特集 2013年3月27日

ガラスの地球でなんでもフリー素材

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フリー素材の写真でよく見かける地球のオブジェがある。

それは透明なガラスの地球。 素材サイトで「エコ、地球、世界」など検索すると、かなりの確立でそれが写ってる写真が出てくる。手に持ってたり地面に置かれてたりと、バリエーションも豊富だ。

本当に色んな素材サイトにあるから、その地球が写真に入ってるだけでもうなんでもフリー素材に見えるようになってしまった。

しかし逆手に取れば、その地球を写すだけで、なんでもフリー素材に見える写真が撮れそうだ。
1985年生まれ札幌市出身。髪がとても硬いため寝癖がなかなか直りにくい体質。そのためよく帽子をかぶっています。

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フリー素材界を牛耳るガラスの地球

たとえば無料の写真素材サイト、足成で「地球」と検索すると こういっった写真がたくさん見つかる。
ザ・テレビジョンのレモン風。
ザ・テレビジョンのレモン風。
地球のことを考えてる風。
地球のことを考えてる風。
意図不明。
意図不明。
また同じく写真素材サイトの.foto projectで女性モデルの「環境保護・エコ」カテゴリーを覗いても、このガラスの地球を持った写真を大量に確認することが出来る。
顔が怖い。
顔が怖い。
両手で持つと「地球を大切」という雰囲気が出る。
両手で持つと「地球を大切」という雰囲気が出る。
「お前にぶつけてやろうか?」
「お前にぶつけてやろうか?」
モデルさんがガラスの地球を持つことで、環境とか世界などのテーマが明白になってる。 これは素材として使いやすい。

またモデルがいなくても、単体でも使えるほど万能だ。
誰がどう見てもエコなイメージ。
誰がどう見てもエコなイメージ。
かと思えば世界を股にかけるイメージにもなる。
かと思えば世界を股にかけるイメージにもなる。
他にも有料写真素材で有名なAfloや amanaimagesでももちろん見かけることが出来る。 それだけアイコンとしての地球は破壊力絶大なのだろう。

2310円の地球

気になるのは、なぜみんなこのガラスの地球儀なのか?だ。

もちろんこれ以外に別の地球儀が使われている写真もなくはない。なくはないのだが、 「どこでも見かける」地球儀はこのガラスの物が圧倒に多い。

いま考えられる理由は「普通の地球儀はでかすぎるから」しか思いつかない。 実際に撮影してみると理解できるかもしれない。
池袋のハンズで購入。2310円でした。
池袋のハンズで購入。2310円でした。
大変ラグジュアリーな箱に収まっている。
大変ラグジュアリーな箱に収まっている。
正式名称は「オプティカルグローブペーパーウエイト」。予想だにしない名前のかっこよさ以上にペーパーウェイトであったことに驚く。

よっぽど重要な書類のときに使うのだろう。勝負下着のようなペーパーウェイトだ。
わぁキレイ。
わぁキレイ。
現物を見るとなんとなく写真に使われる理由が分かる。物として美しいのだ。 これは撮ってしまう。
手に持って撮影してみる。
手に持って撮影してみる。
“自然はボクの大好きな日本語です”
by C.W.ニコル

撮った写真をカメラでプレビューした瞬間、突然小説家でナチュラリストのC.W.ニコル氏の言葉(注1)が頭の中で囁いた。

なんの意識もなく撮った写真なのに、もうエコや自然をイメージした写真になってしまったのか。なんて破壊力だ。地球、とんでもない。

(注1)むかしラジオの合間に流れていたCMでニコル氏が言っていたセリフ。独特のイントネーションがおもしろく、狭い範囲で物まねが一時的に流行した。
これはかなりフリー素材らしく撮れた。
これはかなりフリー素材らしく撮れた。
イメージとしては、サラリーマンが世界を相手にマネーウォーを繰り広げるみたいな感じだ。「ビジネス、ワールドワイド、島耕作」のタグが付くに違いない。
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これは普通にフリー素材として使えそう、と思ったので大きいサイズの物も用意した。 上のDonload Now!!ボタンからダウンロードしたら、後は煮るなり焼くなり好きに使ってください。
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圧倒的フリー素材力

このガラスの地球儀、本当にどんな写真でもフリー素材化してしまうのか。
マクドナルド・ポテト・ファーストフード
マクドナルド・ポテト・ファーストフード
普通の昼食といった感じであまりフリー素材らしさはない。 素材としてタグを付けるならば、上に挙げた3つぐらいのものだろう。 どこにもエコとか世界とかが出てくる印象はない。

ここにあの地球を置いてもそんな一気に変わるわけが…。
“マクドナルド、その味は世界を席巻する”
“マクドナルド、その味は世界を席巻する”
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そんなナレーションが聞こえてきそうな雰囲気になった。 なにこのグローバル感?思わずDownload Now!!である。

荒涼とした公園

食べ物は難なくフリー素材にした。 ではここはどうだろう。
ハトとゴミしか写ってない。
ハトとゴミしか写ってない。
どうしたって素材にはなりそうもない。
どうしたって素材にはなりそうもない。
地面に投げ捨てられたペットボトルなんて、 フリー素材じゃなくても撮ったところでどうしようもない。

この隣に地球を置いてみるけど、これはさすがに厳しいんじゃないんですかね。
“大切にしたいたった一つの地球。ゴミはきちんと分別を”
“大切にしたいたった一つの地球。ゴミはきちんと分別を”
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そうか、ゴミは分別という糸口から地球と結びついて、エコロジーなメッセージが出てくるのか。

ペットボトル単体で撮るとあんなにどうしようもないのに、なんてフリー素材力だ。地球。

どう足掻いてもフリー素材

なにがフリー素材になりやすくて、なにがなりにくいのか。

そういったことを少しは考えながら撮影対象を探していたのだが、 あまり意味のないことだと悟った。
単なるブランコでしかないのに。
単なるブランコでしかないのに。
“宇宙でひとりぼっちの地球。私たちの手で守っていきたいですね”
“宇宙でひとりぼっちの地球。私たちの手で守っていきたいですね”
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こういうセリフが撮った写真を確認する度に頭に浮かぶ。 女優の小雪さん似の人が言ってるイメージだ。
水飲み場。あ、水…。
水飲み場。あ、水…。
“水であふれた奇跡の星。我々はその資源を大切にしてると言えるだろうか”
“水であふれた奇跡の星。我々はその資源を大切にしてると言えるだろうか”
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やっぱりそんなセリフが出てきた。今度は渋い男性のナレーションだ。

水とかゴミとかが環境保護的なイメージを持つのは分かる。 ただブランコとか遊具でもフリー素材にしてしまう地球のフリー素材力、底知れない。

しかし次のこれはどうだろう。
なんにもない砂場。
なんにもない砂場。
おもちゃが転がってたり、ゴミが捨ててあったりしない。 オール砂場である。いくら圧倒的フリー素材力を持つ地球でも、これは無理だ。
“あなたは地球の何パーセントが砂漠化しているか知っていますか”
“あなたは地球の何パーセントが砂漠化しているか知っていますか”
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無理じゃなかった。すごく自然にフリー素材になっている。

さすが地球、フリー素材力の懐が広いというか、スケールが違う。

しかももう一枚フリー素材ぽく撮れたから、これもDownload Nowだ。
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フリー素材にならない場合はあるのか

どんな被写体でもフリー素材写真にしてしまうガラス地球儀の破壊力。

こうなるとむしろフリー素材にならない場合があるのかが疑問だ。 そんなものがこの世に存在するのだろうか。
ゴリラを乗せてみた。
ゴリラを乗せてみた。
お、これはあまりフリー素材らしくない。

「世界を牛耳るゴリラ」「大切にしたい地球でたった一つのゴリラ」などテーマを考えてみてもムリがある。 これはいきなり見つけたか。

ただ、ゴリラは環境破壊の影響でその数を減らしつつあるのだ。
“ゴリラが安心して暮らせる世界へ”
“ゴリラが安心して暮らせる世界へ”
いやその言葉もちょっとどうかと思うが、 これもまた環境やエコをテーマとしたフリー素材になる要素が入り込む余地はある。

もっと完全に「このフリー素材はないわ。これは使えんわ」という写真が撮れないものか。
緑に覆われた地球…
緑に覆われた地球…
考えもなくキャベツを盛ってみたら、それはそれで豊かな自然とかそういうキーワードと 結びついて、フリー素材的な雰囲気がまた漂ってくる。 ただのキャベツなのに。

これはマズイ、もっと全然関係ないものを盛ってみないと。
地球とウインナーの盛り合わせ。
地球とウインナーの盛り合わせ。
この状況ならどうだ。フリー素材としては意図不明すぎるだろう。 さすがの地球も厳しいはずだ。
“……”
“……”
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よし、なんのセリフも浮かんでこない。 これはノンフリー素材化に成功したと言えるのではないだろうか。

でもウインナーと地球を拡大して見たいという方のために、一応Downloa Nowも付けておいた。

VS世界や自然と関係ないオブジェ

地球がグローバルとかエコロジーの印象を持っているのなら、 それと正反対とは言わないまでも、印象が遠いオブジェと合わせてみたらどうだろう。
お相撲さん。
お相撲さん。
これならテーマは日本だから、地球とはまあまあ遠い。 自然に対しても、人間の力と技を表現した物だから、これも遠いはず。
“日本が世界に誇る国技、相撲”
“日本が世界に誇る国技、相撲”
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しまった、そういう視点があったか。

地球を置いたときは「超巨大力士が地球を襲うイメージ、これはフリー素材としてないよな」と思ったのに、半端にカメラアングルに凝った結果、またフリー素材ぽくなってしまった。

しかも結構良く撮れた気がするので、さらに3つDownload Nowだ。
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変なのを映り込んで台無しにする

ガラス地球儀はほぼなんでもフリー素材化するが、 大量のウインナーなどのものはさすがに難しい。というところまでは明らかになった。

しかしいま一歩そのフリー素材になるかならないかの境界線が分からない。 もっと確実に「こうするとフリー素材じゃなくなる!」という確証が欲しい。

そしてそのヒントは1ページ目に載せた写真に隠されていた。
1ページ目の最後の方に載せた写真。地球儀の下の辺りを拡大すると、
1ページ目の最後の方に載せた写真。地球儀の下の辺りを拡大すると、
ひょっとこが映り込んでいる。
ひょっとこが映り込んでいる。
これはいつぞやの記事で作ったひょっとこだ。 あれ以来部屋の壁にかけてあるのだが、それが映り込んでいる。

一見きれいでフリー素材になりそうな写真なのに、こんなのが映り込んでたら台無し。 フリー素材にならないよ。
地球と相反するひょっとこ。
地球と相反するひょっとこ。
しかしこれで確証を得た。地球になにか台無しにするような物を映り込ませればいいのか。

じゃあこういうのはどうだろう。音が情けない文字だ。
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この画像データをiPod Touchに表示して映り込ませてみた。
太平洋がぷ~ん。
太平洋がぷ~ん。
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うん、これはフリー素材として使えない。 使えないけどむしろ使って欲しいのでDownload Nowにしておいた。

次に、地球自体の意味を変えるような文字はどうだろう。
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さすがに梅干には見えないけど。
さすがに梅干には見えないけど。
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モニターの青白い光に照らされて幻想的に光る地球。そしてアラビア海に浮かぶ特大梅干の文字。梅干に見えるかどうかはともかく、フリー素材として使えないことは確かだ。

文字ではなく人の顔ならどうか。
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やけに顔が長いのは、iPodの画面に合わせて縦に伸ばしたからです。
インド洋の主。
インド洋の主。
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「留学先で頑張るあいつ」みたいなテーマならフリー素材としてありえるかもしれない。

と思ったけど、インド洋にぼんやり浮かびあがるイメージは全然そんな印象ない。

人物写真ではなく、人のイラストも試してみよう。
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特に誰をイメージしたわけでもない。もし偶然似た人が見てたらすみません。
これはかなり台無し。
これはかなり台無し。
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ひょっとしたらアフリカ旅行の思い出のようなテーマで使えるかもしれない。 ただし人はかなり選ぶ。

フリー素材=台無しではない写真

地球が持つアイコンとしての力と、ガラスの地球儀の写りの良さ。 それがなんでもフリー素材にしてしまう主要な原因なのだろう。

文字や人を映り込ませたり、ウインナーを盛ったりしてフリー素材になるならないの境界線を探ると、とにかく台無しにするというのが肝らしいことが分かった。

確かにフリー素材でよく見かける、スーツを着た外国人のサラリーマンから鼻毛が伸びてたら素材としては使えないだろう。

そこから考えると、フリー素材写真というのは全て「台無しではない写真」とも言える。 すっごい当たり前!
雑に撮ればだいたいフリー素材にならない、ということにもちょっと気づいた。
雑に撮ればだいたいフリー素材にならない、ということにもちょっと気づいた。
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