シベリア、こういうの
そもそも、お菓子のシベリアをご存知のない方も多いかもしれない。西日本ではあまりなじみのないお菓子だと聞く。
シベリア、こういうやつである。
サンドイッチ屋さんでゲット
サンドイッチ屋さんで売っていることはたぶんまれで、基本的にはちょっとくだけた和菓子屋さんやヤマザキのような大手メーカーの商品としてスーパーなどで売られているのがおなじみだと思う。
私もシベリアは大人になってからスーパーで存在を知った。子どもの頃よりもむしろ今のほうがあちこちで売られているように思う。
このシベリア、ポイントとしては単純にカステラで羊羹を挟んだだけのものではないところだろう。
このように、カステラに羊羹が密着している
基本はこしあんだと思うのだが、こちらは粒あんの羊羹だった
焼いたカステラに、固める前の羊羹を流し込んで挟んでいるのだ。Wikipediaの「シベリア(菓子)」の項目には概要欄の時点で「製造には手間がかかる」と宣言されている。意外と簡単なお菓子ではないのだ。
シベリアバーガーも正規の手法で作ります
なぜ挟むだけじゃだめなのかは分からないが、それがシベリアである、というのであれば今回の「シベリアバーガー」作りもその製法にのっとるまでである。
と、息巻いてはみたものの羊羹を作るのは初めてなのだった! ただ、既成のあんこと粉寒天を使うと初心者でも羊羹が簡単に作れるという。ありがとう既製品!
羊羹を手作りしたい、というニーズになんて便利な世の中なのかしら
そして今回のキモ、パンである
マクドナルドの胸を存分にかりる
さて、挟む羊羹の材料は整った。あとは羊羹を挟むパンである。
ビバリーヒルズバーガーならぬシベリアバーガーを作るということであれば、やはり本物のマクドナルドのバンズを使うしかないだろう。
マクドナルドというと変なオーダーどんと来いというイメージだ。ピクルス抜き、ケチャップ抜きはもちろん、バンズ抜きで肉だけ売ってもらったというような噂も聞よく聞く。
パンだけ売ってくださいなんてオーダー、朝飯前のはずだ。こちらとしても「何か変わったことをする」という意識すらなくカウンターでパンだけ欲しい旨をオーダーした。
パンだけ、すんなりゲット!
カウンター越しの店員さんも「オーケー、ノープロブレムよ。私たちそういうの慣れてるから気にしないで」みたいな自然さと笑顔で接客してくれた。
バンズは焼くかそのままかまで選ばせてくれるなど(せっかくなので焼いてもらった)。さすがである。
ちなみにパンはビバリーヒルズバーガーではなくハンバーガー(100円)のものをオーダーした。中身抜きでも同額になってしまうが、100円なら気が楽だ。
ビバリーヒルズバーガーは420円だったので、同額払ってパンだけくださいという勇気がなかったのだ。マクドナルドは開かれているのに、自分がひよった形である。
注文のあと、カウンターの脇で待っていると店員さんが気を利かせて小声で「パンの……お客様……」と呼んでくれた。はい、パンのお客様は私です。
カスタム商品の証だという「Made for You」シールが張られていた
おお、パンだね
ハンバーガーのほかに食パンとご飯でも作ります
シベリアバーガーと一緒に、せっかくなのでランチパックシベリア(食パンで挟む)と、モスライスバーガー シベリア(平たいご飯で挟む)も作ることにしようじゃないの。
ライスバーガー用にマクドナルドと同様モスバーガーにも行ってライス部分を買えばよかったのだが、こちらはオマケということで、自作ですませてしまえ。
型を抜いて作ったらそれっぽくできた
こちらはランチパック用。正方形になるように食パンの耳を切り取ったら本当にランチパックサイズになった
手抜き水羊羹作りの簡単さがすごい
さて、さくさくと続いては羊羹作りだ。
なんとも丁寧なことに粉寒天を買ったら中に水羊羹のレシピが入っていた。なんだなんだ、敷かれたレールの上を走るだけでシベリアバーガーできちゃうぞ。
お手軽水羊羹は、ざっくりいうと粉寒天を沸騰させたお湯にあんこを入れて混ぜ、冷やし固めれば良いらしい。噂どおりの簡単さだ。
簡単でもおいそれとうまくいかないのが料理・工作系記事である。羊羹のタネがゆるすぎて厚い層にならない!
ランチパック風に端を圧着しようとした食パンから羊羹がはみ出す!
簡単すぎるほど簡単な作業のはずなのだが「そうは問屋が卸さない」パターンで普通に難航した。不器用なんだ私は。
大手メーカーメイドのパロディをやろうというのに出来上がったものは全体的に手作り感いっぱいである。
そんな「こんなはずじゃなかった」を乗り越えて、人は大きくなるんだい。
手作り感には目をつぶり、このまま固めます
かたまった!
冒頭にも書いたとおり、シベリアのアイデンティティは外側(カステラ)で内側(羊羹)をただ挟んでいるのではなく両者が密着していることだ。
さすがにこのポイントだけは抑えたい。冷蔵庫で冷やし固まったがうまくいっているだろうか。
出ました! ランチパックシベリア!
まったく問題ない密着ぶりであった。
よっ! シベリアだねえ!
ただ、食べてみると。あれ? ぜんぜん味がランチパックじゃない。それでハッとした。パンである。
挟むパンをうっかり自宅にあった「超熟」にしてしまったのだ。ヤマザキの看板商品のパロディにパスコの看板商品を使ってしまった。
でも超熟はおいしいので結果オーライと思おう
意外にトーストよりも生の方が美味しい気がした
ライスバーガー シベリアはどうだ
続いてはライスバーガー。
ちょうどライスバーガー型のタッパーがあったので、上手い具合に型をとることができた気がする。
「気がする」じゃなくて、これはできてますよね
これは大変だ。完全にライスバーガーで、かつシベリアである。
こちらは冷たいままだと寂しい味だったので、レンジで温めてみた。
この熱さ、あんまんの熱さだ
あんこがカンカンに熱くなる感じ、これはあれだ。あんまんだ。羊羹の中の部分がとろっととけてやけにいい感じの1品になってしまった。
もっとお萩っぽいことになるかなと思ったのだが、ご飯がパリッと焼けていることもあってストレートにお萩を感じることはなかった。
これは何かとたずねられれば「ライスバーガー シベリア」ですとしか言えない一品である。
そして、本日の本丸、シベリアバーガーだ!
「シベリアバーガー」できました!
ランチパックもライスバーガーもシベリアになった。あとはバーガーだけだ。おーい、お前もこっちに来いよー。
マクドナルドではバンズを2組買っていたので、製法を分けて2種類作ってみた。どうだろう。
外側にはみ出してもいいからたっぷり水羊羹を流しいれたもの
水羊羹の量を調節してはみ出さないようにしたもの
作っている間ははみ出さないもの(写真右)の方がきれいで上手くいったと思ったのだが、見るとこれはあれだな。どら焼きだ。
どちらかというとはみ出したもの(左)の方がシベリアっぽさをアピールしているように見える。
本家シベリアも羊羹部分がはみ出しているのが好印象だった
シベリアに大事なのは断面
どちらにせよ、バーガーまるまるそのままだとシベリアっぽさをあまり感じない。さらに、手で割るとあんパンそのものになってしまう。
ど、どうしようと考えた結果、包丁で二分割してみることにした。そうしたらどうでしょう、3層の断面が出て一気にシベリア感が増したのだ。
あ、あんパン
こっちはシベリアだ!
CMのテーマ曲はやはり「トロイカ」なのだろうか
ビッグロシア シベリアバーガーは、存在した
もし、マクドナルドがビッグロシア シベリアバーガーを販売することになったら、大変ご面倒ではあるがきれいに2つに切り分けた状態で売り出すといいのではないか、ということが今回分かったことだ。断面を見せることでよりシベリアっぽさ、ひいてはビッグなロシアを表現することができる。
関係者の方がいらっしゃいましたらぜひともご検討くださいますようお願いいたします。
羊羹、パンに合うわ~
私はあんこが好きなのだ。転じて羊羹も好きなのだ。
マクドナルドのみなさまへの提案で本文を締めたが、基本的に今回はパン、そしてご飯と羊羹との愛称のよさに心を奮わせるばかりであった。
ちなみにシベリアバーガーはレンジアップでもトーストでもどちらも大変おいしくいただけました。
レンチンでバンズがあんなにふわっふわになるのは知らなかったので、普通にハンバーガーを買ったときにも試してみようと思います。
トーストシベリア(手前)もレンチンシベリア(奥)もそれぞれにうまかったです