テレビで見たんで
発端は、お正月にやってたテレビ番組「おとなのピタゴラスイッチ」である。金網を作る機械の動きをアニメーションで説明していて、これが大変よくできており「へー!」と思わず声が出た。
仕組みはこんな感じ
上の図だとちょっとわかりにくいけど、番組ではアニメーションだったのでこの100倍わかりやすかった。まあここでは、金網をねじって作ってるんだな、というところだけわかっていただければよい。
で、仕組みがわかってしまうと首をもたげてくるのが、こんな思い。「これ、俺にもできそうじゃん」である。
できる!金網
金網と過ごす春の午後
よく晴れた日の午後、編み物セットを持って公園にやってきた。日向ぼっこしながら編み物をして、のどかな春の一日を過ごすのだ。スローライフ。
編み物セット
軍手以外全部金属。(日本以外全部沈没)
上から軍手、針金、金具、ニッパー、ラジオペンチ。ぽかぽか陽気の下でもキリッと冷たい一式が、これまでの編み物の概念を覆す。
編む際は必ず軍手を着用しましょう
冷たいだけではない。なめてかかると針金が指に刺さって怪我をする。安全で行こうヨシ、が合言葉だ。へー、これがうわさに聞くスローライフか。(絶対に違う)
ここだけ読めば編めます
編み方ははまったくの手さぐりなのだが、一発目から割とうまくできたので、その手順を紹介したい。
こういう金具を用意して
編みたい幅だけ針金を留める
このとき針金の長さは、作りたい網の長さの2倍くらいにしよう。針金の数は写真では6本になっているが、これだと編み目が横に2列しかできず、あまり金網っぽくならない。初心者は8本から始めるのがいいと思う。(僕もこのあと途中で2本足した)
ここまでが下準備で、いよいよ編みに入る。
端から2本をねじねじして束ねます。
順に2本ずつねじねじ
この時、ねじねじの回数は同じにそろえること。さらに、回数はかならず奇数回である。
やってみると分かるが、奇数回にしないと針金がジグザグに流れず、次の段のつじつまが合わなくなってしまう。
続いて2段目。 1段目のねじりで隣同士だった針金2本を、今度はねじねじしていきます。
ここで2段
編み方は簡単で間違えることはまずないと思う。ただ、針金が長く先が暴れるので、取り回しが大変だ。
油断するとすぐ顔に刺さったりする
上のわざとらしい写真は再現写真だが、実際わりとカジュアルに目を狙ってくるので気を付けよう。可能ならフルフェイスヘルメットや鉄仮面をかぶった方がいいと思う。
繰り返すとじょじょに金網っぽくなってくる。
形ができてくると、目の前でものができていく喜びに夢中になってしまう。サクサクできていくのがいい。これ、おもしろいぞ。
没頭。
よりきれいに編むために
ここまで、筆者としては良かれと思って編み方を解説しているのだが、果たして「私もやってみよう!」「参考になる~」と思ってこの記事を読んでいる人が何人いるだろうか。
そんな独りよがりな状況にを一顧だにせず、さらにきれいに編むためのコツを紹介していく。
きれいに編む最大のポイントは、2本の針金を平等にねじねじすることだ。
悪い例とよい例
写真の上の例だと、針金は片方がまっすぐで、その周りをもう片方の針金がぐるぐる巻いている。これはよくない。下の例のように、2本の針金がお互い巻き付き合うよう、バランスよくねじねじしなきゃいけないのだ。
Aの角度を大きく、かつ矢印の部分を左手で押し広げながらねじねじすると、きれいにできる
これが上手にできるようになれば、意中のカレのハートはもらったも同然だ!(そういえば導入部で乙女がどうのとか言ったな、と急に思い出したので)
編み終わり
どんどん編んで、このくらいでいいかな、って長さになったら、終端はもう一度、金具に通そう。
先を通して
留めました
金網の完成!
かわいい
これは完成までまったく予想していなかったことだが、この金網、かわいいのだ。
不揃いな編み目がたまらない
公園の金網とくらべてみると、手編みの金網がいかに不揃いかがよくわかる。でもこれが、味なのだ。フォトショップのフィルタにピクセレート→水晶、っていうのがあるのだが、あれみたいだ。(マニアックなたとえで恐縮です)
適度に不揃いなので自然の風景ともよくなじむ
平らな所に置いて横から見てみると、これがまたいいのだ。
この凸凹がたまらない
ポリゴンっぽい。平面のはずの金網だが妙に3Dっぽい。モデリングした地形図みたいだ(
こういうの)。機械で作ったら絶対にでないであろうこの風合い。
編集部の橋田さんに「かわいいですよね!?」ってきいたら「かわいくはないけど…いいね」って言っていた。
……かわいくはないけど、いいのだ!
オーガニックな質感は、女性が持っても様になる
編み方改善
金網を編むのは思ったより楽しいことが分かった。そして完成した金網にも大満足だ。
ただ、研究という点では、あれで満足してるわけではない。編み方に改善の余地があるのだ。
前回の編み方だと、針金は金網の中をジグザグに通っている。これだと最初に用意した針金と同じ長さの金網しかできないし、すごく長い針金を使うことになるので、からまって編みにくい
新方式は、針金を斜めに流す。針金は途中でどんどん継ぎ足すことになる(緑や赤の線)ので、網の長さをいくらでも伸ばせるし、一本一本の針金も短くて済む。
ここまでは前回と同じ
編むとき、前回は奇数回ねじねじしたが、今回は偶数回ねじねじしよう。そうすれは針金の向きが入れ替わらないので、斜めに流すことができる。
編んでいくとこうなる
上端にくくりつけ、斜めに流す。大きい丸がいま継ぎ足したところ
同化した
いまは上から針金を継ぎ足したけど、次は下から、その次は上から、って順番にやっていくと、
だんだん長くなってきた
そして完成
理由はわからないんだけどこっちの編み方だと編み目のかたちをそろえるのが難しくて、前にも増して不揃いな金網ができた。
でも、そこがいいのである。
また、大きさが可変になったことで、用途に合わせていろんなサイズの金網が作れるようなった。小さく作れば焼肉が焼けるし、大きく作れば畑にやってくるイノシシやタヌキから作物を守ることもできるだろう。意中のカレが肉好きな場合は小さいの、野菜好きな場合は大きいのを贈ろう。
手編みならではのこのダイナミックな反り!
前回との比較
3Dモデルっぽく回転させてみた
マフラーの次はセーター
編み物としてのステップアップを考えると、マフラーの次はセーターだろう。針金編みも、金網の次は鎖帷子に挑戦するのがいいと思う。自作の鎖帷子は、きっとまたオーガニックな風合いで、彼氏にプレゼントすれば草食系野武士、自分で着れば防御力の高い森ガールみたいなのが完成するのではないだろうか。
そういうわけですので、乙女の皆さん、金網を編もう!