特集 2013年2月2日

カッパのミイラがタッパーに眠る街

カッパの街「田主丸」を歩きます!
カッパの街「田主丸」を歩きます!
カッパとは想像上の生き物である。しかし、いろいろな地域にその伝説が残っている。中でも有名なのは岩手県・遠野のカッパだろう。狛犬がカッパだったり、交番がカッパだったりとカッパであふれている。

福岡県・田主丸町にもカッパ伝説がある。こちらも駅舎がカッパだったり、カッパの石像があったりとカッパ尽くしである。しかも、カッパの手のミイラもあるらしい。ぜひ見てみたい。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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カッパの街に行く!

僕らはいつだって目に見えるものしか信じない。「好きだ」と恋人に伝えても、言葉だけでは分からないと言われることだってある。そして結局高い指輪を買ったりするわけだけれど、絶対に見ることができないものだってある。それがカッパだ。
伝説の生き物
伝説の生き物
カッパは伝説の生き物である。誰も見たことがないのだ。しかし、多くの民話が残っている。ただ本物を見ることはできない。そのためにカッパは伝説の生き物となっている。実在しないのだ。
本物のカッパを見ることはできない!
本物のカッパを見ることはできない!
そんなカッパだけれど、町おこしとしてよく登場している。有名なのは岩手県・遠野だろうか。先にも書いたように、交番がカッパになっていたり、駅前にカッパの石像があったりと、遠野にはカッパがあふれている。しかも、遠野は緑が多く、だんだんと本当にいる気がしてくるから不思議だ。
遠野にあるカッパの交番
遠野にあるカッパの交番

ふるさと創世でカッパ!

カッパと言えば遠野だと思ってしまいがちだけれど、福岡県久留米市田主丸町も忘れてはならない。こちらもカッパがあふれているのだ。町の玄関口である駅からしてカッパなのだ。ちなみに遠野駅は普通である。田主丸からカッパに対する本気を感じた瞬間だ。
遠野駅
遠野駅
田主丸駅
田主丸駅
昭和の終わりに「ふるさと創生事業」というものがあり、各市町村にお金が配られたことがあった。ある市では風力発電施設が作られ、またある市では図書館が作られた。各地域が有意義にお金を使ったわけだ。田主丸はそのお金でカッパの駅舎を作った。本気だ。
反対側も顔
反対側も顔
顔の中が資料館になっており、カッパについて知ることができる。また田主丸には「カッパの手のミイラ」があると聞いた。しかし、この資料館にはそれはない。「カッパめぐり」という地図もあったがそこにもミイラの所在は書かれていない。幻なのだ。
顔の中
顔の中

アイラブカッパミイラ

僕はカッパが好きで佐賀県にあるカッパのミイラを見に行ったことがある。ここでは酒蔵に祀ってあり誰でも見ることができた。本来見ることのできない伝説の生き物を見ることができるのだ。また「呼んだ?」みたいな雰囲気でこちらを見ていてとてもかわいい。
佐賀のカッパのミイラ(詳しくはコチラ</a>)
佐賀のカッパのミイラ(詳しくはコチラ
先にも書いたように田主丸にもカッパのミイラは存在する。ただしあるのは手だけらしく、さらに公開はしていないそうだ。しかし、カッパ好きとしてはぜひ見てみたい。好きな娘の家を見てみたい、と同じ心理である。
とうことで田主丸を歩きます!(静かな街です)
とうことで田主丸を歩きます!(静かな街です)
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すれ違う人の数よりカッパ

田主丸ではあちこちにカッパが設置されている。すれ違った人の数よりカッパの方が多いくらいだった。諸説あるが、カッパは中国から熊本の八代にやってきたそうだ。ただそこでいたずらをして、八代にはいられなくなり、有馬藩(久留米)で暮らすようになったらしい。だから久留米にある田主丸はカッパの街なわけだ。
個人で作ったカッパ
個人で作ったカッパ
カッパの石像もたくさんあった。河童大明神や守護神河童などは分かるが、中には屁こき河童や宇宙河童などもある。中国から来たカッパが八代に行き、さらに久留米に来て、さらに宇宙へ。少年ジャンプなら10週打ち切りか、50巻を越える大作になるかのどちらかのような物語を感じる。
宇宙河童
宇宙河童
田主丸はカッパだけでなく、巨峰が有名でワインを作っている。僕は残念ながらワインの味が分からないのだけれど、前日に会った博多に住んでいる方は「田主丸のワインは美味しい」と言っていた。その人に田主丸のカッパについて聞いたら「知らない」と言われた。駅舎がカッパですよ! と言ったら車で行ったからと。車社会なのだ。
悪書を追放していた(ビニール本あたりに時代を感じる)
悪書を追放していた(ビニール本あたりに時代を感じる)

流れるJ-POP

中央商店街を歩く。呉服屋が多く店頭に並ぶ商品は「ちゃんちゃんこ」だった。どこか昔の時代にタイムスリップしたような気持ちになりかける。ただそのタイムスリップを妨げるのは商店街に流れるJ-POPである。視覚的には時間が止まっているが、聴覚的には最新だ。
写真では静かな商店街だけれど、J-POPが流れています
写真では静かな商店街だけれど、J-POPが流れています
昔はにぎわっていたらしい
昔はにぎわっていたらしい
「へぇ、そういう曲聞くんだ」と人の音楽の趣味を聞いて驚くことがあるが、人生で一番驚いた音楽の趣味はまさにこの瞬間だったと思う。誰もいない商店街にただただ流れるJ-POP。傘を忘れて雨に濡れた時にこれと同じような気持ちになったことがある。
カッパが生活できない水量だった
カッパが生活できない水量だった

カッパのお土産

遠野に行った時にお土産屋をのぞくと緑一色だった。棚一面が新緑の季節なのだ。カッパのストラップやカッパのキーホルダーであふれている。目が疲れた時にそれを見ると疲れが癒されると思う。
遠野の土産屋さん
遠野の土産屋さん
田主丸にはお土産屋らしきものはなかった。カッパを駅舎にしているけれど、別に観光地というわけではないようだ。ただ各店がカッパ関係のお土産を独自に作っていたりする。カッパの影響力が大きいのか小さいのか分からない土地だ。
あけぼのや
あけぼのや
「あけぼのや」というお店では「河童のへそ」というお菓子を売っていた。歴史あるお菓子だそうだけれど、1個70円と安い。またカッパはへそがある生き物なのだと初めて知った。カッパのへそだもの。カエルの延長線上にカッパがいる気がしたけれど、そうではないらしい。
カッパのへそ!
カッパのへそ!
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タッパーに眠るミイラ

先にも書いたように人は目で見えるものしか信じることができない。カッパの石像を見せられても、本当にカッパがいたのかは別の問題。バレンタインデーに自分でチョコを買うような感じだ。しかし、田主丸にはカッパの手のミイラが存在する。
矢印の部分のミイラがあります!
矢印の部分のミイラがあります!
そのミイラは基本的には公開していないので、どうすれば見れるのかと思い、道行く人に聞いて情報を集めた。その結果、どうにかその場所に行き着くことに成功した。

持ち主にお願いしたら「場所は秘密」という約束で見せてくれると言う。カッパのミイラと言えば家宝であってもおかしくない。それを見ず知らずの僕に見せてくれるのだ。なんていい人なのだろう。
持ち主の藤田さん
持ち主の藤田さん
藤田さんのお父さんがカッパの研究家だったそうだ。ちなみに藤田さんはカッパにあまり興味がないらしい。しかしカッパの手のミイラは大切に保管してあった。タッパーで。カッパ好きであり、タッパー好きの僕としてはそのタッパーが輝いて見える。保存と言えばタッパーなのだ。
タッパーから、
タッパーから、
ミイラの手が登場!
ミイラの手が登場!

今は妖怪、昔は神様

ミイラだからなのかカッパは細身だった。僕が彼の友達なら「キチンと食べてるか」と頻繁に心配したと思う。そのくらいに細い手なのだ。もっとも僕は細身の女性も好きなのでこれはこれで大丈夫だけど。
細身!
細身!
どこで手に入れたかはっきりしたことは分からないそうだ。しかし、薬売りからもらったのではないかとのことだった。

薬売りが軟膏を売る時に、この軟膏にはカッパの手を使っています、と言いながらカッパの手を見せていたらしい。ローヤルゼリーの宣伝をする時にハチの映像を挿入するのと同じ仕組みだ。実際は何の手かは分からないが、信じる心が試される瞬間だと思う。
カッパのお面などもある
カッパのお面などもある
カッパはもともと水神として祀られていたそうだけれど、だんだんと妖怪としての認知度が高くなった。僕らが知っている話も妖怪としてのカッパの方が多い。先代はカッパ研究家だったので、そのような資料も集めていたそうだ。
妖怪としてのカッパ
妖怪としてのカッパ
妖怪としてのカッパは石像のカッパとは大きく違いおどろおどろしい。夜中にピンポーンと鳴って出て彼がいたら正直怖い。しかし元は水神。波瀾万丈な人生をカッパが送ってきたことが分かる。
絵をもらった!
絵をもらった!
先代はカッパの研究だけでなく、カッパの絵を描いたり、お面を作ったり、また河童族なるものを作り街を盛り上げたりもしたそうだ。カッパの駅舎があるのも先代の活躍があったからだ。カッパから信じる心の大切さを学んだ気がする。
このカッパの手があれだと思うと急に愛らしくない!
このカッパの手があれだと思うと急に愛らしくない!

カッパに愛されている!

とくにそのつもりはないのだけれど、僕はカッパが好きらしく、遠野にも行ったし、佐賀の酒蔵でカッパのミイラも見た。そして、今回の田主丸だ。非公開のカッパのミイラの手を見ることもできた。もはやカッパが僕を好きなのかもしれない。そう思うと僕はひとりじゃない、守るべきものがあるのだと少し強くなれる気もしないこともない気もする。こうなったら日本全国のカッパを網羅したいと思っている。
これは九州でしか売られていないご当地パン「マンハッタン」。カッパとは関係ありません!
これは九州でしか売られていないご当地パン「マンハッタン」。カッパとは関係ありません!
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