特集 2013年9月20日

君たちは本当のロングテールを知らない

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ロングテールという言葉が知れ渡って久しい。ロングテールの成功例として有名なところでは、まずAmazonがあげられるだろう。僕もAmazonのロングテールにはいつもお世話になっている。

しかし、どうだろう。お世話になるばかりではなく、ロングテールを狙ったビジネスに挑戦出来ないものだろうか。
ロングテールにはまだまだビジネスチャンスが転がっていて、そこに行けばどんな夢も叶う、天竺みたいな場所なのだろう。
1970年神奈川県生まれ。デザイン、執筆、映像制作など各種コンテンツ制作に携わる。「どうしたら毎日をご機嫌に過ごせるか」を日々検討中。


前の記事:仲良しクラブ、はじめました

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インフォバーン代表取締役の小林さんから話を聞く

株式会社インフォバーンの代表取締役、小林弘人さんにお話を聞いた。インフォバーンは「ウェブ上のコミュニケーションに悩む企業の駆け込み寺」。ウェブのトレンドを良く知る会社である。

ちなみに、前回の記事「仲良しクラブ、はじめました」にて仲良しクラブを実践してくれたのは、インフォバーンのディレクター陣だ。あれだけ仲良しな人たちが働く会社である。今回も、親切に色々と教えてくれるに違いない。
株式会社インフォバーン 代表取締役小林弘人さんから
株式会社インフォバーン 代表取締役小林弘人さんから
ウェブのトレンドを伺う
ウェブのトレンドを伺う
早速、ロングテールのビジネスチャンスについて聞いてみよう。
ロングテールについてお話します
ロングテールについてお話します
小林さんがロングテールを狙うとしたら、どんなものを売りますか?
小林「うーん、カーナビの吸盤かなぁ。すぐにグラついてしまうので、僕は既に3つくらい買い替えているので、同じ悩みのユーザーは少なくないでしょう。ところが、吸盤だけを売りにしているメーカーはない。僕が吸盤屋さんだったら、まずは『最強吸盤』というネーミングにして検索エンジン対策します。ただの吸盤ですけどね(笑)。競合が不在で、検索ワードも安そうな吸盤界に揺さぶりをかけたい。
そして、『最強吸盤』のサイトを作って吸盤の強さをアピールする動画をアップし、レビュー欄を設け、吸着力診断アプリを作ったり、吸盤を使ったゆるキャラで…」
「最強吸盤」で勝負したい
「最強吸盤」で勝負したい
僕はカーナビの吸盤で困ったことがないので『最強吸盤』についてはそれほど同意出来なかったのだが、小林さんのように吸盤のグラつきにイラっと来ている人がきっと沢山いるはずだ。その人たちに向けてニッチな商品を打ち出すことが、結果、ロングテールを狙うことになるのだろう。

ロングテールについてもっと詳しい話を伺うにあたり、僕たちは別の場所を用意しておいた。ロングテールの話に説得力を与える場所だ。

次の場所へ小林さんをお連れしよう。
ニッチ商品の打ち出し方次第で
ニッチ商品の打ち出し方次第で
ロングテールを狙うという方法が
ロングテールを狙うという方法が
考えられる
考えられる
でしょう
でしょう
………
………
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ロングテールにふさわしい場所で

先ほど途中になってしまった小林さんの話の続きを、インタビュー会場を移動しながら伺おう。
ロングテールの話をしてもらう場所に誘導中
ロングテールの話をしてもらう場所に誘導中
小林「Amazonや楽天のようにすでに品揃えが豊富なところは別として、小さなショップでもニッチ商品の集積とそれを見える化することで、検索エンジン経由によるロングテールの長いシッポに巻かれたらいい」
『この中へどうぞ』
『この中へどうぞ』
今までだと、都心のマニアックなお店に行かないと手に入らなかった商品が、ネットだと全国の潜在ユーザーに届けることが出来る。それは、日本国内に限らず海外からの注文だってあり得る訳だ。

ロングテールの可能性は底知れない。
『ここに入ればいいの?』
『ここに入ればいいの?』
しかし、ロングテールを狙うには在庫を大量に抱える必要があるのではないだろうか?
小林「確かにそこは体力勝負といった局面がありますね。配送を含めた仕組みづくりではAmazonが圧倒しています。ロングテール戦略では、すでに一定規模の顧客と品揃えをもつ大手オンラインショップに歩があります。ただし、受注発注といって、お客さんから注文を受けた後に製造元に発注するやり方で、品数を絞って経験を積んでいくというも、長いしっぽへの巻かれ方ではあります」
『で、どうしたらいい?』
『で、どうしたらいい?』
小林「既にマニアックな商材を扱っているようなリアル店舗でしたら、店を在庫置き場としてネットで注文を受けるというやり方もありですよね。実際に知り合いの店舗は、対面販売を行いながら、オンラインストアでも国内外から注文を受け、長いしっぽに巻かれています」
マニアックな商品を扱うお店として、まず思い出したのが「王様のアイデア」というお店だ。僕が学生の頃、新宿にあった。生活雑貨を中心としたアイデア商品が多数揃っていて、お店の中を見ているだけでも楽しかった。

あの「王様のアイデア」をロングテール狙いで復活させることは出来ないだろうか?
小林「いいですね。3Dプリンターを使って出力する商品だけ扱う『王様の3Dアイデア』なんていいじゃないですか!そいつで、長いしっぽに巻かれましょう。」
是非、小林さんに事業化していただきたいものだ。
『ここに寝ればいいの?』
『ここに寝ればいいの?』
『閉めちゃいます』
『閉めちゃいます』
小林さんからロングテールのお話を伺っている間、シチュエーションが刻々と変化したことに気づかれたことだろう。

そう、ロングテールの代表格としてAmazonがあることを踏まえ、僕たちが用意した会場はAmazon風の箱だったのだ。ロングテールの象徴としてのAmazon風の箱。そして、その箱の中でロングテールを語る小林さん。

これこそが、僕たちが考えるロングテールなのだ。
これが本当のロングテールだ!
これが本当のロングテールだ!
次のページで、ロングテールの箱の詳細を紹介しよう。
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これがロングテールの箱だ

ロングテールの箱
ロングテールの箱
このロングテールの箱は全長180センチ、深さ30センチで作成している。成人男性がすっぽりと収まるサイズ感である。

そして、この中にはロングテールを語る小林さんが入っている。
送付状も大判で作成した
送付状も大判で作成した
箱の表面に貼付けた送付状もAmazonの送付状を参考に作成し、B2サイズ(515mm×728mm)に引き延ばしている。

商品名は「代表取締役CEO 小林弘人【初回版】」とした。小林さんの実物大フィギュア、という想定である(入っているのは本人だけど)。
また、Amazonの取り扱い商品ではないので、ロゴを変えて「dmazon」とした。dmazonと書いてデマゾンと読む。

注文した商品がdmazonから届いた体で、ワクワクしながら箱を開けてみる。
小林弘人【初回版】が届きました
小林弘人【初回版】が届きました
箱を開けると中には実物大の小林弘人【初回版】と、納品書、関連商品のチラシが入っている。
納品書、関連商品のチラシが同封されている
納品書、関連商品のチラシが同封されている
ろくろスタイルの小林弘人【初回版】
ろくろスタイルの小林弘人【初回版】
同封されている納品書はB1サイズ(728mm×1030mm)に、関連商品のチラシはA1サイズ(594mm×841mm)に、それぞれ拡大コピーされている。

納品書とチラシを取り除くと、いよいよ小林弘人【初回版】の全貌が明らかになる。
これが小林弘人【初回版】の全貌だ
これが小林弘人【初回版】の全貌だ
僕はフィギュア収集を趣味としているから、届いた荷物の箱を開ける時が至福なことを知っている。
しかし、この「小林弘人【初回版】」を開ける時は、それほどワクワクしなかった。だって、入っているのはフィギュアじゃなくて本人だから。

ビニール梱包バージョン

更にAmazonらしさを演出するため、小林弘人【初回版】をビニールで梱包してみた。
ビニールに梱包されたバージョン
ビニールに梱包されたバージョン
関連商品チラシは、仲良しクラブの下期会員募集
関連商品チラシは、仲良しクラブの下期会員募集
小林弘人【初回版】がビニール梱包バージョンで届いたよ
小林弘人【初回版】がビニール梱包バージョンで届いたよ
ビニールで梱包することで小林さんが窒息してしまったら大変なので、ビニール梱包バージョンの時は呼吸を確保する管を用意した。
呼吸用の管を確保
呼吸用の管を確保
ロングテールを語りながら、ロングテールの箱に入ってくれた小林さん。ありがとうございました。

ロングテールって、こういうことで大丈夫でしょうか?
可動式だから正座スタイルも可能
可動式だから正座スタイルも可能
次のページで、ロングテールの箱が出来るまでの過程をお伝えします。
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ロングテールの箱の作り方

小林さんからお話を伺う3日前、僕たちは東急ハンズで180センチ×90センチの段ボールを6枚購入した。段ボール以外にも梱包用のビニールやロゴ作成用のカッティングシートなども買い揃えた。

大きい段ボールが6枚ともなると、かなりの重さになってくる。しかも、この日の天気は大雨だ。風雨にさらされながら、ロングテールの箱の材料を持ってデイリーポータルZの編集部がある渋谷ヒカリエへ移動した。
大雨の中、材料を調達
大雨の中、材料を調達
編集部に着いてすぐ、ロングテールの箱の設計に入った。設計といっても、僕たちが作るのは大人1人が入る箱。前田建設ファンタジー営業部のような壮大なものではない。
綿密な設計
綿密な設計
設計図が完成したら、今度は段ボールをカットしていく。僕と林さん、2人で力を合わせて段ボールにカッターを入れていく。この10年間、2人で色々な場所に取材に行ったけど、2人で工作をするのは初めてかもしれない。

「一緒に工作するの、初めてですよね?」

と僕が聞いたら、

「いや、Z君のお面を大量に作ったことがありましたよ」

と、林さんが9年前の出来事を思い出した(「51人のZくん~福岡BBフェスタ~」)。この9年間、年を取ってはいるがやっていることが変わっていない。
2人で力を合わせてカッティング
2人で力を合わせてカッティング
その時、後光がさした
その時、後光がさした
段ボールをカットしてパーツが揃ったら、一度組み立ててみる。
うまく組み上がった
うまく組み上がった
設計通り見事に箱が出来上がった。9年前だったら設計図を考える前に段ボールを切り始めていたことだろう。やはり、9年の年月は伊達じゃなかった。

この日はここで作業を終えて、ロゴや同封用のチラシ制作は翌日に持ち越した。
入り心地を確認
入り心地を確認
そして翌日、dmazonのロゴや送付状など、装飾類を一気に仕上げていった。
拡大コピーはキンコーズで
拡大コピーはキンコーズで
レーザーカッターで見事にカットされたdmazonのロゴ
レーザーカッターで見事にカットされたdmazonのロゴ
これで準備は整った
これで準備は整った
こうして、ほぼ2日ほどかけてdmazonの箱を作った。

構想通りに出来上がり、久しぶりに味わう充実感。しかし、この後、小林さんにこの箱に入ってもらうというミッションが僕たちを待っている。
一生懸命にバカをやる。それはロングテールに通じる物がありそうでもあり、全く関係なさそうでもある。

今回、小林さんから聞いた「ロングテール」は、これからのウェブを考える上で必要不可欠なキーワードである。
大きな箱に入ってもらったことで、そのキーワードの重要性が(僕の中で)薄れてしまったが、今後の仕事を進める上で今回教えてもらったことを生かしてやっていきたいと思っている。
ロングテールは奥が深いぞ
ロングテールは奥が深いぞ
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