特集 2012年8月14日

看板メニューを看板にする店、それはココス

看板を超えてもはや「碑」のようにすらなっているココスのでかいハンバーグ看板
看板を超えてもはや「碑」のようにすらなっているココスのでかいハンバーグ看板
ファミレスチェーンのココスといえば何を思い浮かべるだろう。

テーブルに運ばれてから自分で焼き付けられるのが人気のハンバーグか、限定された店舗でだけ楽しめる朝食バイキングか、キャラクターであるドラえもんまわりのキャンペーンも熱い。

ただ、そういった楽しみはほかのファミレスにだってあるだろう。ココスには、ココスにしかない特徴があるのだ。

それが外壁に鎮座する「看板メニューの看板」である。
1979年東京生まれ、神奈川、埼玉育ち、東京在住。Web制作をしたり小さなバーで主に生ビールを出したりしていたが、流れ流れてデイリーポータルZの編集部員に。趣味はEDMとFX。(動画インタビュー)

前の記事:むしろ酢豚のパインを食べよう

> 個人サイト まばたきをする体 Twitter @eatmorecakes

静かな迫力が魅力

壁に大きく掲げられたハンバーグの写真が静かな迫力をかもし出す。

最初みたときは、ぱっとスルーしてもう一度見た。人に二度見させる看板、それがココスの看板だ。
ここ!
ここ!
なんというかもう、ただただハンバーグの写真がかかげてある。鴻巣店
なんというかもう、ただただハンバーグの写真がかかげてある。鴻巣店
実はこの「ココスは看板メニューをそのまま看板にしている」というネタは以前にもコネタとして紹介しており、上の写真はそのときのもの。

ココスは看板メニューがまさに看板になっている

この看板、いまだに「おいしそうだな」と思いつつやはりちょっとヘンで、面白く感じてしまう。

だって、街中に急に静かにでかいハンバーグが現れるのだ。インパクトがじわじわくる。

コネタだけでは飽き足らない気持ちが4年たってもおさまらず、今回はめいっぱいココスを見て歩くことにしたのだった。
ちなみにあらためて他チェーンを見ても、ココスのような表現方法はみかけない
ちなみにあらためて他チェーンを見ても、ココスのような表現方法はみかけない
メニューの写真はあっても、文字が入っていて広告的要素が強い
メニューの写真はあっても、文字が入っていて広告的要素が強い
デニーズのこちらの店舗は写真すら見かけなった
デニーズのこちらの店舗は写真すら見かけなった
華屋与兵衛もメニューののぼりが立つのみ
華屋与兵衛もメニューののぼりが立つのみ
背景画像のような風情で食べ物を大きく打ち出すことはよくある
背景画像のような風情で食べ物を大きく打ち出すことはよくある
が、ココスの写真ような主張は一切ない。気配を消しているといってもいい
が、ココスの写真ような主張は一切ない。気配を消しているといってもいい

1日で効率よくココスをめぐるという酔狂

ココスの看板を見て歩くのに際し、自分的に交通が便利な東京と神奈川のココス店舗から効率よく1日で回れそうな店舗を抽出、さらにストリートビューでハンバーグ看板の有無を確認した。どうやら、ハンバーグ看板がない店舗もあるようなのだ。

1日で効率よくココスのハンバーグ看板をめぐる計画を、電車の乗り換え時間等も含めてがっちり組み立てた。

初めて降りるような駅もココスだけを見て(ココスの中には入らず)次の街へと移動する。ファミレスの外観だけを暴れ見するわけである。ここまでの酔狂もちょっとなかろうと思うと誇らしい。

綿密な計画の甲斐はあった。「そうきたか!」というようなハンバーグ看板もたくさん見ることができた。

早速ご紹介していきましょう。
まずお勧めしたいのが、こちら、日吉店
まずお勧めしたいのが、こちら、日吉店
道路沿いに迫り来るようにハンバーグ。遠近感的に、対向車線から眺めるとちょうど「食べている人目線」になる
道路沿いに迫り来るようにハンバーグ。遠近感的に、対向車線から眺めるとちょうど「食べている人目線」になる
看板は車道ぎりぎりに設置されており、信号待ちで車を横に付けると車窓いっぱいのハンバーグを拝める。なんだそれ
看板は車道ぎりぎりに設置されており、信号待ちで車を横に付けると車窓いっぱいのハンバーグを拝める。なんだそれ

道路上に突如現れる写真作品

めぐっていて、ココスの看板メニューのスタンダードだと思わされたのがこの設置方法だ。

店の外壁に道路に面するように写真が設置されている。

よく見ると、写真の額はデザインされた石の台座に乗っていることがわかる。

「広告」というよりもむしろ「作品」のような扱いだ。

このハンバーグ看板の面白さは、ハンバーグがなにか威厳を持っているように見えるところにあるのかもしれない。
どうかという主張。こちらは編集部安藤より写真の提供を受けた茅ヶ崎松が丘店。陰影から台座の石のデザインがよくわかる。さらに店名のロゴも真上にある非常に美しいココス
どうかという主張。こちらは編集部安藤より写真の提供を受けた茅ヶ崎松が丘店。陰影から台座の石のデザインがよくわかる。さらに店名のロゴも真上にある非常に美しいココス
台座の石、なんかちくちくしてるっぽい
台座の石、なんかちくちくしてるっぽい
こちらは港北ニュータウン店。レイアウトをすこしずらしてきた。こういった一見こだわりのないような設置も気になる
こちらは港北ニュータウン店。レイアウトをすこしずらしてきた。こういった一見こだわりのないような設置も気になる
ハンバーグ看板を道をゆく人目線で見てみよう
ハンバーグ看板を道をゆく人目線で見てみよう
なんとなく歩いていると
なんとなく歩いていると
急に右側から
急に右側から
ハンバーグに襲いかけられる
ハンバーグに襲いかけられる
どーん
どーん
でかい!
でかい!

背景に溶け込まないこの押し出しの強さ

チェーンのファミレスというのは、なににしろ「普通」というのがセオリーだと思っていた。味は「普通に」おいしく、値段も「普通」、外装も内装もおしゃれでもださくもなく「普通」。そういうものなのではなかったか。

利用する人の日常に「普通」にとけこむことができるのがファミレスのすごいところだと思うのだ。

しかしこの看板である。ハンバーグの押しの強さ、決して背景には溶け込まないぞという意思。ファミレスのセオリーを大胆にほんの少しずらしているように感じる。

さらに私は全く気づかなかったのだが、先の写真を提供してくれた編集部安藤から「ココスは夜もすごいですよ」との情報が入った。え、そうなんですか。
って、本当だ! あの看板、光るのか!
って、本当だ! あの看板、光るのか!
暗闇に光まくるハンバーグ。茅ケ崎町屋店
暗闇に光まくるハンバーグ。茅ケ崎町屋店

外壁への設置でなくても、ハンバーグは主張する

変だ。やっぱり変だよ、これは。もちろん悪い意味での変ではない。いわゆるファミレスの「普通」ではないということだ。

夜景のどえらさも加わってココスの看板の魅力について、おおむねはわかっていただけたのではないか。

畳み掛けて、今回ココスを巡りハンバーグ写真の設置や雰囲気がここまでの紹介ではとどまらないことが判明した。

ココスにはこれまでに紹介したような平屋の造りではない店舗も多数ある。そして、そういった店も果敢にハンバーグ看板を設置しているのだ。

この無理やり感がまた泣かせるのである。続いて紹介していきましょう。
いったん広告です

たとえば、角に写真を持ってくるケース

こちらは冒頭でも紹介した鴻巣店。ロードサイド店ではあるが道路に水平に面して設置するのではなく角にもってきている。

よく、曲がり角の余白に石を埋めているような家があるが(当サイトでも記事になっていました)、あの石へのココスからのアンサーである。
風水的にもすごく強そうな設置位置
風水的にもすごく強そうな設置位置

ピロティ店舗は高々と掲げる

ロードサイド店でも平屋のつくりではなく1階を駐車場に、2階を店舗にしたピロティ式の店が都心などでは多い。

その場合、平屋店舗のような柵に写真を設置することが難しくなってしまう。

どうするか。こうするのだ。
バルコニーの側面に掲げる。ここが天安門広場だとしたらハンバーグは毛沢東という位置づけである。世田谷弦巻店
バルコニーの側面に掲げる。ここが天安門広場だとしたらハンバーグは毛沢東という位置づけである。世田谷弦巻店
ちなみに上の写真は2008年ごろに撮影したもの。

この頃ハンバーグ看板として登用されていたのはメニューのなかでも「包み焼きハンバーグ」が多かったように思う。
現在も人気メニューのひとつだそうです
現在も人気メニューのひとつだそうです
しかし、今回めぐっていて多くみかけたのは四角いビーフハンバーグステーキだった。

一押しメニューは変わりながらも、脈々とハンバーグ看板を設置する文化だけはココスのなかで守られたということだ。
こちらが現在ハンバーグ看板になっているビーフハンバーグステーキ
こちらが現在ハンバーグ看板になっているビーフハンバーグステーキ

意地を見せるハンバーグ看板

さて、時をこえて健在のハンバーグ看板であるが、店舗の出店場所が変則的でもまた健在だった。

こちらは品川大井町店。この店舗はホテルの低層階に入居しているのだが、それでも意地を見せてのハンバーグ看板である。
店舗ロゴの隙間を縫ってハンバーグ
店舗ロゴの隙間を縫ってハンバーグ
そうまでして押すか
そうまでして押すか
若干、額に収まっている感は薄れるが、それでも堂々たるハンバーグぶり。

さらにこちらは綱島店。綱島駅の近くにあるだけあって、街中への出店である。ロードサイド店に見慣れると「こんなココスもあったのか!」と驚くような活気あふれる外観だ。
こんなごちゃっとしたココス、はじめてみた
こんなごちゃっとしたココス、はじめてみた
右側に回ると、ココスとしては見慣れない文字入りの写真が。これはちょっとハンバーグ看板とはちょっと違う……
右側に回ると、ココスとしては見慣れない文字入りの写真が。これはちょっとハンバーグ看板とはちょっと違う……
こちら、「ハンバーグ」「スパゲッティ」「ドリア」など、文字入りの写真がインパクト強く並べられている。

どうやらココスのなかでも限られた店舗でドリアやハンバーグ(ここでいうハンバーグは今回追っているハンバーグ看板とは違うもの)、パスタなどを「480円メニュー」として提供している店舗があるようだ。

そういった店舗では表に写真+文字の看板を強めに打ち出しているところがあるようだった。

では例のハンバーグ看板はないのか。
いや、ある!
いや、ある!
こんなはじっこに追いやられながらも、ハンバーグ……!
こんなはじっこに追いやられながらも、ハンバーグ……!
ちなみにこちらの店舗はかつてなく酒推しであった
ちなみにこちらの店舗はかつてなく酒推しであった
「480円メニュー」に押されながらも堂々とハンバーグ看板は掲げられていた。

そうまでして……と思うと同時に、さきほどまで台座にまで乗って「碑か!」とまで言われ光り輝いていたハンバーグの写真が急に不憫にも感じられてくる。
なお、立会川店では「480円メニュー」におされてハンバーグ看板写真の姿はなかった……
なお、立会川店では「480円メニュー」におされてハンバーグ看板写真の姿はなかった……
立会川店の近くには、外国人のみなさんが歌いまくっている外装のカラオケ店ならあった
立会川店の近くには、外国人のみなさんが歌いまくっている外装のカラオケ店ならあった
欧米の方々がカラオケしてる写真のフリー素材があるのかな
欧米の方々がカラオケしてる写真のフリー素材があるのかな
立会川店の様子は残念だったが、がっかりしなくても大丈夫なのがココスのハンバーグ看板なのである。

立会川店からきびすをかえし、立会川駅から京急本線に乗って京急蒲田方面へ3つ、大森町駅で下車してすぐの大森東店ではさらなる意地を見せていた。
そして綱島店の近くには看板の看板があった
そして綱島店の近くには看板の看板があった
いったん広告です

建物としてもかなりがんばっているココス

大森東店は高架も走る大きな通りに面し、上階にはマンションがありながらさらにピロティ式になっているという、建物の構造からしてもかなりがんばっている感じの店舗。

高架にさえぎられて遠目で見えにくい店舗だからか、自然と のぼりや文字看板などのアピールにもはげしさが見える。
ココス大森東店
ココス大森東店
2Fの店舗に上がる階段の側面にかなりむりやりメニューの看板がとりつけられていてアピールしている
2Fの店舗に上がる階段の側面にかなりむりやりメニューの看板がとりつけられていてアピールしている
例のハンバーグ写真かと思うが、文字が入っているため雰囲気がだいぶ違う
例のハンバーグ写真かと思うが、文字が入っているため雰囲気がだいぶ違う

隠しているのではという設置

ぱっと見、立会川店のように文字で攻めてくる看板がひしめいており、「作品だ」「碑だ」とさわいできた例のハンバーグ看板が掲げられる隙はないように思われた。

うーん、残念だけど仕方がないよなあと次の店舗へ向かおうとしつつも、一応、2階の店舗部分を覗いた瞬間だ。
ハンバーグと、目があった
ハンバーグと、目があった
いらした!
いらした!
こんな隙をぬってのハンバーグ看板。隠しているのではとも思える設置である。これにはちょっと感激した。

しかも写真は今や珍しいともいえる四角いビーフステーキハンバーグではなく、包み焼きハンバーグのほうだ。

ココスのハンバーグ看板の真髄はやはり平屋のロードサイド店にあるのは間違いないが、慣れてきたらこんなココスも味わい深い。

ハンバーグ看板めぐりに奥行きを出してくれた店舗であった。

しかし襲う危機

こうも各店がんばってハンバーグ看板を出しているのを次々と見せつけられると感激もひとしおであるが、一方でこの状況に危機を感じさせる店舗もあった。
港北ニュータウン店
港北ニュータウン店
あ! 文字が入っちゃってる!
あ! 文字が入っちゃってる!
こちらはロードサイド&ピロティ式の見本のようなココスであるが、なんとハンバーグ看板に文字が入っている。

文字のない静かな迫力こそがココスのハンバーグ看板の魅力なのだが、実は最近ではこの「文字入れ」の流れもあるようなのだ。

2007年ごろに包み焼きハンバーグ看板を目撃した(写真はなくしてしまった……)埼玉の飯能店は、近所に住む妹に近況を聞いたところ文字入りに変わっているという。なんと!
綱島のSガストが若干似たようなことになっていた(しかもこちらはご飯とお味噌汁というさらなるインパクトが)。このままだと、ココスよ、ガストにお株を奪われるぞ
綱島のSガストが若干似たようなことになっていた(しかもこちらはご飯とお味噌汁というさらなるインパクトが)。このままだと、ココスよ、ガストにお株を奪われるぞ
ココスの主張するハンバーグ看板、今回はこれからどうなることか分からないという結構ぎりぎりのタイミングで巡れたのかもしれない。
もちろん、ココス巡り中にはココスに入った。が、猛暑すぎてハンバーグを食べる気力がなく、スパゲッティーを頼んだのだった(でもスパゲッティもボリュームあった)
もちろん、ココス巡り中にはココスに入った。が、猛暑すぎてハンバーグを食べる気力がなく、スパゲッティーを頼んだのだった(でもスパゲッティもボリュームあった)
せっかくなのではめ込み画像にしてみようか。夏場はこんなスパゲッティ看板もいいかもしれないですな
せっかくなのではめ込み画像にしてみようか。夏場はこんなスパゲッティ看板もいいかもしれないですな

まずは近所のココスを見てみませんか

ちなみにココスはアメリカから上陸したブランドネームである。本場アメリカのココスはどんな外観なのだろうとストリートビューで調べたが、私が見た限りではハンバーグ看板のようなものは見当たらなかった。

日本独自のものだとしたらいよいよこれは見ものである。ぜひご近所にココスのある方は確認してみてください。

私も今後は夜景も含めていく先々で見ていくことにしたい。まだ見ぬ全国のココスよ、どうかハンバーグ看板をそのままに私を待っていておくれ。
一緒に記念写真撮ったがハンバーグがでかすぎていよいよ何がなにやらだ
一緒に記念写真撮ったがハンバーグがでかすぎていよいよ何がなにやらだ
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