暑いから満員に見えるトリック
ムンバイの朝はめちゃめちゃたくさんの人が駅で行き交い、電車が次々にやってくる。街の中心の駅のホームは2番線までの駅よりも、4番線までも6番線までもある駅が普通。
東京近辺の駅で例えると…そうだ、ムンバイでは「所沢駅」みたいな雰囲気の駅が多いんだ。
上野駅や日暮里駅というよりも、どことなく僕の中では所沢駅だ。
通勤電車の終点のチャーチゲート駅のほうがなんとなく上野駅。むしろ東横線渋谷駅。
朝の通勤ラッシュのときは人が多すぎてとても乗れそうになく、昼に乗ってみようと試みた(屋根には乗ってなかった!)。昼も人が外にはみ出るくらい乗っていたのだが、乗ってみると中はスカスカ。車両はエアコンはなく扇風機ばかりなので、暑いからわざと多くの人が身を乗り出していたようなのだ。
外にはみ出るくらい乗っているけど、混んでいても混んでいなくても人は外にはみ出ているわけだ。インドのビジネスマンはこの手の涼しさが好きなら「空調服」が売れそうである。
昼間でも混みすぎると思いきや…
中はすかすか。
ドアの前のしかも風が入ってくる場所がいい場所だ。
わざわざドアから身を乗り出して涼む人々 写真が撮れるほどがらがらだが喜んで立つ。
電車賃が安くてみんなキップを買っている
終点のチャーチゲート駅でキップを買う人の列。
駅には自動改札も改札口もなく、キップなしでも電車に飛び乗れる。いや、本当に普通に飛び乗るし飛び降りる。始発駅から1駅2駅のところでは座ろうと、駅到着前に速度が落ちている途中で飛び乗ってくる。たぶんムンバイ市民は足のバネが鍛えられてる。
それはともかく。切符売り場は有人で、回数券の切符をきるためらしき機械はあって使われているが、それでもいつも切符売り場は人が律儀に並んでいる。話を聞くと「無賃乗車のときのチェックが厳しすぎてこわい」んだとか。
切符は初乗り4ルピーから。日本円で6円で乗れるなんて、さすが庶民の足である。駅には売店もあってサモサや絞りたてジュースが10円から飲める。さすが庶民の駅である。
普通の駅の切符売り場。左が回数券検札機。
切符。6ルピーとか7ルピーで結構遠くまで行ける。
軽食が10円で食べられる!
ジュースバー。キャロットジュースだけは確実に飲める。
駅ナカ立ち食い処。
忙しいサラリーマンの立ち食いメシもカレーだ。
で、歌う満員電車ですよ
正直インドに行くのだから、カオスなインドを期待してたのは否めない。
ムンバイの電車は特にラッシュ時はめちゃくちゃ混んでいたけど、それでも電車の上には人は乗ってなかった。線路や駅に犬はいたが牛はいなかった(道路にはいた)。
人々がキセルせず切符をちゃんと買っていたし、電車の中で人と話すと盛り上がるし、女性専用車両まである。意外や整然としていた。
「76225」の番号の左に女性のマーク。女性専用車のマークだ。
駅にはたまにヤギもいる。
牛はムンバイでも道路にはいる。
そうそう、タイトルの歌う満員電車の話。
「一度くらいは乗ってみよう」と覚悟を決めて夜の満員電車に乗ったときの話。満員電車は今の東京でも体験できないほどのすし詰めだった。
突然乗客が歌い出した。ひとりが歌い出すと、お馴染みの歌か、皆が歌い出す。壁に近い人は壁を太鼓代わりにリズミカルに叩く。何曲か変わったが、合唱は少なくとも僕が降りようとする駅まで30分以上延々と続いたのだ。
満員電車を楽しもう
満員電車には歌を歌わないで携帯電話をいじる人も、本を読みふける人もいた。知らない人、関係ない会社の会社員同士の一期一会の一瞬の労働組合。「満員電車、せっかく人がすし詰めならすし詰めなりに楽しもうじゃない」と思っているのかどうかは定かではないが、今までにないキリキリしない満員電車の過ごし方はライフハックのヒントになりそうと思った。