという考え方もあり)
協力型ゲーム
ボードゲームのジャンルのひとつに、全員が一致団結して勝利を目指す「協力型」というタイプがある。ある目的が達成できれば全員の勝ち、できなければ全員が負け。プレイヤー同士が優劣を競うことはしない。
これだったら大人が子供に対してレベル調整する必要がない。
協力型ゲームの元祖と言われている「指輪物語ボードゲーム」。
で、やってみたところ息子が「一番面白い」と言って何度もやりたがる結果となったのがこれ。トールキンの指輪物語のボードゲーム版。ライナー・クニツィアという有名なゲームデザイナーが手がけたもので、協力系ゲームの元祖と言われている。
けっこう本格的なゲームです。
対象年齢は公称12歳以上。要素も多く、けっこう複雑なゲームなので、これは子供と遊ぶゲームに数えてなかった。が、ある時息子(6)が箱をみつけて
「これガンダルフじゃない?」
さらに開けてカードを見るや
「あ、これフロドだ!これやりたい!」
と言い出した。
そういえば前に映画を途中まで観たことがあった。なぜ途中までかと言うと、恐すぎてギブアップしたからだ。それもかなり序盤、モリアの坑道に入ったところまで。なのにちゃんと登場人物を覚えてるところが子供の記憶力すごい。
対象年齢12歳以上。プレイ時間も60~90分とけっこう長め。
映画は始めの方を少し観ただけなのにこれを見て「あ、フロドだ」と言った(ちょっと顔違うけどな…)。
ゲームは指輪物語の4つの有名な場面に沿って進んでいく。最後に火山に投げ入れて指輪を破壊すれば全員の勝ち。できなかったら全員の負け。
具体的な内容は長くなるから省略するが、
超ざっくり言えば“複雑な運だめし”。
「木のカードを2枚捨てよ。さもなければ闇に1歩引き込まれる。」
といったお題が出てきて、
「これ以上闇側に行ったら死んじゃうよ。」
「誰か木のカード持ってない?木!」
みたいなやりとりをする。
「誰も持ってないの?どうする?」
「困った…。」
という時に6歳の息子が遅れて
「…あ、あったよ!」
と言って木のカードを出す。するとみんなが
「おおそれだ!!ありがとう!」
と感謝する。
どうも息子はこういったやりとりが非常に気に入ったようで、
「これは人を助けるゲームだね♪」
と、いいこと言っていた。
※指輪物語ボードゲームは既に絶版だが、中古またはデッドストック品がわりあい出回っている。
こういう指輪が付く。左のサイコロは振るとたいてい嫌なことが起きる。
このゲームは何度もクリアしたが、まだまだ息子はやりたがる。拡張セットも欲しいがこれが海外版しかなく絶版なので入手困難で…。
ドキドキするゲーム
指輪物語で味をしめた息子が、
「協力するゲームをもっとやりたい。」
と言うので、ネットのレビュー等を読んで数ある協力系ゲームの中から吟味に吟味して買ったのがこちら。
エスケープ (Escape: The Curse of the Temple)。箱でかい。
インディジョーンズよろしく、遺跡から出口を探して脱出するゲーム。全員が脱出できれば全員の勝利、一人でも脱出できなければ全員負けの協力ゲーム。
タイルをめくって遺跡の出口を探す。
CDをかけながらプレイする。
このゲームの変わってるところは、付属のCDを聴きながらプレイするところ。これはタイマーの役割を果たしていて、音が鳴り終わるまでに脱出しなければならない。約10分間。また途中で2回ボワ~ンと銅鑼が鳴り、これが聞こえたらスタート地点に戻らないといけない。
サイコロを一人5個ずつ持つ。
しかも手番というものがない。サイコロを振ったら出た目に合わせて次々に各自が行動していい。またサイコロは何度振り直してもいい。
黒い顔の目が出たらそのサイコロは使えなくなる。これは黄色い顔の目を出すことで復活できる。同じ部屋にいる仲間のサイコロを助けることもできる。誰か一人のサイコロがすべて呪われてしまったらその人は動けないので、助けに行かなければならない。
子供の感想は
「
これちょっと恐いよ!」
「
ドキドキした~。」
と言って、あまりやりたがらない。たしかに付属のCDは音がけっこう不気味で、それに時間制限が相まってドキドキ感は相当高い。(
ここから音聴けます)
子供にはちょっとBGMが恐すぎるので、レイダースの音楽に差し替えた家庭用CDを作ったら評価が上がった。 息子も
「
こっちの方がより協力が大事だね。」
などと言っていた。
ちなみにこのゲーム、大人6人でもやってみたところ1回目は失敗。2回目は超本気で取組んで超ギリギリでの脱出で、すごい盛り上がりだった。
まとめ
・協力ゲームが子供にウケる。
・シンプルなゲームは、やりたくさせる「何か」が重要。
・すぐできるとっつきやすいゲームと、繰り返しプレイ推奨のゲームとがある。TPOで使い分け。
他にもまだ書きたいことはいろいろあるが、長くなったのでこのへんで。
上はほぼ同じシステムのゲームだが箱の大きさがこんなに違う。子供にウケるのはもちろん右。