東京土産かどうかは見た目が9割
まず代表的な東京土産を見て、東京土産らしさを探ろう。
こういうところで買ったことない。
実家に住んでた頃はエッセイストだと思ってました。
東京駅限定の文字が問答無用で東京土産を主張してくる。
安定の雷門と人形焼。
これは東京かどうか分かりません。
ザッと見た感じ、最近のトレンドなのか無地の紙にシンプルなイラストが載ってるものが多い。
ただどれも共通しているのは、表紙に「東京」の文字が入っていたり、 東京の観光地の絵や写真があること。これが東京土産が東京土産たる所以かもしれない。
やり方としては、 似顔絵に名前を書いて本人と言い張るのとちょっと似てる。
やっぱりスカイツリー
東京土産には東京の観光地の写真、ということで当然のことながら 今年開業したスカイツリー土産も多い。
表紙も洗練されている。スネ夫が町内に配りそう。
東京、スカイツリー、カレー味。ひとつ関係ないのが紛れ込んでないか。
東京土産として有名なひよ子がスカイツリー効果でこれ以上ないくらい東京土産に。
中身とあまり関係ないんじゃないか、と思うものでもとにかくスカイツリー。 確かにこれが載ってるだけで問答無用で東京土産の感じがする。 スカイツリーはおみやげ界における黄門様の印籠のようだ。
コンビニの煎餅を東京土産にデザイン
ということで調べた結果、もといおみやげ売り場をブラついた結果、東京土産のように見せるには、
・TOKYOや東京限定とか書いてある
・観光地の写真が載ってる
・キャラクターのイラストも多い
・スカイツリー
これらの要素をいくつか満たせば自然と東京土産になりそう。 さっそくコンビニで適当な煎餅を買ってきて以上のことを守りながら表紙をデザインしてみた。
このコンビニの煎餅(198円)が、
128年の伝統を持つ浅草名物の東京土産に!
雷門にスカイツリー、そして力強い東京限定、浅草名物の文字。
東京土産の必須要素を入れたらメインのお菓子を中央に添えたら、あとはウソもいいとこな適当なこと書いてどこからどう見ても東京土産である。
お菓子は個包装で
あのデザインのことははひとまず置いといて、 まず中身のお菓子と箱をどうするか考えよう。
参考かつ保険用。
お店を冷やかしただけでは分からない中身の研究用に本物の東京土産を購入。
あといくら試す相手が両親でもさすがに怒られる可能性があるのでそのとき保険である。
高級感のある個包装。
そういえばお土産みたいな高級お菓子は一つ一つ個包装であることが多かった気がする。 これも東京土産らしさの要素かもしれない。
お菓子選びに関してはその点を重視して探してみることにしよう。
あ、コレ。
ほとんど同じじゃないか。
いま新たな東京土産が雑に誕生した。
これはセブンイレブンで見つけた一個53円のお菓子。 個包装であることといい、俵型のケーキであることといい、買ったおみやげに 似ていたので入れ替えてみたのだが、それだけでもう良い感じのお土産に見える。
やはり個包装というのはかなり大事そうだ。
なので個包装されてる煎餅を選びました。
しかしムリがある。
お土産といえば煎餅、そして個包装。 ということでソフトサラダを選んでみるも、 袋自体に名前が書いてあるから正体バレバレだ。
そもそも普段のおやつとしておなじみすぎはしないか。 これで東京土産として騙せたら企画は成功だけど親が不憫すぎる。
そこでセブンイレブンの煎餅にしました。
これならムリがない。
もう一つ選んだニセ土産お菓子は七尾のフレンチパピロ。 個包装であることと、食べたかったから、が主な決め手である。
問題はフレンチをどう東京と言い張るか。(買ったとき考えてなかった)
神様が箱をくれました
東京土産とする適当なお菓子はこれでいいだろう。 次の問題は菓子を詰める箱だ。これは百円ショップでそれらしいものを調達しようと 町に向かっていったのだが、
閉店したお菓子屋がまさに箱を配布してる。
ドッキリカメラを警戒しながら箱を頂戴しました。
もちろんドッキリでもヤラセでもなく、 単なる神様からのご褒美である。
だとしたらしょぼすぎるからそれもイヤだ。
とはいえ箱問題はあっという間に解決したので、 次は肝となるパッケージのデザインをしよう。
デザインしました
東京土産らしい表紙にするには最初に調べた、
・TOKYOや東京限定とか書いてある
・観光地の写真が載ってる
・キャラクターのイラストも多い
・スカイツリー
の点を守ればだいたい大丈夫なはず。そんなわけでこんな感じにそれぞれ作ってみました。
青空背景の投げやり感がベタなお土産感があると思う。
ひよ子みたいなイラストを描こうとして描けませんでした。
これはキレイに出来た。634の数字はもちろん何の意味もありません。
こう見るとフレンチパピロに比べて煎餅は適当すぎる。 でもそれぐらいの方がかえって60歳過ぎの両親には分かりやすいかもしれない。
そういえば箱の中にこういう紙ありますよね。
細部にだけこだわります。
3つ分作ったことを、
ただ見せたいだけ。
どこから見ても東京土産です
デザインした表紙をプリントしたら、箱の正面にデザイン面が来るよう慎重に包んでいく。
明らかに裏側の紙が足りてないけど大丈夫か。
それはそれとして、ついに完全なる新東京土産が誕生した。
全然違和感ない。
800円ぐらいで売れそう。
おぉかなり東京土産だ。 お菓子の元々の値段を考慮したらだいぶ高級ぽいではないか。 (せんべい198円、ふわふわケーキ53円、フレンチパピロ248円)。
これが東京土産として成立するなら大儲けである。(収入はないので儲かりはしない)
しかし裏側のアバウトさは突っ込まれる可能性大。
とはいえ本物と比べても遜色ない出来栄えだ。
実家に持っていきます
そしてこのニセ東京土産、ようやく札幌の実家に持っていく時が来た。 驚くことに、企画としてはここからが本番である。
いまだかつてないお土産。
(…置いていきたい)
『心は重く沈んでいても、荷物だけは身軽です』を信条に生きている者としては かなりツラい物量だ。
でも両親の喜ぶ顔を想像したら苦にはならない。がんばって持っていこう。
いやニセの東京土産で欺こうとしてるんだった。がんばれない。
船旅で実家へ
茨城の大洗から
船に乗って
北海道を目指します。
出演者のいないカメラ視点の旅番組でよくある構図を意識しました。
母親からの前ふり
そういえば移動中に母からこんなメールをもらっていた。
「たまには東京のお土産をお願いします」
去年は白い恋人買っていたからなあ。
船内には札幌や関東のお土産を扱ってる売店があり、 去年はそこでお土産を選んだのだが、「自分が食べたいから」という理由で白い恋人を買っていったことをまだ覚えてたらしい。
今回はちゃんと(ニセ)東京土産持ってきました!
ダブルトラップ作戦
ようやく実家のある駅までやってきて、 ここでふと心配になった。
それはお土産が多すぎるのではないかということだ。
長旅でやや紙がくたびれているニセ東京土産たち。
普段1個か2個程度のお土産を買ってこない息子が 突然4個も持ってきたら、なにか悪いことで稼いだ金で買ってきたのではないかと 疑われるかもしれない。
そこでこんな作戦を考えた。
まず最初にこの2個を出す。
バレたところですかさず本物と偽物を出す。
初めにニセ東京土産のセットを渡す。 どの辺りで偽物だと分かるか不明だが、 煎餅なんかは本当にただの塩煎餅である。 たぶんすぐバレるだろう。
バレたところでネタ晴らし、こっちが本物の東京土産でしたーと、 本物とニセ東京土産を一緒に渡すのだ。
片方は本当の東京土産であることと、まさか二回目はないだろうという安心感で、 成功率120%間違いなしである。
この袋は見られないように。
ニセ東京土産を渡す
玄関を開けて両親と軽く挨拶(…うん、とか)をした後、 居間のテーブルにニセ東京土産を置いた。いったい両親はどんな反応をするのか。 緊張の一瞬だ。
「あんたそのカメラ新しいのかい?」(顔は隠せと言われました)
玄関を開けてからずっと撮ってるから、そっちの方に気がいくのは分かる。
分かるが、いまはニセ東京土産の方をお願いしますよ。
「ああ東京土産かい(笑)。あんたいっつも北海道の土産ばかり持ってくるからさ」※去年だけです
「ほんと北海道の土産持ってくるからさ(2回目)」※本当に去年だけです
どんな反応をするかと思いきや、去年お土産に白い恋人を買ってきたことばかり言ってくる。そんなに根に持ってたのか。
気づかれない
そしてニセ東京土産はどうかというと、これが全然気づかれない。 表紙を少し見たところで、なんの疑問も持たず紙をワシワシ取っていく。
圧倒的な紙の剥がれにくさに違和感を感じてほしい。
なんか妙な顔だが疑ってるわけではない。
母は祖母にニセ東京土産を分けにいってしまった。
普通に召し上がっております。
そして味に関しての感想も特にないまま、家族の話題は新しく買った冷蔵庫に移っていった。概ねいいけど製氷遅いのが不満だそうである。ふ、ふーん…。
結論:適当なお菓子でも東京土産になる
コンビニで適当に買ったお菓子を適当な箱に詰めて東京土産らしいデザインの紙に包み 実家の親に持っていったら、ものの見事に東京土産とごまかせた。
ただあまりにも疑う感じがなかったので、貧乏な息子を気遣ってなんでもないフリをしてる可能性もある。今度は石に東京土産と書いて持っていこうと思う。
ネタばらし
さすがに黙っておくわけにはいかないので、翌日ちゃんと本物の東京土産を渡しました。
お土産が増えたサプライズに泣いてるわけではなく、 また鼻毛を抜いてるわけでもありません。
聞くとあのニセ東京土産はさすがに少し疑問に思ったらしい。
箱に賞味期限が書いてないこと、 また煎餅の説明にポタポタ焼きましたと書いてあるのに砂糖醤油味ではないことなどからなんとなく変だとは感じたそうだ。
ポタポタは焼くときの擬音だから味とは関係ないだろう、と違和感を覚えた部分に違和感を感じつつ、完全に信じ込んでいたわけではなかったことに安心しました。
ダブルトラップとして出した片方のニセ東京土産は裏側ですぐバレました。むしろネタばらししたからバレた。