今さらですが、夏の飲み物です
冬の飲み物と思われる事が多い甘酒。以前、小野さんの記事でも紹介されている通り夏の飲み物です。
実は夏の季語「甘酒」で暑気払い
江戸時代は夏になると甘酒売りの行商が出て、庶民が夏バテ防止のためにこぞって飲んだのだとか。庶民の栄養補給はうなぎよりも甘酒だったのです。
酒造りが難しい夏に酒蔵が副業として甘酒を作っていたこともあるそうです。こちらは酒蔵の作る甘酒。
原材料は米麹と米のみ。砂糖や保存料など一切無し。それでもしっかり甘い。
江戸庶民のユンケルやリポビタンやアリナミンは甘酒だったということでしょう。実際甘酒は必須アミノ酸やブドウ糖を多量に含み、点滴と栄養成分が似ていることから「飲む点滴」とも称されます。
よくスーパーで売られているパック入りタイプの甘酒。
米、米麹の他に塩も入っているタイプ。甘さ控えめな味。
疲れた体にファイト一発!な甘酒。その作り方は大きく二つに分かれます。
米を麹で発酵させて糖化した物と、酒粕をお湯に溶いて砂糖などで味付けしたもの。
昔は甘酒というと、冬場に自動販売機で缶入りの物を見かけるか、スーパーでビニールパック入りの物を見るぐらいでした。しかし、昨今の麹ブームの影響なのか、今は手軽に飲める物が各種販売されています。
自販機で見かける森永の甘酒の冷やしバージョン。麹の他、酒粕や黒蜜入り。割と甘目。
こちらの甘酒は酒粕ベースの甘酒。砂糖入りでかなり甘い。
こちらはしょうが入り。砂糖不使用タイプだがなぜか凄く甘かった。
ペットボトル入り甘酒。米、米麹のみのタイプ。さっぱりとした甘さでゴクゴク飲めた。一番おいしかった。
刺身の甘酒漬け
飲んでおいしく、栄養満満点な甘酒。実は、飲むだけでなく料理に使ってもおいしいです。今回はその幾つかを紹介していきます。
旨味が増した刺身が出来ます。
まずは刺身の甘酒漬け。用意する物は米と麹で作った濃い目の甘酒。あと刺身用の切り身が1さく。写真では真鯛を使っています。
塩をふりかけた後にスプーンの腹の部分などで全体に伸ばします。
まず切り身の全体の水気をふき取り塩をふります。少し強めに塩をした方が出来上がりの味がひきしまります。
チャック付き保存バックは家の常備品。
塩をした切り身はペーパータオルやフキンなどに包んで保存袋に入れます。そこに甘酒を大サジ2、3杯いれて全体に甘酒が触れるようにします。
包まずにそのまま甘酒をかけてもいいですが、甘酒の味が強くなり食べる時に甘酒で表面がベタつくので包んでいる方が良いです。
元の切り身よりも少し白っぽくなります。
切り身を入れた保存袋は冷蔵庫に入れます。そのまま一晩から二晩ほど保存すれば完成です。
普通の刺身と旨味も食感も格段に違います。
甘酒に漬けた刺身は昆布〆や塩麹漬けのようにネットリと柔らかい身になり、魚の旨味が増します。
日本酒を開けずにはいられない味。
塩麹漬けの場合は当然塩味が勝りますが、甘酒漬けの場合は甘酒の甘味が旨味を引き立てます。
そのままでも塩をしてあるので美味しく食べられます。ワサビ醤油を少しつけて食べるのもいいです。
日本酒が進む!
漬けこむ魚は白身がオススメ。マグロやサーモンでも美味しいです。
マグロの赤身を付けるとこんな感じ。漬けたままの状態で3、4日は食べられます。
残った刺身を付けても出来ますが、さくの状態で漬けたほうが綺麗に漬かり美味しく出来ます。
この夏は是非刺身の甘酒漬けを試してみてください。絶品です!
マグロの甘酒漬けも日本酒に合う!
肉を漬けてもうまい
続いて肉の甘酒漬け。肉の甘酒漬けで一番のオススメの牛肉の甘酒漬けを作ります。
牛肉はある程度厚みのある安いステーキ肉で十分です。
用意する物はステーキ用の牛肉と米と麹で作った濃い目の甘酒。まずは表面に強めに塩コショウしておきます。
あとは魚と同じ。キッチンペーパーやフキンなどで包んで保存袋に入れ、甘酒を大サジで2、3杯全体に触れるようにかけて冷蔵庫に3日ほど保存します。
甘酒で熟成された肉。生ベーコンのような色。
出来上がった肉の甘酒漬けはフライパンなどで焼いて食べます。
油を入れて焼くよりも、クッキングシートを敷いて焼く方が焦げ付かなくて綺麗に焼けます。油っぽさもなくていい。
甘酒が直接残っている部分は焦げやすいので注意して焼きます。
照りが凄い!旨味や甘味が凄い!
焼きあがった牛肉は上質な肉のようにとても柔らかいです。
箸で簡単に切れる柔らかさ。
食べると、何もつけずに焼いただけなのに甘目の高級ステーキソースをかけたような深い旨味と甘味があります。また、噛みしめた時に肉から出てくる肉の旨味も増しています。とてもうまい!
焼いた牛肉にはビールでしょ。日本酒も合う味です。
土用の丑の日では「うなぎ」ではなく「う」の付くものを食べるという地方もあるようで、今ならこの甘酒漬けの牛の肉を是非オススメしたいです。
鳥モモ肉や豚ロース肉なども漬けると美味しいです。
牛肉以外にも鶏肉や豚肉を漬けても同様に旨味が増して柔らかく美味しくなります。また塩麹漬けとは違い、魚同様に甘酒の甘さが旨味を引き立てます。
バリッと焼けた皮のあたりが特にうまい。
刺身の甘酒漬けと合わせて是非この夏作って頂きたい一品です。
鶏肉の甘酒漬けもうまい。ご飯がススム味。
つづいて甘酒をソースやドレッシングとして食べます。
イワシの甘酒醤油焼き
続いては甘酒を漬けタレとしてイワシを焼きます。
醤油大サジ2.5に甘酒大サジ2ぐらい。砂糖の代わりに甘酒。砂糖を使うよりも柔らかい甘さになる。
用意する物は開いたイワシ、米と麹で作った濃い目の甘酒、山椒の粉。まず、醤油と甘酒を混ぜます。
小サジ1程度山椒の粉を入れる。醤油、砂糖、山椒の粉をかけて焼いたものは大体うなぎのかば焼きの味がする。
続いて山椒の粉を入れて混ぜ合わせます。これで漬けタレ完成。
チャック付き保存バックに入れてからかけてもいいです。
続いて開いたイワシに軽く塩コショウします。それを皿に並べて漬けタレを全体にかけます。
このまま直ぐに焼いてもうまいです。または漬けタレを刺身につけて食べてもうまい
このままの状態で数時間冷蔵庫に保存して味をなじませます。
焦げ付きそうなものはクッキングシートに乗せて焼くと返しやすくて便利です。
あとは少し焦げ目がつく程度に焼きます。焼きあがったら表面に残りのタレをかけて出来上がりです。
少し焦げた甘酒醤油タレの香りが食欲をそそる。
焼きあがったイワシの甘酒醤油焼きは身がふっくらと柔らかくなっています。醤油と甘酒による柔らかい甘辛さと、山椒の味がよく合います。
これも日本酒やご飯がススム味です。うまいね!
イワシの他に、サンマやアジでも美味しいと思います。こちらもこの夏に是非試して頂きたい!
トマトの甘酒ドレッシングかけ
次は甘酒をドレッシングにします。
甘酒、黒酢、塩、黒胡椒、タマネギ、オリーブオイルを使います。
用意する物は甘酒。どんな甘酒でもいいですが、今回の料理では米と麹で作った濃い目の甘酒がオススメです。あと、黒酢、塩、黒胡椒、タマネギ、オリーブオイルを使います。お好みでバジルの葉も使います。
分量は甘酒と黒酢が各大サジ2ずつ。塩と黒胡椒が各小さじ1/2程度。オリーブオイルが大サジ1ぐらい。タマネギが1/4個ぐらい。あと、お好みでバジルの葉なども数枚。味を見ながら増減させて大丈夫です。
各材料をザックリ混ぜれば出来上がり。
作り方は甘酒、黒酢、塩、黒胡椒を混ぜたところに荒く刻んだタマネギを入れて、最後にオリーブオイルを入れて混ぜ合わせたらドレッシングは出来上がりです。タマネギはお好みで細かいみじん切りや、スリおろしでも構いません。
トマトと玉ねぎは相性がいい。
ドレッシングを適当な厚みに切って並べたトマトの上に乗せてバジルの葉を散らせば出来上がりです。
ざく切りタマネギで食べ応えのあるドレッシングです。
食べると程良い甘さと酸味、塩気がタマネギの風味と合わさり、トマトの味によく合います。麹のクセのある味はあまり感じません。旨味が中心です。
ビールと合わせたがワインでも良かったか。いずれにしろ夏にうまい一品だ!
このまま豆腐や他の野菜にかけてもうまいです。肉にかける場合は、更にニンニクなどを刻んで入れてもいいでしょう。混ぜるだけで簡単なので是非この夏にやっていただきたい!
もっと甘酒を使おう
何種類か甘酒料理を紹介しましたがいかがでしたでしょうか。甘酒は飲料として飲むだけでなく、調味料や食材として広く使えます。そして他の食材をよりうまくします。
昨年ぐらいに塩麹のブームがありましたが、最終的にどう使ったらいいか迷い持て余してしまった人も多かったのではないでしょうか。
甘酒なら迷ったら飲んでしまえばいい。飲んでよし、料理に使ってもよし。調味料や食材としての甘酒をこの夏に是非試して暑さを乗り切ってください。オススメです!
実は甘酒をゼリーにしてゼリー飲料のスパウトパックに詰め替え,アミノ酸ゼリー飲料だ!と言って走りながら飲むネタも考えていたのですが、そういう容器に入った甘酒が既に販売されていて、それを飲めば同じだなと思い止める。甘酒200mlぐらいに、50mlのお湯に溶いた5gのゼラチン、レモン汁を大サジ1、2杯程度混ぜて固めれば出来ます。おいしいです。