蕎麦もうどんも素麺も、冷やし中華も
先日とある飲食店にて「焼きパスタ」なるメニューを頼んだら、出てきたのはご飯の上にパスタが盛られた料理だった。
焼きパスタってそういうものなのか、という衝撃。
以前当サイトに掲載された
パスタ丼の記事を思い出した。食べてみるとこれがまた美味しい。ライター地主さんが伝えたかったのはこういうことだったのか。
改めて、麺類+ご飯、という組み合わせは大いに「あり」だ。炭水化物と炭水化物を合わせるなんておかしい、という人もいるだろうがちょっと待ってほしい。まずは話を聞いてほしい。
例えばこれから口にする機会も多くなるであろう、さっぱり冷たい麺類。
彼らだって伊達や酔狂で冷えているわけではないだろう。ご飯に冷たい食材といえばそう、寿司だ。寿司ネタになる可能性を秘めていると思うのだ。
石川県出身。以前は普通の会社員。現在は透明樹脂を用いたアクセサリーを作る人。好きな色は青。好きな石はサファイア。好きな犬はウェルシュ・コーギー。
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冷たい麺類on酢飯
早速寿司ネタとなってもらうべく、四種類の冷たい麺類を用意した。
案の定この時期のコンビニにはこういった類の商品がたくさん並んでいる。今が旬、という捉え方をしたい。
全てマチのホットステーションなるコンビニで揃えました
さて寿司といっても色々ある。握り寿司をマスターするのには数年の修行を要するとも聞く。そして残念ながら私の経歴書に寿司職人の文字はない。あったとしても麺を握れるかは怪しい。
というわけで大人しくチラシ寿司にしよう。リスク回避という便利な言葉を積極的に活用していこう。
ではまず冷やし蕎麦から
チラシ寿司といっても酢飯に具材を乗せていくだけだ。修行いらず。
結果として小盛りの冷やし蕎麦にしか見えなくなった。ちゃんとご飯が入ってます。
しかも使用したのはただの冷やし蕎麦ではない。オクラや山芋が乗ったねばねば冷やしだ。
ねばねばとご飯は相性が良い。回転寿司にだっていかオクラとかまぐろ納豆とかあるだろう。だったらねばねば蕎麦にだってその素質はあると思う。君には期待している。
付属のめんつゆを掛けていただきます
これは…
普通だ。普通に美味しい。何の違和感もない。
「普通とは何か」というテーマで道徳の時間に学級討論をさせられていた幼き日の自分たちに教えてあげたい。これが普通というやつだよ、子供たち。
めんつゆとご飯は合うし、ねばねばとご飯も合うし、そこに蕎麦が加わったところで何一つ破綻するものがない。さっぱりしているのに白米のおかげでボリューム感もある。これはいいぞ。
麺類寿司は全員いい子
冷やし蕎麦の成功に気をよくしたので、張り切って次々いこう。
君たち全員そこに並びなさい。寿司にしてあげるから。
夏の風物詩、刻みネギの添えられた素麺
酢飯に乗せると真っ白な食べ物が出来上がった。伯爵令嬢のような気品。
こちらも付属のめんつゆでいただく。
蕎麦よりも淡白な味わいで、さらっとだし茶漬けのように食べられる。薬味のネギもよいアクセントだ。真夏のお昼ごはんにおすすめしたい一品となった。
具材たっぷり、豚しゃぶサラダうどん
やった、ごまつゆだ! そろそろ味を変えたいと思っていたところでした
あっさりした素麺の後ということもあって、肉の存在が嬉しい
肉・ごま・こしのあるうどん、という主張の激しいメンバーが揃っていて、同じ麺類+白米ではあるが蕎麦や素麺とは一線を画すパワー系のメニューとなった。食べ盛りな高校生男子あたりから支持を集めそうな組み合わせだ。夏休みの部活動後にどうぞ。
最後は冷やし中華。そろそろ全国の食堂で「始めました」の張り紙が出る頃か。
相変わらずただのミニ冷やし中華にしか見えないが
ちらりと覗く白米の影。そう、これはあくまでチラシ寿司。
これは少々失敗だった。当然のように冷やし中華のタレをかけたのだが、勢い余って量をかけすぎてしまったのだ。結果として酸味のあるタレを酢飯がこれでもかと吸い込み、かなり酸っぱめのご飯となってしまった。というわけで冷やし中華に罪はない。目測を見誤った製作者(私)が悪い。
4種類の麺類と酢飯の組み合わせ、本当は☆の数などで味の評価をつけようかと考えていたのだがやめた。なぜならどれも問題なく美味しいから。
うちのクラスに悪い子はいません。
でもせっかくだから寿司路線を継続
味の良さは確認できたので、見た目をもう少し寿司に寄せたい。正直これまでのものはチラシ寿司というよりも限りなく丼に近い。麺丼。
握りは美しくできなくても軍艦ならなんとか、海苔で巻いたらそれらしく見えないだろうか。
なった。それらしくなった。海苔パワー。
蕎麦寿司だ。
一気に寿司らしさが湧いて出てきた。例えば回転寿司屋で席に着いたとして、これがレーンを流れてきたとしても、その光景におかしなところなど何もない。
その調子で4種類、軍艦になってもらおう。やや具材はみ出し気味。
そうめんをたっぷり乗せて、ネギも忘れず添える。
蕎麦は彩りが渋い。落ち着いた大人の麺寿司だ。
うどんはなんだかダイナミック。冷やし中華はやや色彩過多だが、華やかさはダントツ。
見ているうちに段々と脳が麻痺してきて、これはもう普通に世の中にあるものな気さえしてくる。こういうの、スーパーの寿司売場に並んでるんじゃないの、という疑惑。どうにも新しい食べ物だとは思えない。
いや、冷静になろう。現実を見よう。麺寿司なんてないのだ。売ってないのだ。何より、そうでなくては今こうして記事にする意味が無いのだ。
尚、食べ方はこう。寿司ですので、醤油でいただきます
では蛇足気味ではあるが調子に乗ってもう一パターン。
押し寿司にしてはどうか、と思ったのですが
押せていない。ちっとも押せていない。
酢飯はともかく、麺たちは元気いっぱいにばらついている。
これはあれだ、ケーキだ。モンブランだ。
冷たい麺を寿司にして、更にそれをケーキに見立てるという、何周回ったのかもうよく分からない事態に行き着いた。
でもこれ、見た目はなかなか可愛いと思ってる。親バカならぬ製作者バカ。
違和感がなさすぎる
実を言うと小さい頃から我が家では、食事メニューが何であろうと必ず白米が一緒に出てきた。お好み焼きだろうと。焼きそばだろうと。ミートソーススパゲッティだろうと。
今回の試みに全く違和感を覚えなかったのはひょっとして自身にそういう土壌があるせいか、という疑いがなくもないが、それにしてもどのパターンもそれぞれ美味しく楽しく完食できてしまった。
ちなみに一番気に入ったのは蕎麦。ねばねばの力は大きいのだ。