歴史に残るハンターチャンス・墾田永年私財法
墾田永年私財法は743年に聖武天皇が発布した法律である。農民が開墾した土地は永遠にそのものの財産となるという歴史に残る大サービス制度だ。
743年は奈良時代ということになっているが、740年から4年だけ奈良(平城京)ではなく恭仁京(くにきょう)という場所に都が置かれていた。そのマイナーな都で墾田永年私財法が発布されたのだ。恭仁京こそ墾田永年私財法の聖地である。
意外な場所の意外な名物、マニア心を刺激する組み合わせだ。マイナーな都とは言えあの有名な墾田永年私財法発祥の地。みやげものがあるかもしれない。
墾田永年私財法のペナント(想像)
ゆるキャラ「墾田くん」(願望)
恭仁京(くにきょう)跡は京都駅から電車で1時間ほど
京都駅から南東(右下)に恭仁京跡がある。最寄り駅は加茂。電車だと乗り換え込みで1時間ほどだ。
乗換駅では学生がホームに座り
懐かしい山手線みたいな電車が走ってた
中心地から1時間で墾田永年私財法の聖地に行けてしまうところに古都京都の実力を見た思いである。東京から1時間では海浜幕張のバレンタイン神社ぐらいにしか行けない(千葉ロッテマリーンズの監督だったボビーバレンタインにちなんだ神社。しかもいま調べたらもう撤去されていた)。
加茂駅で恭仁京(くにきょう)の文字を見る
加茂駅を降りるとさっそく恭仁京への案内が現れた。さすが4年とはいえ日本の都が置かれていた場所である。気持ちが盛り上がる。毛穴が開く。
墾田永年私財法の聖地へのバス
ブラインドにも案内。
恭仁京は資料によって都があったのが3年だったり4年だったり5年だったりするのだが、要は短いということだろう
海住山寺は「かいじゅうせんじ」と読む。かっこいい。
しかしいちばんプッシュされていたのはN700系であった。
新幹線に後光。光輪が出てる
駅が恭仁京の案内だらけということはなく、恭仁京の案内は上に載せた4枚がすべてである。全部載せてしまった。
そして墾田永年私財法のこの字もなかった。まずい、ペナントは無理か。
全国の墾田永年私財法ファンのみなさん、ここが聖地です
駅からタクシーに乗り「恭仁京跡まで」と言うとすぐに通じた。駅のテンションの低さを見るともしかして誰も興味ないのではと心配したがそれは杞憂に終った。
しかし、ここでいい?と言われて降ろされた場所は意外だった。
はらっぱ
予想以上になにもない。「え、ここですか?」とタクシーの運転手に聞こうと振り返ったらぶぶーと走り去ったあとだった。
むかしの建物の土台があった
なにもなくはなかった。恭仁京にあった塔の基礎が残っていた。七重の塔だったらしい。たぶん1270年前は相当いけてる塔だったのではないか。いまのスカイツリーみたいなものである。
スカイツリーもあと1300年後に「ナニモネーナー」と未来人が言ってると思うとおもしろい(もちろんぴったりした銀色の服で)。
墾田永年私財法の聖地から
しかし落ち着いてあたりを見回し、ここで墾田永年私財法が誕生したのだと思うと感慨深い。小学校で習ってから1万回は「こんでんえいねんしざいほう」と言ったかもしれない。
しかもいここでは墾田永年私財法がただの響きがおもしろい言葉ではなく、リアリティを持っているのだ。歴史好きがやるように景色に知識を重ねると見えるものも違ってくるではないか。
そうしないとただの原っぱである。
恭仁京の前はカラオケだった
ゲートボール大会でもやったような跡
紙おしぼりと輪ゴムが落ちていた。誰か弁当食ったな。
石碑をなんども眺める。「棒だな…」
墾田永年私財法グッズはどうやらなさそうだ。恭仁京跡の石碑はあったが、「墾田永年私財法のふるさと」といった石碑はなかった。
恭仁京のメインのたてもの(大極殿)があったことを示す石碑
なぜか放置されている石碑もあった
「ここであの歴史が…」というロマンと「でもやっぱりはらっぱじゃん」という現実のあいだで行ったりきたりしている。
口先だけの僕ではない
万葉集に恭仁京は自然がサイコー!(意訳)という歌が残されている。確かにおだやかな平原で遠くに山が重なり、川がゆったりと流れる場所だった。
いい川!と思って撮ったら思いのほか茶色く写った。ほんとはもっといい景色です
周辺の人たちはこのあたりの土地を墾田永年私財法で手に入れたのだろうか(違います)
おもしろき板
犬を散歩させている人が多かった。
恭仁京跡の中心には小学校がある。スクールゾーンの文字がスターウォーズみたいだし子どもの身体がふしぎ
念願かなって墾田永年私財法がうまれた土地を見ることができた。これまでのように「墾田永年私財法ってよく言うけど、おまえは実際に見たことあるのか!」と突っ込まれたらどうしようと心配することもない。見たことあるぞ。おもにはらっぱだ。
墾田永年私財法初段ぐらいは名乗っていいかもしれない。
グッズは自分で作る
残念ながら墾田永年私財法の石碑やおみやげものはなかった。逆に言えばまだ誰も手をつけてないということなので、夏に向けてオリジナルTシャツ、夏フェスにぴったりの墾田永年私財法タオル、ペットボトルホルダーなどを考えたい。
墾田永年私財法ファンはマストバイのアイテムである。墾田永年私財法ファンが10人ぐらいだったらひとり10個は買って欲しい。
恭仁京跡に貼ってあった博物館のポスター。「解脱上人 貞慶」って「機動戦士ガンダム」と同じ構造ですね