おれたちの旅はこれからだ!
このポールモーリア鏡は旅行にもぴったりじゃないかと思っている。
風景写真では自分が入らないし、かといって自撮りだと自分フィーチャーすぎて恥ずかしい。
そこでポールモーリアだ。
景色とともにロマン、知らない土地への昂ぶる気持ちが表現できる。
ポール・モーリアはレコードジャケットでたいてい景色に溶け込んでいる。
ロマンあふれる景色のなかにポール・モーリアが境い目がなく重なっているのだ。
かっこいい。
僕もああいう感じで顔を出したい。画像加工ソフトを使うと簡単なのだがそういうことではない。その場ですぐ、ポール・モーリアになりたいのだ。
うまくポール・モーリアになる方法を見つけたので説明したい。
いきなりポール・モーリアの話を始めてしまったが、これを見てほしい。
向こうに人がいるのが見えるほどにすけている。透け感とはポール・モーリアのことである。
このようにポール・モーリアさんはたいてい景色の上に境界線なくふわっと重なっているのだ。
ポールさんの指示なのかデザイナーの好みか、もしかしたら本当に半透明の人だったのかもしれないが、今回大事なのはそこではない。
僕もこれがやってみたい、ということだ。
画像加工ソフトやビデオミキサーを使うとできるのだが、もっと直感的で即時的な方法はないものだろうか。
カメラの前に鏡を置くとワイプのように自分が映る。
頭の悪い自撮りみたいな撮りかただが、この鏡の周辺が透けていればいいのだ。鏡のふちが徐々に透けていれば境界をぼかせるかもしれない。
そんな鏡はなかったので作ることにした。
これを透明のアクリル板に吹き付けてゆく。
中央部は最後まで重ね塗りされるのでスプレーが濃くなってほぼ鏡になる。周辺は最初の1~2回しかスプレーされないのでうすい。
これに顔を写して写真を撮ると…
透けてなくてもポールモーリア気分である。いや、違う。そういうことではない。
こうしてポールモーリアのように顔を出すことが可能になったのだ。
人類みなポールモーリア、ポールモーリアの民主化である。
この鏡は顔ハメとして使うこともできる。
パリで「なんだかパリみたいな景色だな」と思って撮った写真が役立った。この顔ハメ、ふわっと重なるので背景を選ばないのだ。
なんでも顔ハメになる鏡だ。この鏡の前と後で顔ハメの世界が変わったと言っても過言ではない。
高いビルの窓に貼れば、ビルからの景色にフィットさせることができる。顔を、だ。
そう思ったらいても立ってもいられなくなったので会社に向かった。ゴールデンウイークで休みだったがポールモーリアには関係ない。
光の加減が難しい。顔が暗くなってしまう。表情もどこかポールモーリアではなくクリムゾンキングの宮殿である。
しかし部屋の電気を消して照明を顔に当てることでポールモーリアに成功した。
灯りはiPhoneのライトを使っているのでちょっと忙しい。
このようすは編集部の藤原くんに撮ってもらった。彼に試してもらったらまた趣が違う写真になった。
手伝ってもらってバグとは失礼だが、「うっとりするとポールモーリア」という図式のほかにまだ可能性がありそうである。
このポールモーリア鏡は旅行にもぴったりじゃないかと思っている。
風景写真では自分が入らないし、かといって自撮りだと自分フィーチャーすぎて恥ずかしい。
そこでポールモーリアだ。
景色とともにロマン、知らない土地への昂ぶる気持ちが表現できる。
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