特集 2012年1月10日

想像で作るビーフストロガノフ

どちらもビーフストロガノフのつもりです
どちらもビーフストロガノフのつもりです
年が明けると毎年、今年こそ料理上手になるぞとやる気が起きる。しかしどうだろう、未だに5分以内でできるような簡単料理しかしていない。

たまにはなにか手の込んだ料理を作ってみたい。例えばそう、ビーフストロガノフはどうだろう。

作り方は、もちろん知らない。食べた事も無い。

そこで、私より料理上手であろう友人たちに電話で聞きながら作ることにした。全員口々に言ったのは「作った事無いよ!」。じゃあ想像でいいから教えて。
東京葛飾生まれ。江戸っ子ぽいとよく言われますが、新潟と茨城のハーフです。
好きなものは犬と酸っぱいもの全般。そこらへんの人にすぐに話しかけてしまう癖がある。上野・浅草が庭。(動画インタビュー)

前の記事:酸っぱいメニューを把握したい~ファミレス編

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ネットで調べない

インターネットを使えばビーフストロガノフのレシピは簡単に手に入り、失敗は少ないだろう。

でもそれじゃ面白みにかける。恐らく作り方を知らないだろう友人たちに作り方を予想してもらい、そのレシピで作ってみたらどうだろうか?ちゃんとビーフストロガノフができるのか?今回はそういう企画です。
材料は揃えた
材料は揃えた
とはいえ材料から予想してもらうとなると難易度が高すぎるし、なんとなくカレーができてしまいそうだ。

撮影に協力してもらった友人に、材料と分量だけ調べてもらい一通り揃えた。
ブイヨン、赤ワイン、ローリエ…今まで料理に使った事無い
ブイヨン、赤ワイン、ローリエ…今まで料理に使った事無い
洋食をよく作っている人なら、もしかしたらこの材料を見ただけで作れてしまうかもしれない。しかし普段あまり料理をしない私には、何をどのタイミングで入れるのか正解が分からない。
自分だけ知らないという結果だったら…とちょっと不安になりながらかける
自分だけ知らないという結果だったら…とちょっと不安になりながらかける
最初にかけたのは一番料理ができそうな友人だったが電話に出ず。以降、よく会っているメンバーの中で料理をしていそうな順に何人かにかけてみた。
「作った事ないよー!」と突然の質問に焦る友人達に笑顔
「作った事ないよー!」と突然の質問に焦る友人達に笑顔
電話は3人につながった。予想どおり、全員ビーフストロガノフを作った事が無いという。

一様に困った反応をみせたが、材料を伝えると「こうなんじゃないの?」と予想を教えてくれた。そのレシピがこちら。
Cさんは一番困っていた割に材料を入れる順番や時間にこだわっていた。
Cさんは一番困っていた割に材料を入れる順番や時間にこだわっていた。

2種類作ってみよう

AさんとBさんに聞いてみると、だいたい同じような感じだなという印象を受けた。材料さえ分かれば実はレシピなんていらないのかもしれないという考えになりかけた。しかし最後に聞いたCさんは、一番料理に自信がなさそうなのに微妙に凝ったレシピを出してきた。

という訳で、「カレーと一緒」発言が印象に残ったBさんのレシピと、Cさんのこだわりレシピを採用し作ってみる事にした。

まずはBさんのレシピで

たまねぎを賽の目に切って(できればみじん切りがいいらしいが面倒なので)
たまねぎを賽の目に切って(できればみじん切りがいいらしいが面倒なので)
アメ色になるまでオリーブオイルで炒める
アメ色になるまでオリーブオイルで炒める
塩コショウしたあと、にんにく、牛肉、マッシュルームを入れて炒める
塩コショウしたあと、にんにく、牛肉、マッシュルームを入れて炒める
大匙一杯の小麦粉をお湯で溶かしたものを入れる
大匙一杯の小麦粉をお湯で溶かしたものを入れる
とろみのある感じに。かき混ぜていないと焦げそうだ。次はブイヨン、ローリエ、赤ワインか
とろみのある感じに。かき混ぜていないと焦げそうだ。次はブイヨン、ローリエ、赤ワインか
あ、ワインのコルク抜くの忘れてた。急いであけなきゃ!
あ、ワインのコルク抜くの忘れてた。急いであけなきゃ!
いまポキって言った…?
いまポキって言った…?
ハプニング発生
ハプニング発生
コンビニ行ってきまーす
コンビニ行ってきまーす
材料が揃っているという安心感から、うっかりワインのコルクを抜くのを忘れてしまい手がとまってしまった。ワインを使うレシピにはぜひ「ワインのコルクを抜いておく」という手順を最初に載せてほしいと思う。
コルクではないワインが売っていたのでそれを使用。
コルクではないワインが売っていたのでそれを使用。
ブイヨンとローリエを入れて
ブイヨンとローリエを入れて
生クリームを入れて適当に(正解を知らないから)塩コショウ。いい香りだ!でもこんなに白いものだっけ。
生クリームを入れて適当に(正解を知らないから)塩コショウ。いい香りだ!でもこんなに白いものだっけ。
とにかく完成!嬉しい。
とにかく完成!嬉しい。
コンビニへ行くという工程を自ら増やしてしまいながらも、なんとか完成した。ルーを使わずこういった洋食を作るのは初めてだったので嬉しい。

続いてCさんレシピ。1時間煮込むのか…

言われたとおり小麦粉を両面にまぶして
言われたとおり小麦粉を両面にまぶして
オリーブオイルでにんにくと炒めて塩コショウ
オリーブオイルでにんにくと炒めて塩コショウ
細く切ったたまねぎとマッシュルームを入れる
細く切ったたまねぎとマッシュルームを入れる
ねえ、ほんとに1時間じゃなきゃダメ?
ねえ、ほんとに1時間じゃなきゃダメ?

再度電話で相談する

コンロが2つあれば最初から同時に進められていたのだが、あいにく1つしかないためここから1時間以上かかる料理となると面倒だしお腹が空きすぎてけっこう辛い。

さらに、Bさんのレシピで学んだのだが小麦粉でトロミが出るため、煮込みすぎては焦げてしまう気がした。

Cさん「じゃあ時間の無い人バージョンで20分でいいよ。その代わりさあ、お湯入れて赤ワイン入れるまでの間、5分くらい開けて。」

適当なくせに変なこだわりを見せる。その5分は本当に必要なのか?相手の性格を知っているだけにつっこみたくなる部分もある。
きちんと材料を順番どおりに入れて(お湯のあとの5分もあけた)
きちんと材料を順番どおりに入れて(お湯のあとの5分もあけた)
あとはこげないようひたすらかき混ぜる
あとはこげないようひたすらかき混ぜる
パスタを混ぜたらオイシそうな見た目になった
パスタを混ぜたらオイシそうな見た目になった
10分後。汁気がなくなってきたよ
10分後。汁気がなくなってきたよ
ようやく20分。大量の油が出てきた!
ようやく20分。大量の油が出てきた!
牛肉と生クリームの油分だろう、Bさんの料理にはでてこなかった油が大量に分離してでてきた。うわー…油を取ってお皿に盛り付けよう。

完成!想像ビーフストロガノフ

Bさんレシピ。一応シチュー風。
Bさんレシピ。一応シチュー風。
Cさんレシピ。ローリエを上に乗せ完成。(本来ローリエは香り付けに使用するらしいので本当に無意味)
Cさんレシピ。ローリエを上に乗せ完成。(本来ローリエは香り付けに使用するらしいので本当に無意味)
おお普通にオイシそう!
おお普通にオイシそう!
ぬちゃっとしてるけどまあオイシそう
ぬちゃっとしてるけどまあオイシそう
自分のイメージに近いのはBさんの方だ。Cさんレシピの方は汁気が飛んでいかにも味が濃そう。さてそれでは食べ比べてみよう。
撮影を手伝ってくれた友人親子にも食べてもらい感想を聞こう。
撮影を手伝ってくれた友人親子にも食べてもらい感想を聞こう。
子供はこっちの方が好き!とCさんレシピに一票。
子供はこっちの方が好き!とCさんレシピに一票。
母は胃に優しいBさんレシピに一票
母は胃に優しいBさんレシピに一票

味が全く違うビーフストロガノフ

両方食べた上で感想を聞いてみると、子供はCさんの方が好きだと迷い無く言った。理由はBさんの方は苦手な牛乳ぽさ(生クリームだろう)があるからとのこと。同じ材料なのに、確かにCさんの方は牛乳ぽさは無い。対して友人は「Cは30代の胃にはちょっときつい」とBさんレシピに票を入れた。

Bさんのレシピ… 家庭的で優しい味。クリーミーでホっとする。これだけでもいける。

Cさんのレシピ… 肉がとにかく柔らかくて、甘み旨みがたっぷり。味が濃いのでお酒によく合う。ただ油っこいのでこれだけで食べようとするときつい。

という訳で私の評価は
どっちも旨い!
どっちも旨い!
とか書いたら怒られるのだろうか。あえて言うなら…この時余った赤ワインを飲んでいたので、少しCさんの方が好みだったかも。
Cさんレシピの方が早くはけてる
Cさんレシピの方が早くはけてる
ランチならBさん、居酒屋ならCさんレシピがいいだろう。それほど別物の味になった。ただ皆「どっちも美味しいね」という共通の感想はあった。

果たして本物のビーフストロガノフはどんな作り方でどんな味なのだろう。ネットで調べるか…。

想像料理は美味しいものが生まれるチャンスかも

今にして思えば、BさんとCさんの玉ねぎの切り方の違いも絶妙かもしれない。Bさんの方には玉ねぎが完全に溶け込みシチューの甘みの一助となり、Cさんの方は形が残っていて食材としての食欲がそそられる。

どちらが正解に近いのかはわからないが(多分B)、今回違った2種類の味を楽しむ事ができ、今まで使ったことのない材料を使えて非常に満足だった。これから得意料理はビーフストロガノフと言ってもいいだろうか。
終わりがけに最初に電話した友人から折り返しの電話が。彼女はしょっちゅう作ってるらしい。そういう人もいるのね。
終わりがけに最初に電話した友人から折り返しの電話が。彼女はしょっちゅう作ってるらしい。そういう人もいるのね。
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