あれから1年
地上アナログテレビ放送が終了してもうすぐ1年だ(震災の影響で終了が延期された地域も今年の3月末に放送終了した)。国内の家庭のお茶の間にあるテレビの地上波放送はいまや完全にいわゆる「地デジ」に切り替わった。
しかし我が家ではいまだにテレビのリモコンの10を押せばテレビ朝日が、12を押せばテレビ東京がうつる。ついでにいうと、地デジ放送では2チャンネルのEテレも、アナログ時代の番号である3を押すとうつる。
なんでそんなことができるのか?!
自分のわがままで
「なんでそんなことが?!」などと大げさに書いてしまったが、設定でそうしたのだ。
我が家がテレビを買い換えたのは2006年ごろ。ブラウン管のアナログテレビが壊れたので買い替えた。
壊れたからしぶしぶ替えたのであって、「地デジが見たい!」という強い思いはなかった。気持ちが地デジに向いていなかったのだと思う。
「え、テレビ朝日が5チャンネルなんてなんかいやだな~」という変なわがままで、じゃあ、とわざわざリモコンの設定でこれまで同様アナログ放送の番号にしたのだった。
6年ぶりに説明書を見てみたら、当時の私はそこそこ面倒な設定をわざわざしたようだ
しかしアナログ放送が終了してもはや1年。
このままずるずると10チャン、12チャンの影を追っていても彼らはもう二度と帰ってこないのだ。
いや、正しく言えば10チャン、12チャンは存在する。地デジ放送で新しく10チャンに割り当てられたのはケーブルテレビの自主放送、12チャンはなんとあの放送大学だ。
「ねえねえ昨日12チャン見た? かっこよかったよね~」
なんてかつての女子中学生のセリフ、時代が今ならかなりマニアな発言である。
なお、「昨日12チャン、かっこよかったよね」は私の時代であれば「あぶない少年」の光GENJIを指した言葉であった
もう、未練は捨てよう
今日は地デジ放送のチャンネル番号にいい加減慣れる方法を探そうというのが記事の趣旨だ。そもそも自宅のリモコンのチャンネル割り当てをアナログ放送の番号にしてある、というのはほとんどスタート以前の状態じゃないか。
どうも私の気持ちの中では、ただ単純に新しい番号に慣れていないだけではないようなのだ。なんとなく、寂しいのである。
もう分かれた恋人だけど、ほかのひとと結婚するなんて許せない! そんな気持ちだろうか。これは未練だ。未練は切り捨てなければならない。
笑顔で彼らの新しい人生を応援したいじゃないか。
未練と、あと「一度やった設定を変更するのは超めんどい」というのもある。ええと……
お、現状どうなってるか表示された
スキャンでデフォルトのチャンネルIDに戻したぞ。おお、地デジだ(元から地デジだけど)!
元チャン(元のチャンネル番号)との別れ方その0(準備編)
リモコンの設定を地デジのチャンネル番号にしよう
さみしさに少し心が静かになった
そんなつもりはなかったのだが、読み返すとここまでの記事の見出し(オレンジ色の太字)が「あれから1年」「自分のわがままで」など全部演歌みたいなことになっていた。
これほどまでにチャンネル番号に思い入れがあったとは。本当にちゃんとさようならできるのだろうか。
弱音に刺激だパンパンパン! 頬を両手でたたいてここから先は本気で頭の切り替えに挑むぞ! 5チャンネル、7チャンネル、かかってこい!
テレビ局のキャンペーンにいまさら乗っかる
やはり、一番いいのはテレビ局がチャンネル番号の変更にともなって大々的に行っていたキャンペーンに乗っかることだろう。
地デジ移行を推進する鹿のキャラクター「地デジカ」がCMに出始めたのは2009年。各局もそのあたりからチャンネル番号の変更についてアピールし始めていたのではないか。
当時はすっかりスルーしてしまった。今更ながら受け止めたい。
というわけで、東京駅の東京キャラクターストリートにやってきました
「5」や「7」を押し出したグッズを求めて
東京駅の地下にある東京キャラクターストリートには東京にあるテレビキー局のグッズショップがずらりと並んでいる。
目当てはテレビ東京の「テレ東本舗」にテレビ朝日の「テレアサショップ」。ここに来れば何らかの地デジの新しいチャンネル番号をあしらったグッズが手に入るのではないか。
そしてそんなグッズと一緒に暮らせば新チャンネル番号に慣れられることうけあいである。
そしてこちらがテレアサショップ
こんなにキャッキャした場所が駅にあるとは
それにしてもこの東京キャラクターストリートのうかれた感じといったらなんだろう。
この感じ、タレントショップが大流行したかつての竹下通りだ。原宿からまさか東京駅の地下にこの種のうかれが継承(伝承か)されていたとは。
平日の10時、開店時間すぐに行ったのだが、駅の混雑が地下のショップまでダイレクトにつながっているような賑わい。若い女の子たち(修学旅行?)が店頭のパネルと一緒に写真を撮ったり、こんなにキャッキャした場所に来たのはいつぶりだろう。
修学旅行生たちにとってはテレビ朝日が5でテレビ東京が7だなんて普通のことなのだろうか。遠方からの修学旅行生だとしたらチャンネルは違うか。
小さな子どもの物欲も過激に刺激
そしてここ、なにやらとんでもなく物欲を刺激してくる(そしてキャラクター商品なだけにどれも結構なお値段だ)。
テレアサショップはヒーローグッズやドラえもんグッズなどがてんこもりで小さな子どもをつれてきたら相当の地獄を見そうだ。
ドラマ「相棒」のグッズもおどろきの量を展開しており(登場人物のベアブリックとかあった。すごい)、子どもならずとも好きな人なら財布が地獄を見るのかもしれない。
と、番組のグッズは押し寄せてくるのだが、肝心のテレビ局自身のグッズがない。
こちらはテレビ東京の「テレ東本舗」
テレビ東京のショップでも「空から日本を見てみよう」のくもじい、くもみのグッズや(ほしい)、人気らしい「ピラメキーノ」のグッズが幅を利かせている。番組のグッズでいっぱいで局のグッズはやはりなし。
しかし、大量にあった「ピラメキーノ」のキャラクター「ピラメキパンダ」は「7チャンパンダ」として地上デジタル7チャンネルの広告塔として活躍していたらしいのだ。
それ、それがそういうグッズが欲しいです!
店頭で「7」のロゴなら発見
壁紙だったらありますよ
この、「7チャンパンダ」のグッズはないものか。これがないとなんのためにここまで来たやら、だ。
ここまでで私がしたことといえば自分の物欲を押さえ込むことだけじゃないか。フジテレビの店にあった「ゲゲゲの鬼太郎」グッズについてはよく購入を我慢できたと思う。
テレ東本舗の店員さんに聞いてみたところ、店頭にはないものの「7チャンパンダ」の壁紙だったらありますよ、ということだった。
壁紙。
いや自宅の壁紙をかえるほどの情熱は……と一瞬思ったのだが、そうか、PCの壁紙か。
テレビ東京のホームページで公開しているということのようだ。おお、ありがとうございます!
さらにテレアサショップでも情報をゲットした。
テレビ朝日のキャラクター「ゴーちゃん。」!
東京駅のテレアサショップではこの日は店頭になかったものの、六本木のテレビ朝日本社に併設する店舗では「ゴーちゃん。」という局のマスコットキャラクターのグッズが売られているというのだ。
ゴーちゃん。
はっ!「5チャン」、か!
あわてて六本木のテレビ朝日へ。あれがうわさの「ゴーちゃん。」のようだ!
こちらのテレアサショップにも東京駅の店舗と同様、特撮、アニメ、ドラマのグッズがぎゅうぎゅうに並んでいた。しかしここは冷静に「ゴーちゃん。」グッズをゲットだ。
文房具やマスコットなどいろいろと展開されていたのだがなかなかのお値段にひるんでのステッカー(315円!)購入である。
これで「5チャン」が体得できるなら安いものだ
このステッカーでテレビ朝日が10チャンネルではなく5チャンネルであると自らを洗脳したい。
貼るのはやはり日々持ち歩く携帯電話しかないだろう。これで「テレビ朝日は5チャンネル」をいちいち実感して生きることができる。
よし!
壁紙(PCの)も変えたぜ
自宅に戻って、今度は壁紙の設定だ。
情報のとおり、テレビ東京の地デジのページに「7チャン」を前面に押し出したパンダのキャラクターの壁紙があった。
これで毎日5チャン、7チャン漬けだ
元チャンとの別れ方その1
局グッズを身の回りに配して洗脳を図る
新聞の番組表でさらなる地デジ脳に
続いて思いついたのは新聞のテレビ欄である。
我が家はずっと新聞のない生活を送っていたのだが、思い立って去年の夏ごろからとることにした。そのときに驚いたのがテレビ番組表だ。
去年の夏といえば(2011年8月ごろ)すでに一部の地域を除いてアナログのテレビ放送は終了しており、配達されてきた新聞のテレビ番組表でもデジタルのチャンネルキー順にテレビ局を並べていた。
NHK、Eテレ、日本テレビ、TBS、テレビ朝日、テレビ東京、フジテレビの順
いつも真ん中にいた、あのフジテレビが右端においやられている! 当時これには驚いた。
いい機会だ、各紙買い集めよう
朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、東京新聞、どこでもフジテレビははじっこ
産経新聞、おまえもか
産経新聞は以前はつながるのあるフジテレビの番組表にだけ黄色いあみをかけるなど目立たせて表示させていた。
このフジテレビ右隅移動(右隅といえばかつてのテレビ東京枠だ)にどのように対抗しているのだろう。
あ、やっぱり右隅だ
見ると、おとなしくフジテレビは右隅に配置されていた(ついでに黄色いあみかけまでなくなっていた)。
フジテレビに思い入れがあるわけではないのだが、なんだか勝手に気のどくな気持ちになるではないか。
ちなみに産経新聞では、版によってはFNS系列の局を民放では一番手として掲載しているようだ。
それにしても、今回チャンネル番号のややこしさ(物理チャンネルだのリモコンキーだの)にうめいていたのだが、新聞は(本社発行の地方版だの本部版だの準広域版だの!)輪をかけてややこしくてあわあわするばかりであります。
生活感のある部屋で新聞をじっと見つめるトレーニング
個人的にはこのテレビ欄の局の並び順は2012年夏の現在になっても未だにちょっとした驚きが保たれていてる。
日々、新聞で眺めているにもかかわらず慣れないというのだから相当だ。とりあえず、せっかく各紙買い集めたのだからと、じっと眺めて改めてその順番を目と脳に叩き込んでみた。
元チャンとの別れ方その2
新聞のテレビ欄を凝視する
手作り学習帳で最後の仕上げだ
手数は少ないが、既存の手段はやりつくしたのではないか。
ここから先は自主トレーニングするしかない。こんなものを作ってみた。
「徹子の部屋」というタイトルの本のようになってしまったが(この写真だけ見るとなにがなにやらだ)、
めくると「5」。番組のチャンネル番号が書いてあるのです。次のページにまた問題が
単語帳的に、番組名と地デジのチャンネル番号が学習できるオリジナル学習帳である。
それにしても、「徹子の部屋」が10チャンじゃなくて5チャンとは。あらためて驚く自分がいる。
もはやこれは「勉強」だ
きちんと体に身につくように覚える。これって勉強と同じだ。
番組は現在も放送中のもので、テレビ局がすぐに分かるような有名なものを選んだ。主にテレビ朝日、テレビ東京、Eテレの番組で構成したが、ひっかけ問題として、ひとつだけ地デジ化でチャンネル番号の変更がなかった局の番組も入れてある。
めくる様子を動画で撮ってみましたので、みなさんも一緒に番号を答えてみてください。
元チャンとの別れ方その3
手作り学習帳で自主トレーニングする
これ1回やると結構身につく気がするのだがどうだろう。
さらにもう一人、私と同じくいまだ10チャン、12チャンが脳みそから離れないという方にもやってみてもらおう。
来ていただいたのは当サイトライターの斎藤充博さん。今回の企画に誰よりも強く共感してくれた方である。
これ、やってみてください!
頭の髄から10チャン、12チャンタイプ
斎藤さんは栃木県出身で関東生まれの関東育ち。ということは、テレビ朝日、テレビ東京を見て育ったわけだ。
引越しなどでチャンネル番号の変更を経験していない、私と同様の生え抜きタイプである。
まずは新聞のテレビ欄を見てもらった
「あっ! フジテレビがはじっこだ!」
斎藤さんは10年以上前に実家を出て以来、新聞をとっていないということで新鮮な驚きを返してくれた。私としては、してやったりの「でしょ、でしょ~!」だ。
ここまで基本的に一人で頭の地デジ対策を行っていた私だが、やはり仲間とはよいものですな。
関係ないが、斎藤さんはテレビ東京の「珍ルールshow 」という番組に興味を持っていた
「徹子の部屋」は……10!
さらに斎藤さんには例の自作の学習帳にも取り組んでもらった。
「『徹子の部屋』は……10!」
記事を面白くするためにわざとか? と思うくらいいきなり間違えてアナログ時代のチャンネル番号を言ってしまっている。しばらく間をあけて「あ、そうだもう違うんだ、5なんだ」と自分に言い聞かせるように答えていた。
この記事、私じゃなくて斎藤さんが書くべきだったんじゃないか。
ええと~
12だから、7
さらに斎藤さんは「10だから……5!」、「12だから……7!」といった答え方をしていた。
いままで黙っていましたが、これの反応、私も全く同じである。いきなり「5!」とか「7!」という数字が出てこないのである。まだまだアナログ脳という証拠だ。
英会話はうまくなると日本語を英語に翻訳してしゃべるのではなく、いきなり英語で考えて英語でしゃべるようになれると聞く。
私たちも訓練をつめばネイティブな地デジスピーカーになれるのだろうか。
もうしばらく訓練してもらおう
元チャンとの別れ方その4
仲間を見つけて、英会話の習得だと思ってがんばる
地デジ脳習得の難しさを、テレビ局は知っている
実は今回、テレビ局に「かつてのチャンネル番号の入ったポスターやグッズがあったら見せてもらえないか」と取材の依頼をしていた。
思う存分、旧チャンネルを堪能してから、お別れしたいと思ったのだ。が、どの局からも、残念ですがと断られてしまった。
お忙しいのかしらね……などと手を頬に当てていたのだが、もしかするともうちょっとでも旧チャンネル番号を表に出したくないのかもしれない。
せっかく地デジ色に染めた人々の脳を、うっかりでも元に戻してはいけない、新しいチャンネル番号に慣れてもらうことの大変さをテレビ局側はよく分かっているのではないか。そうだ、きっとそうだ。
そんな局側の期待に視聴者としても答えたい。よし、ますます精進します!
と、3ページ使って大げさに書いてきたが、テレビを見るときにぷちっと押すボタンの話だと思うとびっくりするほど小さい話なのだった。
さらに衛星放送契約するか
今回大きかったのは、10チャン、12チャンというなじみの深いチャンネル番号への未練を打ち切ることができたことだろう。もう、「いい旅・夢気分」が7だってぜんぜん平気のへっちゃらだい。へっちゃらなんだい!
しかし脳としてはいまだにもやもやしている状態だ。せっかくなので手を出したことの無い衛星放送などうっかり契約して余計わけの分からないことになるのもまたいいかもしれませんのう。