特集 2013年2月11日

食パンをピルクルに浸して焼くとチーズケーキになる

ここからさらにトーストします
ここからさらにトーストします
おやつの新ジャンルとして、デザートトーストというのを提唱したい。
デザートトーストというのは、アラビア半島にくらす砂漠の民(デザートピープル)・ベドウィン族が主食としている、小麦粉を練って中華鍋のような形をした鉄板で焼いた料理のこと。ではない。

食パンにコンビニデザートを塗って、焼いたものだ。
インターネットユーザー。電子工作でオリジナルの処刑器具を作ったり、辺境の国の変な音楽を集めたりしています。「技術力の低い人限定ロボコン(通称:ヘボコン)」主催者。1980年岐阜県生まれ。(動画インタビュー)

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プリンで簡易フレンチトースト

なんでもフレンチトーストの手抜きな作り方として、「パンにプリンを載せてトーストする」というのがあるらしい。
調べてみると、当サイトでも一度紹介している食べ方であった。決してお行儀のいい見た目ではないが、たしかにおいしそう。

これがアリなら、ヨーグルトとか、ほかのデザートでもいけるのではないだろうか。そう思ったのだ。
パンに塗りやすそうなプリンを買ってきた
パンに塗りやすそうなプリンを買ってきた
「神プリン」とニワトリが発言
「神プリン」とニワトリが発言
ニワトリはプリンの材料である卵を意識してのキャスティングだろう。命を奪われプリンにされてしまった仲間を「神だ」とあがめる様子にはかなりの倒錯とディープな宗教性を感じるが、それはこの際置いておこう。
とにかくこの神プリンをパンに塗る。
お行儀の悪さからくる若干の背徳感で、食べる前から甘美なきもちに
お行儀の悪さからくる若干の背徳感で、食べる前から甘美なきもちに
これからたくさん食べるので食パンは1/4サイズにカットしております
これからたくさん食べるので食パンは1/4サイズにカットしております
で、これをトーストする。
で、これをトーストする。
焼けたプリンの表面は、チーズのような質感になった。
焼けたプリンの表面は、チーズのような質感になった。
うまそう。うまそうなんだけど、口の中が完全にチーズを期待している。この見た目で甘いというのがちょっと想像できない。
しかしかじると口の中いっぱいに甘みが
しかしかじると口の中いっぱいに甘みが

崩したプリンはカスタードクリーム

さてみなさん、各自トーストにプリン載せて焼いた味を想像してみてください。いい?想像した?実際食べてみると、その通りの味だ。つまり……
おいしい
おいしい
ただこれがフレンチトーストかと言われるとちょっと違う気がする。どちらかというとカスタードクリームっぽい。といってもトーストがカリッと焼けているので、クリームパンとはまた違った食感。小さく切ったせいかもしれないけど、パンと言うよりカナッペみたい。僕は子どもの頃からクリームパンがけっこう好きなんですけど、もし店で売ってるんだったらクリームパンよりこっちを選んで買いたい。
神トースト!
神トースト!
カロリーは食パン1枚分作った場合。ただしプリンをどのくらい乗せるかは作る人のさじ加減一つなので、あくまで目安です。
カロリーは食パン1枚分作った場合。ただしプリンをどのくらい乗せるかは作る人のさじ加減一つなので、あくまで目安です。
というわけでプリントーストは間違いなくうまい。
それならほかのデザートでもいけるはず!と思って、コンビニでたくさん買い込んできた。

珠玉の3品をご紹介

調子に乗って9種類のデザートを買ってきて、デザートトーストを作ってみた。
焼く前
焼く前
焼くとこうなります
焼くとこうなります
完成した9種類のうち、まずは「これは!!」という発見のあった3種をこのページではご紹介します。
チョコレート

焼きチョコという奇跡

定番の板チョコ
定番の板チョコ
トーストの上に隙間なく、かつはみ出ないように板チョコを敷き詰めるのはなかなか難しい。パズル力が問われる素材である。
ちょっとでもパンからはみ出てしまうと、焼くときに溶けたチョコが垂れて、トースターを汚してしまいそうだし。(後にそれは杞憂であることが明らかになるのだが)
結局、パズルを放棄した配置
結局、パズルを放棄した配置
思惑としては、チョコが溶けてチョコソースみたいになってパンに染みこんで絶品、という狙いである。
しかし、焼いてみるとなんとも意外なことになった。
溶けてない
溶けてない
トースト中、最初は少しトロッとしてきていたチョコレートが、途中から全然形が変わらなくなった。おかしいなーと思っていたのだ。かじってみると、こう。
チョコがホロホロに!
チョコがホロホロに!
ホロホロと言うべきかサクサクと言うべきか、いつものねっとりしたチョコレートから一変、スナック感覚に変化していた。それでいてサクサクのトーストと組み合わせてもサクサク過剰になるなんてことはない。チョコの歯触りはきめ細かくて、トーストの食感を邪魔しないのだ。

チョコレートにこんな裏技があったとは。スイーツの奥深さを思い知らされた。

余談ですが、チョコクロワッサンに入ってるチョコって妙にうまいなーと思ってたんだけど、あれきっと焼いてあるからだな。この実験ではじめて気づいた。
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ピノ

甘味のエッグトースト

これは完成品から見ていただこう。どうぞ。
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パンの上に乗っかった2つ目の目玉焼き。サイズ的にウズラの卵だろうか。あのピノがこんなかわいいことになるとは。
焼く前。普通です。
焼く前。普通です。
ちなみにもっと焼いて完全に溶けるとこうなるのだが
ちなみにもっと焼いて完全に溶けるとこうなるのだが
これはこれでサイドに垂れて染みこんだチョコがすごく甘党心をそそります
これはこれでサイドに垂れて染みこんだチョコがすごく甘党心をそそります
注意点としては、パンのサイズに対してギリギリでピノを乗せてしまうと、溶けたアイスがトースターの中に落ちて大変なことになってしまう。
大変なこと
大変なこと
のでアルミホイルを敷いて焼こう。

見た目の話ばかりしてしまったが、食べてみるとアイスの染みこんだ甘いパンにビターなチョコレートがアクセントとなって、これこのままコンビニスイーツとして商品化すればいいのに、と思うくらい。実物を見たことがないない人が伝聞だけでエクレアを作ったら、もしかしたらこんな風になるかもしれない。

ちなみにピノのチョコは明治の板チョコみたいに焼きチョコにならなかった。このへんどういう裏があるのか謎である。
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ピルクル

チーズケーキの来襲

これデザートか?という疑念はさておき
これデザートか?という疑念はさておき
フレンチトーストと同じように液体に浸すのも一つくらい試してみようかな、と思い、買ってきた。
皿に注いで
皿に注いで
浸します
浸します
多めに注いだピルクルはぐんぐん食パンに吸われていき、最終的には全部なくなってしまった。
このパンの中にすごい数の L.カゼイ NY1301株が
このパンの中にすごい数の L.カゼイ NY1301株が
焼いた(乳酸菌全滅)
焼いた(乳酸菌全滅)
クタクタである
クタクタである
なるほど、フレンチトーストは卵が入ってるから固まるのか!考えてみれば当然だがいままであんまり気にしていなかった事実に直面する。そして、目の前にあるのはフレンチトーストとは似ても似つかないデロデロのパン。「ああ、逆にね!」と口をつく独り言も意味が不明瞭になる。
まあいいや、と思って食べてみる。なんか甘酸っぱくて湿ってて、なんだろうこれ。一口目は、なんだかさえないなあ、という印象だった。

しかし、横にいた妻に一口食べてもらったところ、その印象は正反対にまで逆転した。
曰く、「これチーズケーキじゃないの?」
はっ…!
はっ…!
ほんとだ。甘くて、酸味がきいてて、しっとりしてて……チーズケーキだ!
チーズも使ってないし、理論上はチーズケーキ味になるわけがない。でも、「プリンに醤油でウニ」みたいな子供だましのれべるではなく、それどころか、この記事の発端「トーストにプリンでフレンチトースト」さえも超えた再現度。「トーストをピルクルに浸して焼くとチーズケーキ」、この超常レシピを、ぜひみなさんも一度お試しいただきたい。
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さて、特筆すべき発見のあった3つをご紹介した。次のページでは残りの6つを紹介しますよ。
ヨーグルト

甘いのを選べ

うっかり低糖のを選んでしまった
うっかり低糖のを選んでしまった
焼いた後。見た目はラスクみたい
焼いた後。見た目はラスクみたい
ヨーグルトの酸味がさわやかで、カリッとしたトーストの上にふわっとしたヨーグルトが乗っかる食感は、完成度の高い組み合わせに思えた。しかし低糖のを選んでしまったせいで、甘みが足りず決定的に物足りない結果に。

もっと甘いヨーグルトを使うか、最初に砂糖を混ぜておくかすれば良かったのだろう。要、再挑戦。
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コーヒーゼリー

劇的ビフォーアフター

焼く前後でいちばん見た目の変化が大きかったのがこれ。
たっぷり乗ってますが
たっぷり乗ってますが
焼くとすっかり跡形もなく
焼くとすっかり跡形もなく
ゼリーは完全に溶けてパンに吸い込まれてしまった。
食べてみるとそのままコーヒーパンという感じで、きっとコーヒーに浸してもおなじ味になるのではないか。コーヒー「ゼリー」だからこう、どうことは全くなかった。

味的には甘過ぎず大人の味、といった感じなのだけど水分が多くてヤワヤワになってしまうのが難点。デザートトーストがおいしくなるか否かは、水分との戦いと言っても過言ではない。デザート(砂漠)だけにね。(まだ言うのか)
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フルーツゼリー

グミにはならない

これでも焼いた後です
これでも焼いた後です
コーヒーゼリーは加熱ですっかり溶けてしまったけど、崩れつつもなんとか持ちこたえたのがフルーツゼリー。ゼリーの形がちゃんと乗っかったパンは、さわやかな味でおいしいんだけど、それは単にゼリーがおいしいだけであって、べつにパンに載せなくてもいいかな、という印象。

ゼリーから水分が飛んでグミになった!みたいな奇跡の展開を期待しての投入だったが、そういえばゼラチンって加熱すると溶けるんでしたね…。
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レアチーズケーキ

チーズケーキの道はあきらめラスク界へ

焼く前はこんな
焼く前はこんな
前ページでピルクルがチーズケーキになった話をしたけど、ほんとうはこっちがチーズケーキになるはずだったのだ。レアチーズケーキが、トーストされてベイクドチーズケーキに。
すっかり溶けてしまった
すっかり溶けてしまった
味はといえば、良く言えば上品なんだけど、悪く言えばぼんやりしていて味が薄い。ふかふかのパンの部分はイマイチ。ただし、特筆すべくは耳。パンの耳部分がタルトみたいでおいしかった。耳だけ集めてレアチーズケーキかけて焼くとおいしいかもしれない。
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しろくま

焼かずに食べたい

これです
これです
「九州名物」というざっくりした地域性で知られるしろくま。フルーツ入りの練乳のかき氷なのだが、パンに練乳、これは合わないわけがないだろう、と思い投入。
このまま食べたいこと山のごとし
このまま食べたいこと山のごとし
焼いちゃった…
焼いちゃった…
ミルクメインでほんのり甘い、やさしい味。離乳食で作るパン粥っていうのがあるけど、あれを思い出す。
これ、そこそこおいしいんだけど、「焼かない方がさらにおいしい」という本企画の根本を覆す事実により、煮え切らない評価に。
!
杏仁豆腐

エキゾ全開

焼き目がおいしそう!
焼き目がおいしそう!
ところどころいい具合にきつね色になっており、かなり食欲をそそる見た目。
食べてみると、焼くことによって杏仁豆腐のエキゾチック感が前面に出てきた。よく知ってる杏仁豆腐のはずなのに、食べ慣れない味。
中国の山奥の方で日常的に食べられてるお菓子、といった感じである。現地で1年くらい暮らしてから日本に帰ってきた人が、たまに無性に食べたくなる。そんな味だ。

焼きたてで召し上がれ

というわけでデザートトーストのお薦めは板チョコとピノ。あとチャレンジメニューでピルクル。

最後に、全体に言えることだが、水分のあるものをパンに載せているので、パンが湿る。湿るの自体はいいんだけど、湿ったパンが冷たくなると急にまずくなる。更に悪いことに、湿ると気化熱で冷めやすくなるのだ。
デザートトーストをお召しあがる際は、必ず焼きたてでお召し上がりになることをお勧めします。

おしらせ

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今日は石川の作品を公開
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コンテストもあるよ
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