特集 2012年6月5日

コンプガチャの仕組みをわからないでいる

サイコロで説明しますが、わかりません
サイコロで説明しますが、わかりません
コンプガチャが規制されるらしいと大騒ぎになり、その揃わなさを説明した文章がインターネット上にあふれた。

うわー、どうやらすごいことになってきたぞ。そんな雰囲気だけは感じるのだが、残念ながらコンプガチャの仕組みがわかっていない。でも噛みたい。わからないなりにいっちょ噛みたい。

「わからないぞ、コンプガチャ!」

大きく乗り遅れておいて、そんな風に叫びまわった軌跡を今日はご覧いただこう。
2006年より参加。興味対象がユーモアにあり動画を作ったり明日のアーという舞台を作ったり。

前の記事:駒場東大前マックのあの変なBGMを確かめる

> 個人サイト Twitter(@ohkitashigeto) 明日のアー

サイコロを使った説明

コンプガチャの仕組みを説明した文章のなかでも、とりわけ理解しやすそうだったのがサイコロを使ったもの。なかでも一番かんたんな説明はこんな感じ。

「サイコロで1~6すべて揃えるには何回振らないといけないか?答えは約14回と、意外に多い。」

14回も!?それは以下の図のようなことらしい。

[参考]『コンプガチャの確率マジックを中学生にも分かるように説明するよ』てっく煮ブログ
理屈はこういうことになるようだ
理屈はこういうことになるようだ
「でも6回くらいでそろいませんでしょうか」
「でも6回くらいでそろいませんでしょうか」

ぼくは6回で揃うと思う

14.7回もかかるのか。これは大変なことになってきたぞ。いくらかは多いんだろうなと思っていたが、私が考えていた数よりもずっと多い。

6回で揃うと思ってたのが14回だなんて。

いや、待てよ。サイコロで1が出て、2が出て、3が出て4、5、6が出ればいいのだ。うまくいけば6回振れば揃うんじゃないか。揃うだろう。揃うんじゃないか。

「はい、揃います」

と、願望も口に出せば事実のような気がしてくる。人生のコツだ。さあ、実際にやってみよう。
一投目はなんでもいい。100%当たりが出る。
一投目はなんでもいい。100%当たりが出る。

だんだん揃いにくくなっていく

1つめは何が出てもいい。6分の6の確率で当たりが出る天国みたいな時間だ。コンプガチャで一番盛り上がるのもここではないか。「5」が出た。

そして2つ目。今度は「5以外のどれか」なのでまだ大丈夫。「2」が出た。
ニ投目は「5以外」なので約83%の確率で当たりが出る。
ニ投目は「5以外」なので約83%の確率で当たりが出る。

ここから停滞する

三投目。おや、ここでまた「5」が出た。しまった、最短の6回ではいかないのか。それでもプラス1して7回くらいでいくんじゃないか、14回はかからないだろう。

と思ったらまた「5」が出た。ストレスを感じはじめた。
あ、同じの出た
あ、同じの出た

きっちり14回かかりました

結果、予想されていたように14回振ってサイコロの1~6をコンプリートできた。おかしい。6回で済むはずだったのになぜだ。

揃うまでの数をグラフにすると以下のようになる。後半が出にくくなってることがグラフにあらわれている。
結果14回振って全部揃った。後半は揃いにくい。
結果14回振って全部揃った。後半は揃いにくい。

なぜ14回かかるのかわかりません

言われていたように最後の方が揃いにくくて14回かかった。私は事前に理屈を理解できなかったが、先にサイコロの方が先に理解したようだ。サイコロのやつめ……そうか、つまりこうは考えられないだろうか。サイコロが悪いと。

ということで、わからなかったのもサイコロのせいにして、サイコロを取り替えます。
え~、サイコロが小さくてわかりづらかったのだと思いまして
え~、サイコロが小さくてわかりづらかったのだと思いまして
わかりやすくするために大きくしてみました
わかりやすくするために大きくしてみました
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でかい。おじいちゃんでもわかりやすい。
でかい。おじいちゃんでもわかりやすい。

サイコロ(大)ならわかるだろう

わかりやすくなるようにサイコロを大きくした。新聞だって文字が大きくなってわかりやすいと謳っていた。

これなら僕にだってわかるんじゃないだろうか。これで本当にわかったら、あとで虫眼鏡で六法全書読もう。
うわー、投げにくい!
うわー、投げにくい!

これなら6回でいけるんじゃないか

コンプガチャの仕組みがわかるように、とサイコロを大きくしたわけだがここでまた僕のあの思いがメラメラと燃え上がってきた。

そう、「うまくいけば、6回くらいでいけるんじゃないか……」である。

いけ、第一投、6回でいけるに決まってる!
ところがその後大いに伸び悩んで、さ、さ、38投!?
ところがその後大いに伸び悩んで、さ、さ、38投!?

理屈では14回のはずが38!?

大きくて投げにくいなあと思っていたら、最後の一つが出ない出ない。何だこれは。

やっと出たと思ったら投げも投げたり38投。最後の一投は6分の1の確率だというが、18回も投げていた(それ自体は約3.8%の確率)。
サイコロを大きくするとコンプしにくさがなぜか上がる
サイコロを大きくするとコンプしにくさがなぜか上がる

おわかりいただけただろうか

最後になるにしたがって、揃いにくくなるというコンプガチャの仕組みがおわかりいただけたろうか。

たしかに今回の最後の揃いにくさといったら格別だった。大きいとほんとにわかりやすいのかもしれない。
だけどわからない男、わからず屋です
だけどわからない男、わからず屋です

やはりわからないので、サイコロを変えます

わかった、認めよう。最後の方は揃いにくくなることは認める。18回も投げたあの絶望感に免じて認めます。

だけど、まあわからない。14回は投げすぎだろう。どうやってそれを理解したらいいのだ。

そうか、数字がいけないんだ。数字のカタさのせいで、理解できなかったのだ。
乳児にもコンプガチャを説明できるようになりました
乳児にもコンプガチャを説明できるようになりました

7回くらいでいけるだろう

サイコロの字はやめてどうぶつにした。全体から醸し出されるベネッセから毎月送られてきそうな雰囲気。これなら2才の娘にもコンプガチャの揃わなさを教えられるぞ。

そしてサイコロももう3回目である。こちらも理解度が上がってきた。

たとえば最後がそろいにくいのは認めた。今までは6回だと見込んでいたが最後にもう1回、全部で7回くらいで揃うんじゃないか?
当日のメモより。なんと5つ揃うまでにロス1回、ほんとに7回ペースで進んでます!
当日のメモより。なんと5つ揃うまでにロス1回、ほんとに7回ペースで進んでます!

ほんとに7回でいけるぞ

7回くらいで、と思ってたらほんとにそのペースで進んだ。ロスはたった1回だ。

さあ、あと1投で6つ目のウサギが出たら、7投でコンプ達成。来い!ウサギ!
最後が出なくて結局21。
最後が出なくて結局21。

21回かかった

最後のウサギが出なくて結局21投。またしても14投を大きく超えてきた。

出ろ、ウサギさん出ろ!と願うあの気持ち。射幸心をあおりすぎると言われるコンプガチャの一端がかいま見えた。射幸心とはウサギさんのあれだ。

だがなんだ、ウサギさんって。全くわからない話だ。実際7回でいけそうだったではないか。なのに、21回とは。
ますますわからなくなってきました
ますますわからなくなってきました
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よりコンプガチャに近づけてみたらどうだろう

サイコロが簡単すぎるのがいけないのではないか。もう少し本番に近づけた方が理解しやすいのではないか。

「サイコロの1~6まで揃えるのに14回必要」の説明のときに添えられていたが、実際のコンプガチャはもちろんもっと複雑なのだそうだ。

30いくつあるうちの10個を揃えたり、特に出にくい目(重心が傾いているサイコロのような)があったりするらしい。

ということで30面体のサイコロに、穴を開けて重心を変えた。ここから1~10までを揃えてみる。
サイコロをよりコンプガチャに近づけるために30面体の重心を変えました。コンプガチャの概念を立体化したものがこれか。
サイコロをよりコンプガチャに近づけるために30面体の重心を変えました。コンプガチャの概念を立体化したものがこれか。

30のうち10面なら…15回くらい?

今回は10面揃えるということなので……13回くらい。いや、もうサイコロを使った実験も4回目ですよ。僕の予想をさらに超えてくるので15くらい。

15回で10面揃える。さあ、いけ、コンプガチャサイコロ。
全然サイコロが止まってくれなくて数をこなすのが面倒
全然サイコロが止まってくれなくて数をこなすのが面倒

「タダ」でもかったるい

これがコンプガチャか……六面体に比べて、面が多く、よりボールに近いので全然止まってくれない。一投するのがかったるいぞこれは。

その上、本物のコンプガチャはお金もかかるのだ。

このかったるい時間をお金払ってやるということはもう目もくらむような楽しい世界が待っているのだろう。

コンプガチャ(コンプリートされたガチャガチャ)というのは、昔でいう酒池肉林(酒の池に肉の林)みたいなもののことなのかもしれない。
最後が揃ったときは嬉しいというよりホッとした。
最後が揃ったときは嬉しいというよりホッとした。
88回投げると全部揃うのはうれしいですよ
88回投げると全部揃うのはうれしいですよ

理解よりもコンプのうれしさ

(え、こんなに揃わないのか!)という気持ちよりも(がんばったぞおれ!)の思いの方が強い。そして最後に出た目のうれしさ。私の死に際の走馬灯には30面サイコロの「8」が現れることだろう。

コンプガチャの揃わなさを理解せずにその楽しさにハマリつつある。一体いつになったらその揃わなさを理解できるのだ。

一度サイコロから離れてみたらどうだろう。立体でなく、平面であるトランプで実践することにした。
サイコロでダメなら、トランプだってわかりにくいでしょ?とお思いの皆さん、もちろんその辺りのことはわかっております
サイコロでダメなら、トランプだってわかりにくいでしょ?とお思いの皆さん、もちろんその辺りのことはわかっております
今回は最初から字が大きくわかりやすそうなトランプを使うことにしました
今回は最初から字が大きくわかりやすそうなトランプを使うことにしました
クワーッ19回!またこんなにかかるのか!
クワーッ19回!またこんなにかかるのか!

私たちの生活にあるコンプガチャを探して

コンプガチャはカードなのでトランプが近い。だけどわからなかった。なぜこんなに19回もかかるのだ。7~8回でいかないかね、君。

もうこうなったらサイコロからどんどん離れていこう。もっと私たちの身近にあるコンプガチャで理解していこう。
例えば最初に出てくるマーブルチョコの色であるとか
例えば最初に出てくるマーブルチョコの色であるとか

甘いものでコンプガチャ

もっとコンプガチャの説明に向いてるものはないのか、と思ってたところに出会ったマーブルチョコ。

あの無機質なサイやトランプに比べてなんだこのとてつもないご褒美感は。この中には射幸心と糖がびっしり詰まっている。

よし、やるぞ、マーブルチョココンプして理解するぞ。
ものすごく偏っている。まあ10回くらいで揃うだろう。
ものすごく偏っている。まあ10回くらいで揃うだろう。
最後の水色はどろ沼突入でトータル30回
最後の水色はどろ沼突入でトータル30回

製菓界のコンプガチャ

誰だ、10回でいけるなんて言ったのは。2つしかない水色が最後まで出ずに、コンプリートまで30投。サイコロとちがって目を出すのがけっこう手間だった。

そしてレアもののの水色が出てきたときは本当にうれしかった。コンプガチャいいものだなあ。

これで私の走馬灯は水色のマーブルチョコと30面体サイコロになった。
まだまだわかっておりませーん
まだまだわかっておりませーん
いったん広告です

まだわかっていません

もうこの辺りでコンプガチャを理解しておきたいが、わからない。この自然界には(主にスーパーに)私の知らないコンプガチャがまだまだあると思うと、理解するものも理解できない。

この辺りの気持ちは少年マンガの「まだまだ強い敵がいると思ったらわくわくしてきた」といった物言いに近い。

わからん界のドラゴンボールZ、さあ連載開始です!
木の実界のコンプガチャといえばミックスナッツ
木の実界のコンプガチャといえばミックスナッツ
ピ、ピーナッツしか出てこない。なんだこの地獄は…
ピ、ピーナッツしか出てこない。なんだこの地獄は…
ひたすらピーナッツが邪魔をしてトータル66回でコンプ
ひたすらピーナッツが邪魔をしてトータル66回でコンプ
仕組みわからないけど、コンプめちゃくちゃうれしい!
仕組みわからないけど、コンプめちゃくちゃうれしい!
次はコンプといえばこれじゃないか?の味ごのみ的なやつだ!
次はコンプといえばこれじゃないか?の味ごのみ的なやつだ!
10種類達成するのに38回!なぜこんなにかかるのか!?
10種類達成するのに38回!なぜこんなにかかるのか!?
わかりません!!
わかりません!!
もしかして、のりたまでもコンプガチャの説明ができるのでは?
もしかして、のりたまでもコンプガチャの説明ができるのでは?
のりたまをよく見ると(右から)海苔、茶色、緑、ゴマ、タマゴ、黄色の小さいの、に分かれている。さあ、これをどうやってランダムに選ぶか!?
のりたまをよく見ると(右から)海苔、茶色、緑、ゴマ、タマゴ、黄色の小さいの、に分かれている。さあ、これをどうやってランダムに選ぶか!?
そうか、ちょっと出してみて、この円の中心に一番近いものを選ぶことにしよう!
そうか、ちょっと出してみて、この円の中心に一番近いものを選ぶことにしよう!
ジャッ
ジャッ
ウッ
ウッ
わりと素直に出てくれたのりたまは16回でコンプ達成!
わりと素直に出てくれたのりたまは16回でコンプ達成!

のりたまはあれ何が入っているんだ?

わからない。それにしてもわからない。

コンプガチャの仕組みもさっぱりが、のりたまのつぶつぶもわからない。あの緑の粒子はなんなんだ?お茶漬けのもとか?

そして黄色のたまごはいいとして、小さい黄色はなんなんだ?見た目はたまごのようだが、食感が大きいものとなぜかちがうのだ。

コンプガチャをわかる前にお客様相談室に電話だ。
「緑のつぶは、抹茶なんです」
「緑のつぶは、抹茶なんです」

のりたまはあれ何が入っているんだ?

――のりたまの粒はあれ何なんですか?のりとゴマ以外に色々入ってますよね

「そうですね、たとえば茶色いのがサバ節ですね。あとは緑のが抹茶ですとか」

――この緑の粒、抹茶なんですか?

「抹茶以外にもいろいろ入っていますが、抹茶ですね、あれは。あとは黄色いのがたまごです」
「タマゴは食感を変えるために、大小入れてるんです」
「タマゴは食感を変えるために、大小入れてるんです」
――小さい黄色のつぶもありませんか?

「ございます。たまごは食感を変えるために大きさを変えて入れております」

――なるほど、それで全部ですか?

「そうですね。粒ということであればそれで全部だと思いますが…」

そうか、緑は抹茶で、小さい黄色はタマゴだったのか…いや、わかった、わかったぞ。のりたまについてはばっちりわかった。そして次こそは、コンプガチャを理解したい。

まだ見ぬコンプガチャを探して

緑、ピンク、オレンジに黄色…今、私は東急世田谷線の電車の色でコンプガチャを理解できないかと考え、見に来てみた。

だがここでもコンプガチャの仕組みはわからないかもしれない。どうやらここの電車は数が少なく、ランダムとはいえない。

それにしても人生は塾のようです。日々学習して過ぎていきます。昨日わからなかったことが今日わかるようになる。

そして同じように、昨日わかってたことが今日わからなくなるかもしれない。例えばのりたまの緑色が何であるとか。

忘れないように今日も私は塾に通って復習する。「のりたまの緑は抹茶」だと。
電車見に行くのにビジュアル凝り過ぎた
電車見に行くのにビジュアル凝り過ぎた
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