あれ?みんなやらなかった?
…って「角砂糖を木工用ボンドで固める遊び」がなつかしい一般的な遊びであるかのように書いたが、もしかしてそんなことないのか。
「角砂糖 木工用ボンド」で検索してもいっこうにそういった行為について言及しているものが見当たらない。おかしいな、ぼくだけか。
角砂糖自体ひさしぶりだ。
冷静に思い出してみれば、子供の頃の記憶でも、友達と一緒にこの遊びをやってない気がしてきた。ひとり部屋の隅か教室の隅っこでもくもくと作業していた気がする。
オリジナルの遊びだったのか?
作業台は赤い樹脂が表紙の手帳にしてみた。木工用ボンドとカラーコーディネート。
なんか思ったより難しい。ぼてっとなる。水でボンドを溶くともっときれいになるかもしれないが、そうすると砂糖だけに溶けちゃう。なんぎだ。
だんだん不安になってきた。というか、幼少の頃の自分が気の毒だ。ここは「わたしもやってたよ!」って方の連絡を待ちたい。
何度も塗って、一晩置いたものがこちらになります。おお!こんな感じだった!
それにしても、角砂糖って不思議だ。
色は白、ただの立方体でとくに目立った特徴はないが、この大きさでこの色と形は一目で「角砂糖」と分かる。考えてみればほかにこれに似たものってあまり思い浮かばない。
角砂糖って、手に持って転がすのにちょうどいい大きさだと思う。なによりこの「つぶつぶを固めて立方体にした」っていうのにぐっとくる。四角いものっていいよね。
ここで、やおら銀の板材をもちだします。
…ああ、そうか。ぼく四角いものに惹かれるんだな。大きいものは団地から、小さいものは角砂糖まで。
手で転がすには溶けやすく崩れやすい角砂糖だが、こうやって固めれば気兼ねなく愛でることができる。そう思って固めたのではないか。うん、どうもやっぱり自分オリジナルの遊びな気がしてきたぞ。
角砂糖を「石」にする
さて、角砂糖をボンドで固めただけではおもしろくない。
いや、おもしろいけど。
おもしろいけど、少なくともここでこうしてみなさんにお読みいただくほどのものではない。
バーナーで銀を温めます。
やわらかくなったところで、ぐいっと曲げる。
目指すサイズに合わせて、
たたいてリングにするのだ。
なので、ここはひとつ指輪にしてみようかと。
って、べつにぼく指輪はめないし、こんな角砂糖指輪をほしいという人もいないと思うんだけど、ほら、なんか指輪とかアクセサリーにすると、それっぽくなるじゃん?「コンテンポラリージュエリーです!」とか言えばいい感じ?
定期的に赤くなるまでバーナーで熱して「なます」。
で、こつこつと削る!とにかく削る!これが辛い!でも楽しい!
じつはぼくはときどき思いたって
指輪作ったりしているのだ。
最近は
シルバークレイっていう粘土のように自由に形が作れるものもあるのだが、ぼくはこれはあんまり好きじゃない。
うまく言えないが、金属を削ったり叩いたり曲げたりするのが好きなのだ。かっこよく言えば、天空の城ラピュタに出てきたポムじいさん的な「金属と会話する」という感じか。かっこよくないか。
会話っていうか、実際は格闘なんだけど。うまい人は戦わずに金属を手なずけるんだろうけど、ぼくはひいひい言いながら削ったりなましたりを繰り返すのみ。
辛いけど、なんか楽しい。そういう感じ。
削るのが趣味なだけなので、工程は全て自己流です。で、ひいひい言いながら、ここまで削った。辛い。でも楽しい。
で、固めた角砂糖を「石」にしようというわけだ。指輪の「石」。通常は宝石だけど。
「銀ロウ」という、いわば銀の接着剤みたいなもので台座をくっつける。ごくごくちっちゃく切って使う。くっつけたいもの同士との間に置いてバーナーで熱するとくっつく、という代物。
さんざん悩んだ末、単に平らな台座に。
リングにどうやって角砂糖を固定するかは悩んだ。
難しいのですよ、石固定するのって。ツメを作って、がっちりはめるのが正しいやり方なのだけど、これがいつもうまくいかない。上手い人にとってはどうってことないのかもしれないけど、自己流で適当なので。
というか、相手は固めたとはいえ角砂糖なので、がっちりツメ立てて固定したところですぐ壊れるに決まってる。ここはてきとうに行こう!
なんとなくできた!
非常にてきとうだが、それでもやっぱり楽しいし、うれしい。
平らな台座に「串」を立てる。ここにぐさっと角砂糖刺して終了ってことで!てきとう!
結局、角砂糖をぐさっと刺す形式を採用。いいのだ、これが婚約指輪ってわけでもないのだからてきとうで。
で、できたのがこれ。ボンドによる「テリ」がまた良い感じに。
子供の頃の一人遊びの帰着点がこれというわけだ。
かわいい。まったく実用的じゃないけど。
それにしても今回角砂糖をまじまじと見たけど、けっこう角が削れて甘くなってる(砂糖だけに!)ものなんだなと。エッジが立ってない。それをさらにボンドでコーティングしたもんだから、全体的にぬるっとした質感に。
…あ、そうだ。コーティングと言えば!
ボンドじゃなくてウレタンでコーティング!
リングそっちのけで、角砂糖だけより高度なものに!
まず穴を空けなければならないのだが、しょっぱなこれがうまくいかない。
なんとか刺せた!
「角砂糖塗装するのなんてはじめてですよ」
とお隣の岩さん。まあそりゃあそうですよねえ。
へんな人物とお隣さんになってしまうと、こういうへんなことを頼まれたりするのだ。すまん。
で、ボンドと違うのは、角砂糖に串を刺さなければならない点。しょっぱなこれがうまくいかなかった。ぼろぼろ壊れちゃうのだ。
調合がはじまった!ウレタン塗装はボンドと違って手で触れていいものではないので串を刺す必要があるのだ。
「塗装できてるかどうかがまったく分からないですねえ…」と岩さん。
3つほどコーティングしてもらいました。乾燥に12時間ぐらい。
「うーん、なんか溶けてる気がする…」
「そうですねえ…」
「だいじょうぶかなあ」
さすがの岩さんも勝手が分からず、ぼくはさらに分からず。でもまあこんなところでしょう、というところで乾燥へ。
前回記事の時には業務用の乾燥機で1時間ほどで乾燥できたが、今回はなんせ砂糖。熱をかけるわけにはいかないので、翌日まで置いといてもらうことに。なにからなにまですみません。
で、できたのがこれ!おおー!より角砂糖っぽい!
やっぱりちゃんとしてる!なんといってもぼてっとしてないし、「テリ」がないのでうっかりそのまま紅茶に入れてしまうほどの角砂糖っぷりだ。
四角ってかわいい!
遭難したときの糖分補給にもなるし!
子供の頃の一人遊びが30年ばかり経って、こうなった。今後も改良を重ねていきたい。
穴空けてお湯に投入し、内側の砂糖は溶かしてウレタン塗料の殻だけにする、っていうのをやってみたかったんだけど、今回は失敗。もっと分厚く塗装すればいいかな?
きたる2012年6月18日の19時から、「製鉄所萌えナイト」というイベントをやります!
これは先日DVD「製鉄所萌え」というものが発売された記念イベント。かっこいいよ、このDVD。
ぼくはDVDには関係してないんだけど、DPZで
思い出の溶鉱炉についての記事なんかも書いてるしってことで出演します。詳しくは
こちら。