光るキノコは良い
光るキノコは良い。蛍みたいな風情が無いのが良い。ただ不気味可愛く光る。
キノコと言えば食べ物であるが、それが光るというのが楽しいのだ。光るキャベツや光る大根があったら見に行くだろう?
光る食べ物には心惹かれる何かがある。
実は冷蔵庫の中ではこんな感じに光っているんだろう?(写真はイメージです)
実は光ってるんじゃないか疑惑
かように光るキノコは魅力的なわけだが、実はヤコウダケ以外にも光ってるやつがいるんじゃないの?と、常々疑っていた。光るキノコは100種類以上あるんじゃないかという説もある。
人間とチンパンジーの遺伝子は99%同じだそうである。という事は、ヤコウダケとエリンギの遺伝子だって99%くらいは同じなんじゃないか。なら、エリンギだって光る遺伝子を持っていて、冷蔵庫の中で光っているのではないか。道理だろう。
先日もクライミングをしながら「実は今頃冷蔵庫の中でエリンギが光ってるんじゃないか…」と気になっていた(危険)。
光るエリンギのことを想いながら崖を登る。
という、個人的な長年の疑問を解消すべくキノコを色々買ってきた。
妻はマッシュルームを除く全てのキノコが嫌いである。撮影中は珍しく近寄ってこなかった。嫌いな理由は「菌の塊だから」だろうだ。なんだそりゃ。マッシュルームだって同じだろう。
今時は本当に色んなキノコが売られている。それも大体100円くらいで低価格。東京は物価が高いなんてよく言われるが、食料品に関してはそんなに高いとは思えない。
シイタケ選手。食べると美味しいが、光についてはどうだろう。茶色いし。
マッシュルーム選手。生のままスライスしてサラダに使うと美味しい。大体200円くらいするので、安売りのチャンスを見逃さずに買う。
山伏茸選手。抗がん作用があると聞いたことがある。
エノキタケ選手。みりんと醤油で煮付けると「なめたけ」になるという、名前がややこし過ぎるやつ。
エリンギ選手。スライスして焼くとアワビの食感に似てると思う。
ブナシメジ選手。特に白い方は冷蔵庫の中で光ってそうである。
舞茸選手。見つけると踊りたくなるほど美味しいと言われる舞茸も、現代ではスーパーで簡単に買える(天然物は味が違うとかそういううんちくは要らない)。
ナメコ選手。これが光っているとしたら、ちょっとした事件だと思う。
例えばこんな具合に光ってたら恐い(発光はハメ込み合成です)。
以上の8選手により、ここに『第1回光る市販キノコ選手権』が開催されたのであった。
結果は次ページへ。
一気に決勝戦です
1種類ずつ写真を撮るのはまどろっこしいので、全てのキノコをテーブルの上に並べた。これで部屋を真っ暗にして写真を撮れば、光るキノコは光って写るはずである。
ズラリと並べたら、部屋に菌類の匂いが充満した。梅雨だし部屋にキノコが生えないか心配。
もしもこの中に光るやつが混じってたらこんな感じで写るはずである。
幻想的ではあるが食欲は湧かない。(写真はイメージです)
勝負の方法は簡単である。真っ暗な部屋で30秒間シャッターを開けて写真を撮る。それでこの問題に決着がつく。勝負は30秒である。
カメラの設定を終え、部屋を真っ暗にしてシャッターを切った。
果たしてその結果は?!
ご覧の有様だよ。
ほぼ真っ暗である。が、うっすらなにか写ってるような気がしなくも無い。判りやすいように少し明るくして、線を描いてみた。
男の横顔が写っているのが確認出来るだろうか?ここにあったのは山伏茸とエノキである。きっと山伏のなにかが写ったのだ。
男の横顔はいいとして、もっと明るく補正してみると結構キノコが見えてきた。
ほら、光ってるじゃないか!と、鬼の首を取ったように言ってみる。
実は生物はバイオフォトンという非常に弱い光を放っているので、特殊なカメラで撮ると光って見えるのだそうだ。
しかし僕のカメラは特殊じゃないので違う可能性が非常に高い。部屋を閉め切っても昼間だったので光が漏れてきたのだろう。
市販のキノコ=光りません
「知ってた」って言葉が矢のように飛んでくるのが目に見える。しかし、みんなも結果が気になっただろう?もしかしたら光るかもって思っただろう?
だったら、この失敗にも意味があるのだ。『市販のキノコは光らない』という事実がわかったのだから。
でも悔しいので無理矢理発光させることにしました。
LEDブラックライトである。こういう小さいブラックライトがあるんだね、最近は。
こうなったら光らせてやる
裏切られた気持ちである。地味な見た目だけど、夜になったら実は光るんでしょ?なんて思っていたら実際に光らなかった。僕の妄想は見事に裏切られた。地味なOLは夜も地味だった。なんの捻りもないオチである。
でもそれで終わりじゃ僕の気が収まらない。なので、強制的に光らせることにした。その秘密兵器が前のページで書いたブラックライトである。
こいつらを光らせてやる。
ブラックライトは紫外線を発するライトであり、クラブとかで照明に使われる。あと、虫を集めて殺すやつ。
僕の実家が干物屋だった頃、干物を作る工場にブラックライトの殺虫ライトがあった。夜近くに行くと白いシャツが紫色に光って面白かった。
干物の匂いを思い出しつつ、ブラックライトに照らされるキノコを撮影した。
白いキノコがよく光るようだ。
光った。テーブルにも光が漏れてしまったのでちょっと思惑から外れた写真になってしまったが、狙いは外していないようだ。
外で撮影したらそれっぽくなるんじゃないかと思って、キノコとカメラとブラックライトを持って近所の公園に出かけた。
こんな感じで撮影する。
余談だが、真っ暗な中で撮影してたら犬のウンコを踏んだ。踏んだときは気付かず、撮影しながら「なんかここ、ウンコ臭くて嫌だなー」って思っていたら、匂いの元は僕の靴だった。
愛犬家の皆様にはくれぐれもお願いしたい。糞は持ち帰ってください(靴はアルコールなども使って綺麗にしました)。
良い感じに光っている。妖しい。
白いブナピーが紫色に光っている。こんなキノコが自生していたら間違いなく食べない。でも、『光るキノコ=毒』というわけでもないのらしい。
冒頭でリンクを紹介した"和歌山の光るキノコ"で登場するシイノトモシビダケには毒がないそうだ。
しかしブラックライトでは光り方が地味である。ちょっと色調を変えてみようか。
色調を変えたら思いの外よくなった。市販のキノコでもブラックライトを使えば光らせることは可能なのだ。
水辺で妖しく光るブナピーとマッシュルーム。(そして僕の靴は犬の糞くさい)
バター炒めにしましたよ。ブラックライトも意味なく当ててみた。
これでもう気にならない
市販のキノコは光らない。これで安心して山に登れる。もう冷蔵庫の中で光ってるのでは?なんて気にしなくてもいいのだ。
今回は僕の妄想にここまでお付き合いいただきありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
蓄光させたら光るかも?と思ったけど、単に乾燥キノコを作ってる感じになった。