特集 2012年10月3日

キス直前のひょっとこお面

!
先日図書館で借りた誰でも出来るお面の作り方が載ってる本に、ひょっとこお面の製作方法が載っていた。

人生でひょっとこのお面が欲しいと思ったことは2回ぐらいしかない。 でもひょっとこのお面なんて個人で作れるものとは思わなかったので 作り方を知ったならぜひ作りたいじゃないか。

でもただ普通のひょっとこを作るだけでは物足りないので、 ここは一つオリジナルのひょっとこを目指そう。
1985年生まれ札幌市出身。髪がとても硬いため寝癖がなかなか直りにくい体質。そのためよく帽子をかぶっています。

前の記事:札幌にクマの剥製はいくつあるか

> 個人サイト こざとへんなところ+++

お面をつくる

書籍「お面をつくる(松延博著)」は1985年発行の 様々なお面の作り方が載っている本だ。
身近な素材でお面を作ろうという内容です。
身近な素材でお面を作ろうという内容です。
屋台売ってるのとはかなり違うベクトル。
屋台売ってるのとはかなり違うベクトル。
ダンボール一枚で出来る簡単なものから、和紙を貼っていく本格的なものまで 実に個性的なお面の作り方がたくさん載っていて見てるだけでも楽しい。 製作手順も写真付きで分かりやすく、片っ端から作りたくなってくる。

特に製作意欲を刺激されるのがこのひょっとこ。
陽気なのか不気味なのか分からない絶妙な感じがいい。
陽気なのか不気味なのか分からない絶妙な感じがいい。
おかめと並んで日本お面界の重鎮である。 どんなに仮面ライダーとかセーラームーンとか新しいお面が出てこようと、 絶対になくならない。

しかも仮面ライダーとかももう全然新しくない。それよりも昔からある伝説のお面。 そんなお面が自分で作れるなんて夢のようだ。
なかなか衝撃的な製作過程。
なかなか衝撃的な製作過程。

キスする直前みたいなひょっとこにしよう

ひょっとこのお面、これはすごく作りたい。 でもせっかくだから、なにかオリジナル要素を入れたいではないか。

そこでこんなのを考えた。
ノーマルひょっとこ
ノーマルひょっとこ
キスする直前ひょっとこ!
キスする直前ひょっとこ!
ひょっとこの見開いた目を閉じさせて、まるでキス直前の顔みたいなのを作ったらおもしろいんじゃないか。

ひょうきんなだけのひょっとこお面に、見てる方が恥ずかしくなるような淫靡さを出させる。ひょっとこお面の革命だ。

ひょっとこDIY

本の手順に従ってお面を作ってみよう。 おおまかな過程は、

1.ダンボールで顔の土台を作る
2.土台に粘土でひょっとこの顔を造形
3.粘土に和紙を貼っていく
4.乾いたら色を塗って完成


となっている。 まずはダンボールで顔の土台を作るところから。
お面の設計図を拡大コピーしてダンボールに書き写す。
お面の設計図を拡大コピーしてダンボールに書き写す。
切り抜いたら瓶とかで押しつぶす。これでダンボールが折り曲げやすくなるそうだ。
切り抜いたら瓶とかで押しつぶす。これでダンボールが折り曲げやすくなるそうだ。
土台完成。
土台完成。
この土台の上に粘土を盛っていき、ひょっとこの顔を作らなければならない。
途中まで普通の顔で、4枚目で突然のひょうきん者。
途中まで普通の顔で、4枚目で突然のひょうきん者。
粘土を触るなんて十数年ぶりだし、まして人の顔を作るなんてかなり難易度高いんじゃなかろうか。緊張する。
これが、
これが、
こうなるイメージで。
こうなるイメージで。
ところで参考用に買ったひょっとこのお面を使ったライフハックを思いついたので紹介したい。
ひょっとこの口に穴を開ける。
ひょっとこの口に穴を開ける。
そして扇風機にかけると、ひょっとこの口から風が出てまるで吐息に!
そして扇風機にかけると、ひょっとこの口から風が出てまるで吐息に!
そんなことより早くやりなさい(朝になってる)。
そんなことより早くやりなさい(朝になってる)。
いったん広告です

粘土から生み出されるひょっとこ

適当に盛っていくだけでも顔らしくなってくれる。
適当に盛っていくだけでも顔らしくなってくれる。
火星の人面岩みたいになった。
火星の人面岩みたいになった。
土台がちゃんとしてるのでただ粘土を盛っていくだけでも顔になってくる。 特に鼻と目が出来てくるとだいぶ人の顔らしい。

さらに特徴的なおちょぼ口も作ったら、もう一気にひょっとこになりそうだ。
キン肉マン?
キン肉マン?
なぜか別のキャラクターが出てきた。大丈夫だろうか。 最終的に出来たお面が版権もので掲載不可とかにならないだろうか。

でもがんばって整えたらなんとかひょっとこらしくなった。
分かりやすいように黒目を入れてみよう。
分かりやすいように黒目を入れてみよう。
「ウェッ!」
「ウェッ!」
ひょうきんなひょっとこというより、腹にボディブローを食らったみたいで苦しそうな顔だ。口からなにか吹き出しそう。
あと勝手に毛が生えてた。波平か。
あと勝手に毛が生えてた。波平か。

キス直前の顔にする

苦しそうな顔だが、一応基本となるひょっとこの顔は出来た。 ここから独自の要素「キスする直前ひょっとこ」にするため、目を閉じさせた顔にしよう。
目玉にまぶたを重ねていく。
目玉にまぶたを重ねていく。
想像してたのとちょっと違うんですけど。
想像してたのとちょっと違うんですけど。
もう少し明るい雰囲気のセクシーな感じを想像してたのだが、 ひょっとこの顔をやたらリアルなおっさん風に整えたら かなりじっとり湿った感じのセクシーになってしまった。黒紫の吐息をしそうだ。

紙張りの作業×10

これで粘土の原型は完成。次は実際のお面になる和紙を貼っていく作業である。

ちぎって水に濡らした和紙をひょっとこの顔面に満遍なく貼っていく。
でも和紙は高いので障子紙で代用。
でも和紙は高いので障子紙で代用。
「うひょーたまらんですわ」
「うひょーたまらんですわ」
「フゴッ(窒息)」
「フゴッ(窒息)」
紙張りの一段目は、粘土とお面が外れやすくするため水だけで貼っていき、 2段目からはボンドを塗って貼っていく。
絵の具のように筆でボンドを紙に塗る。
絵の具のように筆でボンドを紙に塗る。
コールドスリープに入りました。
コールドスリープに入りました。
この紙張りの作業、いったいどれくらい紙を重ねればいいかというと、本には最低でも10回と書いてある。え、10回?

作業自体も結構手間な上に重ね張りするときは完全に乾いてからじゃないといけない。 1回の紙張りにかかる時間は乾き待ちを入れて約2時間。かなりきつい。

でも本にもそういう手間ひまを惜しむようではお面作りはあきらめた方が良いと辛辣なことが書いてある。ここはがんばってやってみよう。
!
すみません、6回でギブアップさせてもらっていいでしょうか。

言い訳させてもらうと、本では薄い和紙を使った場合で、今回は少し厚い障子紙を使ってるからむしろちょうどいいと思うのだ。本にも紙によって加減してくださいと書いてあったから。
いったん広告です

紙パックからの生還

6枚ばりであきらめたところで十分に乾かしたら、いよいよ粘土かお面を取り外す。
猫耳みたいなの出来てる。
猫耳みたいなの出来てる。
取り外したところ。
取り外したところ。
満身創痍。
満身創痍。
粘土の原型、無事に外せたらもう一枚お面を作ろうと思ってたのだが、 うまくいかずに右から思いっきり殴られたみたいになった。でもこれはこれで違うお面が作れる。バイオレンスひょっとこ。

さてお面だけになったら、裏面もよく乾かしてから鼻や口に穴を開けていく。 ただ紙を貼っていく段階でなんとなく予期していたのだが、
やっぱりスケキヨになった。
やっぱりスケキヨになった。
怖い。こんなのが祭りで大量に踊ってたらどこの密教かと思う。

不気味から愉快になっていく過程

夜が明けてさらに増すスケキヨ感。
夜が明けてさらに増すスケキヨ感。
補強のためにさらに一晩じっくり乾燥させたらいよいよ最終工程の色塗りである。 ここでなんとかひょっとこらしいひょうきんな雰囲気に持っていきたい。
肌色でひょっとこへの大変身を期待。
肌色でひょっとこへの大変身を期待。
期待はずれ。
期待はずれ。
人間らしくなった分だけより怖くなっちゃったじゃないか。

仕方ない、これは塗る予定はなかったのだが、真っ赤な口紅を塗って強引にセクシーに近づけてみよう。
吉と出るか凶と出るか。
吉と出るか凶と出るか。
末吉ぐらいにはなった。
末吉ぐらいにはなった。
まだ怖い。とにかくなんで怖いかというと、眉毛がないからだ。 眉毛を書き込もう。
眉毛はマジックで書き込める。
眉毛はマジックで書き込める。
「もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対」
「もう恋なんてしないなんて言わないよ絶対」
キャプションと写真は一切関係ありません。なんとなく浮かんだだけです。
鼻毛も重要なファクター。
鼻毛も重要なファクター。
他にもいろいろ描き込んでようやく納得のセクシーひょっとこになった。
他にもいろいろ描き込んでようやく納得のセクシーひょっとこになった。
一般的なセクシーとはなんか違うのは、それがひょっとこだからです。
一般的なセクシーとはなんか違うのは、それがひょっとこだからです。
赤い唇、うつろな目つき、頬を染めるチーク、無垢な鼻毛。こうやって挙げるとセクシー要素満載である。近くでじっと見てると、このひょっとこが女性に見えてきた。粘土の段階ではあんなにおっさんだったのに。
いったん広告です

キス魔参上

ようやくキス直前ひょっとこが完成したので、 これを使って情けない遊びをしよう。
ただ立っているだけでもふざけて見えるのがひょっとこの魔力。
ただ立っているだけでもふざけて見えるのがひょっとこの魔力。
それに加えてこのセクシーさ。
それに加えてこのセクシーさ。
いちいち書かなくてもいいことかもしれないが、 お面の下はいつも通りの無表情です。
「まあ!キスしたいほどかわいい虫さんね!」
「まあ!キスしたいほどかわいい虫さんね!」
虫を吸い込んでる。
虫を吸い込んでる。
「あっ、あの方はひょっとして!?」
「あっ、あの方はひょっとして!?」
「源次さん!?(職業:ひょっとこ)」
「源次さん!?(職業:ひょっとこ)」
「どうしよう…!キスしたいっ…!」
「どうしよう…!キスしたいっ…!」
「えーいいっちゃえーっ!」
「えーいいっちゃえーっ!」
ドーン。
ドーン。
お口直しにかわいいアザラシの写真をご覧ください。
お口直しにかわいいアザラシの写真をご覧ください。

お面づくりは楽しい

今回作った物のしょうもなさは別として、 割と本格的なひょっとこお面が自分デザインで作れたのはうれしかった。 これからお面作りを趣味にしても良いかなと思う。

ダンボールの土台と粘土は何度でも使い回せるので、 今度は目が一つのサイクロプスひょっとこでも作りたい。
また虫を吸い込んでる。
また虫を吸い込んでる。
▽デイリーポータルZトップへ

banner.jpg

 

デイリーポータルZのTwitterをフォローすると、あなたのタイムラインに「役には立たないけどなんかいい情報」がとどきます!

→→→  ←←←

 

デイリーポータルZは、Amazonアソシエイト・プログラムに参加しています。

デイリーポータルZを

 

バックナンバー

バックナンバー

▲デイリーポータルZトップへ バックナンバーいちらんへ