猫がお出迎え
目的の酒屋は最寄駅から歩いて10分ちょっと。住宅街の中にあるごく普通の家の中にあります。
こちらの玄関を入ります。2階建ての普通の家です。
おじゃましまーす!全くもって普通の家ですね。おや、2階に何かいますよ。
いらっしゃいませニャー!看板猫でしょうか。
どうぞお入りくださいニャー!はい、おじゃましますよ。
酒屋…?普通の部屋…ですね。
パソコンがあって、家庭用冷蔵庫が置いてあって、見た目は全くもって普通の部屋。酒屋の雰囲気ありません。
しかし、ここが目的の酒屋。店主自らが利き酒した厳選の酒を売る「
しずく屋」さんです。
日本酒がなによりの生きがいだった
店主の丹羽さくらさん。日本酒以外では水泳とももいろクローバーZが好きだそうです。
こちらが「しずく屋」さんの店主。丹羽さくらさんです。まずはなぜこんな場所で酒屋を始めたのか聞いてみました。
馬場「なぜこんな場所で酒屋を始めようと思ったのですか?」
丹羽「最初はネットでの通販を考えていたのですが、税務署の人にワークショップや講座を開いてその場所でも酒の販売を行いたいと相談したのです。そうしたら、いっそこの場所で酒販免許をとったらどうかと勧められました。」
馬場「普通の家でも免許が取れるのですか?」
丹羽「私も初めはそう思って諦めていました。でも、税務署の人が色々と教えてくれて、結果としてこの場所での開業となったのです。」
丹羽さんがこれはと思って仕入れた日本酒の数々。酒販店向けの試飲会などで蔵の方と直接交渉するなどして仕入れ先を探すのだとか。足で稼ぐ営業。
丹羽さんは、元々はフリーランスでWEBデザイナーをしていました。毎日忙しく働く中で何よりの癒しが大好きな日本酒だったそうです。ある時、そんな日本酒の売り上げが年々落ちているという話をききました。
自分を癒してくれた日本酒の苦境を知り、丹羽さんは何か出来ないかと考えます。そこで、自然で自分にあったスタイルで日本酒を飲むことを情報発信できる、そんな酒屋を開くことを決意したのです。
しかし、店舗を持つには資金もなく、上手くいくかも分からない。最初は通販だけの酒類販売の免許取得を考えていたそうです。ところが、税務署の勧めもあって店舗での販売も出来る一般酒類小売業の免許を取得。自宅での開業となったのでした。フリーランスの仕事を長く行っていた関係で、酒販免許は驚くほど速く取得出来たそうです。
そもそも通販であっても家で酒屋を始めようとするなんて凄い。そして、その経緯も驚きです。普通の家でも酒屋が出来るんだ。
相談にのってくれた税務署の方も酒好きの女性の方だったそうです。ちなみに酒屋の開業には他にも酒類販売管理研修の受講が必要。酒類販売業の免許に関しては
国税庁の情報などを参照してください。
馬場「開業するのに準備した物は何かありましたか?」
丹羽「厨房に置いてあるような業務用の冷蔵を中古で買いました。元々、この部屋は事務所として使っていたので他は特にないですね。」
店舗での販売も行えるしずく屋ですが、基本的にはネットでの通販
が主体です。販売サイトはWEB デザイナーもしている丹羽さん自ら
作成したそうです。
その他予想外の出費もあったようですが、店舗開業としては思った
以上に少ない開業資金に驚きます。そんな金額でも開業出来るのか。
事務所部屋の冷蔵庫には蔵から提供された試飲用の日本酒多数。売り物の酒は管理場所として税務署に申請している別の部屋の冷蔵庫内で管理されています。
馬場「開業までに何か大変だったことは有りましたか?また、開業してみて良かったことなどはありますか?」
丹羽「開業までは色々ありましたが、そのどれも新しい事で楽しみながらできましたね。開業してからは色々な人から良くしてもらい、それが何よりもありがたく、嬉しいです。」
何事も新しい事を始めるには様々な問題が出てくるもの。実際のところお話をきいていると、免許の取得や仕入れられる蔵探し、試飲会でのやり取りなど、各種問題はあったようです。しかし、それは夢を実現させるための数々のステップ。どれも新鮮で楽しい体験だったということでした。
開業後はどの蔵の方も熱い方が多く、損得考えずに助けてくれることもあり、こんなに助けてもらっていいのかと思うほど感謝することが絶えないそうです。
お店で酒器や蔵元関連グッズ、風呂敷など雑貨の販売もおこなっています。こちらは取り扱い銘柄「英君」の前掛け。酒好きは無駄にこういう物も欲しくなるよね。
お客様からも、オススメした日本酒を気に入っていただいてまた購入してくれたり、美味しかったなどの感想をもらったりすることもあるのだとか。
お店を開いたことで、酒の世界独特の濃密な人と人との関係に日々考えたり、感謝したりしているそうです。それは楽しそうだ。
取引している蔵にお願いしてラベルデザインも行っています。しずく屋限定の日本酒を使った夏みかんリキュール。
今後の事についても聞いてみました。
丹羽「日本酒を飲むということの敷居を下げていきたいです。誰もが自然と気軽に日本酒を飲んでもらえるように、自分からももっと情報発信していきたいです。」
丹羽さんは酒屋だけにとどまらず、日本酒に関係する各種ワークショップや講座もどんどん企画実行していきたいと考えているそうです。
丹羽さんの今後の活躍が気になります。
丹羽さんは東京カルチャーカルチャーで開催された
こちらのイベントにお燗番として参加していたそうです。niftyとも意外なつながり。
好きだけじゃ出来ない部分もあるけれど
しずく屋さんを訪れる前は、日本酒が好き過ぎて始めた酒屋ということで、道楽な感じのお店なのだろうかとも思っていました。しかし、実際に訪れてみると全くそんな事はありませんでした。
見た目こそ家の二階ですが、真剣に日本酒の事を考え、もっと気軽に自分の好きな物を多くの人に飲んでもらいたいと願う店主が経営する本格的な酒屋でした。
好きな事も突き詰めると、こういう風に形になる。思った事に突き進む。簡単ではないですが、まずは始めることが大事なようです。
よし、日本酒飲むか!
ところで、日本酒とは全く関係ないですが、看板猫に後ろ足も乗せられました。これは「お手」とは言わず「お足」とかいうのでしょうか?どういう気持ちで君はこの足を乗せたのかね?
しずく屋
直接来店する場合には、必ず事前に電話にてご予約を入れてください。
日本酒のイベント開催します
神社で日本酒を飲むイベントを企画しました。開催は10月6日。場所は板橋区のときわ台の天祖神社内です。詳細は以下のFacebookページを参照してください。
チケット販売はまもなく開始します。
経営している店や協力店、ネット申し込みでの郵送による販売を予定しています。
初心者にもやさしい、気軽に参加できる、酒蔵と地元飲食店等との協力による地域密着型の日本酒イベントです。お気軽にご参加ください。
「ときわ台 天祖神社 酒まつり」
Facebookページ
https://www.facebook.com/TokiwaDaiSakematsuri
【出展蔵】
岩手県 菊の司酒造 「菊の司/七福神」
秋田県 阿櫻酒造 「阿櫻」
茨城県 森島酒造 「大観」
群馬県 龍神酒造 「尾瀬の雪どけ/龍神」
埼玉県 麻原酒造 「琵琶のささ浪/武蔵野」
新潟県 青木酒造 「鶴齢」
新潟県 新潟第一酒造「山間・越の白鳥」
滋賀県 上原酒造 「不老泉」
兵庫県 本田商店 「龍力」