憧れの押入れ生活
私も押入れで寝た事のある一人だ。両親が使う部屋の押入れに、電気スタンドと漫画とお菓子を持ち込み何度か寝た事がある。
あの狭さが妙にテンションを上げ、自分だけの城ができたようでやたら楽しかった。
さっそく浅草で聞き込み
そんなドラえもんは今や世界中で人気がある作品。となれば日本人だけではなく、外国の人達も真似して押入れで寝た事があったりして?
そんな小さな疑問を解決すべく、外国人観光スポットの代表、浅草へ行きインタビューする事にした。
一人目:インドネシア人のブジェットさん
Do you know ドゥラァーえも~ん?
ところで私は英語が苦手だ。
普段から外国人と話したい願望はあるが、言葉が出てこないし何を言ってるのかサッパリだ。そこで今回は、撮影係もかねて英語のできる友人に同行してもらう事にした。
しかし話しかけるのはあくまでも私。あらかじめ友人に質問内容を英語で書き出してもらったメモを読みあげる。せめてそれ位はしたい。
さてまずはドラえもんを知っているかどうかの確認からだ。アールの発音に注意しながら聞いた。
「ドラえもん」で通じた!
ドラえもんはヒーローだ
日本のアニメが好きというブジェットさんは、ドラえもんの事を知っていた。知っているどころか、子供時代のヒーローだと言っていた。ジャイアンのイラストを見せれば「タケシ ゴウダ!」と即答する程の好きっぷり。出来杉君の名前も出たぞ。
これはしょっぱなから期待ができる。
押入れで寝ている子供の写真を見せ、ドラえもんの真似して押入れで寝た事あるかと本題を聞くと、「それは無いなあ。日本のカプセルホテルなら行ったことあるけど」という回答であった。残念だ。
質問に答えてくれ人には浅草名物人形焼をお礼に渡す。
ちなみにインドネシアでアニメや漫画に影響されて真似する人はいないかと聞いたところ、ティーンネイジャー達はコスプレをすると教えてくれた。
二人目:中国人のリーシーさん(とオーヨさん、フレンシキさん)
日本語を勉強中の3人組
次に、日本語学校の生徒だという中国人3人組に声をかける事ができた。ユックリ話せば日本語が通じるのでこっちとしては大変気がラクである。
大きい声でユックリと「ドラえもんを、知っていますか?」と聞いてみる。周りにいる日本人が数人振り返るほどマヌケな質問だ。
3人は全員、もちろんです!と答えてくれた。しかしドラえもんが押入れで寝るという情報を知っているのは一人だけ。そして残念ながら真似はしていないようだ。
言葉が通じなくても漢字でなんとなく伝わるのが面白い(キャラの名前を書いてくれてるところ)
卒業式やお祭りでコスプレ
そこで、中国で何かアニメや漫画の真似をする習慣は無いか聞いてみると、やはりコスプレが挙がった。卒業式やお祭りでコスプレをする人がいるらしい。
ついでに好きなアニメを聞くと紙に「伊賀忍法帖」と書き、日本の忍者アニメが好きだと教えてくれた。
私はすぐに忍者ハットリくんを連想したが、ナルトが好きなのだと言っていた。そっちね。世代の違いを感じた。
何か道具を出してくださいと言われたが私が出せるのは人形焼だけだ
3人目:フランス人のキャリーさん
次はこちらのカップルに声をかけた。
2人ともドラえもんが押入れで寝る事を知らない
ドラえもんというキャラは知っているが、ちゃんと見た事は無いそうである。ちゃんと見た事が無い人に、いきなり「押入れで寝た事があるか」という質問は突飛すぎる。
ドラえもんが押入れで寝ていること、日本人の子供は真似をすることをきちんと説明した後(説明しているのは友人だが)、改めてその質問をする。
答えは一言、ノーだった。ドラえもんをよく知らないのだから、そりゃあ当然の答えだろう。
クローゼットメモリーを聞くがノー
せめて何か情報を聞き出そうとして押入れの思い出は無いかと質問をしてみたが、答えはまたしてもノー。
「押入れの思い出聞かれてもねえ」「無いよね」
そういう訳で質問はあっと言う間に終わった。
ちなみにドラゴンボール、セイントセイヤのアニメはよく知っているそうだ。あとフランスでもコスプレはするそう。
4人目:マレーシア人のワンさん、シュリファーさん
続いて回答してくれたのはマレーシアのお2人。ドラえもんという言葉を聞いて一瞬「?」という表情を見せたが…
ドラえもん?ああ、ブルーのね!
一瞬間があった事から予測できたが、この2人もキャラは知っているがちゃんと見た事は無いそうだ。ドラえもんが押入れで寝る事も知らないし、押入れで寝たこともないという回答だった。
さらに、マレーシアではアニメの真似をする事もコスプレ文化も無いそうだ。ノーノーづくしで会話がすぐ終わる。
ジャイアンは知っているがスネオは知らない
結局その後分かった事は、彼女達はジャイアンは知っているがスネオを知らないという、誰も得しないミクロな情報くらいである。
スネオの絵を描いて見せてるところ。知らないそうです。
本題から外れてきているし、観光している外国人をわざわざ引き止めてまで聞くような質問ではないよな、とため息が出てしまった。
場所を秋葉原に変えてみる
場所を変えて気分をリセット
漫画・アニメと言えば浅草よりも秋葉原じゃないか。しかも秋葉原にも外国人は多いと聞く。そこで気分を変えようとやってきたのだがあいにく雨が降ってきてしまった。
突然の雨が降る中で、私の知りたい「押入れで寝るか」という無邪気な質問に答えてくれる外国人はいるのだろうか。
断られているところ。雨のせいに違いないのだ
そういえば雨の中のインタビューは初めての事である。逆の立場で考えれば、雨の中でインタビューを受けるのは面倒だ。断られても仕方ない。
そう考えるとより一層、人選の目が光った。いつもより輪をかけて優しそうな人を選ばねばならないのだ。そんななか足を止めてくれたのは笑顔が素敵なお2人だ。
5人目:南アフリカ人のレニーアさん
見るからに良い人そうなので声をかけたが、押入れに入る世代でなかったことに後で気づく
6人目:フランス人のミンフレイさん
ガード下の雨に当たらない所で声をかけることができた
ドラえもん知らない
しかしながらこのお2人、最初の質問「ドラえもんを知ってますか」に対してさえノーだった。
他にも「子供がアニメを真似する文化はありますか?」「知っている日本のアニメありますか?」と色々聞くも、全てにノーと残念な結果。せっかく足を止めて貰ったのに会話が広がらずなんだか申し訳ない気持ちになった。
秋葉原にいる外国人だからといってアニメに詳しいとは限らない。そもそもアニメ好きが秋葉原に求める要素はドラえもんとはかけ離れていたかもな。
7人目:メキシコ人のジョージさん
やはり、ドラえもんをよく知らないとのこと
全くもって想定外だ。ドラえもんが押入れで寝る事を知っている外国人がなかなか現れないのだ。前提となるその知識が抜けていると押入れで寝る確率はかなり低く、お手上げなのである。
ドラえもん助けて
説明もまた難しい。
足を止めてくれた外国人達は、質問の意図を理解するのに一苦労の様子。英語のできる私の友人も説明フォローが大変そうで、双方に申し訳ない状態だ。
ドラえもんに泣きついて「押入れで寝た事ある外国人見つけ機」をねだりたい気持ちで一杯になった。
8人目:ブラジル人のレオナルドさん
やった事がある、という返答がついに!
ついに「押入れで寝た外国人」発見か?
次に話しかけたレオナルドさんは、子供たちが押入れで寝ている写真を見て「やった事ある」と言った。つ、ついにいた!
と興奮したのだが、詳しく聞いたところどうやら勘違いで、「布団を敷いて寝る体験をした」という事であった。
ベッド文化圏の人にとっては布団を敷いて寝る事も一種の体験談なのだ。ほほえましいじゃないか。
彼らは日本のアニメが大好きだと言って、たくさんタイトルを教えてくれたが1つも分からず、会話はまたしてもすれ違いだらけであった。
9人目:イスラエル人のオーリーさん
やっぱりドラえもんには詳しくないみたい
アキバにはドラえもんに詳しい人はいない
彼もまたドラえもんには詳しくないし、押入れで寝たことは無いという。そして宮崎映画と、カウボーイビバップという15年前の日本アニメが好きと教えてくれた。
さっきからいつの間にか質問のメインが好きなアニメ話にすり替わっているのが悲しい。
10人目:インド人のチャンドルさん
最後はインド人の夫婦。(写真撮り損ねたのでイメージ)
アニメ自体あまりない
まず、ドラえもんを知らなかった。さらに聞いてみるとインドではアニメ自体あまりやっていないらしい。
やっているとしても日本のように大人も楽しめる感じではなく、本当に子供向けの様子。例えばどういうものかと友人にしつこく聞いてもらうと「猿が出てくるようなやつだって」というボンヤリした答えだった。
青い猫は出て来なそうなのでそれ以上の質問はやめた。
今回の結果
という感じで、ドラえもんのマネして押入れで寝るという文化は日本特有という事が分かった。(10人しか聞いてないけど)
「押入れの形が日本と違うから寝てないんだ。憧れなんだよね」そういったような会話が出るかと期待していたのに、それ以前にそもそもドラえもんが押入れで寝るという事があまり浸透していなかったのだ。ショック。それよりいま、世界はコスプレに夢中なのだ。
ビックリするほど会話が広がらないインタビューになるよと、タイムマシンで過去に戻って自分に教えてあげたい。
押入れとカプセルホテル、似てる?
最初に声をかけたインドネシア人の「カプセルホテルには入った事あるよ」の言葉が頭に残った。
カプセルホテルは今のところ日本にしか無いので、一つの体験として外国人が泊まる事が増えているらしい。狭い空間で寝るのも楽しい、という感覚は実はみんなあるのではと考えると興味深い。
ホームステイしに来た外国人に、家の押入れで寝るのを薦めてみるのも面白いかもしれない。