特急に乗れば上野から1時間でついてしまう水戸駅。たくさんお店が入っていて、けっこう大きい
駅を出るとすぐに水戸黄門とお供の3人組がお出迎えしてくれる。ここが水戸であるとわかり易く、とてもいい。
八の字眉毛の猫がいるタバコ屋さんからスタート
前回の記事でとりあげたハチ
水戸に来た理由に、前回載せた「
八の字眉毛の猫の「八」を借りにいく」の取材も兼ねていたというのもあった。
今回はその取材でお世話になったタバコ屋さんに穴場を聞くところからスタートとした。
「すぐそこの神社が意外と穴場かも」
最近TVにとりあげられたという理由で近くの食堂が挙がったが、ここはぜひ主人の主観によるお薦めの場所に行きたい。子供達の意見も聞きつつ最終的に教えてくれたのは、すぐそこにあるという東照宮だった。
お薦めスポット1:日本初の戦車もあるという、水戸東照宮
横の立派な鳥居が気になっていたので丁度良い。
お隣である
そんなに広い訳ではないけど、静かでとても落ち着く神社だ
水戸黄門の印籠でお馴染み、徳川家の葵紋
階段を登り、少し高台にある水戸東照宮。
木々に囲まれ落ち着く雰囲気であるが、今夏はビールフェスタの会場で使われたり(これが驚くほど盛り上がったそう)、あの八の字眉の猫の写真集の撮影をここで行ったりと地域に密着した神社のようだ。
お参りをしたあと、タバコ屋さんが教えてくれていた日本初の戦車を探した。
日本初の戦車は大きい牛が引く
あった、これが日本初の戦車!…弱そう~
案内板も素直な感想
水戸藩第9代藩主、徳川斉昭が設計したとのことだ。
この鉄の入れ物に一人入って中から鉄砲を撃つと言うものらしいが、その動力は「大きい牛」。見た目の頼りなさとか、牛が攻撃されたらもう終わりじゃん!とか、トイレ用に穴を開けて微妙に作りが細かいなとか、突っ込みたくなる要素がたくさん。興味深い。
逆に逃げられなくなっていじめられているイメージが浮かぶ
しょっぱな良いものが見れて嬉しい。今度は神社の方に声をかけ次のお薦めスポットを尋ねることにした。
その時ちょうど再会した八の字眉の猫の飼い主の前田さん(右)。2人して「やっぱりあそこでしょう」と即決。自信満々だ
5分後、その自信の正体を身を持って知った。この肉である。なんとこの240gのお肉が800円で食べられるのだ!
お薦めスポット2:「立呑み焼肉ボンバー」
神社につとめる方々と前田さんお薦めの場所は、焼肉屋さんだった。「安いのにお肉は良い肉使ってるみたいで美味しい。お弁当にしたりしてよく食べてる」そうなのだ。
そのお薦めの焼肉屋は東照宮の階段を下りて、商店街入ってすぐのところにある。
今ちょうどお昼過ぎ。ここで「ボンバーランチ」をいただくことにした。
夜は立ち呑み屋になるが、外にある椅子で飲んでもOK
240gの肉を少しずつ自分で焼いて…ああ、すごく美味しいのだ
しかもご飯、味噌汁、サラダ、飲み物はセルフで食べ放題
これは常連になるの分かる
満足を超えた
240gのお肉の量である、けして名前負けしていない。しかもお薦めされるだけあって幸せな気分になるほど美味しい。
なんでこんなに安いんだ、ともう一人のお客さんと一緒に主人にぶつけると、全てセルフだからという答えが返ってきた。あと、椅子が無いことで回転が早いというのもあるかもしれない。いやそれにしたって800円はお得過ぎだろう。
食べ切れなかった分はお弁当にして持って帰れる。これもセルフなのでご飯やサラダは好きなだけ詰め込める
ちなみにこちらのお店、電話番号は非公開と珍しい。予約されてしまうとせっかく来てくれたお客さんを断ることになってしまうからだそうだ。
でもここ目当てで来て開いてなかったら嫌だなあと言うと、他にもこの通りに飲み屋あるからね、との返答。自分のお店だけでなくこの通りが活気良くなればいい、という気持ちが伝わった。
今のところすごく狭いエリアを周っています
とても雰囲気のある商店街(というか飲み屋街)。残念ながら震災の影響で閉店してしまった店も多いようだ
そこを通り抜けると、東照宮の正門についた
お薦めスポット3:金網からの景色
ボンバーの主人からは2か所お薦めを聞くことができた。その1つ目は、先ほど訪れた東照宮の奥にある金網からの景色。
さっきはそんな場所があることに気づかなかった。
たぶん駐車スペース
少ししか登っていないのに景色は開けた。
ここからの眺めは確かに地元の人しか気づけない場所かもしれない。
夕方が特にお薦めだと言っていた
実際に覗いてみると、ここが好きな気持ちがよく分かった。私も会社の休憩スペースから見る景色が好きなのだが、こういう所に来るとホッとできるのだ。
商店街の屋根が見えるのも面白い。その上を電車が走りそうな見た目
最近は地元の人に穴場スポットを聞くとき、「思い出のある場所でもいいです」というようにしている。そうするとこういった、その人にとって少し特別な風景を垣間見る事ができるからだ。
お薦めスポット4:偕楽園から見る千波湖(せんばこ)
ボンバー主人のもう1つのお薦めは、水戸の一番の名所だろう偕楽園からの景色。
偕楽園へは梅の時期にバスツアーで寄ったことがあるが、そこから湖が見えるのは知らなかった。しかも偕楽園に行ったことさえ遠い記憶なので、メジャースポットではあるが改めて行ってみることにした。
バスで移動して偕楽園にやってきた
偕楽園周りにバス停はいくつもあるのだけれど、私が降りたのは竹林の近くだった。偕楽園の見所は梅だけでは無かったのだ。
他にもパワースポットといわれる吐玉泉(とぎょくせん)とか
好文亭という屋敷とか。後で知ったが、設計者はあの日本初の戦車と同じ徳川斉昭。こちらは立派そうだ
この時は季節的にあまり花は咲いていなかったものの、自然の中で散策が楽しむことができた。
20分ほど歩いた所に見晴広場という所を発見。きっとそこから湖が見えるはずだ。
湖あった、確かにいい景色!
偕楽園はけっこう広い。プチハイキングである
ここで一休みしてお弁当。外で食べると格別だ
湖から湧き出る噴水、また違った方面にはコスモスの花畑が見える。先程の神社からの眺めとはまるで違い、全てが自然。なんてのどかなんだろうか。
その居心地の良さに、隣にいるおばちゃん達のお喋りが全く止まりそうにないのも頷ける。
次のスポットをお土産屋さんに聞いてみる
偕楽園を出た所にあったお土産屋さんに寄り、偕楽園の梅で作った梅干を買いがてら店員さんにお薦めを聞いた。
とにかく湖だそうだ。あの周りを歩くととっても気持ちがいいから絶対行くべきよ!とパワフルな回答。特に中村彝(つね)さんのアトリエがある辺りが大好き、とのこと。
このあたりは秋に来るといいらしい事が分かった
お薦めスポット5:千波湖散歩と中村彝(つね)さんのアトリエ
私はつねさんを知らないのだけど、そこに向かってみる事にした。
割とすぐに湖についた。しかし目指すアトリエは遠そうだぞ
見慣れないブラックスワンがたくさん!普通の白鳥もいるけどこっちの方が多かった
こういうだだ広い所に来るといつも「外国にいるみたい」という感想が出る
SLも置かれていて子供たちに人気。私も一応乗った
地図を持っていないので、所々で道を聞きながら向かった。湖の周りを歩きだしてからアトリエにつくまで、気づけば50分も経っていた。
水戸出身の洋画家、中村彝(つね)さんのアトリエに到着。可愛らしい
そのアトリエは茨城県近代美術館の裏手にヒッソリとあった。時間的に中には入れなかったが、お土産屋さんが言っていたように、夕日が当たったそのたたずまいはとても素敵である。
地面に落ちている葉っぱに秋の訪れを感じ、一人ノスタルジックな気分になった。
こういう家に引っ越したいわー
間取りがいいんだよな(この時期ちょうど引っ越しを考えていて気になった)
つねさんの事を知らず、中にも入れなかったのでアトリエの外見や間取りに対してしか感想が出ないのが申し訳ない。それと、つねさんは名前からして女性だと勝手に思いこんでいたが調べたら男性だった。それさえも知らずに50分も歩いてやってくる人は珍しいかもしれない。
そんなことを考えていたら日が暮れてきてしまった。まだ行ける所はあるだろうか。
あったのでもう1ページ続きます。
次に声をかけた男性は荷物を置いたまま案内してくれた。すみません
近代美術館の前ですれ違った男性に声をかけてみると、美術館に入っているフランス料理店の方だった。
閉店作業中の店員さんに声をかけてくれ、その女性がお薦めのケーキ屋さんの連絡先を2店調べてくれた。大変ありがたい。
お薦めスポット6:フランス菓子「ル・ブラン」
2店のうち、歩ける距離にあったル・ブランというケーキ屋さんに行く事にした。フランス料理店の店員さんが選ぶフランス菓子店。これは美味しいに違いない。ラッキーだ
いかにも美味しいケーキがありそうな建物
美術館から15分ほど、民家が並ぶ通りを歩き到着。もう暗くなっているので閉めているが、犬と一緒にお茶ができる可愛らしいあずま屋も横にあった。
シェフお薦めのオランジェ・プラリネというケーキを頼んだ
上品な甘さに爽やかなオレンジ、層になっておりそれぞれの食感も楽しく美味しくいただけた。のは間違いないが、疲れで甘味を欲していたのか一気に食べ終えてしまった。もっとじっくり味わいたかった。
店員さんにスポットを聞くも、この時間だと思い当たらないようだ
旅も終わりか…
外はもう真っ暗だ。この旅ももうタイムアップかと諦め、駅に向かう事にした。近くにはバス停が無く、迷わず歩いても30分以上かかるというのでタクシーを呼んでもらった。
いったいどこなんだここは。
タクシーの運転手さんにお薦めの土産を聞いてみたが残念な回答
運転手さんのお薦めの土産は特に無し
運転手さんによると、さっきのケーキ屋さんはこの辺りでは有名だそうでお土産に買っていく人が多いと言っていた。
それを聞いて最後にお薦めのお土産を買って終わろう、と運転手さんに聞いてみたが特に有益な情報は聞き出せなかった。
結局駅のデパートで「そぼろ納豆」を買った。切り干し大根が入っていると書いてあるが、いぶりがっこが混ざった感じの大人向けの味
最後が不発でやり残した感があるが仕方ない。取材はここで終わりにしようと決め、昼に行ったボンバーに今日の報告がてら寄ってみる事にした。
すると主人からもう一か所お薦めスポットが飛び出した。よし、最後の最後にそこに行こう。
凄い賑やかになっていたボンバー
お薦めスポット7:駅直結のビル10Fにあるサイゼリアからの夜景
主人が薦めてくれたのは夜景。意外なことに、サイゼリアからの夜景である。ここ水戸サウスタワー店は10階にあり、とても見晴らしがよいのだ。
高いところにサイゼリアが。しかも窓際の席がけっこうある
確かに綺麗だ。それにしてもボンバーの主人は見晴らしの良い所が好きだな
少し酔っていたのもあり、店員さんにここからの景色綺麗ですねと伝えてみると「ありがとうございます!ここから写メ撮る方けっこういますよ」と教えてくれた。
私とその店員さんの知る限り、こんなに高い所にあるサイゼリアは他に無い。
今日は小高いところから色んな景色が見れた一日だった。
まさかサイゼリアで締めることになるとは
実際より周ったような錯覚
どこがゴールになるか分からない、この地元の人頼りの旅は本当に楽しい。最後サイゼリアって。
今回は最初に同じエリアをグルグルと周り、そのあと自然の中をたくさん歩いた旅だった。それでも地図で見たら狭いエリアに違いない。
だけど、小高いところから遠くの景色をいくつか見れたおかげで、実際以上に周ったような気分だ。今回もまた、満足な旅だった。
八の字眉の猫の飼い主さんがごちそうしてくれたマツタケ。これも縁起の良い猫のご利益か