特集 2013年9月6日

スーパーでワニが売られる街に行く

ワニなのか、ネズミなのか
ワニなのか、ネズミなのか
スーパーに行けばいろいろなものが売られている。豚肉や牛肉、サバやマグロ、キュウリに白菜など挙げればキリがない。ただ「ワニ」は売っていないだろう。我々にワニを食べる習慣はないのだ。

しかし、広島県の三次市のスーパーにはほぼ例外なく「ワニ」が売られている。当たり前のように売られているのだ。ぜひ食べてみたいと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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広島県三次市のワニ事情

晩ご飯に何を食べようかと考えてみると、トンカツやお刺身などの選択肢が浮かぶ。トンカツは豚肉を使い、お刺身はマグロやサーモン、イカなどを使うことになるだろう。
鮮魚コーナーでお刺身選び!
鮮魚コーナーでお刺身選び!
しかし、広島県三次市ではそこに「ワニ」という選択肢が増える。なぜか鮮魚コーナーを見ているとワニが売られているのだ。「珍しい一品入荷しました」や「海外ではよく食べられています」などのポップはない。当たり前のように「ワニ」が並んでいる。
広島県三次市のスーパーでは、
広島県三次市のスーパーでは、
ワニが鮮魚コーナーに並ぶ!
ワニが鮮魚コーナーに並ぶ!
広島県三次市は山の中にある海には面していない街だ。鵜飼が有名で、西日本では最大規模を誇るヒマワリ畑もある。ぶどう作りが活発で、そのぶどうを使った三次ワインも人気だ。そんな街のスーパーで売られているのがワニなのだ。
ワニではなく鵜飼が有名!
ワニではなく鵜飼が有名!

ワニはサメだ

ワニと言われると「クロコダイル」を思い浮かべる。洋服のブランドで言えば「ラコステ」である。一部の地域では食物連鎖の頂点に君臨する爬虫類だ。人間だってわんこそばのようにバンバン食べられてしまう強いやつ、それがワニである。
ワニ
ワニ
しかし、三次市で売られるワニはこのワニではない。違うワニだ。というか「サメ」だ。この辺りの地域の方言でワニとはサメのこと。神話「因幡の白兎」に出てくるワニはサメのことである。古くからこの地域ではサメをワニと言ってきたのだ。
サメ(方言ではワニ)
サメ(方言ではワニ)
つまり三次市のスーパーで売られていたワニとはサメのことである。もっともサメであってもそんなに食べる習慣がないのでスーパーに並んでいることに驚く。さらにそれをワニと呼ぶので、知らない人にとっては財布を落とした時のようなパニックだ。

なぜワニ(サメ)を食べるようになったか。三次市は山間部の街なので昔は海の生魚を食べることが難しかった。しかしサメは腐りにくく海から運んでくることができた。そのためワニを食べる習慣が生まれたのだ。
ネズミの意味はネズミサメという意味
ネズミの意味はネズミサメという意味
サメは絶命するとアンモニア臭くなり腐りにくい。だからこそ生で食べることができるそうだ。その一方でアンモニア臭いという問題もある。そのためショウガで食べる。昔は高級品でハレの日である正月などに食べることが多かったそうだ。
ワニが本日のおすすめ品だった
ワニが本日のおすすめ品だった

ワニを食べる

最近は交通網や技術の発達でアンモニア臭いということはなくなってきている。別にショウガでなくても十分に食べることができるのだ。ワニを食べる機会は決して多いとは言えないので味は楽しみである。
見た目はマグロに近い気がする
見た目はマグロに近い気がする
醤油をつけて食べてみる。これが非常に美味しい。あっさりとしており、前述の通りアンモニア臭いということは一切ない。変なクセはなくストレートに美味しいと言える一品だ。見かけ通り味もマグロに近い。

ちなみにマグロを捕る時についでに釣れたサメなどが市場に流れたりするそうだ(後で聞いた)。もうサメはマグロでいい気がする。
美味しかったためか、私がすごくぶれていた!
美味しかったためか、私がすごくぶれていた!

ワニ料理のお店に行く

三次市ではスーパーでワニ(サメ)が売られるだけでなく、ワニ料理を出すお店も存在している。三次駅から二駅ほど電車に揺られた「神杉駅」にそのお店はある。ワニバーガーなどを食べることができるそうだ。
神杉駅から20分ほど歩いたところにある
神杉駅から20分ほど歩いたところにある
ワニ料理が食べられるお店
ワニ料理が食べられるお店
神杉駅から20分ほど歩いた場所にある「フジタフーズ」。仕出し料理やお弁当を作るのが主なお店ではあるが、スーパーのような役割もあり日常品も売られている。そしてワニ料理を出すお店でもあるのだ。
趣がある店内
趣がある店内
このお店で出してるワニ料理は約15種類。お店自体は昭和からあり、ワニ肉も昭和の後半からは売りはじめた。当時は売れたそうだが、だんだんと売れなくなっていった。別にワニを食べなくても今は海の魚をどこでも食べられるのだ。そこで始めたのがワニ料理である。
どんどんと新メニューが生まれているらしい
どんどんと新メニューが生まれているらしい

昔は因幡の白兎

昔のワニ肉は因幡の白兎の舞台となった島根のワニが流通していたが、今のワニは高知や宮城、九州のワニが多いそうだ。このお店には冷凍ではない生の状態でワニが届く。やはり冷凍より生の方が美味しいのだ。ちなみにこれからの季節がワニの美味しくなる時期らしい。
ワニの刺身
ワニの刺身
冷凍のものより色が薄く身も柔らかい。ワニの美味しさがより一層分かった気がする。サメとしては美味しいではなく、魚の中でも上位にくる美味しさだ。当たり前だがアンモニア臭さは微塵もない。脂肪分も少ないのでヘルシー。ただそのおかげで加熱すると身が崩れやすく、そこには技術が必要だ。
ワニのチャーシュー炙り丼
ワニのチャーシュー炙り丼
コリコリのチャーシュー
コリコリのチャーシュー
最近誕生した「ワニのチャーシュー炙り丼」。白焼きは香ばしく、チャーシューはコリコリとしており、今まで食べたワニとは違う食感を楽しむことができる。同じワニからもいろんな料理が作れることに驚く。もっとも昔はお刺身で食べるのが一般的で他の食べ方はなかったそうだ。
これを作っているのは店主の藤田恒造さん
これを作っているのは店主の藤田恒造さん

マックの次の商品に

数多くワニ料理があるが中でも有名なのが「ワニバーガー」である。もちろんワニではなくサメだ。魚を使ったハンバーガーというのは今までもよく食べてきたが、ワニは初めてだった。
ワニバーガー
ワニバーガー
包み紙にはサメの絵が描いてある。今更ではあるが、事前にワニがサメと知らなかったら頭の上に「?」が浮かんだと思う。絶妙なタレに、しつこくない味わいのワニがもう一個、もう一個という欲望を呼び、素晴らしき一品になっていた。

次のマックの新商品にぜひと思う。確かに美味しいがこのために三次市に行くのはさすがに遠いのだ。ぜひ私の家の近所のフジスーパーの中にあるマックで食べたい。叶わぬ夢なので一口ずつ大切に食べた。
美味しい!
美味しい!

ワニが来る

最初は変わったものだろうと思い訪れた三次市のワニだったが、実際に食べてみたらとても美味しい一品だった。スーパーに普通にワニが並んでいる光景は海外に行ったみたいで面白かった。生に比べれば味が落ちた冷凍のワニだったが、それでもいいから食べたいと思う。近所のスーパーでも売ってくれればと思う。
プリンもある!
プリンもある!

フジタフーズ
住所:広島県三次市廻神町738
電話:0824-66-1082
URL:http://fujita-foods.xsrv.jp/
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