間違えて行った
……と狙って行ったような書き出しだが実は間違えて行ったのだ。
幕張メッセで工具の展示会があるらしい。僕は趣味で電子工作をやっていたりして、日ごろから工具にはお世話になっている。いい工具は驚くほど作業効率を上げてくれることも知っている。展示会に行けば、またあらたな相棒が見つかるかもしれないぞ!
……と思って行ってみたところ、やっていたのは園芸の展示会でした。工具の展示ブースもあるのだが、ほぼ園芸工具(草刈り機とか、植え込みを整えるバリカンとか)である。
しまった!と思ったものの、取材に来て手ぶらで帰るわけにもいかない(締め切り的に)。せっかくなのでぐるっと巡ってみると、これがすごくおもしろかったので今回のレポート記事となった。
「国際 道工具・作業用品EXPO」「国際 フラワーEXPO」「国際 ガーデンEXPO」「国際 エクステリアEXPO」「国際 農業資材EXPO」以上全部が同会場で同時開催というビッグイベント。
害獣を撃退せよ
会場をざっと流してみてまず面白いなと思ったのが、害獣対策。みなさんが想像する製品はどういったものだろうか。かかしだったり、電気の流れる柵だったり、windows95のCDだったり。もちろんそういったものも展示会にはあるんだけど、プロユースともなると全く想像の範疇外のものもある。たとえば…
熊ボックス
カゴ式のネズミ取りってあるじゃないですか。中にネズミが入ると入口がカシャーンって閉まるやつ。あれのクマ版。
なにが予想外って、害獣対策としてこの器具が予想外である前に、そもそも「害獣」の定義にクマが入ってくるところから予想外である。
全体像はこんな感じ。
中は外光が反射して、宇宙空母から宇宙船が出ていく通路みたいになっているが、実際はただのツルツルした金属の筒。
ちなみになんでこれ金網じゃないかというと、研究用途にも使えるようにとの配慮なのだとか。
研究のためにクマを捕獲する場合、捕獲したクマにチップを埋め込んでまた放したりするんだけど、金網だと中で暴れた時に爪や牙がボロボロになり、野生で生活できなくなってしまうのだそうだ。そのため体にダメージを与えないドラム式を使うらしい。
珍しいもの見た!と思ったが、自治体にも採用されてけっこう売れてる製品らしい。へー。
尿力
本能を直撃!!
ハイイロオオカミの尿100%、と書いてある。僕らが日常生活で見る「100%」はオレンジ100%やりんご100%だが、世の中には尿100%という売り文句も存在するのだ。
けっこう濃厚
肉食動物の尿のにおいを漂わせることで、畑を荒らす害獣を近寄らせないようにするらしい。展示のモニタで動画が流れていたのだが(
これ)、粗暴そうなイノシシがこれを嗅いだとたんギュイン!と進行方向を変えておもしろかった。
気になるのは、これだけの尿をどうやって集めるのだろうか、という点。どうやらこれは米国のオオカミ保護施設で生産されているらしい。ハイイロオオカミというのはワシントン条約で保護される希少動物。その保護施設で、コンクリートの床を斜面にして尿を流し、溝に貯めて集めているとのこと。
これは独創的なアイデア商品だなーと、思っていたら似たような商品でコヨーテやマウンテンライオンもあった。
害獣いろいろ
クマやイノシシのほかにも、農業をやるうえではいろんな害獣を避けなければいけない。そして害獣の数だけ撃退グッズがある。
モグラには土中に深い柵を埋めて妨害
最近は都会にも多く、歌舞伎町にもいるというハクビシン。トゲトゲでシャットアウト。
肉球退散!!
カラスは超音波を浴びせたうえで、止まり木に止まったら電気まで流れる念の入れよう
こちらは唐辛子の成分、カプサイシンで撃退。青や紫、赤などいろんな色があるが、動物によって嫌う色が違うのだという。
上のカプサイシン入りバッグ、僕も嗅いでみたのだが、最初は無臭のようでいて急に鼻の奥にスカッ!とダーツのように痛みが突き刺さる。かなり新感覚なグッズであった。
迷惑動物専用連発銃なんてのも。これ詳しく聞かなかったんだけど、何が発射されるんだろう…
高枝ばさみでタオルを収穫
害獣対策はこのくらいにして、いっぽう、僕が当てを外した園芸工具のコーナー。工具系の展示ブースには、実際に使用体験ができるブースもあって、これが今まで全然縁のなかった工具ばかり。
切れ味トライアウト!!4つの工具を順に試すと、プレゼントがもらえる
生木もサクサク切れる大工のこぎり、ハサミで枝まで切れちゃう剪定ばさみ、高いところの枝を切れる長柄のこぎり、そして園芸に縁のない我々にもなぜかおなじみの高枝ばさみ、と4種類の刃物が試し切りできる。どれも初めて触ったのだけど、思った以上に切れ味がよくてスパンスパン切れる。とくに生枝が剪定ばさみでスカスカ切れるのは快感だった。
さいごの高枝ばさみ試し切りでは、枝に括り付けられたクジを収穫する
豊作!
まんまと楽しいこの手の体験展示。すぐ隣のブースでも同じような体験展示をやっていて、そこでは全員に粗品プレゼントではなくて、成績優秀者にのこぎりそのものをプレゼントしていた。テンションあがってるその場ではうれしいけど、家帰ってから「これいらんな…」って思うタイプのやつである。
ちなみに僕はタオルをもらいました。適度!
食欲の秋です
園芸・農業を広くカバーする展示会の内容はかなり幅広くて、こういった農業用の道具から、植物そのもの、さらには農地管理のためのシステムだったり、あとは農産物を加工するための機械なんかもある。なかでも(お腹が)グッと来たのは、ジェラートを作る機械だ。
試食コーナーである
この試食コーナーがおもしろくて、食品系の展示会にある「当店の絶品ジェラートをどうぞ」という趣旨の展示とは違う。「うちの機械を使えば何でもジェラートにできますから!」という野性的なスタンスの展示なのだ。そのためメニューがかなり攻めている。
下段、右からかぼちゃポタージュ、じゃがバター、しょうがミルク。
じゃがバターをもらいました。
うめー
バターがよく効いてて、バター飴みたいな味。じゃが部分は「言われてみれば…」くらいの存在感だったけど、普通に一人前食べてみたくなる味だ。これができるならあんなのもこんなのももジェラートにできるのでは…、と想像が広がる。メーカーの思うつぼだ。
調子に乗って別のメーカーもハシゴ。左上から焼き芋、森の木の実、りんごミルク。
こっちはさっきのメーカーに比べておとなしめのラインナップ。最初に見たときはバジルのジェラートがあった気がしたのだけど、僕が並んだ時にはなくて残念。
木の実のジェラートをもらいました。
これも香ばしくてナッツがゴロゴロ入っていて、超うまかった。お菓子にペカンナッツが入ってると高級っぽい気がする!
うどんもあったけどちょうど茹で上がったのがないタイミングで食べられなかった。残念
展示も面白かったしおいしいデザートも食べられて、妙に心が満たされる展示会であった。
そういう需要があるのか
繰り返しになるがこれは園芸・農業関係者が中心のイベントで、もちろん僕なんかは全然門外漢である。(だってイベントの趣旨を間違えてノコノコやってきたくらいだ)
そんな門外漢から見ると、「こんな道具に需要があったのか!」と思うような製品が結構あった。たとえば……。
松脂やシブに強い洗剤
日常生活で洗剤のライバルと言えば油汚れとか菌とかである。それが、松脂。思ってもみなかった性能が求められている業界なのだ
こんなのもある。
枝を粉砕してチップにする機械
これ、チップにしたら撒いて肥料にするのかなとか、燃料にするのかなとか、考えるじゃないですか。違うんですよ。どうするかっていうと、燃えるゴミに出す。
かさばる枝や木材を、チップにしてコンパクトにすることでゴミに出しやすくする機械らしい。そのためだけに1m超もあるこの機械、ちょっと大げさなのでは…、という気もするけど、デカイ機械を置いてでもゴミをコンパクトにしたいという需要があるから、こんな製品が生まれてきているのだろう。
他にもこんなの。干し柿専用ハンガー。(シーズンオフ時は玉ねぎ等もかけられる)
きゅうりカバーは、きゅうりが小さいうちにカバーをつけておくと…
成長するとハートきゅうりに!
柿、ミカンそれぞれの専用収穫手袋。カラーチャート付きで収穫すべき実が見分けられる
お金が盗まれないハイテク無人販売所。ホテルの夜食用自販機としても使われてるとか
これは野菜専用CTスキャナ
こんなふうに野菜を切らずに断面が見られる。品質検査などに使うらしい
なんだかわかります?
木登り器なのである。
これ、上に座って屈伸運動をするだけで木に登れるという素晴らしいアイテム。
天然の木だけでなく、木材の柱やコンクリートの電柱なんかにも上れるので、電気工事の会社なんかにも採用されているらしい。
ほんとにサクサク登っていく上に、方向転換も手放しでの作業も自由自在。耐荷重量も100キロ。うわーほしい!って思わず言いかけるが、買って届いても一度たりとも試せる機会がなさそうだ。
普通にほしい
さてさてニッチなアイテムばかり紹介してきたけど、ここからは非業界人でも普通にほしいものをいくつかご紹介します。
虫ゲッター
虫専用のマジックハンド。「捕獲練習用虫ダミーつき」っていうのがいい。
先はこんな風にブラシになっていて、虫を包み捕る。
1500円ってそこそこいいお値段だが、最近テレビで紹介されてめちゃくちゃ売れているらしい。
こちらはヒートグローブ
ヒーター付の手袋。
バッテリー内蔵で手を入れるとかなりあったかい。まあそれだけといえばそれだけなんだけど、僕が注目したのは手のひらの方。
スマホ対応だ!2013年的
続いてのこれはタイムラプスカメラ。一定間隔で自動的にシャッターを押して、理科の教材映像にあるような植物がみるみる伸びていく映像や、工事現場で建物がみるみる建っていくような映像が撮れる。
屋外用もあってこちらは防水
単三電池4本で、シャッター間隔にもよるけど長いと数か月動くらしい。ほしい。
同じブースには、動く被写体に反応して自動的に動画を撮るカメラもあった。こちらは野生動物を撮影したり、玄関先において防犯用に使うこともできる。
どちらも普段2万円くらいするのだが、展示会限定で1万3千円くらいで買えるようになっていた。これさえあればあんな映像もこんな映像も…と夢は広がる。財布の中身が3千円じゃなかったら買っていたかもしれない。
一方で、使う予定は全くないけど妙にほしくなるものも。
「経典」ていうめちゃくちゃ渋い名前のハサミ
宇宙からやってきた「隕鉄」を使ったナイフ!
これらは同じ五十嵐刃物工業というメーカーのもの。他にもカタログを見てみると、「本体は古代インドで発見されたダマスカス鋼を模して、当社独自で鍛錬を行い、機能に徹した波紋の美しい積層鋼。」(ハサミの説明)など、言っちゃうといわゆるあれだ、中二病なのだ。しかし職人の技術をフル活用して、手加減抜きで中二病しているところがかっこいい。
そして個人的に、今回最高に食指が動いたのが、こちら。
農業用車両ミニカー
実物で見るとパワフルに見える大きいタイヤも、ミニカーで見るとなんだかデフォルメされてるみたいでかわいい。
ほしい
ほしい!
こっちはなんとラジコン
ミニカーにはそんなに興味がないのだけど、こればっかりは欲しくなった。このシリーズはボーネルンドの直営店で買えるそうです。東京だと原宿、東京大丸、六本木ヒルズ等にあります。(帰ってすぐ調べた)
間違えてよかった
間違えて行った展示会だったが、いつの間にかすっかり満喫していた。
展示会って興味のあるものに行くのもいいけど、全然知らない業界のに潜り込むのはもっと楽しい。間違えてよかったな……、と小さくかみしめながら帰路についた。
米をパック詰めする機械がアニマルプリントで妙におしゃれだった