はじまりは「かっこいいホームページ」
「かっこいいホームページ」というコーナーを編集しながら、自分でもかっこいい被写体を探して写真を撮り歩いていたところ、出会ったのがおっさんだった。
おっさんの写真は、撮り方によってはすごくかっこいいのだ。今回はおっさんをかっこよく撮るためのちょっとしたコツをみなさんと共有したい。他にもみなさんがおっさんを撮るときに使っているコツなどがあればぜひ教えてください。
普通のおっさんなのに、なぜかっこいいんだろう。
悲哀を帯びた後姿
おっさんといえば悲哀である。背広の上着を脱いでたたずむおっさん。夕暮れ時に若い女性の後ろ姿を目で追うおっさん。そこに漂うのは悲哀である。
この悲哀をおっさんの後姿に込めるとかっこいい写真になる。
グッバイ青春。
腰の傾き具合も絶妙である。
世界の中心で、おっさんがたたずむ。
おっさんのかわいさを撮る
おっさんを撮るとき、あまりかっこよく撮れすぎてもしらじらしい場合がある。おっさんがかっこいい、という意外性が狙いなので、実際にかっこいいとちょっと嫌味なのだ。かっこつけてるおっさんを僕が撮らない所以でもある。
そういう意味で、かっこよさから一度離れておっさんのかわいさに注目してみると写真全体が締まることがある。
左足のはこびがかわいい。
笑顔がかわいい。わけのわかんないところに立っているのもいい。
おっさんの所作を撮る
おっさんにはおっさん特有の所作がある。一つの動作に注目して追うといい瞬間が撮れることがある。
腰のひねり。足の開き。完璧である。
地図を見るときはしゃがみこむ。
つり革は両手で持つ。
フランクなボディタッチ。
おっさんの油断を撮る
一瞬の油断の表情を切り取るとおっさんを手の内におさめたような気分になれる。かっこいいかは別として、おっさんと被写体として撮り続ける上でのモチベーションになる。
無防備なおっさんもいいものである。
おっさんを流し撮りする
F1マシンやチーターなど、速い動きを写真におさめるときに使う手法が流し撮りである。これをおっさんにも適用してみた。
音速。
これについては試してみてわかったことだが、おっさんは概して動きが速くないので流す必要があまりない場合が多かった。
流し撮りではないが、スピード感は出た。
複数のおっさんをいっぺんに撮る
渡り鳥のコロニー、ライオンの群れなど、群れをなしているとそれだけで見ごたえがある。集団になることで個々になかった意味を持つこともあるのだ。おっさんも群れている時がシャッターチャンスである。
見所満載の写真である。手前の二人が主役と思われがちだが、実は右手奥の作業着の三人もいい味を出している。
それにしてもおっさんは動作がシンクロしがちである。
インドのおっさんは間違いない
インドにはおっさんが多いのだが(男女の比率がどうなっているのか正確にはわからないが、町を歩くとほぼおっさんしかいない。もしかしたら僕がおっさんばかりみていただけなのかもしれないが)、現地でおっさんを撮るとまちがいなくかっこいいのだ。
かーっ!
これまで述べてきたかっこいいおっさんの条件を、インドのおっさんはあらかじめ内包しているのかもしれない。
悲哀。
かわいさ。
さりげない所作(ドヤ顔)。
群れ。
油断。
流し撮り(流れていない)。
実はここに載せた以外にもかっこいい写真は山ほどあるのだが、おっさんをまともに正面から撮っている写真が多くて記事で公開するのがはばかられた。インドのおっさんの写真が多いのはそのためである。
エキサイティング、おっさん
被写体がないから写真が撮れない、それはいい訳である。希少な鳥とか自然現象とか、そういうものが普段から撮れればそれはかっこいいに違いないが、なかなかそうもいかないだろう。
おっさんはいつでもそこにいるぞ。
普通の風景からかっこよさを絞りだす感覚を、ぜひとも感じ取ってもらいたいのだ。
次回はぜひインドののらいぬについて説明したいです。