名前も知らない巻貝たち
今回ドリルになっていただく巻貝候補生。
一つも名前を知らない。
巻貝はハンズでクラフト素材コーナーにて袋詰めで売っていたものを買ってきたため、 貝に詳しくない自分には一つ一つの名前は分からない。
なので名前ではなく形状で区別していく。
ツブ貝風の普通タイプ
毛が生えたようなタイプ
一般的なヤドカリタイプ
先が太いタイプ
細長いドリルタイプ
小さくて鋭いタイプ
ザ・ドリルタイプ
以上7個の貝たちでどれが最もドリルに適してるか試していく。いわばアイドルの公開オーディションみたいなものである。
ドリル化にはルーターを使う。
ルーターの先端はアタッチメントで取り替えが出来るようになっているので、 巻貝をここに装着するよう作っていく。
巻貝のほぼ中央につまようじを接着。
こういう料理にも見える。
なんか強そう。
むかしチュッパチャップスを自動で回転させて360度まんべんなく舐め続けられる おもちゃがあった。あれは回転しててもお菓子として問題なかったが、この巻貝の風体はかなり武器的である。
ぶっ飛んでいく貝
これが高速回転したらいったいどうなるのだろう。恐る恐るスイッチを入れた。
つまようじが折れた。
巻貝の中心からちょっとずれていたためか、貝の遠心力につまようじが耐えきれなかった。
正直持ったときからなんとなく不安な感じはしていたが、つまようじがポッキリ折れて、貝がどこかに飛んでいくとは思わなかった。
小さいのなら大丈夫か?
ダメだった。
全ての貝で試したところ、生き残ったのは以下の2つのみ。
バトルロワイヤルを生き残った貝たち。貝殻だから既に息絶えてるけども。
さすがにこれは少なすぎる。ドリルとして使ってみる前からダメになるなんて、アイドルオーディションを開催したら9割が男だったみたいな話だ。
ゆっくり回転させる
貝が吹っ飛んでいく問題は、ゆっくり回転させることで回避しよう。 つまようじを鉄の棒に変えることも試したが、今度は接着剤が持たなかった。
電動ではなく手動のドリルで。
ツブ貝風の普通タイプ
馴染んでる。
トップバッターは標準的なタイプの巻貝。最もよく見られる分、最もドリルみたいと思われることも多い貝だろう。果たしてドリルとしての性能はいかがなものか。
なお削る対象は発泡スチロールを用意した。固いのは削れないだろうから。たぶん。
先の細い方だけ掘り進む。
推定深さ5mm。
回し始めたときは、先端部がまるでスチロールに食いつくようにグッと入り込んでいったのだが、そこから先に進むことが出来なかった。太いところがちょうどつっかえになってしまっている。
とはいえ先の方だけでもドリルとして機能するのはさすが巻貝。
もっと押し込みながら回したらいけるかと力を入れたらまた折れた。
毛が生えたようなタイプ
派手さはある。
普通タイプに細かいトゲトゲが付いたような巻貝。 正直あまりドリルとして掘り進めるようには見せない。ゴリゴリ削っていくタイプか。
削れもしない。
推定深さ3mm。
しかも回転で削ったわけではなく、押しつけたときの重みでへこんだだけである。
一般的なヤドカリタイプ
違和感なさ過ぎ。
形としては標準タイプに似てる。違いは表面がとてもツルツルしてるので、 摩擦が少なくよく回りそう。
予想通りスピーディに回る回る。
でも掘れてない。
ツルツルがあだになった。ドリルとしてはこれ以上無いくらいなめらかに回転してくれるも、表面で滑ってしまって本当にただ回転してるだけである。
先が太いタイプ
飛んでいきそうなフォルム。
最初の段階で「太いところがあると進まない」ことが判明したけど大丈夫だろうか。
やはり先端部分が・・。
予想通り。
やっぱり先端しか入って(突き刺さって)いかなかった。 おそらく発泡スチロールでなかったら、先端さえ入っていないだろう。
細長いドリルタイプ
貝殻界の期待の星。
今回最も期待できそうな貝。 その理由は「突き刺さりそう」というドリルとはあまり関係無い理由によるが、 ここまであまり成果が出てないからと言って、力尽くで押し込めたりしないようにしたい。
回転具合もいい。
刺さった!ではない。掘れた!
突き刺さっていくこともなくちゃんと回転することで貝はスチロールの中にどんどん入っていた。すごい。
写真ではつまようじが折れそうだっため途中で止めたが、 もう少しがんばれば貫通できそう。太いより細いほうがいいのか。
小さくて鋭いタイプ
サイズ的には最もバランスがいい。
標準タイプを小さく鋭くしたようなサイズの巻貝。 先ほどの結果で細いのが良いことが分かったので俄然期待できる。
いけるいける。
いった(かつ折れた)。
これもまた結構掘ることが出来た。やはり細くて小さい方が抵抗も少なく回転させやすいのが要因か。あと貝の中心でちゃんと回せるように貝自体の構造がなってるのが重要。それは個体差が大きい部分だ。
しかし調子に乗りすぎてまた折れてしまった。
ザ・ドリルタイプ
どこから見てもドリル。
最後の候補はこのドリルになるために生まれたような巻貝。 小さめというよく掘れる条件も満たしているのでこれはかなりいけるんじゃないか。
海産物であることを忘れろ。
全ての巻貝が夢に見た貫通。
なんと発泡スチロールを貫通できた。回してても抜群の安定感で、 折れそうな心配もなく本当にドリルで掘ってるような感覚を覚える。
なんて種類の貝かは知らないが、この貝があれば魚屋に工具コーナーが出来ても不思議ではない。
最終審査:土掘り
ここまで全7種の巻貝をドリル適正があるかどうか試してきた。 そして適正がありそうだったのが以下の4つの候補である。
残ったものたち。しかしそのうち2つは骨折(つまようじ折れ)でリタイア。
細長いドリルタイプとザ・ドリルタイプの二つがまだドリルとして使える。
なのでこの二つを発泡スチロールではない、ちゃんとドリルらしいものを掘れるか試したい。
土
土を掘り起こすことが出来れば、明日から現場に配属してもらいます。
努力の跡。
土はやはりレベルが違ったか、わずか数秒で音もなく折れてしまった。
それでも4mmぐらいは掘ることが出来たのは、海の小さな生物が雄大な大地に挑んだ結果として感動できる。
記録を超えられるか。
最後は発泡スチロールを貫通させた最強巻貝。 先ほどの土掘り記録4mmより深く掘れるだろうか。
がんばりました。
推定記録は4.5mmぐらいだろうか。言うまでもないがこの数字はかなり適当である。 たださっきよりは深く掘れたのは確か。最優秀ドリル巻貝賞はこの巻貝に決定だ。
しかしこの大地を相手にした貝たちのがんばりを前に、 どれが一番だとかは正直どうでもよくなった。みんなそれぞれがオンリーワンの巻貝なのだから。
将来は人類VSドリル貝戦争か
形によって向き不向きはあるものの、十分な強度さえあればおおむね巻貝はドリルになれると言っていいだろう。
しかし気になるのは彼ら(巻貝)がこのことに気づいているかだ。 こんな強力な武器を持っていながら、防衛手段にしか使わずおとなしくジッとしているはずがない。もしドリルに似ていることに自ら気づいたなら、それを駆使して 人類に戦いを挑んでくる可能性もある。
鉄の鱗の足を持つ、スケーリーフットと呼ばれる貝も世界には存在するのだから、 中身が電動ドリルみたいな貝がいても不思議ではない。
まるで掘れない物もあったけど見なかったことにした。