システム開発の準備:予備調査
最中システム、別称懐中システムを討議する前に、最中の皮を買ってこよう。と思ったのだが、最中皮(最中種(だね)というらしい)をいきなりお店で売っているのではなく、主に業務用の、ロットの大きい買い方になるようだった。ネットで小売りしているところもあったが、今回の記事に間に合うか微妙だったので、まあとにかく街に出てみた。
とあるデパ地下へ向かった。ここには、和洋の製菓材料がふんだんに売っているので、きっと最中種もあるだろう。あるいは隣接する贈答菓子売り場で、皮を売ってないだろうか。
千葉名産、ぴーなっつ最中!きっと餡にもピーナッツ。これはうまいだろう。
ひかえめなかわいさがいい。
立川銘菓、だそうだ。気品あるパッケージ。
ザ・最中である。
ふだん菓子売り場に行っても、より華やかな洋菓子ばかり見てしまい、和菓子ブースはあまり気にしていなかった。が、こうやって最中探しを口実にゆっくり見てみると、非常に興味深い。興味深いもんだから、「お!変わった最中!」と目に付いたものを次々に買ってしまうという、最中フィーバー状態となった。
とらやの、これまた上品きわまりないたたずまい、そしてネーミング。
こっちが卑屈になるくらいのビジュアル。最中さまだ。
最中は基本的に「静かな」食べ物だ。中に甘い小豆餡や栗、もちなどをはらんでいるにもかかわらず、そのそぶりをほとんど見せない、ほぼ無味な皮。中身が情熱なら、皮は冷静。その地味さのせいで今まで気づかなかったが、自分は最中、けっこう好きである。
だが、その静けさをうちやぶっている最中を見つけた。こんな方法でだ。
カステラで有名な福砂屋に、面白い最中があった。
魅惑の、手作り最中!
即、買いだ。皮と餡が別々になっており、付属のヘラで餡子をちまちまと皮に好きなだけ盛って食べるのである。夢あふれる食べ物ではないか。
説明書きがノレン風でかわいい。
ヘラの持ち手にも、商標のコウモリ!
お店で食べる釜飯とか、蕎麦湯とか、「自分で盛れる」市販品や外食はとても素敵なものだ。
閉じれば「シーン…」。
おお、皮は餡から放してぴっちりパッキングされていたせいで、パリパリと香ばしい。こんな皮がうまい最中は初めてである。上あごの天井にいちいち貼り付くイベントも、これなら許せる。
渋茶に最中。いいねー…。
ダメな昼下がり。
お気づきだろうが、このページ、「最中って改めて食べると美味しいね!」という内容になっている。皮、最中種はどうした。食べて終わりかこのやろう。
でもこれまたお気づきだろう。上の「手作り最中」の皮が使えることに!
システム開発の準備:サンプルおよび競合調査
最中システム、別称懐中システムを討議する前に、最初に書いたその「懐中しるこ」そのものを買ってこなければなるまい。
さまざまな店、さまざまな地方で売られているようだが、近所で手に入りやすそうな文明堂のを求めてさまよってみた。もう4月なので、しるこはもう店頭に並んでないかも…とヒヤヒヤしたが、あっけなく店頭においてあった。
ちょっとした化粧用コンパクトくらいでかい。
くだいて、お湯を規定量注ぐ。
ああ、写真を見るとあの甘みが舌によみがえってくる。
もう一度言うが、これをお土産か何かで初めていただいたとき、ほほうー!と思ったものだ。最中種を、中身ごとお湯にひたしちゃおうってんだから。
この「一手間加える」という工程に自分は弱い。なんだか惹かれる。
さて帰るかーと思ったそのとき、目の前にこれまた「懐中フィーバー」になりそうなものが!ちなみに福岡の名品である。
こんなに進化していたとは!この記事書かなくていいじゃん!
割ってみたらなんか松茸のドールハウスみたいになってた。
文句なくうまい。
最中種はもち米から出来ているので、そう、お雑煮によく似た感じ。それも、私の大好きな「もちの焦げた部分だけはがれてぶよぶよになっているところ」そっくりである。そうか、来年からこれでいいんだ、うちの雑煮。
システム開発工程:設計~実装
やっと、独自の懐中システムの開発に入る。製菓材料店で買っておいた、小ぶりの最中種(これしか置いてなかった)も、使えたら使おう。
パステル色だけど。
そしてこれらが、新しい懐中○○になるかもしれないものたち。
今までの、最中を取り囲む風流な雰囲気が一変、ジャンクな香り漂うチョイスになった。どれも、「お湯をかけて戻せるか」という基準で選ばれたものたちである。現代的食材を使って、懐中○○という古来のケータイ食に、新たな息吹を吹き込みたい。
まず粉を入れる。なるべく多く入れたい。
その接合部分を水で少しぬらしてくっつけると、さすがもち米、ちゃんと接着できる。
じゃがりこにお湯を注ぐとポテトサラダになるということで、投入。
禁断の「カレールウそのまま」を、投入。
ご飯は、そばめしのインスタントご飯から少し拝借。
目玉はこれだ。懐中しるこから借りた皮に、くだいたチキンラーメン。
この中で不安材料は「カレー」と「じゃがりこ」である。他2つは、お湯に溶かせばうまいに決まってるし、できあがりの味に最中種はあまり影響しないだろう。
さて、せっかく懐中システムを使うわけだから、懐(バッグ)中に入れて持ち歩こうではないか。
システム完成…さっそくバグ
懐中~…
…システム!
ここ数日で原稿書いたのが丸わかりな、満開ぶり。
ページ冒頭のコマは「懐中」の部分を強調するため、フトコロから取り出してみたところだ。失礼しました。
さて近所の公園にやってきた。桜は満開である。ここ数年来、花見にまともに行ってないが、人生どんなタイミングで花を見に行くことになるかわからないものである。
懐中ならぬ、バッグ中から取り出したのはこちら。
懐中○○を紙で包んだりして荷物を減らそうとしたのに、器で結局イッテコイになった、の図。
器にそれぞれあけてみた。なんと華のない宴か。
お湯を注げば、華がないとは言わせない。いつでもどこでも、コーンスープやポテトサラダ、カレー、チキンラーメンが食べられる画期的なシステムである。ヤマザキ「ランチパック」の最中版、といえなくもない。
このために買ったサーモスで、お湯を注ぐ。
ピンボケですみません、カレー分解中。
これまた手にフォーカス合っちゃってすみません、ポテサラです。
写真のピンボケ具合が、最中の立ち位置を象徴しているように思える。
ちなみに、お湯を入れてから「突き崩さない」でいると、なかなか中身までお湯がしみ込んでいかないようだ。意外と最中種、頑丈である。ここでは頑丈に思えるのに、金魚すくいのときはあっと言う間にへニャっとしてしまうように思える。
早くも、コーンスープが溶けてきた。
あ、桜。
器に落ちた花びらに興を覚えている場合ではない。最中種、緑のを選んだせいで、よくわからない色合いになってしまった。「ずんだ」のようにも見える。
味は、お湯の量を間違えたのは別として、しっかりコーンスープの味である。そこに、もちっぽい何かが加わっているのだ。
ちなみに、コーンスープ1杯分の粉は、この大きさの最中種で6個必要だった。6個全部お湯に浸してしまったら、さぞや もちもちしたスープになったことでしょうな。
カップスープで花見、という流れも、よくわからなくなってきた。
【お詫び!】
実はこのあと突風が吹いたりして、撮影がバタバタしてしまった。そのドサクサに、じゃがりことカレーの写真を撮るのを忘れてしまいまして、この2枚は後から自宅で撮ったものです。すみません。
懐中じゃがりこ。
懐中カレー。
じゃがりこは本当にポテトサラダのようになったが、いかんせん最中に入っているとお湯の量がわからず、ちょっとベシャッとしてしまった。最中種が入った分、少し味も薄くなったようだ。でもまあ、食べられないことはない。
カレーは、特殊なご飯を十分ほとびさせるのに5分以上かかったが、最後は普通に食べられた。市販のルウそのままお湯に溶いたけど、そんなに違和感はない。今度から家でも、めんどくさいときはいきなりお湯に溶いて作ってみよう。最中種は入れないけど。
安定感あったのは、チキンラーメンである。これはお湯がひたひたでも出来上がりに問題ないし。もち入りラーメンってあまり聞かないけど、懐中チキンラーメン、ありだ。持ち歩くかどうかは別として、だ。
うまくないはずがないってんだよ。
よかった、最後は「あり」なもん作れて。どうなることかと思った。の図。
器も食べられてエコ的だし、と思って始めたが、よく考えたらそれをお湯に溶くためにさらに器が必要だった。エコとか、そういうのとは違うんだよな。なんというか、イベントに近い。突き崩してお召し上がりください、という、壷焼きスープとかでよく聞くアレだ。
何がしたいのかよくわからなくなってしまったが、それもまた、最中種の茫洋たる感じを表しているのだ。