特集 2012年12月26日

巨大チェーンソーと高性能林業機械を見てきた

これが高性能林業機械、ハーベスタだ!
これが高性能林業機械、ハーベスタだ!
山形で林業をやっている友人から、「林業の機械がかっこいいから見に来てよ!」という誘いがあったので、森林浴がてらいってきた。

その現場にあったのは、ゲームかマンガの世界から抜け出たような巨大チェーンソーと、巨大肉食恐竜のような高性能林業機械だった。
趣味は食材採取とそれを使った冒険スペクタクル料理。週に一度はなにかを捕まえて食べるようにしている。最近は製麺機を使った麺作りが趣味。(動画インタビュー)

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林業の現場にやってきた

かっこいい林業の機械とやらをみるためにやってきたのは、山形県にある杉の伐採現場。

訪れたのはちょうど紅葉のシーズン真っ最中で、まるで絵画の世界のような景色の中に、その現場はあった。
伐採直後の杉林が油絵っぽかった。
伐採直後の杉林が油絵っぽかった。
林業の機械を見る前に、すでに林業の現場というものがかっこいい。

こんな場所で木を切る仕事をする人生っていうのも素敵だなと一瞬思ったが、後日、案内してくれた友人のfacebookに、「今日は暴風雪氷点下でしたが、郷土の山林のため、汗かきベソかき恥をかき、一生懸命頑張ります!」と書かれているのを見て、やっぱり楽な現場じゃないよなと考え直した。
案内をしてくれた樹さん。
案内をしてくれた樹さん。

チェーンソーがでかい

最初に見せてくれたのは、この伐採の現場で活躍中だという、おなじみのチェーンソーだ。

チェーンソーなんて珍しくもないような気もするが、いや珍しくはあるんだけれど驚くようなものではないだろうと思っていたのだが、林業のプロが使うチェーンソーは、驚くに値する大きさだった。
伐採の現場はとても危ないので、エアー伐採。
伐採の現場はとても危ないので、エアー伐採。
樹さんがよっこらしょと担いできたチェーンソーは、マンガやゲームの世界で見かける、馬ごと人を切るでかい剣(斬馬刀というやつですか)のようなスケール。

刃渡りは堂々の1メートルで、日本で使われているチェーンソーでは最大クラスらしい。
長いぞ、チェーンソー。
長いぞ、チェーンソー。
こんな長いチェーンソーで一体なにを切るんだよと突っ込みたくなるが、当然切るのは木だ。

樹齢100年近い木を効率よく伐採するには、このサイズのチェーンソーが必要となるらしい。

なるほど、これは確かにかっこいい。
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林業機械の本場は北欧!

この13日の金曜日には出会いたくない巨大なチェーンソーは、スウェーデンのハクスバーナ社の3120 XPというやつで、世界でも最も強力なチェーンソーの1つといわれているものらしい。

スウェーデンという国の名前を久しぶりに聞いたような気がするが、林業の世界では、林業用機械といえば、スウェーデンやフィンランド、ドイツなどの北欧が本場なのだそうだ。知らなくてもいい知識がまた一つ増えた。
業務用の小型チェーンソーとの比較。初めて海外のカブトムシを見たような衝撃を受けた。
業務用の小型チェーンソーとの比較。初めて海外のカブトムシを見たような衝撃を受けた。
その巨大チェーンソーの排気量は、堂々の119cc。原付バイク2台分よりもまだ多いのだ。

当然重量も本体だけで10キロを超えるヘビー級。これを安全に使いこなして大木を伐採するには、相当の体力と経験がなくては無理そうだ。ちなみに私は10センチ持ち上げただけで、腰に違和感が走った。
堂々の119ccエンジン搭載。
堂々の119ccエンジン搭載。
林業というと、木こりが斧でカコーンカコーンと木を切っているイメージがあったのだが(たぶんイソップ寓話の「金の斧」の影響だ)、現代の林業の現場では、騒音レベル106.8デシベルの巨大チェーンソーが活躍しているのか。
山の中で暴走族がうるさいなと思ったら、それはチェーンソーかもしれない。

丸太を切ってみてもらった

せっかくなので、自慢のチェーンソーで丸太をぶった切るところを見せてもらうことにした。

もちろん立っている木を切り倒すところは危ないので、伐採後の木のカットだが、それでも迫力は十分だった。
堅い材木に1メートルの刃が吸い込まれていく。
堅い材木に1メートルの刃が吸い込まれていく。
まさに一刀両断。ちょっと欲しくなってきたぞ。
バッサリ。防振用手袋と耳栓が必須だそうです。
バッサリ。防振用手袋と耳栓が必須だそうです。
なるほど、チェーンソーがこれだけ大きい理由がわかった気がする。ただ木を切っているだけなのに、なんだかかっこいい。そしてちょっと怖い。

私は基本的に平和主義なのだが、林業をやっている人とは、特に喧嘩をしないようにしようと心に誓った。
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高性能林業機械、ハーベスタ

次に見せてもらったのは、重機マニアにはたまらないであろう、高性能林業機械のハーベスタである。メイド・イン・フィンランド。東ハトのハーベストとは関係ない。

一見すると普通のショベルカーなのだが、ショベル(バケット)の代わりについているヘッドが高性能らしいのだ。これだけで数千万円もするのだとか。
ある意味、超高級車に乗っている樹さん。
ある意味、超高級車に乗っている樹さん。
このハーベスタのすごいところは、伐採した木を持ち上げ、そのまま枝を払い、任意の長さにカットするという、一連の流れを一気にできるというところ。

実際にその作業を見せてもらったのだが、大型の肉食恐竜が、草食恐竜を豪快に襲って食べているような大迫力。

なんだかハリウッド映画の製作現場にでも来たような雰囲気だ。これはわかりやすくかっこいい。
頭を持ち上げて襲いかかるハーベスタ。
頭を持ち上げて襲いかかるハーベスタ。
狙いを定めて噛みつきにいった!
狙いを定めて噛みつきにいった!
一気に獲物を持ち上げて引きずり回す。
一気に獲物を持ち上げて引きずり回す。
そしてここで活躍するのが、このカーブしている刃。
そしてここで活躍するのが、このカーブしている刃。
ヘッドを木に滑らすようにして、枝を薙ぎ払っていく。
ヘッドを木に滑らすようにして、枝を薙ぎ払っていく。
最後はヘッドに隠されているチェーンソーの出番だ。
最後はヘッドに隠されているチェーンソーの出番だ。
木を持ち上げたまま、どんどんと裁断をしていく。
木を持ち上げたまま、どんどんと裁断をしていく。
すごいぞ、ハーベスタ。力持ちだ!

特に感動したのが、枝を薙ぎ払っていく場面。花屋さんがバラの棘を素手で一気にとるシーンをテレビで見たのを思い出した。

私がアラブの石油王だったら、とりあえずこれを買っているなと思った。そして砂漠に森を無理矢理作って遊ぶんだ。
一連の流れを動画でどうぞ。枝を薙ぎ払うところが見どころです。彼は林業従事者としてはまだまだ新米だそうで、ハーベスタの操作も修行中のため、かなりぎこちないなのだとか。

使いこなすのが難しいらしい

山の中の杉林という牧歌的な空間で行われている、高性能ロボットを使った木材生産作業。スケール感がまったく逆だが、内視鏡を使って行う手術みたいだなと思った。

このハーベスタを使った仕事、ゲーセンにあるUFOキャッチャーのようで楽しそうだが、木の性質などを知った上でないと上手な操作はできないそうだ。庄司さんもまだまだ修行中で、操作方法を覚え始めたばかり。

ベテランの人になると、この3倍の速さで作業をするらしいよ。
彼の真剣な顔を初めて見た気がする。
彼の真剣な顔を初めて見た気がする。
操作ボタンがものすごく多い。
操作ボタンがものすごく多い。
もしかしたら、この機械を使いたいという理由で、林業という仕事に興味を持つ人が出るかもなと思うくらい、おもしろそうな現場だった。

林業の機械、確かにかっこよかったです。

興味本位って楽しいな

林業の現場は、とてもエキサイティングで、それでいて自然が溢れていて、興味本位で見学するには、それはそれは魅力的な職場だった。

物理的な力不足で、自分の仕事としては無理だけど、こんな職場もいいなと、やっぱり思った。
樹さんの手を見せてもらったら、働き者の手でした。
樹さんの手を見せてもらったら、働き者の手でした。
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