特集 2013年4月2日

世界一の釣り堀で巨大魚たちと遊ぶ

この顔は別に感動して泣いてるとかじゃなくて、魚が重くてつらいだけです。
この顔は別に感動して泣いてるとかじゃなくて、魚が重くてつらいだけです。
タイに「世界一の釣り堀」があると聞いた。
何が世界一なのかもよくわからないが、わざわざ海外旅行で釣り堀なんて行くことないだろう…。そう思っていたが、タイに詳しい知人たちから強く勧められたので話のタネにと空いた日程で行ってみた。

結論から言うと、行ってよかった。
1985年生まれ。生物を五感で楽しむことが生きがい。好きな芸能人は城島茂。(動画インタビュー)

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釣り堀に入る前にデジカメを無くす

僕は魚釣りが好きだが、釣り堀にはまったく興味がわかない。
自然の中であれこれ工夫しながら、野生の魚を探し出して釣り上げるのが楽しいんじゃないか。
イケスの中に閉じ込められて餌付けされている魚なんて釣って何が面白いのだろう…。

タイ入国初日、正直あまり気乗りはしないがバンコクのスワンナプーム国際空港からタクシーに乗り込む。
空港からタクシーで30分。エスニックなたたずまいの建物に着いた。
空港からタクシーで30分。エスニックなたたずまいの建物に着いた。
その釣り堀の名は「ブンサムラーン・フィッシングパーク」。かなり有名な観光地のようで、運転手さんに施設名とおおよその住所を告げると、「ああ、あそこね。」といった感じで一目散に走り出した。

意外とすぐに到着したが、ここでトラブル。タイにしては請求されるタクシーの運賃が高い。そういえば備え付けのメーターも回っていなかった。明らかにぼったくりだ(といっても、それでも日本の感覚からするとかなり安い)。
しかし、長い空の旅で疲れていたので抗議する気力もなく、大した額でもないしと大人しく支払い荷物を担いで降りた。走り去るタクシー。

さあ、とりあえず入口の写真でも撮るか。というときに異変に気付く。
「デジカメ、タクシーの座席に忘れてきた…」
ありえないミス。国内でも外出時は貴重品を肌身離さぬタイプの僕が、よりによって海外でやらかすとは…。疲れて緊張感が抜けていたのだろうか。

日本人の助っ人登場

釣り堀の入り口で途方に暮れていると突然、「日本の方ですか?」と声を掛けられた。日本語で。
この釣り堀に併設される釣り具店と釣り雑誌の編集プロダクションで働く半澤さん。
この釣り堀に併設される釣り具店と釣り雑誌の編集プロダクションで働く半澤さん。
驚いて顔を上げると、そこにはやけに爽やかな日本人のイケメン青年が立っていた。
「え?なんで日本人がいるの?というかなんでタイに来て最初のまともな会話が日本語なの?」
よくわからないが疲れとデジカメを無くしたことによって幻覚を見ているわけでもなさそうだ。
入口の受付でチケットを買ったり釣具を借りる
入口の受付でチケットを買ったり釣具を借りる
なんでも、彼はとにかく釣りが好きで世界中で色々な魚を釣り歩いており、何度もタイを訪れているうちにあちらの釣り業界から声が掛かり、タイへ移住することになったのだとか。
なんかいきなりとんでもない人に出会ってしまった気がするが、とにかくこの人に相談してみることに。
「あー、それは大変でしたねー。でも大丈夫ですよ!僕も数日前に日本から働きに来たばかりなんですけど、いきなり全財産を置き引きに遭っちゃって今ほとんど一文無しなんですよ。アハハ!」 と明るく慰めてくれた。
おかげで一瞬少し楽になった気がしてしまったが、それ全然大丈夫じゃないだろう。僕よりむしろ君が。
外国人観光客も多く訪れるため、あちこちに英語が。
外国人観光客も多く訪れるため、あちこちに英語が。
そうだよな。日本のように治安はよくないのだ。しかも観光客と見るや露骨にぼったくるような運転手だ。もうカメラは戻ってこないだろう。あきらめてせめて釣りを楽しもう…。

そう思った次の瞬間、すごい勢いでタクシーが入口へ横づけされた。
「よう、ジャパンの青年。忘れものだぜ!(意訳)」と笑顔であの運転手がカメラを片手に降りてきたではないか。
「タイランドはジャパンと違ってデンジャーなんだ。気を付けなよっ!(みたいなことを言ってたような気がする)」とあっさり返してくれた。

「なんて良い人なんだろう。」この瞬間、その運転手さんばかりかタイという国自体が好きになってしまった。ほんの数分前にぼったくりやがった本人なのに。
結局、感謝のあまり運賃以上のチップを支払い、爽やかに別れた。

ぼったくりは全然ためらわないけど人のものを持ち去ることはしないのか。

道徳観がよく分からなくなったがまあいい。これで晴々とした気持ちで釣りができる。
日本語の案内まである。日本人のお客さんはかなり多いそうだ。
日本語の案内まである。日本人のお客さんはかなり多いそうだ。

広い!何でもある!

釣り堀…?
釣り堀…?
受付を通って驚いた。敷地が広すぎる。
釣り堀というより、やけに釣り人に都合のよい湖といった印象である。
広すぎるので移動に自転車を使うことも。
広すぎるので移動に自転車を使うことも。
それもそのはず、この釣り堀は自然湖を利用して作られた施設なのだ。
発想がダイナミック!

そして広さ以上に驚くのが釣り堀らしからぬ施設の異常な充実ぶりである。
休憩スペースにゲームコーナー…
休憩スペースにゲームコーナー…
ビリヤード台…
ビリヤード台…
カフェ・バーに
カフェ・バーに
タイ料理はもちろん、なぜか日本料理のレストランも
タイ料理はもちろん、なぜか日本料理のレストランも
この釣り堀は24時間営業で、宿泊することもできる。そのため釣り堀から一歩も出ずに生活ができてしまうほど何もかもが揃っているのである。
釣りに飽きても、なんなら釣りに興味が無い人でも楽しめてしまうほどだ。
飲食店は料理や飲み物を釣り場まで配達してくれる。自転車で。
飲食店は料理や飲み物を釣り場まで配達してくれる。自転車で。
特に飲食店のサービスがすごい。料理の味が良いのはもちろんだが、常に従業員が釣り堀の中を巡回しているので、釣り人は魚を釣りながら好きな料理を注文でき、しかも出来立てを釣り場まで届けてもらえるのだ。
深夜から早朝に活躍するコンビニ。
深夜から早朝に活躍するコンビニ。
なんとネットブースも。
なんとネットブースも。
タイマッサージのお店も当然のようにある。
タイマッサージのお店も当然のようにある。
なぜか靴屋まで。
なぜか靴屋まで。
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魚のサイズも世界一!

なるほど。さすが世界一と呼ばれるだけのことはある。これほどまでに至れり尽くせりの釣り堀は世界中探したって無いだろう。

だがこのブンサムラーンが世界一たる理由はこんなオプションではなく、釣れる魚にある。
あちこちに飾られている巨大魚の写真。そのほとんどがこの釣り堀で釣られた魚たちだ。
あちこちに飾られている巨大魚の写真。そのほとんどがこの釣り堀で釣られた魚たちだ。
この釣り堀のメインターゲットはメコンオオナマズ(現地名プラーブック)という巨大なナマズである。体は2メートル以上、体重は数百キロにもなる界最大級の淡水魚の一つである。
現在メコンオオナマズは現在絶滅の危機に瀕しており、天然モノはその姿を見ることすら困難となってしまっている。
ブンサムラーンはこの希少魚の養漁場としての側面も兼ね合わせており、結果として釣り堀でありながら魚の保全にも役立っているのだという。当然、放流されているメコンオオナマズ達も養殖されたものだ。

他にもパーカーホという巨大なコイの一種をはじめとして色々な魚がいるが、メコンオオナマズが圧倒的に多すぎるためにそれらを釣り上げるのはなかなか難しいらしい。
これがパーカーホという世界最大のコイ。(アクアトトぎふにて撮影)
これがパーカーホという世界最大のコイ。(アクアトトぎふにて撮影)
では実際に世界一の魚とやらを見てみようではないか。釣ってみようではないか。
釣り堀のあちこちで竿が曲がりまくっている。
釣り堀のあちこちで竿が曲がりまくっている。
さすが釣り堀。見渡せば絶えずどこかで魚が釣れている。
しかし普通の釣り堀と違うのは魚を掛けた釣り人が汗だくになっている点だ。
自分で釣る前に少し観察してみよう。
大きな頭が水面を割る。魚もでかいがそれを掬うタモ網もでかい。
大きな頭が水面を割る。魚もでかいがそれを掬うタモ網もでかい。
…あちこちで魚が掛かっているのに、いっこうにその姿が見られない。
もう30分くらい格闘している人もいる。
待ち続けるとようやく遠くで歓声が上がったので駆け寄ってみるとそこには…
これがメコンオオナマズ。
これがメコンオオナマズ。
「YEAAAHHHH!!」と叫ぶアメリカ人観光客らの輪の中に、なんかすごい魚が転がっている。
メコンオオナマズだ。
目がずいぶん下の方についている。そしてナマズの証として申し訳程度にチョロっと生えたヒゲ。
目がずいぶん下の方についている。そしてナマズの証として申し訳程度にチョロっと生えたヒゲ。
大きい!20キロくらいありそうだ。体高があって太いが、高速で泳ぐのに適した流線形のボディはナマズというよりマグロの類を思い起こさせる。
そして体に似合わず目がくりっとしていて意外とかわいい。

エサはシンナー!?

最初は「釣り堀なんて…」と乗り気ではなかったが、こうも魅力的な魚を目の当たりにしてはいてもたってもいられない。
半澤さんに釣り方ガイドしてもらいながら挑戦してみることに。
入口には大量の米ぬかとパンの耳。
入口には大量の米ぬかとパンの耳。
この巨大魚、自然化では意外にも植物プランクトンを食べているのだという。大人しそうな顔立ちも納得である。
そのため、釣り上げる際は米ぬかやパンの耳など植物質の餌を水中に漂わせるのだとか。
米ぬかでダンゴを作る。意外と力仕事だ。
米ぬかでダンゴを作る。意外と力仕事だ。
水中でぱらぱらと崩れるようにぬかやパンをダンゴにして釣り鈎につける。ナマズは崩れて漂う餌を食べているうちに釣り鈎も一緒に吸いこんでしまうのだという。
で、遠くのナマズにもエサの存在に気付いてもらうためにこんなものを使う。
緑色の液体…。
緑色の液体…。
ファミレスのドリンクバーに置いてあるメロンソーダのようなわざとらしい緑色の液体。こいつを餌に混ぜ込むというのだが…。
うおっ、クサッ!!
うおっ、クサッ!!
臭い!甘ったるいケミカルなにおいが鼻を突く。シンナーだこれ。
水で薄めて餌に混ぜ込む。
水で薄めて餌に混ぜ込む。
半澤さん曰く、シンナーを混ぜるとなぜか魚の食いつきが良いそうで、この釣り堀ではごくごく基本的なテクニックとなっているそうだ。
一体誰が最初にシンナーを餌にしてみようと考えたのだろう。発想がアウトローすぎるだろう。そして客にシンナーをバンバン流し込ませる釣り堀もすごい。色々と大丈夫なのだろうか。
他にもココナッツミルク、バナナ、バターミルクなどのフレーバーある。
他にもココナッツミルク、バナナ、バターミルクなどのフレーバーある。
この釣りで一番重要かつ一番難しいのが、このエサダンゴを握る工程である。
ほんの少し硬すぎてもゆるすぎても魚は釣れない。足す水の量や握り方に微妙な加減が要求されるのだ。初めての人はスタッフの方にお願いするべきだろう。実際、僕も半澤さんに指導してもらいながら作った。
ソフトボール大が目安。
ソフトボール大が目安。
あとはダンゴを投げ込み、ウキを眺めるだけ。ダンゴ作り以外は非常にシンプルで初心者にもやさしい釣りだ。
夜間は発光するウキを使う。
夜間は発光するウキを使う。
ダンゴはある程度時間がたつと全て溶けてなくなってしまうため、定期的に仕掛けを上げて作り直す。この際、同じ場所に何度もダンゴを投げ続けて一ヶ所に魚を集めるのがポイントだという。釣り堀にもちゃんと戦略があるんだなあ。
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魚は大事に扱いましょう

おお!掛かった!
おお!掛かった!
ダンゴを投げ続けているとウキが沈んで竿に重みが乗った。魚が掛かったのだ。
しかも相当大きな魚のようで、しっかり両腕に力を込めていないと釣竿を持って行かれてしまいそう。一尾めから「明日は筋肉痛だな…」と覚悟させられた。
でっかい!重い!Tシャツヌルヌル!
でっかい!重い!Tシャツヌルヌル!
暗い所で見るとちょっとおっかない。
暗い所で見るとちょっとおっかない。
15分ほどかけて上がってきたのは大きなメコンオオナマズ。すでに腕がパンパンなので、記念撮影用に抱えあげるのに苦労した。
しかもこの魚は重すぎるため、正しい抱き方をしてやらないと自重で背骨を脱臼してしまう。無事にリリースするためには現地のスタッフに指導を仰ごう。
いたるところにゴム製のマットが。
いたるところにゴム製のマットが。
魚をできるだけ傷つけない工夫はそれ以外にもある。
釣り堀のいたるところにやわらかいゴムのマットが敷かれているのである。そして釣り人は定期的にそれに水を掛けている。これは一体何か。
釣り上げた魚は水で冷やしたゴムマットの上にしか置いてはいけない。
釣り上げた魚は水で冷やしたゴムマットの上にしか置いてはいけない。
常夏、灼熱のタイでは木床だろうがコンクリートだろうが人間ですらやけどしそうなほど熱くなる。その上、特に乾季はカラッカラに乾いているのだから、涼しい水の中で暮らす魚を置いたらどうなってしまうのかは想像に難くない。
そのため魚を釣り上げた場合、濡らして冷やしたマットの上にしか置いてはいけないというルールがあるのだ。また、マットの上に置いた後で写真を撮ったりする場合は魚体にバケツで水をかけ続けるのがマナーだ。

今回釣れた最大魚。大きな個体は背中が盛り上がり、ヒレが黄色っぽくなるものが多いようだ。
今回釣れた最大魚。大きな個体は背中が盛り上がり、ヒレが黄色っぽくなるものが多いようだ。
結局どれだけのメコンオオナマズを釣り上げただろう。どうも日中の方がたくさん釣れるような気がする。しかし、昼間は日陰でもけっこう暑い。魚とファイトするときはどうしても屋根の無い場所に出るため、真夏の野外でウェイトトレーニングをしているような状況になりちょっと辛い。のんびり楽しく釣るなら夜釣りの方がいいだろう。タイ料理とお酒を頼んで気の合う仲間と談笑しながら魚を待てば、それはそれは楽しいだろう。

魚を釣って大金を取られる!?

となりの女性に大物が!
となりの女性に大物が!
この釣り堀でたまたま出会い、一緒に釣りをしていた日本人女性に何か大物が掛かった。
異変に気付いた地元の釣り人たちが集まってくる。
大物が掛かると地元の人たちのギャラリーができる。
大物が掛かると地元の人たちのギャラリーができる。
実はこの釣り堀、入場料は無料である。釣りをしたい人は入漁料を、食事をしたい人や買い物をしたい人はそれぞれのお店でお金を支払うという形式なのだ。そのため、周辺に住む人々にはちょうど良い社交場というか憩いの場となっているのである。日本で言うと田舎のショッピングモールのような存在だろうか。
料金も外国人観光客とタイ人とでは露骨に差があり、タイの人々は格安で釣りを楽しむことができるという。
観光施設であると同時に地元民の憩いの場にもなっている。
観光施設であると同時に地元民の憩いの場にもなっている。
数十分に及ぶ格闘の末、残念ながら謎の巨大魚には逃げられてしまった。
半澤さん曰く、仕掛けを動かしたときにそれを小魚と勘違いしてピラルクーという肉食魚が食いついたのかもしれないとのことだった。ピラルクーといえば南米の超大型淡水魚だ。そんなものまでいるのか、ブンサムラーン。
過去にこの釣り堀で釣りあげられたピラルクーの写真が飾られていた。
過去にこの釣り堀で釣りあげられたピラルクーの写真が飾られていた。
わー、せっかくだから釣ってみたかったですねー!と悔しがっていると、
「もしピラルクーだったら釣れなくてかえって良かったかも。」と半澤さん。どういうことかと訊ねたところ意外な答えが返ってきた。

「ピラルクーを釣っちゃったら、日本円で4~5万くらい徴収されます。」
なんでも、ピラルクーはメコンオオナマズと比べて一尾あたりの値段が格段に高く、釣り堀側にとっても非常に貴重な存在であるという。そのため、ピラルクーが掛かると傷つけずに引き上げるために大量のスタッフが投入され、大がかりな撮影も行われるなどとにかく釣り堀全体がお祭り騒ぎになるのだそうだ。だからといってその費用を釣り人に請求するのはどうも腑に落ちない感じがするが、そういうものなら仕方が無い。

「だから地元の人はうっかりピラルクーが掛かってしまうのをとても怖がっています。普通のタイ人の収入じゃなかなか支払えない金額だから。」
そりゃそうだろう。ある程度余裕のある観光客でも突然請求されたら目玉が飛び出すのではないか。
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コテージが超快適!(※夕暮れ時以外)

さて、今までは無料の桟橋で釣りをしていたが、追加料金を支払えば鍵のついたコテージを借りてプライベートな空間で釣りを楽しむことができるという。宿泊も可能だというし、最低ランクの部屋は一日1,800円程度(最高ランクは一万数千円とけっこう幅がある)と手ごろであったため試しに利用してみることに。
良い雰囲気。
良い雰囲気。
案内された先にはなかなか雰囲気の良い水上家屋のようなコテージが。
コテージ周辺も東南アジアの片田舎といった感じで風情がある。
コテージ周辺も東南アジアの片田舎といった感じで風情がある。
内部はこんな感じ。一番安い部屋でこれだけ充実しているのだ。
内部はこんな感じ。一番安い部屋でこれだけ充実しているのだ。
就寝スペースもテーブル・イスもあるし、簡易な水道も備え付けられている。3人くらいで釣りをするのに十分なスペースがある。何より全体が屋根で覆われているので日差しを気にしなくてよい点と鍵をかけられるため荷物に気を配る必要が無くなる点が嬉しい。これで最低ランク…。最高級の部屋は一体どうなっているのか。いつか見てみたいものだ。
タイ料理のデリバリーもあって至れり尽くせり。
タイ料理のデリバリーもあって至れり尽くせり。
コテージで釣りをしていると、たまにドアがノックされる。レストランの店員さんが飲食物の注文を聞きに来てくれるのだ。もちろん注文した品物はコテージへ届けてくれる。
最高だ。もうバンコク近郊に滞在している間はずっとここに泊ろうかとさえ思っていた。夕方になるまでは。
釣りをするわけだから、水に面した側は完全に解放されている。これが意味するところは…。
釣りをするわけだから、水に面した側は完全に解放されている。これが意味するところは…。
日没直後から一時間、蚊の猛攻に遭う。熱帯、水場、日陰、これだけの要素が揃って蚊がいないはずがない。湖側は釣りをするために完全に開放されており、蚊の出入りは自由となっております。このコテージの最大にして最悪の欠点がこれだ。完全に日が沈むと蚊は少なくなるので、利用する際はレストランやカフェに避難した方が良いだろう。
また、備え付けの毛布を使ってダニに咬まれたという報告もあった。高温多湿な環境を考えればそれも当然かもしれない。気をつけよう。

無料の桟橋は開けているためか、比較的蚊が少ない。
無料の桟橋は開けているためか、比較的蚊が少ない。
蚊は桟橋の方が少ない。荷物の管理さえしっかりすれば受けられるサービスは変わらないのでこちらで十分なのかもしれない。ハンモックも売られており、これを使って寝るお客さんも多くいた。

小魚たちとの戯れが楽しい!

さて、メコンオオナマズばかりたくさん釣っても次第に飽きてくる。というよりとんでもない怪力を誇る巨大魚が釣れ続けるので体力が持たない。腕が上がらなくなる。
延々釣り続けているとさすがに慣れてきて、エサのダンゴ作りから魚のキャッチまで一人でこなせるようになってしまった。
延々釣り続けているとさすがに慣れてきて、エサのダンゴ作りから魚のキャッチまで一人でこなせるようになってしまった。
そこでもうひとつ、この釣り堀の隠された楽しみとして「癒しの釣り」を紹介しておく。
釣り堀の隅で何かを釣って遊ぶ従業員さん。
釣り堀の隅で何かを釣って遊ぶ従業員さん。

ナマズ釣りに疲れて敷地内を散歩していると、従業員さんが休憩時間を利用して小さな仕掛けで魚釣りをしている。何を釣っているのか訊ねると、「プラーチョンというライギョの仲間だよ」との返事。
これがプラーチョンという魚。タイではポピュラーな食用魚で、大きいものだと60センチ以上になる。
これがプラーチョンという魚。タイではポピュラーな食用魚で、大きいものだと60センチ以上になる。
釣れた!かわいい!
釣れた!かわいい!
おおう!すごく小さいけど釣れたぞ、プラーチョン!かなり僕好みのルックスをした魚だ。
しかし妙だ。受付のリストにはプラーチョンが放流されているとは書かれていなかった。
どういうことかと不思議に思っていたところ、「もともと野生の魚がたくさんいる湖を利用した釣り堀なので、放流された巨大魚以外にも色々な魚が棲んでいるんですよ」と半澤さんが教えてくれた。

釣り堀なのに野生の魚が釣れるのか!
こちらはキノボリウオという魚
こちらはキノボリウオという魚
俄然やる気が出てきてしまった。メコンオオナマズはそっちのけで小魚を釣りまくって残り時間を過ごすことにした。
正直に言うと、僕にとってはこちらの方も巨大魚釣りに負けないくらい楽しく感じられた。次から次に日本では見られない魚が飛び出してくるからだ。
アフリカから食用目的で持ち込まれ、野生化しているヒレナマズ。
アフリカから食用目的で持ち込まれ、野生化しているヒレナマズ。
中米原産の観賞魚
中米原産の観賞魚
この魚は色や模様のバリエーションが多いので釣っていて楽しい。
この魚は色や模様のバリエーションが多いので釣っていて楽しい。
今後この釣り堀へ行こうと思っている釣り好き、魚好きの方々にはぜひともメインの大型魚釣りだけでなく、こうした脇役の小物たちにも目を向けてほしい。
放流された魚には無い「小さな野生」を楽しめるはずだ。

メコンオオナマズを食べられる!が…

この釣り堀では釣り上げたメコンオオナマズは基本的にキャッチアンドリリースが原則となっているが、レストランではこの魚を使用したメニューを食べることができる。
僕もどんな味わいなのか興味津々だったので試してみることにした。
トムヤムプラーブック。エビの代わりにメコンオオナマズを使ったトムヤムクンだ。
トムヤムプラーブック。エビの代わりにメコンオオナマズを使ったトムヤムクンだ。
コラーゲンたっぷりの分厚い皮が印象的。
コラーゲンたっぷりの分厚い皮が印象的。
見た目はとてもおいしそうだ。身もしっかりしているし、皮もプリプリしている。喜々として口に放り込むが…

…はっきり言おう。マズイわ、これ…。
皮は独特の歯ごたえがあって楽しいし、身は豚肉のようで旨みもしっかりある。しかし臭いのだ。口に入れた瞬間に川魚特有の嫌なにおいが強烈に広がる。食感が非常に良いだけにもったいない。

その後聞いた話によると、この魚の味は日によってまちまちで、運よくしっかり泥抜きされた魚にあたった場合は臭みも少なく、十分おいしくいただけるのだとか。
今回は格別に運が悪かったようだ。残念!

言葉の違いによるトラブルに注意!

このブンサムラーン・フィッシングパーク、さすが「世界一」と称されるだけあって素晴らしい釣り堀であった。いや、釣り堀というよりももはやリゾート施設と呼んだ方がふさわしいかもしれない。魚が好きな人にはタイへ行く機会があれば、ぜひ訪れてみてほしいスポットだ。
しかしこの釣り堀、タイ国内では飛びぬけて外国人観光客が利用しやすい施設ではあるものの、英語が苦手なスタッフさんも多いためお金や利用時間に関するやり取りには注意が必要である。一部の日本人と同じく、相手の英語が理解できなくても「OK!OK!」とつい勢いで言ってしまう方も少なくない。これがトラブルの原因となることも多いので、英語の達者な人を探すか、筆談を交えてゆっくりとやり取りするといいだろう。
釣り堀で売られていたカエル型ルアーがあまりにも可愛かったのでついついまとめ買いしてしまった。日本じゃ使うあてもないのに。
釣り堀で売られていたカエル型ルアーがあまりにも可愛かったのでついついまとめ買いしてしまった。日本じゃ使うあてもないのに。
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