イタリアは確かにブーツの形だ
ブーツの種類は11月がピーク
よし探すぞ、と思ったのは3月頭。外はまだ冷えるものの、アパレル業界はもうとっくに春物を出している時期だ。
イタリアの地形を見ると、ブーツの中でも膝上まであるような超ロングタイプ。探すには遅すぎる季節かもしれない。
まずは丸井。ブーツセールをしていた
まずは上野のシンボルの一つでもある駅前の丸井で聞き込み。この時期に膝上までの長いブーツはもう無いとの事だった。代わりに、イタリア地形の中でもポイントとなる「ヒールの高い靴はどれか」と聞いた所、雪の上でも冷たさが伝わらなそうなカッコいいブーツを試着させてもらえた。
一気に170cm。イタリア人平均身長女性164cm、男性176cmのちょうど真ん中になった!
全然違う
しかしこれじゃ理想と全く違う。私の身長が14センチ高くなり少しはイタリア人に近づいたかもしれないが、今回の企画はそういう事じゃない。
イタリアにこの靴を履かせてみると長さが全然足りない事が分かる。つま先も尖ってないし…イタリア度:0%
形がまるで違うのだ。ヒールの形状も違うし長さも尖り具合も全然違う。そこで場所を変え、今度はアメ横の入り口にある靴屋さんに入ってみる事にした。レインブーツから革靴まで色んな靴が雑多に並ぶ激安店だ。
凄い名前だ
さっきのより長いの発見!だけどヒールが違うなあ
店内の端にロングブーツのコーナーはあった。しかしどれもヒールが無いのだ。最近はぺったんこが人気?…。
自分では見つけられなかったので店員さんにイタリアの地図を見せ、こういうブーツを探していると言ってみると奥から2つ引っ張り出してきてくれた。
お、イタリアぽいかも!履くとピチピチ…。
ソックリだ
これは!と思った。地図と並べてみてもイタリアにソックリじゃないか!と大興奮するも、店員さんを見ると無表情だった。
もしかしたら店員さんのように靴を見慣れている人にとっては「え、これでイタリア?ごく普通のブーツじゃん」と思うのかもしれない。しかし今までロングブーツに興味がなく(ギャルの為のものと思っているから)、しっかりイタリアと見比べた事が無かった私は改めて感心してしまった。
こういう長いブーツは初めて。履くのも脱ぐのも大変ですね
一応履き心地も知りたいと思い履いてみた。膝上まであるブーツを履くのは初めての経験だ。地図上のイタリアは割と余裕のあるシルエットだが、実際に履いてしまうとやたらピチピチしちゃった。
イタリア度:80% 一気に近づいた
このブーツ、丸井で履いたのよりもだいぶ似てきたがつま先の尖り具合はもう1つ。ひとまずここは優勝候補としてキープし、他のお店も覗いてみよう。
ちなみに値段は両方とも4~5,000円程度だった。ブーツでこの値段とはさすが上野アメ横価格。
次はここに入ってみよう
ちょっと違うな…
上野アメ横に並ぶ靴屋は先程の様に無造作に並べられ、どれも安いというイメージがある。しかし中にはいいお値段の靴を扱っているお店も勿論あり、ここはどちらかと言えば後者のタイプぽい。
2Fのレディースフロアに上がってみるとロング丈のブーツがたくさん並んでいた。しかし探しているようなモノとは違っていた。
こちらのお店の中で一番イタリアぽいブーツ。
イボイボがイタリアぽい
ロングブーツと一言で言っても色々なタイプがあるもので、このお店に今あるロングブーツはウエスタンタイプというのだろうか、写真のような形のものが多く並んでいた。
一つ、イボイボが特徴的なものを手に取ってみた。イタリアの地形からはほど遠いが、どこか挑戦的でこだわりのあるイタリア人デザイナーのハイなセンスを感じないだろうか。
めちゃくちゃ値下げされてるけどね
履いてみると、下半身だけイタリア人のようにカッコよくなった。店員さんに聞いた所によるとメイドインUSAだそうだけど。
イタリア度:15% かっこいいけど全然違った
もうブーツは無い、と言われているところ
ノーイタリア
次に行ったハドソンというお店では、もう時期的に置いていないと言われてしまった。全ての道はローマに通ずと言うけれど、暖かくなるとイタリアへの道は遠のくみたいだ。ブーツの出始めの11月頃に探せば良かったのだ。
次はシュープラザ
女王様ブーツ
一見アミューズメント施設にも見えるシュープラザにやってきた。こちらも安い靴がたくさん並んでいる。しかし明るい店内を見渡した所、どれも背の低い靴ばかり。ここも時期的なものでダメかと思いつつ店員さんに聞いてみると、奥の部屋からひっぱり出してきてくれた。合皮の黒いブーツだ。
あまり伸びず、手伝ってもらわないと履けない
女王様みたい
ヒールが一気に高く、細くなった。さらに若干光沢のある黒。それだけだが足だけSMの女王様みたいだと思った。イタリアの地図を改めて見てみるがそういった趣味の傾向はなさそうな形だ。凄く近づいてはいるのだけれど。
女王様だけど近づいてる! イタリア度:90%
ちなみに値引きされ3,000円と激安だった。この時期、ロングブーツの数はあまり並ばないけど、どこも安くGETできる事を知った。まあ素材がアレだから元々安いんですけど。
ムラサキスポーツはノーイタリア
次に向かったのはムラサキスポーツ。イタリアの形のブーツを探していると言うと店員さんは笑顔を見せてくれたが、この店にはヒールが高い靴がまったく無い、と元も子もない返答だった。基本的にスポーツ用品店だから当たり前といえば当たり前か。
お次はABCマート
ABCマートはぺったんこ
上野アメ横にはABCマートがやたらある、と前々から思っていたが本店含め4箇所あった。その中でも、ブーツを扱っていると言う店舗に向かう。しかしここも時期的なものでロングブーツの品数は減り、このぺったんこのしか無いと言われてしまった。
個人的にはこういう方が好き
長さも足りないしイタリア的にはポイントは低いが、履きやすく動きやすそうで個人的にはこういうブーツの方が好きだ。私が靴を選ぶ基準は「ダッシュできるかどうか」なのだ。その点イタリアブーツはきっと走りにくいんだろうな。こちらも安くなっていて4,000円だった。
イタリア度:5% 走りやすそう
大本命、ABAB
上野に詳しい人であれば、「上野でロングブーツを買うならあそこジャン?」と真っ先にピンと来る場所がある。それはABAB(アブアブ)だ。ここは渋谷で言う所の109みたいな、主にギャル向けのファッションビルなのだ。ここならばロングブーツは絶対にある、と実は最初から確信があった。
上野の109的存在。アブアブ
関係ないけど、一度アブアブを間違えてバウバウと友人に教えてしまった事がある。それは当時松村邦洋が高田文夫の物まねをしていた影響である。似てる!
やっぱり沢山あった。さすが本命
想像以上にロングブーツが並んでいた。上野の靴屋から長いものは全てここに集合させたんじゃないかと思うほどにたくさんあった。もしかして年中あるんですか?と金髪の店員さんに聞くと「まさか~、売り尽くしです」と言っていた。こんなに売れるのだろうか。
見られて緊張
ヒョウ柄の服の店員さんに恐る恐るイタリアの地図を見せたところ、一番長さのあるブーツを教えてくれた。ヒールも高いぞ。
確かに長い!
色や長さから、つい馬の足みたいだと口走った。褒めてないなと気づきチラと店員さんを見てみると案の定無表情である。本日二度目だ。いらない事は喋らずさっさと検証しよう。
3,000円!
イタリア度:95% つま先の尖り具合を除けばかなり近い
これもなかなか似ているが
長さも十分だし、ヒールも高いしもうこれに決定でいい様な気もする。しかし、流れが前後してしまうが、実はこのアブアブの前に行ったお店のブーツの方がわずかにポイントが上回った。
というわけで、いよいよ次ページでイタリアの形をしたブーツNO1の発表です!
イケダヤ靴店
ABABに行く前に入ったお店、イケダヤ靴店に戻る。かなりイタリアに近いブーツがあったので店員さんにキープしてもらっていたのだ。ABABも良い線いっていたのだが、こちらに置いてあるブーツにはかなわなかった。
店員さんに「上野の靴屋の中で、こちらにあるブーツがイタリアに一番近かったです」と報告をすると喜んでくれた。
これがそのブーツだ!
ほらソックリ!決め手はリボンのシルエット
イタリアの形はリボン付きブーツだった!
ヒールの高さ、つま先の尖り具合、全体の長さ、柔軟性のある感じ、履きやすさ、そしてなんと言ってもリボン(着脱可能)のシルエットが決め手となった。イタリアの地形にはスネの後ろ部分がポコッと飛び出ているところがあったのだ。
イタリア度:99% お上品なブーツがはまった
私はこのようにリボンのついたお上品な靴は普段履かないが、イタリアのブーツなのだと思うと俄然欲しくなった。もちろんイタリアのブーツと言ってもイタリアで作られた訳ではない。なんせ4,000円だ。
店員さんにどこで作られたものか聞くと「チャイナっす!」と元気に教えてくれた。
イタリアに来ている気分で上野を歩いてみる
イタリアのブーツに引き寄せられたオシャレな犬達
サイゼリヤが似合う
さっそく手に入れたイタリアブーツを履き、街を歩いてみる。少しはイタリアにいる気分になれるかと思ったが、上野にはしょっちゅう来ている為か全く変わらなかった。
どこかイタリアぽい場所を探そうと思ったらサイゼリヤにたどり着いていた。靴屋さんの袋がサイゼリヤと同じ色で、そこだけはイタリアぽかった。
今日の調査結果
そういえばいつかイタリア旅行に行くのが夢だった。その時にはこのブーツを履いて行こう。
イタリア旅行の際はこのように地名を書いておけば便利かもしれない。右は脚のツボ。
人に伝えたくなる新常識
イタリアぽいブーツを探している、と言うと店員さんは皆「あ~!」と分かってくれる。それほど「イタリア=ブーツの形」は浸透しているのだ。遠く離れた日本でさえ浸透しているのだからきっと世界中の人が知っている知識だろう。
しかしそのブーツにリボンが付いていると言う事はみな知らないはずだ。この記事を読んだ人達だけが知る、トリビアなのだ。今日のランチの話題に一つどうですか。