精密機器を埋めたい欲
宝探しがしたいのが半分だが、半分はモバイルルーターを埋めてみたかった、というのもある。
精密な機械を見るととりかえしのつかないことをしてみたくなる。パソコンの蓋を開けているときに「ここにスライムをこぼしたら…」と考えると無性にやりたくなる。
そんな危険な思想の持ち主であることは隠して弊社ニフティのISP事業部からWiMAXのモバイルルータを貸りてきた。
高速通信ならWiMAX!自宅工事も不要!(埋めちゃうけど)
裏には社有であることを示すテプラ
最初の写真からいきなり外である
やはり河原は落ち着く。多少変わったことをしていても許容してくれる雰囲気がある。文明の発祥が河原(チグリス・ユーフラテスの)だったというのも納得である。
文明発祥に思いを馳せながらまずはルータの距離と電波の強さを調べておきたい。
右上のギザギザが電波の強さ
パソコンとルータをくっつけた状態で電波の強さは-25という値であった。
パソコンには無線LANの電波の強さを可視化するソフトが入っている。この-25という数字が少なくなると電波が弱くなる。
5m,ぐらい離れて -72
20mぐらい離れて -80
5mぐらい離れたらその先はあまり変わらなかった。つまり、この宝探しは5m以内の範囲でしかわからないということになる。それ以上広範囲に埋めるとモバイルルーターはアホの犬が埋めた骨のように出てこなくなってしまうかもしれない。
犬なら舌を出せばすむが僕は始末書だ。
むかし会社支給の携帯をズボンの尻ポケットに入れて居酒屋の板の間に座ったら液晶が割れてしまい、始末書の再発防止策に「座布団を使用する」と書いた、
という余談は書くと長いからやめておくかと思いつつ書いてしまった。
おっちゃんは電波を遮る
ここで発見があった。撮影をしているときにおっちゃんが自転車で通ったのだ。
おっちゃんが通ったあいだだけ電波が途切れた!
あのおっちゃんは無線LANを無効化する粒子でも発しているのだろうか。ナチュラルボーンハッカーか。
再現してみたら人間の体は無線LANを通さないようだ。撮影を手伝ってもらっていた木曜ライターべつやくさんも無線LANは通さなかった。
手にルーター、もちろん電波はいる
バーベキュー禁止の裏、電波あり
身体の後ろ 電波途絶えた!
再び前に、電波復活!
ウイルスに感染したときはLANケーブルを外して感染拡大を防ぐのがセオリーなので、モバイルルーターでつないでる場合はルーターの上に覆いかぶさればOKだ(正解は電源を切る)。
埋めてみる
5mぐらいのところしか分からないということをふまえ、砂場に埋めて探してみよう。
ジップロックに入れる気遣い
ザクザクと埋めてもらいます
このどこかにモバイルルーターが。後ろは高校生カップル
予想外だったのは、砂場に穴を掘ると色が変わってどこを掘ったか分かってしまうことであった。モバイルルーターというITなアイテムを使いながら素朴な発見である。
そのため何ヶ所かダミーの穴を掘ってもらった。
「探すぞー!」無駄なガッツポーズ
ガッツポーズとは裏腹に地味な作業
おれには砂場がこう見える
ウロウロして見えてきた電波の強度を図示するとこんな感じである。
脳内ウェアラブルコンピューターによる画像
明らかに奥と手前で電波の強さに差がある。手前のどちらかに埋まっているはずだ。マインスイーパー(ソリティアとともにWindowsに付いているゲーム)実写版の気分だ。
このスタイルだと電波がよりわかりやすいことを発見。
誰かが落としていった自転車の鍵も見つかる
30年前僕が子どものころも自転車の鍵を砂場でなくしたが、21世紀の子どもも同じことをしているとは。落とした子が夕方に半泣きで鍵を探しに来ると思うので隅っこに避けておいた。
鍵の近くの穴が-40という数字を記録した。そこを掘ってみると…
あった! わー!
42歳なのにうっかり無垢な笑顔をしてしまった。たしかに砂場からモバイルルーターが出てくるのはおもしろい。埋めただけあった。
オーパーツのような物体を発見
出土するモバイルルーター
掘り出してみると電波もうなぎのぼりである
土から出てくると一気に電波の強さが上がった。水面からプハーと顔を出したかのような反応である。おかえり、モバイルルーター。
ダミーの穴を増やしてみる
第2回戦はわかりにくくするためにダミーの穴を増やしてみた。このどこかに埋まっている。
今回のプレーヤーはべつやくさん。
正解の穴と不正解の穴が近いので混乱する可能性が高い。そして砂場とはいえこれだけ掘り返すのは腕がつかれた。
遠くでは男子高校生が「あいつハニキヌでさー」と言っていた。前後の会話から推測すると「歯に衣着せぬ」の略であることがわかった。おれもこれからそう言おう。
穴をひとつひとつ精査するタイプ
そしてそれは子どもの注目を浴びるタイプ
明らかに電波が強い穴あり
掘るとビニールが見える
発見!WiMAX
こんどは草むらからさがす
砂場は制覇したので新たなステージ、草むらに隠してもらった。
この草の茂みのどこかに隠されている
草むらの裏はすぐ川である。
隠したモバイルルーターがすべってボチャン、という可能性もある。
しかも隠したべつやくさんが隠したルーターを見失ったと言っていた。心配だ。ものすごく。
ゆっくり歩きながら電波を見る
高くなる場所を発見
うろうろしてみると、電波の強さが高くなる場所がみつかった。あやしい。
21世紀のダウジングスタイル
探している自分がいちばんあやしい、という気もする。
ここでふしぎ発見
砂場同様にしゃがんで測定してみると
数字が下がってしまうのだ
立って歩いているときは大体の見当がついたのだが、しゃがんでみると見失ってしまう。どこも低いのだ。
草に含まれる水分の関係だろうか(さっき電波を遮った人体も水分多いし)。根に近い茎のほうは確かに水分が多そうだ。
草むらなのにとんだファイヤーウォールである
小学校の理科で習った道管・師管である。茎のなかで水分と養分を運ぶ管だ。
それがモバイルルーターの電波を防いでいる。ロマンあふれる話だが社有のルーターを見つけたい。さっき立って調べたときにいちばん電波が強かったあたりを探してみる。
草むらをかき分ける。ノートPCの新しい使い方である
あった!
よかった!みつかった。これでまた気づきを得た。
「草むらでルーターを探すときは立って探せ」
ぜひ憶えておいていただきたい。
モバイルルーターは高速で通信もできるし、埋めてもおもしろい。
今回のように意図的に埋めてゲームのように遊ぶこともできるし、うっかり砂場で埋めてしまったときも電波を頼りに探すことができる。
ただ、電池が切れると探すことができないし、端子部分に砂が入るとまずいのでビニールなどに包むことも大事である。
正確に言うと、ちゃんと充電済みのときにたまたまビニールに入れてうっかり砂場で埋めてしまったときも安心、である。