特集 2013年7月25日

3Dプリンタで出力された風の写真を撮る

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3Dプリンタブームである。
当サイトでも手を出しそこねているあいだに3D出力サービスが一般的になりつつある。

なかでも3Dプリンタで自分のフィギュアを作ってくれるサービスが人気だ。僕も友人に誘われたのだが仕事があって行けなかった。残念。
じゃあ自分でやってみよう!とは機材がないのでいかないのだが、それっぽい写真なら撮れるのではないか。
1971年東京生まれ。デイリーポータルZウェブマスター。主にインターネットと世田谷区で活動。
編著書は「死ぬかと思った」(アスペクト)など。イカの沖漬けが世界一うまい食べものだと思ってる。(動画インタビュー)

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白けりゃ3Dプリンタから出てきたっぽく見える疑惑

3Dプリンタで作ったものの特徴は
・白い
・バリがついている
・小さい
という特徴がある。なにせ3Dプリンタが手元にないので画像検索して出てきた写真を眺めての考察である。

いまメキシコ人がグーグルの画像検索をたよりに日本そばを打とうとしているようなものだ。
「要はヌードルだろ」
「平べったいバスケットみたいなものに乗ってるぞ、アミーゴ」
そういう感じで今回は進む。
これでどうだい、アミーゴ
これでどうだい、アミーゴ
白い服を着てフィギュア気分で立ってみた。ちなみに白いズボンも白いスニーカーも1980円だった(サカゼンと無印良品)。
数年後タンスから出てきて、「いつ買ったんだろう…企画で買ったのかな?」と思う確率100%である。

さらにフィギュアに近づくためにもっと白くなっていこう。
髪はキャップで隠し
髪はキャップで隠し
足には布を巻く
足には布を巻く
布は前回の「迷彩柄で体型を隠すシャツ」のあまりである。伸縮性のある生地で足にぴったり巻くにはちょうど良かったのだ。
モッタイナイの精神といらんことしいの両立
モッタイナイの精神といらんことしいの両立
座薬みたいになったおれ
座薬みたいになったおれ

もう慣れた白塗り

もちろん顔も塗る。
8年前にピエロになる記事を書いたとき、白塗りは三善(みつよし)というメーカーの舞台メイク用のドーランがポピュラーであることを知った。白塗り界のスターバックスラテみたいな存在なのだ。
白塗りが哀愁を帯びて見えるのはなぜでしょう
白塗りが哀愁を帯びて見えるのはなぜでしょう
今回の作業もヒカリエ8階、クリエイティブラウンジ・モヴである。白塗りをしている部屋はガラス張りで外を人が通り過ぎている。
外から見えて恥ずかしいのだが、これは展示だ、アートだと思って自分を勇気づけた。アートじゃしょうがない、アートじゃな。
でもなるべく外から見えないところに座っているアート
でもなるべく外から見えないところに座っているアート
バリをつけて完成
バリをつけて完成
3Dプリンタで出したものにはバリとよばれる余分なところがついているらしいのだ。今川焼のはじっこについてるカリカリした部分みたいなものである。
よく分からないのでふわっとしたニュアンスで棒を横につけてみた。

これでうまいこと撮影すれば3Dプリンタで出したミニチュアのように見えるのではないか。
ポケットに手を突っ込んでいるのは肌色を隠すためです
ポケットに手を突っ込んでいるのは肌色を隠すためです
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これが3Dプリンタから出てきたおれだ

どうだろう?フィギュアか?
どうだろう?フィギュアか?
デジカメのプレビューで見たときはミニチュアだ!と興奮したのだが…。PCのモニターでみると興奮がよみがえらない。小さいほうがそう見えるのかもしれない。
あ、ミニチュア
あ、ミニチュア
画像加工ソフトでミニチュアに見えるように精一杯加工してみる。ついでにうしろのコンセントも消した。
心の目で見てください
心の目で見てください
小さくしていっそう3D
小さくしていっそう3D
この原稿を書きながら写真を2時間以上眺めているのでミニチュアに見えるかどうかもうさっぱりわからなくなっている。
ただ3Dプリンタから出てきたミニチュアが「リアルだ」「ほんものみたい」と形容されるのなら、このちょっと本物っぽいのも3Dプリンタらしい、といえるのではないだろうか。

技術でなんとかならないときは詭弁が役立つ。
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売り物は着色しているフィギュアだぞ

しかし、である(噂の真相みたいな文体)。いまどきの3Dプリンタはカラーで出力できるのだ。だったらそのまま、ちょっと生気のない顔色にしたらフィギュア感が出るかもしれない。
白塗りを落として別のファンデーションを塗った
白塗りを落として別のファンデーションを塗った
一風堂(80年代のテクノポップグループ、ラーメン屋さんではない)のような顔色だが、ドーランを買った店で人形みたいな顔色になるやつください、と言ったら出てきたのがこれである。
コスプレイヤー御用達だそうだ(いちばん右のファンデーション)
コスプレイヤー御用達だそうだ(いちばん右のファンデーション)
そして髪を固めた。ふわっとした髪型や毛先がばらけているような髪型は3Dプリンタでは再現できていない。ならば僕もそういう髪型になろう。
阿部サダヲさんっぽくなった
阿部サダヲさんっぽくなった

目がキラキラしててはいけない

でも目の輝きがいけないと思うのだ。もっと瑞々しくない、コナコナした目がいいだろう。そうでなければメーカームーブメントはこない。
描いた
描いた
これがメーカームーブメントか。21世紀の産業革命なのか。しかしよみうりランドのキャラクターに似ている。

記事の途中ですがよみうりランドのキャラクター、ランドドッグを画像検索してぜひ見てみてください

メーカームーブメントは意外によみうりランドに近い。これであらためてフィギュア写真を撮ってもらおう。
その結果は!?
その結果は!?
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カラー3Dプリンタの実力とは!(パソコン誌風に)

「人間にしか見えないけどこれが3Dプリンタで作ったものなんて。リアル!」
「人間にしか見えないけどこれが3Dプリンタで作ったものなんて。リアル!」
小見出しとキャプション込みでなりきってみた。写真はコンセントを消したり周辺をぼかしたり姑息に加工してある。

そして確実に言えるのは、まぶたに目を描いたのは関係がないということだ。

ここで逆に、撮影していた編集部の安藤さんにモデルになってもらった。
むむ!こっちのほうがフィギュアっぽくないか
むむ!こっちのほうがフィギュアっぽくないか
顔を人形っぽくせず、画像加工ソフトだけにしたほうがフィギュアっぽくなるのかもしれない。あとは体型か。
着ているものが単色というのもあるかも。鉄道模型のフィギュアでボーダーやドットの人はあまり見たことがない。
参考)鉄道模型用の人形
参考)鉄道模型用の人形
安藤さんにフィギュア映えという使い道のないアビリティが発見された。ジオラマの駅に立っててもおかしくない(よく寝過ごすのはそのせいか)。

フィギュア映えの条件を探してもうふたり撮ってみた。
メイクを手伝ってくれたライターべつやくさん
メイクを手伝ってくれたライターべつやくさん
たまたま覗きに来た編集部橋田さん
たまたま覗きに来た編集部橋田さん
単色の服に着替えた林
単色の服に着替えた林
フィギュアっぽく見えるのは以下の条件がありそうだ。

・単色のシンプルな服装
・いい姿勢
・まぶたに目を描いてない人
サムネイルやスマホの画面だとフィギュア感が増すので母親におれのミニチュアだよと言って携帯メールを送るのもいいだろう(良心が痛まなければ)。
サムネイルだとフィギュアっぽいんですよ
サムネイルだとフィギュアっぽいんですよ

公園でやらないでよかった

当初撮影は公園で行う予定だったが雨のため屋内での撮影となった。白塗りとまぶたの上の目は予想以上にインパクトがあったので屋内でよかったかもしれない。
公園で撮影したらうっかり夏休みの子どもに囲まれるか、逆に白塗り事案発生として紹介されてしまうところであった。
浮かれた目とうつむいてる目がどっちも見える顔
浮かれた目とうつむいてる目がどっちも見える顔
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