いきなりの誤算
新宿から京王線で約1時間、 高尾山口駅を降りると想像通りたくさんの観光客であふれている。
みんな火渡りに行くはず。
普段でも休日は登山客で多いと聞く高尾山。 火渡り祭りが行われるとなれば当然これぐらいの人出はあるだろう。
ただもちろんこの行列は火渡り祭りへの行列である。 高尾山の方には今日はあまり行ってないはずだ。
ケーブルカーに向かう人の流れ。あれ?
むしろ祭りの方に人が集まってないんですけど。
火渡り祭りの開始が午後1時。 事前に調べたところによると、一般参加者が火渡りをするために並ぶ列は、早い人では朝の10時から並んでるという話を聞いた。
現在時刻は11時。だからもうすでにたくさんの人が並んでいるかと思ったら、全然そんなことはなかった。
最前列で場所取りしてる人はいる。
火渡りという過酷な修行に対して、屋台もしっかりと出店中。
100%煩悩な店もあってどこか安心。著作権的にも危ない。
イベント開始前の山頂を見にいこう
どうやら祭りに人が集まるにはまだ早すぎたようだ。 いきなり思惑が外れた格好だ。
しかしこれから高尾山を登頂して、祭場に戻ってこようとすると、祭り開始時にギリギリ間に合うかどうかぐらいの時間帯。
そんなときでも高尾山には登山客がたくさんいるのだろうか。
やっぱり人が多い。
景色を撮ったらおじさんが入り込むぐらい多い。
心なしか下山してくる人たちの方が多い気はする。 が、ひいき目に見てそんな感じがする程度である。 上っていく人たちも多い。 みんなあまり火渡り祭りとか興味ないのだろうか。
それはそうと高尾山ではなぜかペーパークラフトが流行中。
鼻をどう作ってるのか気になる。
インド人+天狗=鼻の大きいインド人。天狗がインド人に吸収された。
輪っか状のお守り。Omamori。
輪とわをかけたのはわかるが、そんな投げやりに言わないでほしい。
山頂も普通に人がいる
山頂の様子。
登るにしたがって人が減っていくこともなく、 山頂にもたくさんの人がいた。
こうなると本当に火渡り祭りが開催されるのかどうか自信がなくなってくる。 本当に今日開催されるのか。そもそもここは高尾山なのか。うっかり富士山に登ってるんじゃないだろうか。
祭り開始まで後1時間。
祭場からここまで来るのに約1時間かかったので、戻るとやはりギリギリの時間になる。
それでもこれだけ山頂に人がいて、また続々と登ってくるところを見ると、なんか祭りとか全然関係ないみたいですね!と言うほかない。
祭りが始まるから帰ろうとする人も特におらず。
やっぱり祭りを見にいこう
麓で祭りがあるから山頂は空いてるはずだ。と思って来たら予想に反して人は多かった。
祭りの開始まではあるが、たぶん、いままさに火渡りの最中とかでもたいして変わらないだろう。結局どっちも混んでるなら火渡り祭りみたい。
なのですぐ戻ることにしました。
ただ戻る途中で祭りの影響をまったく感じなかったわけではない。 行きと比べると明らかに登ってくる人は減っている。
リフトで登ってきたときこれだけ人がいた場所が、
帰りには二人だけになってた。
下山のケーブルカーもいままでにない行列。
普段ケーブルカーがどれだけ混むのかは知らないが、ベテランらしき老年グループが「こんなの初めてだ」と言っていたので、自信を持っていままでにない行列と言える。
この辺りの人の流れを見る限り、登頂後祭り参加という人たちは結構多そうだ。
ポスターを見て「もう始まるじゃん!」と慌ててる人もいた。 ひょっとしたら、単に知らなかっただけという可能性もありうる。
ケーブルカーが時間かかりそうだったのでリフトで一気に降りていくと、 麓の方で山伏の鳴らす法螺貝の音がブオ~ブオ~と響き渡っていてテンションが上がる。 やっぱり降りてきてよかった。
祭りとか関係なくこれから登っていくアナーキーな方もちらほら。
高尾山火渡り祭り
リフトから降りて法螺貝の鳴る方へ向かうと、 まだそれほど遠くないところで人混みが出来ていた。
ちょうど山伏の一団が高尾山から祭場に向かうところのようだ。
一般客もぞろぞろとついていく。
約5分後、祭場に山伏たちが入場。右のおばさんは関係ありません。
このでっかい赤いのは梵天札と呼ばれるもので、希望者には祭り後500円で授与される。
最後尾に大導師と呼ばれる一番偉い方が登場。
祈祷殿の前で祈祷をする山伏&僧侶の方々。
ところでこれは僧侶ではない。
圧倒的混み具合
午前11時の段階ではまだスカスカだった会場も、 午後1時のイベント開始時にはこんな具合になってました。
なにがなんだか。
少し前の撮った火渡りに参加する人の列。手前から丘の向こうまでずっと続いている。
実は火渡り祭りは当サイトでも数年前
取り上げていたため、
火渡りの列はかなり長い時間待つことになるのは分かっていた(とっても有益なサイトですね!)。
あちこち見て回って撮影したいため今回火渡りを体験するのは回避したが、 この行列を前にして本当に良かったと思う。
式は厳かに進められていく。
外国人率の高さ
山伏たちが中央の広場に集まり、法螺貝を吹いたり真言を唱えたりと宗教的な儀式が行われていく。
この辺りはおそらく、下手になにか書いたら怒られる部類のものに思われるので特にコメントしないでおこう。祭りを見てて特に目につくのは、外国人の多さである。
「どや、クールジャパンやろ嬢ちゃん」と心の中で謎のキャラがドヤ顔。
ポテトばっかり食べてそうな二人も粛然と見守る。
アメリカのどこか広大な砂地帯に錯覚。
惑星直列みたいな写真が撮れた。これも外国人率の高さがなせる技である。
杉花粉も多い
高尾山と言えば杉。杉といえば花粉。
当然マスク率も半端ない。
上京して9ヶ月で発症しました。
日本人のマスク着用率に対して、外国人でマスクをしてる人は一切見かけない。 花粉に関しては出来れば外国人(出来ればフランスあたり)になりたかったと思う。
刀を振ったり弓を射ったり
祭りが始まってからおよそ30分。 火渡りはまだ始まっていないが、興味深い儀式が広場では行われている。
刀を振ることで煩悩を断つとかそういうことらしい。
弓を四方に射ることで悪魔を破る。矢は観客の方へと飛んでいく。
もちろん飛んだ矢を拾おうと、落ちた場所に人が群がることになる。 中には直接キャッチする幸運な人もいた。
違う神が降り立った瞬間。
少しの間ちょっとしたヒーローになってた。
いよいよ点火
諸々の儀式が終わり、山伏が松明の先に火を灯すと周りがザワザワしだした。 ついに点火が始まるらしい。
焦らすように松明をグルグル回してから着火する。
すぐに煙が上がった。
風下の煙がものすごい。
PM2・5状態。
自ら煙をかぶりにいくおばさんがいたりしたので、本来ありがたいもののはずだが、 キャプションでなんか台無しになってしまった。
煙が落ち着くと猛々しい炎が舞い上がる。
遠くから見ていても熱を感じる。
許されるなら素材に使いたい炎。
想像以上にすごい勢いで燃えてるなー、と思ってたら、誰から見ても想像以上だったらしく風下の方は警察が一時避難するように促していた。
一時避難命令発動中。
避難するわけにもいかない僧侶を袈裟でかばう僧侶。感動の一場面。
そんなこととはお構いなしに高く燃える炎。と結構楽しそうな外人。
火渡り前のガンバルマン
炎の勢いが落ち着き収まってくると、火渡りのための道を作る地ならしが行われる。
細長い熊手のようなもので地面をならして道を作る。
火元はそうとう熱いのか、かなり辛そうだ。
これで火渡りの道が出来た。 いよいよ火渡りを始めるのか、と思ってみてたら、意表を突いて半裸の青年が登場した。
熱々のお湯が煮立ってる釜の前に立って、
草でヴァッサーと体にかける。湯加持(ゆかじ)と呼ばれる身を清める儀式。
耐えられた時間でCMが出来るシステムとかはないそうだ。
渡火の儀
ついに火渡り祭りのメインイベントである火渡りが始まった。
高齢の僧侶が、僕の数百倍の声量で巻物を読み上げていく。
足下にたんまり盛られた塩を踏んだ後、塩をまきながら火を渡る。
火の様子は、遠くから見た感じだと歩く部分は燃えてないのでどれくらい熱いかは想像しづらい。ただ周りがまだ燃えているため、周りから来る熱もだいぶ熱そうだ。
法力でピントがずれました。
やっぱり結構熱いらしく、急いで渡る僧侶もいる。
これまた熱そう。という感想しかでないのは、余計な煩悩が打ち消されたためです。
僧侶や山伏の方々の火渡りが終わるとそのまま一般参加者が渡る番になる。
特に区切りなどはなくシームレスに変わったので、うっかりしていると普通のおばさんを僧侶だと思いかねない。
体を清めつつ、裸足で塩を踏みつける快感も味わってるに違いない。
高齢の方とは一緒に渡ってくれる。優しい。
手荷物が多いと日常感が出てしまい、あまり修行に見えない場合もある。
ちょっとコンビニ行ってくるような感じで。
おかあさん、そっちは伊勢丹じゃないですよ。火の上ですよ。
一般参加者もスタスタ歩いて行く人、慌てて駆け抜ける人、余裕で歩き出したけど予想外に熱くて途中から走り出す人など様々。
中には火の上に手荷物を落としてしまい、拾いに戻ってまた歩き出すという、より厳しい修行を自ら生み出してる者もいた。
30分経っても減らない行列。向こうの丘の上までずっと続いてる。
やっぱり自分も渡りたいなと思って振り返るとこの行列である。 並んで待つのも火渡り並みの荒行、いや根気のない自分にとっては火渡り以上に辛いので、 耐えられるほどの鍛錬を積んでからまた挑戦したいと思う。
ミシュランは意外とすごい
高尾山も火渡り祭りもとにかく外国人の多さが目についた。
ミシュランで三つ星評価になって以降、観光客が激増したのは分かる。 ただ外国人にもここまで影響力があるとは思わなかった。 形容しがたいキャラクターをマスコットにしていても、その影響力は海外でも相当なようだ。
しかし古来から続く火渡り祭りの荘厳さと燃え上がる炎のキャッチーさを 目の当たりにすると、ミシュランのおじさんがイイネ押しまくったのも納得できます。