地味な問題提起
いかんせん地味である。「これ何かネタに使えるかも!」と箱を1~2年とっておいたのだが、我ながらこりゃ地味なネタだと思い、ずっと記事化を躊躇していたのだ。
だがここに満を持して、といった感慨も薄い。いかんせん「内箱が遺跡に見える」からの出発である。そして着地点は「遺跡」。なぜ今これを実行に移すかといえば「箱がそろそろ邪魔」だから。ああ地味だ。でもとにかく進める。
まず見ていただこう。ゴワゴワしたアレとは、このことです。ここに、PC周辺機器や家電の箱がありますね。
無線LAN、LEDスタンド、ペンタブレットの箱ども。
内箱がほら、このような緩衝材になってますでしょ。パルプモールドというんですって。
原料はやはり古紙。そのせいもあってか独特の風合い。この風合いを生かして、インテリアショップでもこの材質の整理箱が売られていたりしますね。
さてこれをひっくり返してみよう。
ほら、遺跡そっくり。
斜め上からでも遺跡。
ズームで遺跡。
想像をたくましくすれば、これはバビロンの空中庭園のような。
思った以上に遺跡っぽくて驚いただろう。何、遺跡に見えない、ただのパルプモールドじゃないか、だって?
まあそうだよね。ではこれらをより遺跡に近づけるため、いくつかの工程を加えてみよう。そうすれば、わかっていただけるだろうか。
その前に、資料を集める。先ほどから遺跡遺跡言っているが、果たしてどのあたりが遺跡っぽいのか。内箱を遺跡たらしめている要素は何なのか。そしてより遺跡っぽくするには何が必要なのか。いくばくかの資料から、確かめたい。
そう、この乾いた色。ざらついた質感。静かなるたたずまい。そして穿たれた穴、穴。
あるいはこの壮麗なかたち。それを飲み込まんとする森。
もしかしたら自然の中に答えがあるかもしれない、と内箱持って近所を歩いてみる。
お、まさにジャングルに飲み込まれんとしている制水弁のフタ!ここに置いてみる。
うーん。
お、突如森が開け、清浄なる場所が。
むーん。
乾いた大地か!…ぬー。
ざらついた熱い砂!…。
どうもしっくりこない。まず縮尺がおかしい。それにやはり、舞台装置が不足しているのだろう。
というわけで、急いで量販店の模型売り場に行き、ジオラマ用材料を買ってきた。なんだかんだと4~5000円した、とほほ、ということは置いといて、さあ次は楽しいジオラマ遊びだ。
目玉はカナリーヤシと、樹木キット(1930円)であろう。
内箱ジオラマ流行らそう
とりあえず、保冷箱のフタを土台にして、箱とカナリーヤシを乗っけてみた。あ、ところでこれは「砂漠編」であるから、茶系の箱を使う。
お!置いただけでも、もう何とかなりそうな気配ではないか?
ほぼヤシのおかげ、って気もする。
がぜんやる気が出てきた。メソポタミア文明あたりを参考にしつつ、植生等は実におおらかに(適当に)夢の遺跡を作り上げていこう。
そうそう、こういう小さい窓もあるよね。
入り口を開けた。小さくなってここに行ってみたい。
土台に糊を塗って…
砂用のカラーパウダーを散布。
何度か繰り返し、遺跡の土台に。
待ちきれず、そこに建物を置いてみた。
なんだ楽しいじゃないか。
模型とか買えない子が代替品で寂しく遊んでる、という気がしないでもないがそれを上回るくらいこの内箱が遺跡にどんどん近づいていってるので結局は楽しい。
馬、置いてみるかな。
砂利(この縮尺では石だけど)撒いてみるとなおよろし。
次はマヤ文明を参考に。祭祀センターを作ろう。
クレヨンでヨゴシを入れる。
バラスト(小石)を何となく壁に沿って撒いてみる。
樹木キット!広葉樹が14本も入ってお得。
串カツをパン粉に浸すように、枝を緑に浸す。
ジオラマ用観光客人形がうちにあったので、民族衣装っぽく塗る。
ふう、やれることはやった。やりすぎてもいけない気がするし、やらなすぎたらただの箱。加減がちょっと難しい。では、遺跡をめぐる旅へあなたをいざないましょう。
そして部屋は片付かない
メソポタミアの朝は、早い―(久米明や緒形直人、その他各自お好きなナレーターで再生してください)
焼きレンガで作られた、高度な建築物。しかし今はもう廃墟だ。皆どこへ行ってしまったのか―
ときおり、旅の商人が馬を休めるのみである―
真ん中の塔がバーミヤンの仏像に似ている気がする―
文明が緑を追放し、文明は滅んだのだ―
しかし朝日だけは、今も昔も変わらないのである―
オン・ザ・ベランダ。
迫り来る森に埋もれつつある―
この地に、また人の営みは復活するのであろうか―
以上、緩衝材で、長い間の夢であった遺跡の旅を妄想してみた。元の緩衝材の役目をほとんど忘れるくらいには、遊ぶことができたかもしれない。箱庭感覚で作り上げる適当なジオラマ、けっこう面白かった。
しかし箱を記事に再利用してから捨てようと思っていたのに、出来上がったものに変に愛着がわいてしまった。しばらく捨てられない。それに縦にしたりできないしな。平面のまま、どこにどう置こう―