特集 2012年8月11日

成し得たように見える写真を撮る方法

27歳にして家を建てました!
27歳にして家を建てました!
事業に成功した人、結婚した人、家を建てた人などを成し得た人と言う。この成し得た数が多い人が、いわゆる「勝ち組」というやつで、周りから羨望の眼差しを送られるわけだ。

しかし何者でもない僕らが、そう簡単に何かを成し得ることはまずない。家も建てなければ、事業で成功もしない。そこで、成し得たように見える写真を撮ってみようと思う。
1985年福岡生まれ。思い立ったが吉日で行動しています。地味なファッションと言われることが多いので、派手なメガネを買おうと思っています。(動画インタビュー)

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> 個人サイト Web独り者 彼女がいる風の地主恵亮

成し得るとは?

たとえば何かの競技で金メダルを取ったとする。その金メダルまでには様々な物語があったと思う。休む暇なく練習しただろうし、ケガに苦しめられたこともあっただろう。そんな苦しみに耐えた結果、金メダルを手に入れ成し得た人になったわけだ。
練習の積み重ね
練習の積み重ね
しかし、多くの人がそんな苦しみには立ち向かわず、金メダルを取ることもないだろう。それに練習すれば必ず取れるものでもない。周りに勝たなければならない。つまりそう簡単に成し得ることはできないのだ。そこで、成し得たように見える写真である。
金メダル取りました
金メダル取りました
どうだろう。成し得ている。この写真をパッと見せられればどう思うだろうか。金メダルを取ったんだ、と誰もが思うだろう。夏の太陽のように眩しい笑顔にスポーツドリンク、そしてバックは陸上競技場。金メダルを取ったことを疑う余地がない写真だ。
実際は買いました
実際は買いました
本当の僕は何も成し得ていない。金メダルも自分で買ったし、陸上競技場にいるが、いるのはトラックではなく、観客席。上手い具合に撮れば、成し得ていなくても成し得たように見えるのである。便利な世の中である。
もちろん誰も祝福していない
もちろん誰も祝福していない

家を建てました!

家を建てるとなるとお金がかかる。だからこそ家を建てた人は成し得た人と言える。同窓会などで家を建てたと言えば「すごいね~」や「おめでとう」と言われるだろう。家を建てるのはとても大変なことなのだ。
家を建てました!
家を建てました!
そこで上の写真だ。この写真を誰かに見せれば家を建てたんだ、と思うことだろう。「おめでとう」と言われ、成し得た人の仲間入りを果たせる。

ただ実際は全然知らない人の家だ。これも成し得たように見える写真なのだ。本当の僕は一戸建てになんて住んでいない。
本当はワンルームに住んでいます
本当はワンルームに住んでいます
全然知らない人の家の前で、腕を組んで自信たっぷりに「オレの家」みたいな表情で写真を撮れば、自分の家みたいな写真になるのだ。本当は全く成し得ていないのに、成し得たような写真。写真の中では億万長者も夢ではない。
別荘を買いました(本当は全然知らない人の家)
別荘を買いました(本当は全然知らない人の家)

プラダのバッグを買いました

成し得た者としてはブランド品の購入も外すことはできない。成し得た者はブランド品を持つのだ。しかし、成し得ていない人がブランド品を買うことは難しい。単純に高いからだ。しかし、写真だけなら簡単だ。
プラダでバッグを買いました
プラダでバッグを買いました
プラダでバッグを買ったように見えると思う。そうでないと、ここでバッグを持って写真を撮っている意味が分からない。もちろん実際はプラダのバッグなんて買っていない。100均で買ったバッグを持ってプラダの前で写真を撮っただけなのだ。

成し得たように見える写真とは、普通そんなことわざわざしないなろう、という常識を逆手に取った写真なのだ。しかし手間はかからないので誰もが勝ち組になれてしまう夢のような写真でもある。
バッグは100均で買った
バッグは100均で買った
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朝食はバタートーストです!

成し得た人が食べる物はやはり高級だろう。それらを成し得ていない人が食べるのは金銭的に難しい。しかし写真では簡単に成し得た人の仲間入りができてしまうのだ。
朝食はバタートースト(成し得た人の食事風景)
朝食はバタートースト(成し得た人の食事風景)
どうだろう。一見分かりにくいが成し得た人の朝食風景を捉えた写真だ。バターの箱がテーブルにあることにより、食パンにバターがぬられていることが分かる。そして、ミネラルウォーターを飲んでいる。生活レベルが高いことがうかがえる写真だ。
でも、本当はマーガリン
でも、本当はマーガリン
バターの箱がテーブルにあるが、本当はマーガリンを食パンにぬっている。バターは高いのだ。ちなみにテーブルのバターの箱は空箱である。

しかし、写真ではバターをぬっていると誰しも思うはずだ。そうでないと、テーブルにバターの箱があることの説明がつかない。そのような常識を上手いこと利用した写真が成し得たように見える写真なのである。

今後は空箱などは大事に取っておくことをオススメしたい。その習性が成し得た人から遠ざかる気がするが写真では役に立つ。
ミネラルウォーターは水道水です
ミネラルウォーターは水道水です

受賞しました

何かを受賞するというのも成し得たと言えることだ。その証拠に僕はもう27歳になるが、受賞という経験が全く無い。残念ながら成し得ていないのだ。いつも拍手をする側ばかりに僕はいる。そこで成し得たように見える写真である。
受賞しました。ありがとうございます
受賞しました。ありがとうございます
どうだろう。この写真を見せられたら「賞取ったの? おめでとう」という会話が絶対にあると思う。左胸にあるお花が賞を受賞したという何よりの証だ。授賞式にでも出席しない限りまずこんなものを付けることは無いと思う。
本当は買ったのだ
本当は買ったのだ
しかし、そのお花は自分で買ったものだ。何も受賞していないけれど538円も出して自分でその花を買い、スーツを着て写真を撮ったのだ。そのおかげで成し得たような写真になっている。

ちなみにバッグの白はトラックの後ろの部分だ。引いてみると何も成し得ていないのが一目瞭然。しかし、先の写真では成し得たように見える。ぜひその写真を見せて自慢して欲しい。
引くと全く成し得ていない
引くと全く成し得ていない

結婚しました

結婚というのもまた成し得たと言えることではないだろうか。未婚率も昭和と比べればずっと高くなっている。結婚することは今や難しいことなのだ。そこで、成し得たように見える写真である。
結婚しました
結婚しました
この写真がメールで送られて来たらどうだろう。「結婚したんだ! おめでとう」と返信することだろう。それは結婚指輪をしているからだ。その結婚指輪だって財力が無ければ買うことができない。

ただ写真だけなら簡単だ。もちろん実際は結婚なんてしていないし、指輪を買うお金も無い。しかし、写真の中では成し得ているのだ。
鍵です
鍵です
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毎日お寿司を食べています

お寿司を食べるというのも成し得ている証拠ではないだろうか。それが毎日ともなれば成し得ている以外に何と言えばいいのか検討も付かない。しかし、成し得ていない者にはそれは難しい。そこで、成し得ているよう見える写真である。
毎日お寿司を食べています
毎日お寿司を食べています
部屋の前に寿司桶を置くのである。それも毎日。すると毎日お寿司を食べているように見える。この写真と今日もお寿司だった~みたいな文章をTwitterにでも書けば、間違いなく成し得た人に思われるだろう。
実際の食事はこうだけれど
実際の食事はこうだけれど
これはお寿司を頼むと、次の日、寿司桶を玄関の前に出しておかなければならないという習慣を利用した成し得た写真だ。ちなみにこの寿司桶は私物だ。こんな写真を撮るためにカッパ橋で購入した。決して高くなかったのでオススメだ。
数年前に購入しました
数年前に購入しました

壁画を頼まれる

公共の施設の壁画を依頼されるというのも成し得た感じがする。画力やセンスが認められた証拠だ。しかし、そう簡単には依頼されない。なかなか成し得た人にはなれないのだ。そこで、写真である。
壁画完成させました!
壁画完成させました!
この満足そうな表情。間違いなく成し得ている。顔には絵具が付き、一心不乱に描いていた様子を感じることができる。この写真を見せられれば「すごいね~」と言わないではいられない。しかし、もちろんこれは成し得たように見える写真であり、実際は何も成し得ていない。
元から描いてある
元から描いてある
元からある壁画の前でもっとらしい格好をして写真を撮っただけだ。全く描いていないので、どれだけ自分が描いたと思わせる表情ができるかがこの写真のポイントとなる。ちなみに顔の絵具も自分で付けている。このような小技が写真に説得力をもたらす。
自分でつけた(キティちゃんは手鏡です)
自分でつけた(キティちゃんは手鏡です)

素晴らしい作品を作りました

陶芸で素晴らしい作品を作るというのも成し得た感じがしないだろうか。静かな里山に住み、自分が満足の行く作品だけを作る。成し得ているとしかいいようが無いと思う。もちろんそんなことは一般ピープルにはムリなので写真である。
素晴らしい作品ができました
素晴らしい作品ができました
「いい器できたよ~」と写メを送ったら「すごいね~」ともれなく返ってくるだろう。バックの緑に、作務衣がその器の素晴らしさを裏付けている。誰もがその器を作ったと思うだろう。
実際はもらい物
実際はもらい物
もちろんそれは写真だけで、器は拾ってきたに近いものだ。自分で作ってなんていないのだ。これも写真のおかげでいかにも自分で作ったように見えてしまう。写真の中では素晴らしい才能の持ち主になれるのだ。
静かな里山ではなく、近所の公園で撮影しています
静かな里山ではなく、近所の公園で撮影しています

成し得た写真で成し得た人に

成し得た人になるのは難しい。努力や運など、あらゆるものが必要だろう。しかしである。成し得たように見える写真は簡単に撮れてしまう。これで誰もが勝ち組だ。同窓会などで自慢すればいいのではないだろうか。ポイントは満足そうな顔。そこに曇りが見えると写真の説得力がなくなる。今後も満足そうな顔の研究に勤しんでいこうと思う。
ピアノが弾けるように見える写真。実際は音符すら読めない
ピアノが弾けるように見える写真。実際は音符すら読めない
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