特集 2012年6月24日

業務用発酵中華調味料を3日で使い切る

チューニャン業務用サイズ。
チューニャン業務用サイズ。
「酒醸(チューニャン)」という中華の発酵調味料があります。中華料理でコクや甘みを加えるのに用いられます。

原料はもち米、米麹、酒など。作り方を調べてみると甘酒作りに近く、家庭でも割と簡単に作れるようです。簡単に作れるなら自分で作って味を確認してみたい。

よし、作ろう!と思ったのですが…
1972年生まれ。元機械設計屋の工業製造業系ライター。普段は工業、製造業関係、テクノロジー全般の記事を多く書いています。元プロボクサーでウルトラマラソンを走ります。日本酒利き酒師の資格があり、ライター以外に日本酒と発酵食品をメインにした飲み屋も経営しているので、体力実践系、各種料理、日本酒関係の記事も多く書いています。(動画インタビュー

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> 個人サイト 酒と醸し料理 BY 工業製造業系ライター 馬場吉成 website

元の味を確認しよう

チューニャンを自作する前に、まずは市販品を味わってどんな味の物か確認することにしました。やはりゴールが見えた方が先にも進みやすい。そこで購入したのがトップの写真のチューニャンです。
900g入り。買っても冷蔵庫の奥で眠りがちな豆板醤とかは、スーパーで売っているサイズで130gぐらい。
900g入り。買っても冷蔵庫の奥で眠りがちな豆板醤とかは、スーパーで売っているサイズで130gぐらい。
プロが使う一般的に馴染みの少ない調味料なので、その辺では売ってなくネットで購入することにしました。味見程度なのでなるべく小さい物をと思いましたが、馴染みが無さ過ぎて業務用サイズしかみつかりませんでした。
保存は冷蔵庫内でも2、3日。900gを2、3日で使い切れという業務用の厳しさ。
保存は冷蔵庫内でも2、3日。900gを2、3日で使い切れという業務用の厳しさ。
不味い物ではないだろうし、値段もそれほど高い物ではない。邪魔になるが冷蔵庫で保管しておいて少しずつ使えばいいかと、購入サイトの注意書きをそれほど読まずに業務用を購入しました。ところが驚愕の事実が発覚。

開缶したら冷蔵庫に入れて2、3日中に食べてしまえとの注意書きがあったのです。
見た目は甘酒と変わらない。
見た目は甘酒と変わらない。
内容量900gの調味料を2、3日。大きな中華料理屋なら問題ない量なのでしょうが、一般家庭では途方もない量です。だが買った以上は味見をして使い切りたい。
量では約800ml。酒なら4合瓶やワインボトル1本(720ml)よりも多い。
量では約800ml。酒なら4合瓶やワインボトル1本(720ml)よりも多い。
ということで、自作はひとまず止めて、この業務用チューニャンを色々な食べ方で3日以内に使い切ることにしました。

はたして使い切れるのか。3日間チューニャンチャレンジです。

とにかく味見

なにはともあれ味を確認してみましょう。
冷凍して長期保存も出来たようだが、とにかく使い切ります。冷蔵庫の奥で眠る調味料撲滅運動と思って。
冷凍して長期保存も出来たようだが、とにかく使い切ります。冷蔵庫の奥で眠る調味料撲滅運動と思って。
大サジ1杯ほどを皿に出して直接味わいます。香りは甘酒のような、米が麹で発酵した甘い香りがします。
そのままでもなかなか旨いね。
そのままでもなかなか旨いね。
食べてみると、味は甘酒に近いです。麹により米が発酵した際の独特の甘さがあります。甘酒と違う所は、少しだけ乳酸菌飲料のような酸味があるところ。このまま食べてもなかなか美味しいです。

美味しいですが、そこは調味料。そのままではやや味が濃く沢山は食べられない感じです。色々アレンジしていきましょう。

まずは定番のエビ料理で

最初のチューニャン使用料理は、日本人にとっての中華の定番を作ります。
材料は海老、ネギ、豆板醤、ケチャップなど。もちろん、チューニャンも。
材料は海老、ネギ、豆板醤、ケチャップなど。もちろん、チューニャンも。
海老のチリソース炒めです。チューニャンは辛味のある料理にコクと程よい甘みを加えるのによく用いられるそうです。エビチリはその代表的な料理。

色々な作り方がありますが、今回は簡易的な方法で作り、砂糖の代わりにチューニャンを使ってみます。
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チューニャン使用エビチリ

ではチューニャンを使ってエビチリを作っていきます。
海老の下処理とか面倒なので家ではあまり作らない料理。
海老の下処理とか面倒なので家ではあまり作らない料理。
まず、ネギとニンニクを刻んでおいて、海老に片栗粉などをつけて揉むなど下処理をしておきます。

チューニャンはケチャップ、醤油、塩、片栗粉などと一緒に混ぜておきます。砂糖ならば大サジ1程度使うところを、砂糖ほど甘みは無いので大サジ2杯ほど使ってみました。
市販のエビチリソースに混ぜることも考えたが、既に甘みがついているところに甘みを足すと凄いことになりそうなのでやめました。
市販のエビチリソースに混ぜることも考えたが、既に甘みがついているところに甘みを足すと凄いことになりそうなのでやめました。
エビを炒めて色が変わってきたらネギ、ニンニク、豆板醤、酒を入れて炒めます。チューニャン入りのソースを入れてサッと炒め合わせて、最後にごま油を少し入れて出来上がり。
外で食べる方が美味しく感じることが多いのは、家庭ではチューニャンが入ってなかったからだろうか。
外で食べる方が美味しく感じることが多いのは、家庭ではチューニャンが入ってなかったからだろうか。
出来上がったチューニャン入りエビチリは、香りも見た目も普通のエビチリと変わりません。
甘みが穏やかだね。
甘みが穏やかだね。
食べてみると、辛さがいつも食べるよりも優しく感じられます。後を引く甘さも穏やかで、旨味も通常より深みが増した感じです。

簡易的レシピなので完全とまではいかないものの、砂糖からチューニャンに変えただけで家庭のエビチリが本格味に近づいた感じがします。なかなか旨い。

業務用サイズではなく、家庭用サイズが欲しくなります。

生姜炒めでもなんとかなるだろう

続いて作るチューニャン使用料理は家庭料理の定番です。
  生姜を使えば大体なんとかなります。この組み合せなら大丈夫。
生姜を使えば大体なんとかなります。この組み合せなら大丈夫。
豚肉の生姜炒めです。豚肉、タマネギを炒めて醤油、砂糖、酒、ミリン、おろし生姜で味付けしたシンプルで美味しい料理。砂糖の代わりにチューニャンを使います。
まだまだタップリあるチューニャン。
まだまだタップリあるチューニャン。
使う量は砂糖が大サジ1杯のところ、チューニャンは3杯入れてみました。
全部を炒めて調味料を入れるだけ。簡単でいいね。
全部を炒めて調味料を入れるだけ。簡単でいいね。
作り方は切った材料を炒めます。大体炒められたところにチューニャン、おろし生姜入りの調味料を入れる。あとはよく炒めれば出来上がり。簡単です。
問題なく旨いだろう。
問題なく旨いだろう。
チューニャン入りの生姜炒めは、香りなどは全く通常の生姜炒めと変わりありません。食べるとやはり甘みが穏やかで深みがあります。これが発酵による甘さか。

全体としてはやや塩気の方が強く、辛口の生姜炒めです。ミリンなど、他の調味料の量を調節すればより美味しくなりそうです。可能性を感じます。
やっと700ml。全然減らない。
やっと700ml。全然減らない。
さて、味見をして2品の料理を作った所で1日目は終了。残りのチューニャンは約700ml。調味料レベルで使っていたのでは、かなりの数を作らないと使い切れそうもありません。これはなんとかしなくては。

2日目以降は直接食べる方向に方針転換します。
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ジャムとして使用

チューニャンチャレンジ2日目。調味料として使っていては終わりが見えないので、直接食べていきます。
付属の砂糖は使わない。
付属の砂糖は使わない。
甘みがあって多少粘りもあるのでジャムとして使ってみます。朝食のプレーンヨーグルトにチューニャンで甘みをつけます。
ハチミツとかでも旨いので、普通に美味しいだろう。
ハチミツとかでも旨いので、普通に美味しいだろう。
200gぐらいのヨーグルトに大きめのスプーンで3杯ほどチューニャンを入れます。

更に焼いた食パンにもスプーン2杯ほど乗せてみます。これで朝食準備完了。
白い朝食。
白い朝食。
食べてみたところ、チューニャン入りヨーグルトはかなり美味しいです。程よく甘く、ヨーグルトの酸味がはっきりとして、米の粒々の食感が新鮮です。

パンに塗ったものは、果物を使ったジャムに比べて甘さ控えめ。若干酒臭さのような物を感じますが概ね美味しく食べられます。

チューニャンは意外にジャムとしても使えます。
あと650ml。少しペースが上がった。
あと650ml。少しペースが上がった。
ジャムとして使うと、材料の量に対する使用量が料理に使うよりも増えました。もう一品ジャム的に使ってみます。

バニラアイスのチューニャンがけ

バニラアイスに甘酒かけると美味しいのでこれも間違いないだろう。
バニラアイスに甘酒かけると美味しいのでこれも間違いないだろう。
続いてはチューニャンをバニラアイスにかけてみます。皿に出したアイスにチューニャンをお好みの量かけるだけ。とりあえず、これも大きめのスプーンで3杯ほどかけています。
食べごろの溶け具合のハーゲンダッツにかけたら更に溶けてしまった。
食べごろの溶け具合のハーゲンダッツにかけたら更に溶けてしまった。
これはかなり旨いです。バニラの甘さと麹の甘さが実によく合います。さらにチューニャン独特のほのかな酸味も味を引き締める。米の粒々もいいアクセントになっています。
これは旨い!店に出したいレベル。
これは旨い!店に出したいレベル。
甘酒をバニラアイスにかけると美味しいと聞いたことがあるので、甘酒に似た味のチューニャンも多分美味しいのではと思ってやってみました。これは大ヒット。
あと600mlちょい。
あと600mlちょい。
かなりの大ヒットですが、アイスばかり大量に食べられないので更に別の使い方をしてみます。

チューニャンソースのパスタ

2日目最後は100mlぐらい一気に使える料理を作ってみます。
材料はパスタ、ベーコン、ニンニク、唐辛子、塩、黒胡椒、オリーブオイル。あとチューニャン。
材料はパスタ、ベーコン、ニンニク、唐辛子、塩、黒胡椒、オリーブオイル。あとチューニャン。
チューニャンをメインに使ったパスタソースを作ってみます。材料はチューニャン100mlに塩と黒胡椒が各小サジ1ぐらい。
塩と黒胡椒の量は適宜調整してください。
塩と黒胡椒の量は適宜調整してください。
これらをすべて混ぜ合わせておきます。
チューニャンが無ければ普通にペペロンチーノ。
チューニャンが無ければ普通にペペロンチーノ。
最初にオリーブオイルでニンニクと唐辛子を炒めて香りを出し、ベーコンを炒めます。そこへ茹でたパスタ、チューニャンソースを入れてサッと炒めて出来上がりです。
どちらかというとペペロンチーノというよりカルボナーラ的な見た目。
どちらかというとペペロンチーノというよりカルボナーラ的な見た目。
チューニャンソースのパスタはかなり濃厚な味です。ニンニクの風味と唐辛子、黒胡椒の辛さに生クリームとも違う濃い旨味がかぶさります。美味しいです。

ワインか何かを足すなどして味を調整して作れば、かなり美味しくなる可能性がありました。
あと500ml。残り1日。どうする!
あと500ml。残り1日。どうする!
チューニャンを直接食べる系の料理はどれも美味しく食べられました。これからは調味料を積極的に直接食べていいかも。いや、そんなことはないか。

なにはともあれ、これで2日目は終了。200ml減ってチューニャンの残りはあと500ml。あと1日で一気に消費しなくてはいけません。さあ、どうする。

こうなったらもう飲むしかないでしょう。
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チューニャンバナナドリンク

チューニャンチャレンジ3日目。最後の手段に出ます。飲んで消費します。流石にそのまま飲むのはキツイので、何かと混ぜて飲みやすくします。
混ぜれば調味料だって飲める!缶にも「デザートのお飲み物のとして」と書いてあった。
混ぜれば調味料だって飲める!缶にも「デザートのお飲み物のとして」と書いてあった。
チューニャンをバナナと牛乳、氷とともにフードプロセッサーにかけて混ぜてみます。バナナの香りは発酵系の香りに合うので、問題なく飲めるでしょう。
なみなみとチューニャンを200ml注ぎ入れます。
なみなみとチューニャンを200ml注ぎ入れます。
分量はチューニャン200mlにバナナ1本。牛乳が100mlぐらい。氷は適当な数で。あとは混ぜるだけ。
チューニャン入りヨーグルトとパンも用意して白い朝食その2。
チューニャン入りヨーグルトとパンも用意して白い朝食その2。
出来上がったチューニャンバナナドリンクとチューニャンを使ったヨーグルト、パンも用意して準備完了です。
なかなかイケる!ゴクゴク飲めるチューニャンだ。
なかなかイケる!ゴクゴク飲めるチューニャンだ。
チューニャンバナナドリンクは、少しバナナの青臭い香りがしますが、発酵の甘さがバナナの甘さと旨く融合して美味しく飲めます。朝のエネルギー、アミノ酸補給にはちょうどいいかもしれません。

もう少し甘みが欲しいならば、ハチミツを少し足しても美味しいでしょう。
ラスト200ml!
ラスト200ml!
さあ、チューニャンも残り200ml。なんとか今日中に消費できそうです。

しかし、バナナドリンクはもう飲む気がしない。となると、夜まで引き延ばしてあの手しかないでしょう。

酒の力を借りよう

チューニャンチャレンジの最後はこれで行きます。
大人だからね。酒の力を借りる夜もある。
大人だからね。酒の力を借りる夜もある。
チューニャンの白ワイン割です。甘酒を白ワインで割ったカクテルがあるらしいので、甘酒に近い味のチューニャンも多分美味しいだろうという発想です。酒で流し込んでしまえ!という訳ではありません。
そのままがキツイなら水で薄めて飲めれば、というご意見は聞こえない。酒だからいい。
そのままがキツイなら水で薄めて飲めれば、というご意見は聞こえない。酒だからいい。
作り方は、チューニャンをグラスの半分ぐらいまで入れます、残り半分にワインを注ぎ、よく混ぜ合わせます。これだけ。
これもゴクゴク飲めるだろう。
これもゴクゴク飲めるだろう。
では、飲んでみましょう。
これは旨いぞ!
これは旨いぞ!
チューニャンの白ワイン割かなり旨いです。スッキリと甘く、ブドウではなく青リンゴのような風味になっています。暑い夏の夜にキリッと冷やして飲むととても美味しでしょう。

ゴクゴク飲めます!
残り100ml!
残り100ml!
もう1杯!
もう1杯!
業務用チューニャン消費完了!
業務用チューニャン消費完了!

小分けを売りだして欲しい

チューニャン、美味しかったです。調味料としてはもちろん、ジャムや飲み物としても使えるので用途はかなり広いです。できれば業務用ではなく、小分けのサイズをもっと売り出して欲しいです。

もしくは、次は自分で作ってみようと思います。作り方は甘酒と似ているのですぐに作れるでしょう。そして、作ったものの一部は冷凍保存にします。

用途が広いと言っても、同じ調味料を大量に3日間で消費するのはやはり辛いです。
チューニャンと何度も書いていて思い出し、こんなCDをひっぱり出す。内田有紀 supported by チューヤンの「楽園」。電波少年で使われていた曲。棒読みのラップがなんか凄い曲だったな。今頃どうしているのだろう?
チューニャンと何度も書いていて思い出し、こんなCDをひっぱり出す。内田有紀 supported by チューヤンの「楽園」。電波少年で使われていた曲。棒読みのラップがなんか凄い曲だったな。今頃どうしているのだろう?
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