「悪魔(デイモス)の花嫁─最終章─ 原作あしべゆうほ 作画池田悦子」2巻P55より引用。
下書きの人ってなんだ
「下書きの人」というのは、漫画などで顔のパーツが省略されて描かれている人の事だ。
いくらでもあるだろうと手持ちの漫画を探してみたら全然見つからなくて、どうにか1コマだけ見つけたのが左の画像だ。目鼻を省略して十字だけが描かれている。
大きく描いてみると、こんな感じだろうか。
これが下書きの人。顔が線二本で済むので楽。ちょっと銀河鉄道999の機械伯爵っぽくもある。
下書きの人が漫画に出てくるときは、人間って言うよりは背景として描かれる。背景なので表情などはいらないのだろう。
今日、僕は背景みたいな人になりたいのだ。
お面を作ろう
自分の顔を塗りつぶして十字を描けば良いような気もしたが、呼吸とか色々心配なのでお面を作る事にして材料を買ってきた。
工作用紙はマス目が描いてあるので便利です。
こういう骨組みを作ります。
お面なんて作ったことないのでネットで作り方を探した。工作用紙で骨組みを作って、そこに紙を貼ればいいのらしい。なるほど、張りぼてである。
骨組みは大体こんなもんか。
新聞紙をちぎって貼って、上からコピー用紙をちぎって貼った。
張りぼて作りは地道な作業である。僕は工作とかプログラミングとか、ちまちました作業が大嫌いだ。が、自分で作るしかないのでどちらもたまに頑張っている。過程は嫌いだが、完成すると嬉しい。
ペタペタと紙を貼っていくと手がベタベタになり、クタクタになった頃出来上がった。
裏から見るとこんな。裏は新聞紙のまま。
肌色に塗ります。
張りぼての表面は肌色に塗る。乾いたら、十字を描いて出来上がりだ。
絵の具が乾いたら土台完成。
こういうパンを見たことがある。
平たいお面も作っておこう
立体的なお面が1つ出来た。これをいくつも作るのは大変なので、平たい「下書きの人お面」も作る事にした。
ケント紙を適当に切って肌色に塗る。
猫が邪魔しにきた。
次々に工作をしていたら猫がやってきた。黒猫のなつめさんは工作をしてると大体寄ってくる。僕の代わりに工作をしてくれたら良いのだが、肉球で筆は持てまい。猫の手は借りたいが役に立たない。
なお、猫はもう1匹いるが、そいつは工作には一切興味がない。というか、普通の人間に興味がない様だ。涼宮なんとかみたいな猫である(オスだけど)。
出来た。ドイツの酸っぱいパンマンのお面!いや違う。下書きの人お面その2だ。
神はおっしゃられました。
「汝、工作を終えたらお外へ出てお天道様の下で撮影をしなさい」
と。なので、行ってきマース!!
僕は背景の一部になる
早速、下書きの人お面を付けて立ってみた。果たして背景に埋没できるだろうか?
なに超人?または、ギャン?(ジオン軍のモビルスーツ)
おかしい。背景に埋没するはずが、グイグイ前に出てきている。完全に思惑と違うじゃないか。
撮影位置が近すぎたんじゃないか?少し離れてみる。
カオナシ?
あ、あ、きん、あげるから、きん。
現場ではどうなのかいまいちよくわからなくて、帰ってきてから写真を選んで加工してレイアウトして、こうしてキーボードを叩いているのだが、記事を成立させられる気が全くしない。汗がぽたり。マズイ。
いや、待て、ここは逆に近づいた写真はどうだ?
OH…。
距離感の問題じゃないな、これは。背景の問題だ。埋没するには、もっと他に人間が必要なのだ。バーベキュー場に移動した。
バーベキュー地獄
バーベキュー場には若者がいっぱいいて、肉とか酒とか飲み食いしまくってて、四文字熟語で酒池肉林だった。若者の酒離れとかいうけど、アレ、嘘。居酒屋とかお店に行かなくなっただけで、公園では酒を飲みまくりんぐよ、奥様。自分で出来ることを自分でやって良い酒を安く飲んでるだけなのよ。
で、そこに混じるカオナシ。
せん、きん、きん、あげる。あ、あ。
「大丈夫、ここは葛西だけど一応東京、みんな他人の奇行になんか興味ないから、僕は大丈夫」って言い聞かせてた。じゃないと、全ての笑い声が自分に向けられている妄想に囚われて死ぬ。
ていうか、どうしたって僕は背景に埋没できていない気がするのだ。なんだろう、お面が悪いのだろうか。今更感もあるが、お面を変えてみたい。
こんな事もあろうかと、もう1種類作っておいたのだ。
紙粘土で作った白いマスク。
ザ・絶望的。
無理だった。どうも僕とバーベキュー場は相性が悪い。僕が油だとしたらここは水、僕が野村沙知代だとしたらバーベキュー場は浅香光代である。
撤退!総員速やかに撤退!そしてつぎのページへ!
木漏れ日ロードに戻ってきた
バーベキュー場はどうも居心地が悪いので、最初に撮影した木漏れ日ロードに戻ってきた。
やっぱ落ち着くわー。
さっきからお面を付けてて、自分がどう見えているかわからない。そこで、カメラマンをやってもらってた妻にお面を付けてもらって、今度は僕が撮ってみることにした。何事も客観視は大事だ。
自分で思ってた以上にアレ。なに?十字軍?
おー、こんなのかぶって衆人に紛れようとしていたのか!という新鮮な驚きがあった。明らかに奇人の類である。あんまり人前に出ちゃダメだ。バーベキュー場に行くなどもっての他だ。
気の毒になってきたので僕も写ってみた。
どうも、シタガキーズでーす。
セルフタイマーで撮った写真を改めて見てると、こういうお笑いコンビなんじゃないかという気もしてきた。えーと、シタガキーズトークショー「猫」。
猫を食べちゃダメだ。じゃあ次、シタガキーズトークショー「犬」。
正直すぎちゃんのネタをちゃんと見たことがない。3つ目、シタガキーズトークショー「千と千尋の神隠し」。
いや、僕は何をやってるのか。太陽がまぶしくて暑いのがいけないんだ。いけない、ちゃんと記事を書かないと。
引き続き、下書き人をお楽しみください
場所を舞浜に変えた。葛西臨海公園も良い公園だが、もっとこう、夢に溢れてる人たちに混じった方が僕が埋没できる気がする。
どうだろうか。
映画を観ると言えばシネマイクスピアリです。
割りと一瞬でどこにいるかわかる。この目立ちっぷりは計算違いも甚だしい。
次、ランドに向かう道中。
ロリータファッションより目立ってる気がする。なぜだ。
ここまで書いておいてなんだけど、どうもお面だけ浮いて見えちゃいますね。思うに、お面以外の部分が実写なのがいけないんじゃないかと思うんですよ。
全体的に実写なのに、わざわざ顔だけ下書きっぽくしてるので浮いちゃうし、だから埋没どころか目立ってしまう。
そんな当たり前の事に今気付きました。なんで急にですます調なんだ。
なんか笑われてないか、オレ。
一生懸命周りに合わせて生きてきました。ここは夢の国の近くなので、それっぽいポーズを取れば馴染める気がします。
僕がイメージするミッキーっぽいポーズ。
こうしてかぶると、磯野波平の様である。
人はみなお面をかぶって生きているのかも知れない
下書き人のお面で没個性を目指したのに、妙に浮いた存在になってしまった。
変わり者と言われるのが嫌で周りに合わせようとしたのに、どうもなにかボタンを掛け違えたような違和感ばかり感じた学生時代を思い出す。
ああ、わかった、あの頃もきっと僕は、慣れないお面をかぶろうとしていたのだ。だからどうも浮いた感じになってしまうのだろう。これからは無理にお面をかぶろうとせず自然に生きていこうと思いました。
と、なんか良い事言ってる風にまとめられて満足です。
Zくんのお面も作っていったんだけど、使いどころがなかったので最後に1枚。