コラボ企画 2013年5月27日

007のような写真を撮る方法

007の登場です!
007の登場です!
ジェームズ・ボンドが活躍するスパイ映画「007」。1962年から今も続くシリーズで誰もがその存在は知っていることだろう。とてもカッコよく見ると憧れる。ジェームズ・ボンドになりたいと思ってしまうのだ。

しかし、そう簡単にスパイになれすはずもない。そこで007の有名なシーンの写真を撮ってみたいと思う。写真の中でなら簡単にジェームズ・ボンドになれるのだ。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

前の記事:一駅だから歩こう感覚でどこまでも歩ける説

> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

ジェームズ・ボンドに俺はなる

映画「007」は現在まで23作が公開されている人気のシリーズ。主人公はジェームズ・ボンドでこれが非常にカッコいい。スマートに任務遂行するさまは憧れの対象である。ジェームズ・ボンドになりたいと思ってしまうのだ。
冒頭のこのシーンは特に有名!
冒頭のこのシーンは特に有名!
映画を見たことがない人でも冒頭のシーンは知っているのではないだろうか。銃口の中にカメラがあって、そこにジェームズ・ボンドが登場して発砲する。これが簡単に再現できてしまうのだ。これをするのはジェームズ・ボンドだけ。このシーンさえ再現できればもはやジェームズ・ボンドなのだ。
颯爽と歩いて来て、
颯爽と歩いて来て、
かまえて
かまえて
発砲!
発砲!

007です

ジェームズ・ボンドである。九州生まれの私がイギリス人であるジェームズ・ボンドになっている。007に憧れる身としてはボンドガールとのラブロマンスや派手なアクションシーンを体験したいが、やはり007といえばこのシーン。これを見たらボンドガールになりたいですという立候補が出現するのではないだろうか。
カッコいい!
この部分の撮影だけなら非常に安くできてしまう。ボンドガールの人件費も爆破シーンの火薬代も必要ない。カメラのシャッターを押してくれる理解ある知り合いさえいれば実現できてしまうのだ。ジェームズ・ボンドの敷居は実は低いのだ。
撮影風景
撮影風景
このシーンの最重要点である銃口のスパイラル部分もCGなどの技術は必要ない。そういうレンズというか筒を作るのである。作ると言っても高度な技術は必要なく、今日も明日も日曜日だ、という人ならば作れてしまう。007になれるか否かの分岐点は暇人かどうかである。私はその資格を有している。だからこそジェームズ・ボンドになれたのだ。
007筒
007筒
これをカメラのレンズに装着すると
これをカメラのレンズに装着すると
007である
007である
10メートルくらい離れて初孫を見るような優しい目で見ると高級な望遠レンズのように見えるが実際は紙である。紙でできた筒。そのため持ち運びも楽で、これを持っていれば誰でも007のようになってしまう。
猫もジェームズ・ボンド
猫もジェームズ・ボンド
いったん広告です

007筒の作り方

この筒は「007筒」と言う。勝手に考えた名前である。これを作るのは先に書いたように難しいことではない。もっともジェームズ・ボンドに憧れて筒を作るというのがスムーズにイコールでつながらないがジェームズ・ボンドは筒から始まるのだ。
まずは筒選び
まずは筒選び
ということで東急ハンズ新宿店に向かった。東急ハンズとジェームズ・ボンドもまた簡単にイコールではつながらないが、今回はここからジェームズ・ボンドが生まれるのだ(この記事がハンズとのコラボ企画だということも関係している)。

選んだ筒は紙である。プラスチック製の筒などもあるが紙でできた筒を選んだ。それはなぜか、加工しやすいからである。ジェームズ・ボンドが工作しているイメージがないように、ジェームズ・ボンドに憧れる私もまた工作が苦手なのである。
これがジェームズ・ボンドへの第一歩(約700円)
これがジェームズ・ボンドへの第一歩(約700円)
ちなみに私は美大卒ではあるが、父は4年間何をしていたんだ? と会う度に純粋な疑問をぶつけてくる。そこはジェームズ・ボンド同様に秘密にしておきたい部分だ。
筒の中を黒くする
筒の中を黒くする
近年の映画「007」の制作費は2億ドルくらいらしい。そこから察するに冒頭のシーンもそこそこの金額がかかっていると考えられる。しかし、自分で作れば700円からである。家に工具がなくて買った分を除けば3000円くらいでジェームズ・ボンドになれるのだ。
筒の中に針金を巻く
筒の中に針金を巻く
ボケて分からない
ボケて分からない
もちろん失敗もある。たとえば、スパイラルの部分を再現するべく、まずは針金を筒の中に入れてみた。しかし、針金は存在感がなくスパイラルは再現できなかった。では、と思い買い出しに出かけ毛糸を買ってみたがこれもやはりダメ。買い出し、失敗、ふて寝、買い出し、失敗、ふて寝、買い出し、ふて寝と、007筒の完成までには数々の物語が生まれた。睡眠時間だけがどんどんと伸びる物語である。
スパイラルは切り込みを入れることにした
スパイラルは切り込みを入れることにした
最初の予定を全て破棄して、ダンボールの筒に切り込みを入れることにした。ただしこの筒は分厚く、鈍器と呼んでもいいほどである。4本の切れ込みを入れるのになんと3時間を要した。ジェームズ・ボンドへの道は非常に地味。しかしその地味の先に輝かしきジェームズ・ボンドとしての道が開けるのならガマンだ。
ここまでに2日かかった
ここまでに2日かかった

髪型をジェームズ・ボンドに

せっかくなので髪型もジェームズ・ボンドにしようと美容室を訪れた。映画23作目「007 スカイフォール」の写真を美容師さんに見せてその髪型にしてもらうのだ。写真を見せてのリクエストは人生で初のことでとても緊張した。
この写真を見せた
この写真を見せた
笑われた
笑われた
マーガリンをバターと呼ぶ人を見た時のような笑いがおきた。「007ね……」と三点リーダーが永遠に続きそうな会話になる。ちなみに美容師の三浦さん曰く、日本人は誰かの写真を持って髪型をリクエストする時は「顔は違うんですけどね」と前置きするのが一般的なのだとか。私はしなかった。イギリス人であるジェームズ・ボンドが乗り移りつつあるのかもしれない。
ちなみに元はこの髪型
ちなみに元はこの髪型
そのままジェームズ・ボンドは無理らしい。髪質が違うので同じように切ってもジェームズ・ボンドにはなれないそうだ。私はジェームズ・ボンドにはなれないのだ。そうだろうなとは思っていたけれど27年目の真実である。過去にもジェームズ・ボンドをリクエストされたこともないそうである。とは言っても、長髪のジェームズ・ボンドはイメージと違うので切ってもらう。
とりあえず切ってもらう
とりあえず切ってもらう
結果、美容師の三浦さんが思うアジアの007という、近いようですごく遠い髪型で落ち着いた。カッコいいのだけれど、その後、「007の髪型」と誰かに言うと「は?」と言われた。若干、怒りを含んだ「は?」だ。どうやら皆ジェームズ・ボンドが好きだったのかもしれない。あるいは私のことが嫌いなのかのどちらかであるが、前者だと思いたい。
髪型自体は満足しています!
髪型自体は満足しています!
いったん広告です

筒に高級感を与える

筒は切れ込みを入れたおかげで007のような写真を撮れるようになった。しかし、外観はダンボールである。これでは安っぽい。007はそこはかとない高級感がある。それをこの筒にも与えたいと思う。
表面を白く塗る
表面を白く塗る
こだわりが大切である。白く塗ると言っても単なる白ではない。某社の高級レンズに合わせてレモンホワイトという色を選んだ。白にもいろいろあるのだ。むかし同僚がこのワインレッド綺麗だね、と誰かの赤いシャツを褒めていたのを見た時は軽く蹴ろうかと思ったけれど、そういう細部へのこだわりが007に近づくのだと今は信じている。
乾かす間に宇宙食を食べる
乾かす間に宇宙食を食べる
筒を買うついでに買った
筒を買うついでに買った

宇宙の刺身

007になるべく東急ハンズで筒を探していたら宇宙や南極で食べられているフリーズドライ食品が売られていた。その中にカレーやシチューに混じりホタテの刺身もあった。12グラムで880円。筒より高い。007筒の制作費3000円のうち880円はホタテである。買っちゃったのだ。007とは海と膿くらい関係ないのに。
お刺身のフリーズドライ
お刺身のフリーズドライ
水をかけると、
水をかけると、
ご存知、ホタテのお刺身に!
ご存知、ホタテのお刺身に!
袋から出すと強烈な磯野の香りがした。さすが880円。水をかけるとプリプリに戻り、食べると普通のホタテの刺身より味が濃く美味しい。凝縮されているのだ。ここ最近の一番の高級品だった。

007を目指すものとしてはこのくらいの高級料理を食べる必要があるのだ。見かけだけでなく内面からも007になるのだ。それとオレンジに青のつなぎは映画「アルマゲドン」を意識している。
美味しい!
美味しい!

3日かかって完成!

12グラム880円という値段が必要以上の美味しさを実現させてくれた気がする。その美味しさに感激している間にレモンホワイトの塗料は乾いた。あとは黒いビニールテープで高級望遠レンズっぽさを演出すれば完成である。
テープを巻いて、
テープを巻いて、
完成!
完成!
失敗を含めて完成まで3日。やはりジェームズ・ボンドは暇な人しかなれない。しかし完成品は自信の一品となった。父に大学ではこれを作っていたと遠目で見せたいほどだ。近くだと塗料のムラがバレるから遠目である。
そして、ジェームズ・ボンドになれたわけです!
そして、ジェームズ・ボンドになれたわけです!
いったん広告です

誰でも007になれる

今回作った筒により、私は憧れの007になることができた。8年前に買ったスーツ、よく見ると小さな羊が無数に描かれているリサイクルショップで10円で買ったネクタイ、880円で買った革靴のような靴という安さを見事に筒がカバーしてくれている。満足である。
007が始まるよ!
007が始まるよ!
この筒を使えば何でも007のような写真を撮れるのでは、と街に出た。筒は軽いので移動も楽だ。しかも見た目は高級望遠レンズなので持ち歩いていても、もちろん写真を撮っていても自然に見えるはずである。隙のない一品なのだ。
ハチ公も007
ハチ公も007
撮っているのはアジアのジェームズ・ボンドこと私
撮っているのはアジアのジェームズ・ボンドこと私
写真の情報量が筒により減るので周りに人がいても狙ったものだけを撮ることができる。問題は2点あって、まずひとつめは撮っている様子は予想に反して自然ではないこと。変わった趣味を持った人感が醸し出されてしまう。

もうひとつは、望遠レズンのようで実際は筒なのでもっと寄りたい、と思っても寄れないもどかしさである。レンズは長いのに望遠機能は無いので被写体がとにかく遠いのだ。
もっと寄りたいけど寄れない、筒だから
もっと寄りたいけど寄れない、筒だから
見かけは望遠レンズなのに
見かけは望遠レンズなのに
もちろん利点もあって、それは情報量が減ることを利用する方法である。看板を撮るのだ。通常の写真では看板を撮ると枠や背景が写ってしまうが、007筒を使えば対象物だけ切り取られ、本物を写したようになるのだ。
007パンダ!
007パンダ!
実は看板
実は看板
筒を街中で使っていると「かみだ」というヒソヒソ声が聞こえたりする。「神だ」と脳内変換するが実際は「紙だ」である。レンズでないとバレるのだ。撮るものを決めたら、素早く撮って去ることが大切である。その感じがスパイみたいだ。また全てが007になるわけではない。これも大切な発見だった。
筒内に2体以上写ると007でもなんでもなくなる
筒内に2体以上写ると007でもなんでもなくなる

007は筒から始まる!

007に対する憧れを実現するために筒を利用して007のような写真を撮った。大切なのはお金や規模ではなく「007になってやるんだ」という気持ちだ。髪も切ったけれど007には遠く、007みたいな写真と言っても冒頭部分だけである。でも大切なのは「007になってやるんだ」という気持ちだ。その結果、筒のできは私の人生で一番の工作となった。ジェームズ・ボンドの第一歩は筒なのだ。
撮っている様子は変だけど!
撮っている様子は変だけど!


撮影会のおしらせ

記事で使った007筒を使った撮影会を6月2日に開催します。集合場所はヒカリエの編集部です。
参加希望の方は下のリンクから申し込みをしてください。

お申し込みはこちら

憧れの007になれるチャンスです!ぜひ。
▽デイリーポータルZトップへ

デイリーポータルZを

 

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ
↓↓↓ここからまたトップページです↓↓↓