遠い花火の時代
手持ち花火という花火がある。小さな子供から大人まで誰もが楽しめる花火の種類だ。打ち上げ花火のように大きな音を立てるわけでもないので、近所の公園でも楽しむことができる。子供がこの花火をやっている様子は実に愛らしい。
大人の男性でも優しい目で見れば愛らしく感じる、こともない
しかしである。
火までの距離は近い。ちょっと手を伸ばせば届いてしまう。つまりやけどする可能性が高いのだ。近年は何でも規制されてしまう世の中。手持ち花火も危ないということで規制されてしまう可能性も無くはないのだ。
すぐ火ですよ!
さらに、恋人間で急に距離ができてしまうように、花火との距離が急にできてしまう可能性もある。あんなに近くにいた恋人が手の届かない存在になるように、手を伸ばせば届いた花火が手の届かない存在になってしまうのだ。何が起こるかわからない時代だ。そのような可能性も十分に考えておく必要がある。
もうこんなこんなに近くにはいられないのである
そこで今後起こるやも知れない、上記のような問題を解決した新たな花火をご提案したいと思う。このスタイルで花火をすればやけどをする可能性はもはやない、と言ってしまってもいいかもしれない。
これが新たなる花火のスタイルです!
離れた距離で花火
新たなる花火のスタイルは、棒の先に花火が付いている。これなら手を伸ばしても火の部分には届かない。つまりやけどしないのである。また花火が手の届かない存在になっても大丈夫。文字通り花火との距離が離れ、花火が手の届かない存在になっているのだ。手元から花火までは約4メートルもある。すべて解決だ。
全然、火はつかないけれど
花火は暗いところで行うものなので、現場での光といえばロウソクくらい。ちなみにロウソクはライターで普通に付けている。ここでやけどする可能性はあるが、今回はそんな話はしていない。あくまでも花火の話だ。そして、この暗さのおかげで、ロウソクと花火との距離感が全くつかめず、花火に火が付かない状況になっている。
あと少し! という感じがするけれど、ここから1時間は火がつかない
棒は長いし、その棒が釣竿というのも手伝ってしなる。その結果、全然火はつかない。肩がこるだけ。こんなに静かな花火はそうない。もし今までの花火が規制され、この花火スタイルが法律で決まれば花火人口は、トキ以上に減ると思う。驚くほどに「楽しい」という感情が無いのだ。修行、それが一番しっくりと来る。
ただ付くと嬉しい(すごい笑顔)
ただし付いた時の喜びは今までの花火では体験できなかったものになる。すごい達成感。いつもより花火が美しく感じた。
矢を遠くに飛ばそうと思うと、矢が飛ぶ方向とは逆に弓を力いっぱいに引く必要がある。まさにそれで、点火に時間をかけたおかげで(弓を引いている状態)、遠くに矢が飛んでいったのだ。
その結果が笑顔。努力は報われるのだ。そういう教訓がこの花火にはあると思う。
綺麗じゃないですか!
脱法花火
法律には抜け穴というものが存在するらしく「脱法」というものが存在する。この花火もそうで、4メートル以上の棒を使い直接手で持たずに花火をする、という法律ができても、きっと脱法花火が横行することが予想される。なので、先にその脱法花火を紹介したいと思う。
これです
先の花火と比べると花火との距離が近づいていることが分かると思う。もちろん4メートル以上の棒を使い、花火を直接持ってはいない。
これはこの棒が釣竿というのを逆手にとってリールを使っているのだ。リールから糸を出し、釣竿に通して糸の先に花火を付ける。これで花火との距離は近くなる。この法律を作った人も「なるほど」と唸るのではないだろうか。
リールを使っています
この方法ではロウソクまでの距離が近いので、先と比べればグンと距離感は掴みやすくなる。ただその反面、風や手の振動で先っちょの花火が揺れて全然静止しない。その結果、花火はロウソクの上に行かず、火は付かない。やっぱり肩がこるだけである。
全然つかない
カップルで花火は現在では普通だけれど、もしこのこの方法で花火をしなければならなくなれば、回転寿司でサーモンが回っている確率よりも高い確率で喧嘩して別れると思う。この花火イライラしかないのだ。ひと夏の恋、というものは絶滅するだろう。仲良くできる要素がないもの。長い棒を持って喧嘩する夜のカップル。通報される。
1時間以上かかって、(ちなみに矢印が棒の先端)
点火!
美しい火の玉が完成した。やはり脱法花火であっても、先と同じくらい時間がかかったので嬉しい(もはや脱法の意味はないけれど)。そして、いつもより花火が美しく感じられる。肩の凝りと比例して花火の美しさが増して行くのだ。さらに経済的。2時間で2本しか花火をしていないのだ。花火をしたがる子供がいる家庭にもオススメだ。
そして2本でヘトヘトになる
花火であって花火でない
この方法を使えばやけどの可能性は低くなる。それは間違いない。だって花火をしているのに、「離れたところからロウソクの火を見る会」のようになっていて、もはや花火ではないからだ。こんな不自由な社会にならないように、今後も火に気をつけて花火をやっていきたいと思う。
遠くでやっている打ち上げ花火を見ている感じも楽しめる!