特集 2012年12月28日

大きな駅のあまり人が行かない方

建築ってこういうふうに一部を切り欠くことができるのか!びっくり!
建築ってこういうふうに一部を切り欠くことができるのか!びっくり!
旅行や仕事遠くの街に出かけた時、ちょっとだけ時間があるけどどうしようか、ということがあるだろう。

15分後に待ち合わせなので遠くまでは出かけられないけどただぼーっと待ってるのもなんかもったいない。だけどそこは取り立てて観光地でもないターミナル駅、とか。

そういうときは、人があまり行かない方へ歩くといい。思いがけずおもしろい場所に出たりする。
もっぱら工場とか団地とかジャンクションを愛でています。著書に「工場萌え」「団地の見究」「ジャンクション」など。(動画インタビュー

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小倉駅で10分だけ時間があった

先日、北九州に行った。目的は工場を見るためだ。

案内してくれる人を待っていて、約束の時間までちょっとだけ時間があって、散歩でもしようか、と思った。
ちなみにこういうすてきな工場を見に行くための待ち合わせだった。うきうきしてた。
ちなみにこういうすてきな工場を見に行くための待ち合わせだった。うきうきしてた。
場所は小倉駅。少し行けばすてきな迷路のような商店街があるのは知っているが、そこまで時間はない。せいぜい10分だ。

ご存じの通り、小倉は新幹線も停まる大きな駅である。つまり、駅前付近は整備されていて、あまり面白味はない。

と、思っていたら大間違いだった。
ほんとに駅出てすぐのところになんとも魅力的な通り道が!
ほんとに駅出てすぐのところになんとも魅力的な通り道が!
オレンジ色が問題の道(大きな地図で表示
夜は賑わうのだろう、という感じの店舗ラインナップ。
夜は賑わうのだろう、という感じの店舗ラインナップ。
屋根のある部分を通り抜けたら「A級」。
屋根のある部分を通り抜けたら「A級」。
その先には「名画座」
その先には「名画座」
専門性に特化した映画館のようだ。味わい深いペンキ絵。それにしても全裸でつり革。どういうシチュエーションなのか不明。上に並んだ提灯と「情報発
専門性に特化した映画館のようだ。味わい深いペンキ絵。それにしても全裸でつり革。どういうシチュエーションなのか不明。上に並んだ提灯と「情報発"進"」にもぐっとくる。
古くからの風俗街だ。きっと駅前の再開発をよそに変わらぬ佇まいを残し続けた結果なのだろう。

地元の人にとっては「ああ、あそこね」っていうぐらいのものなんだろうが、よその人間にとっては、新幹線駅のほんとに目の前の一画だけがこうなっているのはとてもおもしろい。
駅の方を振り返ると、アーケードのようになっていた部分が不思議なことに!なんかビルとビルの間に二重に屋根がかけられているのだった。しかもその間の空間は、こっち側から見るとあけっぴろげ。いいねこういうの。
駅の方を振り返ると、アーケードのようになっていた部分が不思議なことに!なんかビルとビルの間に二重に屋根がかけられているのだった。しかもその間の空間は、こっち側から見るとあけっぴろげ。いいねこういうの。
整備されきっちゃっているかのように見える大きな駅でも、こういう「ほころび」って必ずあるものなのかもしれない。

そう思って、約束通りの時間に落ち合って工場へ行ったのだった。

で、似たような機会が広島でもあった。
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新幹線の時間までちょっとだけ時間があった

小倉とは別の日のこと。用事があって広島に行った帰り、新幹線で東京へ戻るというときに、ちょっとだけ時間があった。10分ぐらい余裕がある。どうしよう。

そのとき小倉のことを思い出したのだ。そうだ、人が行かない方へ行ってみよう。

あ、その前にどういう用事で広島に行ったかというとだね。
こういうすてきな団地(基町高層アパート</a>)を見に行っていたのだ。うきうきしてた。
こういうすてきな団地(基町高層アパート)を見に行っていたのだ。うきうきしてた。
ちょううきうきしてた!(基町住宅</a>)
ちょううきうきしてた!(基町住宅
あとこういうかっこいいジャンクション(仁保ジャンクション</a>)も見に行った。うきうきだった。
あとこういうかっこいいジャンクション(仁保ジャンクション)も見に行った。うきうきだった。
そしてこういううっとりしちゃう工場(大竹の工場</a>)とか!
そしてこういううっとりしちゃう工場(大竹の工場)とか!
すっかり脱線した。すまん。

で、広島駅の南口から線路沿いに西の方へ行った、郵便局の裏あたりがひっそりとしていたので、向かってみた。

そうしたら!
すてき!
すてき!
2階部分がちょっとでっぱってるのにぐっとくる。
2階部分がちょっとでっぱってるのにぐっとくる。
場所はここ。オレンジ色で囲まれた部分。大須賀町という街のようだ(大きな地図で表示
こんなさらに細い路地もある。いいね!
こんなさらに細い路地もある。いいね!
すてき、とか言いつつ、これらの店に入る勇気もない。というか、今回は時間がない。というか、開いてない。いつかここでお好み焼き食べたい。
すてき、とか言いつつ、これらの店に入る勇気もない。というか、今回は時間がない。というか、開いてない。いつかここでお好み焼き食べたい。
すてきだよねえ!まさか広島駅のすぐそばにこんな一画があるとは。「人があんまり行っていない方に言ってみると面白いメソッド」有効である。

って、広島の人に言ったら「いや、だいたい広島駅周辺自体、人があんまり行かないから」って言われた。えー、そうなの?
で、ここにあったのが冒頭でご紹介したこの建物。屋根の形からすると、一体だったと思うのだが、こうして一部を切り欠いて解体撤去できるとはびっくり!
で、ここにあったのが冒頭でご紹介したこの建物。屋根の形からすると、一体だったと思うのだが、こうして一部を切り欠いて解体撤去できるとはびっくり!
これもすごく不思議だった。なぜ斜め。そしてなにを入れてこんなに整然と並べているのか。これが横浜だったら「今年トリエンナーレだっけ?」って思っちゃうよ。
これもすごく不思議だった。なぜ斜め。そしてなにを入れてこんなに整然と並べているのか。これが横浜だったら「今年トリエンナーレだっけ?」って思っちゃうよ。
このときは予想以上におもしろすぎて、あやうく新幹線を逃すところだった。このメソッドにはそういう弱点がある。気をつけよう。

で、これが東京だったらどこだろう?と思ったのだ。

新宿?東京?渋谷?
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品川のあそこだと思うのだ

品川駅の港南口から出た正面の一画がまさに東京代表ではないかと思うのだ。
品川駅の港南口から出た正面の一画がまさに東京代表ではないかと思うのだ。
オレンジ色で囲ったこのブロック。こうして見ると、まわりと比較してここだけ建物のサイズが小さい(大きな地図で表示)
駅前のごちゃごちゃとした飲み屋街ということなら、例えば新宿には思い出横町(別名:しょんべん横町)という物件がある。

でもねえ、言ってみれば新宿はいたるところ「ごちゃごちゃとした飲み屋街」なわけで、なんというか、小倉や広島みたいな意外性に欠ける。そもそも「あまり行かない方」ではないし。渋谷ののんべい横町なんかも同じ理由で違う気がする。

こうして考えると「再開発どーん、ってなかに一画だけ」って東京であまりないなあ。と、悩んだ末に思い出したのが、品川だ。
比較的最近に再開発された、とりすました感じの一画に「え、ここ入っていくの?」っていう路地がある。
比較的最近に再開発された、とりすました感じの一画に「え、ここ入っていくの?」っていう路地がある。
路地というか、隙間?
路地というか、隙間?
確かに正面に店があるのだ。
確かに正面に店があるのだ。
さらに奥に行こうとすると、こんなことに。ザ・隙間。
さらに奥に行こうとすると、こんなことに。ザ・隙間。
もともと品川の港南口といえば「なにもない」の代名詞だった。もともと旧国鉄の操車場で、そばには食肉工場があったりと「ほんとにここ品川か」って感じの場所だったのだ。

それが最近再開発されて(っていう印象だったんだけど、調べたら1998年だった。びっくり)、インターシティというとりすました感じの街になったのだ。

ところがどっこい、こうして1ブロックだけ以前の雰囲気が残る区画があるのだ。小倉や広島を彷彿とさせる。
広島と同様、2階部分の魅力的なでっぱり!
広島と同様、2階部分の魅力的なでっぱり!
この、くねっと曲がりつつ枝分かれする細い路地がすばらしい。
この、くねっと曲がりつつ枝分かれする細い路地がすばらしい。
店の表なんだか裏なんだか分からないこの感じ。
店の表なんだか裏なんだか分からないこの感じ。
見上げると、駅に面した背の高いビルが、この区画を覆い隠すように建っているのが見える。ふしぎな感じ。
見上げると、駅に面した背の高いビルが、この区画を覆い隠すように建っているのが見える。ふしぎな感じ。
で、通り抜けると…
で、通り抜けると…
何ごともなかったかのように「ええ、巨大駅の駅前ですけど」って雰囲気に。
何ごともなかったかのように「ええ、巨大駅の駅前ですけど」って雰囲気に。
まるで夢を見ていたようだ。ああ、そうか。これら街自体もおもしろいけど、そこを抜けて駅前に戻ってきた時のこの違和感が楽しいんだな、と思った。

今後も探してみよう

新幹線が停まるような駅の駅前って隙がないようなイメージがあるが、そんなことはないのだなあ、と思った次第。今後も似たような大きな駅に行った際にはうろついてみようと思う。
広島の大須賀町には魅力的な「角のたばこ屋」もあった!
広島の大須賀町には魅力的な「角のたばこ屋」もあった!

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以前写真集を自分で作ってコミケに参加してみた記事を書きましたが、今度の冬コミにも参加します!こんどはiPhoneカバーを作ったよ!

工場柄と団地柄。このほかにジャンクション柄も用意しました。誰が欲しがるんだこんなもの。いや、ぼくは欲しいですが!

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