寒さ乗り越え動物園へ
日本には数多くの動物園が存在し、動物園ごとに動物の種類や展示の仕方が異なる。これが海外ともなればその違いはさらに大きくなるのでないだろうか。そんな期待を胸に秘め14時間をかけて東京からポーランドへと旅立った。
ということでワルシャワに来ました
ポーランドの首都ワルシャワ。ポーランド最大の都市である。ここにあるのが「ワルシャワ動物園」だ。1928年に開園し、40ヘクタールの敷地に約500種の動物がいるらしい。種の数は上野動物園とほぼ同じである。
旧市街を抜けて動物園を目指す
ワルシャワ動物園は市街地から歩いていける距離にある。旧市街を抜けて順調に行けば20分もかからない。しかし、僕は道に迷い2時間もかけてしまった。この日は時折雪が舞うとにかく寒い天気。さらに通りすがりの人に道を聞けば「知らない」と言われ、寒さが身と心にしみた。
迷った末に到着!(微妙に寒々しい風景)
ワルシャワ動物園の魅力
ワルシャワ動物園のチケット代は18zt。日本円で540円くらいである。日本と比べると物価の安い国なのでこの金額は高くないせよ安くはない。ポーランドではビール500mlが120円くらいなので5杯は飲める金額だ。失恋後だったらビールを選んだかもしれない。
チケットはゴリラ推し
園内の地図
この日は日曜日だったのでさぞ人がいるのだろうと思っていた。休日の上野動物園は行列ができていたりする。その感覚で訪れたら驚いた。ほぼ誰もいないのだ。バブル期にできたテーマパークの末期でももっと人がいたのではないだろうか。
人がいないので広さが際立つ!
とにかく広い
入場したらいきなり終わりの見えない直線だった。広い。そのために人がより少なく感じしてしまうのだろう。人口密度が低いのだ。ただ動物密度も低く、動物がいる一つひとつの敷地が広いのでノビノビとしている印象を受けた。
ゾウコーナー。広い!
キリンコーナー。やっぱり広い!
ライオンコーナー。予想通り広い!
檻を使った展示が少ないのも特長だ。視界を遮るものはなにもなく、心行くまま動物を見ることができる。フラミンゴやアヒル、カモのコーナーにも檻や網はなく、一部の鳥はそれを利用して自由に園内を歩き回っていた。気が向くと戻るらしい。自由な雰囲気の動物園なのだ。
出入り自由
散歩する鳥
池にいるアザラシ
アザラシと言えば白く塗った流氷や岩を模したような場所で展示されていることが多い。海のいる生き物だからそれが当たり前だと思っていた。しかしワルシャワ動物園では池で生活していた。
アザラシがいる池
こんな感じで寝ていた
ご飯をもらう時は陸に上がってくる
日本とは異なる展示というのが動物園好きとしては見ていて楽しい。カバの展示法もそうで、カバがいる環境を模した作りになっていた。水中には淡水魚が自由に泳いでいるのだ。しかしカバはそんな魚に興味はないようでボ~としていた。日本もワルシャワもカバはボ~としているのだ。
カバの展示
大食い文化!
ワルシャワ動物園は室内での展示も多い。カバもそうだし、キリンやゾウなどは室内での展示も行われている。ドアをあけてその施設に入るのだけれど、そのドアには必ずタバコ、風船、食べ物はダメのシールが貼られている。
注目はアイス
「食べ物はダメ」と僕は判断したアイスのシールなのだけれど、そのアイスが3段というところにコチラの人の食生活がうかがえる気がする。1段じゃない、じゃ2段? いや3段だ! というような大食い魂を感じるのだ。
市内を走るバスもアイスは三段!
そういうマークは3段アイスが決まりなのかというと、そうでもない。アイスが2段のものもキチンとあった。若者の大食い離れが進んでいて最近は2段になったのかもしれない。どちらにしろ1段という選択肢はないらしい。
2段はあった
ペットボトルで飲むチンパンジー
チンパンジーの展示の前に来た。この日は雪が降ったりする寒い日だったので室内での展示だった。室内にも木でできた立派な遊具があり、チンパンジー達は大晦日に河口湖を目指す暴走族のように元気に遊びまわっていた。
遊ぶチンパンジー
しばらくすると「バン」という何かが落ちる音がした。するとチンパンジーたちはその音の方向へ走り出す。何かと思えばペットボトルだった。一本ずつあるらしく、彼らは上手に蓋を開け、部活終わりの高校球児のように美味しそうに飲み始めた。
器用に蓋を開けていた
日本の多摩動物園もチンパンジーが自動販売機で缶ジュースを買い、自分であけて飲むという展示を行っている。彼らはビックリするくらい頭がいいので、どこの国もこのような展示になるのだろう。
2本飲む欲張りもいた
万国共通娯楽「顔はめ」
うんざりするぐらい広い動物園を歩いていると「顔はめ」を見つけた。日本では観光地に行けば必ずあるアレだ。それがワルシャワの動物園にもあったのだ。上野動物園にも顔はめはある。動物園といえば顔はめなのかもしれない。
ワルシャワの顔はめ
ただワルシャワの顔はめは若干傷つく顔はめでもあった。顔を出す部分が小さいのだ。こちらの人は顔が小さい。それを基準に作っているため僕の顔では窮屈だったわけだ。自分のスタイルの悪さをさらに自覚する出来事だった。
ブランコも高かった(自分の足の短さを実感)
日本では見ることのできない動物
ワルシャワの街を歩くと多くのゴミ箱を目にする。10歩進めば新たなゴミ箱に出会うのだ。さらにゴミ箱には灰皿も付いている。ポーランドの人はとにかくタバコを吸っている。山崎豊子の小説をドラマ化した時の喫煙率と同じくらいだ。
若者のタバコ離れは起きていない
動物園もその影響なのかゴミ箱(+灰皿)がとにかく多い
街中でそのゴミ箱をのぞいていたらよく空の酒瓶が捨ててあった。お酒もよく飲む国なのだ。その瓶は大抵ズブロッカで、バイソンの絵が描かれている。この絵のバイソンこそ、日本では見ることのできない動物なのだ。
高確率で酒瓶が捨てられている
カッコいい!
このバイソンはポーランドに生息していた「ヨーロッパバイソン」という動物で、ポーランドでは「ジュブル」と呼ばれ愛されている。野生の個体は既に絶滅し、動物園などで繁殖させたものを自然に帰すという活動が現在行われているそうだ。
銀行のマークもジュブル
そんな貴重な動物をワルシャワ動物園では見ることができる。これが僕にとってはワルシャワでの一番の楽しみだった。ズブロッカに描かれた絵を見ると凛々しさと荒々しさを併せ持ったカッコいい印象を受ける。ぜひ生で見てみたいと思っていたのだ。
ど~ん(ジュブルです)
日本でも見ることができるアメリカンバイソンと比べると色が薄く、スラリとした印象を受ける。トラの絨毯のようにジュブルにまたがりモフモフとしてみたい気もするが、酒瓶に描かれたそれよりカッコよさはない気がする。でも優しさは感じる。だからチャラということにした。長く一緒に生活するならカッコよさより優しさ。結婚向きのバイソンがジュブルなのだ。
優しい目をしている
隣にはアメリカンバイソンがいた。こっちの方がカッコいいかも
ポーランド女性は綺麗
動物園は人が少ないとはいえ、ちょっとは人がいる。家族連れが多く、僕のように一人で来ている人はいなかった。次に多かったのがカップル。日本でもポーランドでも動物園はデートスポットのようだ。
カップル!
ポーランドの女性は綺麗だ。行きの飛行機の中で読んだポーランドのガイドブックにそう書いてあった。確かにその通りで、女性を見ると綺麗。先の顔はめで分かるように顔は小さく、ブランコで分かるように足が長い。僕の真逆を行くスタイルをしているのだ。
美人が多い(街中で撮った写真)
さらに写真を撮るとなると顔を近づけてくる。上の写真もそうだ。初対面なのに顔を連結した電車のように近づける。日本では体験したことがなかったので何だか嬉しかった。僕が笑顔でなくニヤけているのがなんだか恥かしい。
顔が近い
ゾウも近かった。この国にいるとそうなるのかも!
5時間もいた
ワルシャワ動物園は広く、動物園のアイドルであるゾウやキリン、ライオンなども揃っていてとても楽しかった。唯一の不満は広くて一度見た動物をまた見に行こうと思ったら、かなりの「見たい」という意思を必要とする点だ。じゃないと途中で嫌になる。見通しがよいので、広さが目に見えて分かるのが嫌になる原因だろう。しかし、動物は元気に動き回っていたし、動物園としてかなり楽しかった。一人で5時間もここで時間を潰したのだ。