夜中に読まないでください
日頃、リバーシなんてめったにやらないが、餃子はよく食べる。私にとって、「ひっくり返す」とはすなわち餃子である。
さっそく餃子を食べる口実ができたので、手っ取り早くスーパーの惣菜餃子を買ってきた。よく観察して、餃子コマを作る参考にしよう、そうしよう。
焼き立ての自家製やお店のも美味しいが、たまに惣菜コーナーの、くたりとした餃子も恋しくなるね。
でもモデルには向いてないなあ。
そう、くたりとしちゃって、全然理想の餃子じゃない。ウミウシ作るならモデルにしてやってもいいが、それなら餃子じゃなくてウミウシをモデルにしたい。ウミウシの話ではない。
我々が餃子と聞いて思い浮かべる姿、真の餃子の姿。餃子のイデア、ともいうべきものが欲しい。でも現実の餃子で形の良いものを手に入れるのは難しいかもしれない。
そこで、餃子プラモを買ってみた。
「こだわりジューシー豚肉の具材パーツ」が入っているぞ。
1個につき5パーツから成る。具材パーツもご丁寧に2枚合わせだ。
これこそ、今回の記事にかこつけて買ってみたかったものだ。餃子プラモ!何だそれは!欲しいぞ!と、発売時まっ先に思ったのだが、なんでそれが欲しいのかが自分でもよくわからず、保留していたのだ。
ご当地土産の餃子のパッケージを髣髴とさせる外箱、5パーツで1個分のものが4個分入ったその内容、何よりもそれが餃子だということ、そこにニッパーを入れること、全てが未体験でおかしい。
「パチン!」だってウプププ。
塗装しなくても餃子だよブハハハ!
遊ぶのはこれくらいにしておこう。
目の前に、理想の餃子ともいうべき立体を置くことができた。話を進めよう。
ただしこのまま作ったとしても、ひっくり返したときに座りが悪い。皮を合わせた部分を平らにしないといけない。結局、いつも自分が餃子を作るときのように一から粘土をいじることになるのだった。プラモ買わなくてもよかったかもしれない。
アン的な粘土を皮的な粘土に包んで…
ひだを寄せる。いつもの餃子作りそのままに。
そして平らな餃子へ。
ますます、プラモ不要な工程じゃないか。最初の惣菜餃子も要らない。でも満足だ。食べておかないと、真夜中の作業中に餃子がどうしても食べたくなって困ったことだろう。読者の皆さんは今頃お困りのことだろう。
さあ、この扁平餃子を元に、コマを大量生産だ。
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まずはマスター型を作る。先ほど作った「おじいさん」餃子から、量産用型の元となる「お父さん」餃子を数個作るためだ。リバーシ、いわゆるオセロのマスは8×8=64なので、最低64個の餃子が必要となるのだ。気が遠くなります。
シリコーンで「おじいさん」から型をとった。
その型に樹脂を流し込む。
原料の関係で、「お父さん」は5個(白のやつ)作った。おじいさん(グレーのやつ)とともにまたここから型を作る。
上写真からとった型を、作業しやすいように分割する。
カタカタ言って申し訳ない。でもとにかく型がないと量産も大変なので、今しばらく辛抱してもらいたい。これで、元のマスター型含めると、7つの型ができたことになる。
8型なら8回流し込みをやればちょうど64個のコマができたわけだが、原料が足りず、ハンパな型数になってしまった。
さてそのできた型に樹脂を流し込んで「息子たち」を64人作るわけだが、ここで強力なネオジム磁石を封入しよう。ほら、リバーシって磁石入りだったよね・・・
と、ここでどうも引っかかり、検索してみた。リバーシといえば磁石入り、と思い込んでいたが、調べたら必ずしもそうではないようだ。あのポケットオセロみたいな、薄い磁石のを思い浮かべていたが、そっかー必須じゃないのか磁石。
でも入れちゃったし、便利なこともあるかと思うのでこのままいきます。
樹脂を少し流し込み、固まったら磁石を置いて、また上から注ぎ込む。
樹脂が固まったのち、取り外すと、おお、羽餃子になっていたよ!
塗装の前に、油分を洗剤で落とすが、どうにもこうにも水餃子。
盤の決定版はコレ!
水に餃子をひたしている間に、盤面を仕上げよう。ネットでバーベキュー用鉄板の手ごろな大きさのを買っていたのだ。手ごろな、といっても44cm×44cmだけど。コマの大きさから決めたら、こんなにでかくなってしまった。
でもお値段はこれまた手ごろな1000円台。しかし重量は3.4kg、全然手ごろじゃない。
鉄のヤスリか何かで、64マスの線をけがいてゆく。
こんなに大きい鉄板があったら豪快に焼きそばでも焼きたいところだが、よく考えたらそんな機会とはもともと無縁だった。
さてちょっと気が早いが、こうなると餃子を並べてみたくなるのが人情。
整列させてみた。
敢えて言おう、コマであると!
ジーク・ジオン!!
ザッ、ザッ、ザッ…。
思わず行進させてしまったが、これではまだ生の状態。包んで並べて、焼くのを待ってるところに過ぎない。焼き色つけて完成だ。しかしこれがなかなか難しくてねぇ。
64個…と思うと、ついついマジックペンで手抜き塗装。
どうも、あの微妙な茶系グラデーションが、美味しそうに仕上がらない。焼く前は美味しそうだったんだけどなぁ、焼いたら焦げ焦げのカバカバ、ってことないですか?
それでもなんとか塗り上げて、ラッカー吹いて仕上げ、対戦しに出かけたのだ。ぜひ、公園で将棋や囲碁やってる人々のように、屋外に持ち出してみたいと思うのだ。
強風の日でなくてよかった
正直言って、持ち出すのは非常に気が重かった。だって3.4kgの鉄板ですよ44cm四方の。カートと合わせて5kg超ですよ。
しっかりとカートに結びつけ、おそるおそる出かけた。かさばって、カートの取り回しがやっかいだ。
強風だったら鉄板ごと飛ばされてました。
そんなこんなで、よっ!リバーシするべ。
ニフティ近くの公園にやってきた。編集部・石川さんを引っ張り出し、対戦を申し込む。
じゃんけんしたはいいが、じゃんけんで勝ったほうが黒取れるんだっけ?じゃ焼き色付いてるほうか。いや、どっちにするか選べるんだっけ?と、2人とも久々のリバーシで、大筋と関係ないところであわあわしてしまう。
ちょうどいいイス・テーブルがなかったのが残念だが、なんとか盤をしつらえて、スタートだ。
並べたはいいが…落ち着かないな。
それよりも控えのコマが磁石でくっついて、こっちのほうが餃子っぽいや。
「とりあえず、コマ(餃子)の向きは揃えましょう」という大綱は一致。
向きを揃えても、どのコマをひっくり返せばいいか、パッと見ではよくわからず、お互い「そこひっくり返せますよ」と指摘しあう様相に。めんどくさいぞ!
「お!やってますなあ」と近寄ると…
「あ、餃子…」となる。
私の生餃子(白)が優勢になってきた。これだと盛り上がらないよー、と敵にハッパをかける。
慣れるに従い、真剣勝負になってきた。
と、そこにお散歩中のチワワが!一服の清涼剤ってやつか!
食べ物っぽく見えるのか、単に興味深々なのか。
…。
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35対29で、乙幡の辛勝。焼き色の分布も、いい具合になりました。チワワは向こうに行っちゃいました。
試しに、バラバラに置いたらと想定してみる。
こりゃあかん。
というわけで、まとめ
・黒(焦げ面)でやるほうが、モチベーションが上がると思う(勝てば全面焼き上がり!)
・一定方向にコマを揃えないとえらいことになる。
・黒から白にひっくり返すのは、はっきり言って時間の逆行(焼き→生の状態)なので、実はそこは整合性がない。でも無視することにしよう。
・そもそも「一気にひっくり返す」ことにカタルシスを期待しての餃子リバーシだったが、すっかりそこは忘れて普通にリバーシしてました。
それと、食べ物コマだとリバーシで遊んでるように見えないのではと石川氏。でも食べ物で遊んでるようには見えるのでやっぱりダメだ。
以上、ゲーム性とデザイン等に課題を残したまま終わります。
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