まず、耳なし芳一とは
平家物語の弾き語りが上手な琵琶法師が平家の怨霊に気に入られてしまい、命を救うために工夫するが結局耳をとられてしまう話である。
芳一を救うために工夫するのは和尚である。
なので和尚から芳一への提案資料となる
お話としては、寺に芳一という盲目の琵琶法師が住んでいる。 和尚がいない夜に武士がやってきて、芳一を高貴な殿様の屋敷に連れて行ってしまうのだ。
ホイホイついて行くなよと思うが原作では武士が相当怖いのでしかたない。
その屋敷で芳一は平家物語をリクエストされる。
現状を分析するとこうなります
この身分の高い人たちが実は平家の怨霊なのだが、死んでるのに自分たちが滅びる壇ノ浦のパートをリクエストするのだ。
ツイッターで自分の名前を検索するようなものである。
よく分らないでSWOT分析というのを使ってるので真に受けないでください
その平家物語がバカウケする。オーディエンスはむせび泣くわ取り乱すわで酸欠ライブ状態である。そして高貴なお方は芳一にあと6晩来てくれと頼むのだ。お屋敷7DAYS公演である。
オーディエンスはみな怨霊
ただそこで和尚が不審に思うのである。なんであいつは毎晩出かけているのかと。 しかし芳一に聞いても答えないので(口止めされていたのだ)和尚は下男に芳一のあとをつけさせる。
寺男と書くともじゃもじゃの人を想像してしまうのは「男はつらいよ」の影響だろう
ついて行った寺男が見たのは墓でひとだまに囲まれて熱演する芳一であった(かっこいい!)。かっこいいというのは僕の感想だが和尚の予見は真逆だった。このままだとお前八つ裂きにされるぞと言うのだ。
般若心経で見えなくなるご提案
そこで和尚のソリューション提案である。
「般若心経を全身に書いておけば怨霊から見えない」という提案。
光学迷彩みたいなものだろうか。
提案どおり日没までに大急ぎで芳一の身体に般若心経を書くことにした和尚。和尚がそばにいてあげればいいのにと思うのだが今晩は法事で行けないと言う。この和尚が実は平家とグルなんじゃないのと思ったがそういう伏線ではなかった。
提案書も最後に近づいてきたのでスケジュールの登場だ。
般若迷彩(そう呼ぶことにした)で見えなくなっているので絶対に声を出してはならない。脇の下や足の裏など筆で文字を書かれてさぞかしくすぐったかっただろう。
締めはがっちりと握手。和尚と芳一である。
ここから先は般若心経を書き残した耳を取られてしまう有名な展開である。
武士が芳一を呼びに来るが琵琶と耳しか見あたらない。それだけでも不自然なのに、武士はしかたなく耳だけ持って帰るのだ。琵琶を聴きたいのに耳を持ってこられた殿様の反応が知りたいが原作には書いてなかった。僕だったら怒る。
耳を失うという結果になってしまったが、それをフォローアップでどのように報告するか。次のページで結果報告のパワポです。
いいことから言っていこう
ちょっと気が重い報告ではある
いきなり達成感のある話から始めちゃう
耳を隠せなかったのだが、逆に言えば耳以外は隠すことができたのでそこを前面に持ってきた。通常比98%とお客様満足度のような数字でアピール(98%は適当です)。
困ったときのソーシャル頼み
耳なし芳一はもともと中国地方に伝わる物語でそれを小泉八雲が紹介しているので、いまの言葉でいえばキュレーションだ。
バズでバイラルしてソーシャルでした♪と妙にカタカナ使ってごまかしているのは次のページが反省点だからである。
そして耳の話
ブルー・ベルベットという映画でも耳だけ持ち帰っていた
翌朝、芳一の姿を見た和尚は「私が悪かった!」と詫びるのだが、そのすぐあとにまあ喜べ!あんな来客はもうないからと言い放つあたり、和尚のプレゼン能力はかなり高そうだ。
ちなみにこのあと芳一の怪我はすぐ治り、むしろそのことで評判があがって客がたくさんきて金持ちになるという一杯のかけそば的な展開となっている。
サスティナビリティで次回もよろしく!
こんな資料を配りつつ打ち上げを計画するが全員のスケジュールが合わなくて3ヶ月経ってしまい、すっかりなんのプロジェクトだったか忘れてるのはサラリーマンあるあるである。
耳なし芳一まつりに行きたい
資料を作るために小泉八雲の作品をなんども読んだのですっかり気に入ってしまった。
耳なし芳一の舞台となったお寺、阿弥陀寺(下関)では耳なし芳一まつりが7月に開催されるそうだ。おみやげに耳キーホルダーや耳まんじゅうなどを期待したがそういうのはないようだ。
クリップアートの人を拡大したら般若心経だったら怖い
このパワポのもとになった怪談.pptはまた開催するようなので興味のあるかたは
フェイスブックページなどを見ておいてください。