その会場はMake:TokyoMeetingというイベント
2011年12月初旬、
『Make:
Tokyo Meeting』というものづくりのイベントに2日間出展していた。
ブース前には、今回の企画のために「あやとり見せてください」という貼り紙をし、立ち寄ってくれたお客さんたちにあやとりを披露してもらっていた。
ブース前の貼り紙、意外と効果アリ
ブースでは主に編み物を展示していた
唐突に、なんの説明もなく「あやとり見せてください」とだけ貼っていたところ、
怪訝そうに「なんであやとり…?」と聞いてくる人も居れば、あやとりのことなら俺にまかせろ!と張り切って始める人も。
初対面同士、あやとりで盛り上がる
初日のわりと初っ端から、初対面の男の人同士のあやとりでの交流が唐突に始まったのにはちょっとびっくりした。
同時に私のブースに前に居たふたりが、自然とふたりあやとりをする流れになったのだ。
というか「自然と」ってなんだ。そんな状況、滅多にあるもんじゃない。
個別にひとりあやとりをしていた2分後⇒
初めて会ってあやとり開始ってかなりレアな状況
あまりに自然な交友っぷりに、「え、ほんとに初対面なんですよね!?」と確認までしたほどだ。
出会って間もない者同士の距離を縮めるためのツールとしてのあやとりなんて考えたこともなかったが、これは意外と世間にオススメしてもいいんじゃないか。
こちらも(右の男性のみが)初対面
しつこいようだが、初対面
ふたりあやとりとは??
さも一般常識かのように「ふたりあやとり」と言っていたが、そもそも「ふたりあやとり」とは、
『ふたりまたはそれ以上の人数で取り合うあやとり』のこと。
決まったルールに従って取り合えば、エンドレスで続く。
または独自のやりかたで取り合い、取れなくなったら終わり(負け)といったような遊び方もあったり、どう楽しむかは人それぞれだ。
え、こんなのありましたっけ!?(無理矢理取り合いつつ、取れなくなったら終わり、というルール)
取りようがない
今回立ち寄ってもらったお客さんの中でただ1人、「ふたりあやとり!?そんなの見たことも聞いたこともない!!なにそれ!」という反応だった人が居た。
(中には知らない人も居て、ブースをスルーしていたのかもしれないが。)
23歳にして初めてふたりあやとりの存在を知ったこの若者。反応がいちいち新鮮だ。
どうやって取ればいいのか見当もつかない様子だが…
教えてもらって超楽しそう
初めて見たふたりあやとりの感想は「アルゴリズムがわからない」…ってそんな感想、子供の頃から当たり前のようにやってたら出てき得ない。
確かに大人になってから初めてこんなものを見たら、理屈から考えてしまうものなのかもしれない。
ちがうちがう!!つまむんじゃない!
うわーーーここからどうすれば!!みたいな感じ
初めてのふたりあやとりに「これ合コンでやれば盛り上がるんじゃないですか?」って言ってた
私があやとりを覚えたのは幼稚園ぐらいのころだったような気がするが、そういえばどうやって覚えたんだっけ…??とこの様子を見ていてふと思った。
気が付いたらもう友達とふたりで取り合ってた。
誰に教わったのかすら覚えてない。
世界共通!ふたりあやとり
あやとりについてなんて、大人になってから改めて誰かと話す機会もなかったし、全国的にはどんな感じだったのか今まで知る機会もなかった。
が、しかし日本在住歴数年のイギリス出身の子があやとりの輪に自然に入ってたときにはハッとした。
すごい!日本人同士があやとりをするのとまったく同じような感じであやとりの輪に!
あまりに流暢な日本語なんで、途中まで特に疑問にも思わず一緒にあやとりをしていたが…
あ、そういえばこの人外国人!と途中でハッとする
今まで知らなかったが、まったく同じ手法でのふたりあやとりって世界共通だったのか。
「普段、子供の頃にした遊びについて日本人と話すときには自分にだけ分からない話題が多いけど、あやとりに関してはまったく同じで嬉しい」と言ってた。
そこまで一緒ならあやとりでちょっとはなにか意思疎通できるようになればいいのに。
これだけで「ハンバーグを食べたい」とか…ってそのぐらい言えばいいか
突如現れたあやとり名人みたいな人
ブースに2日連続で来てくれたあやとり名人みたいな人が居た。
まず1日目は「あやとりと聞いて黙ってられるか!!」と一通りすごい技を披露してくれたが、
翌日、「昨日は自分が普段使ってる紐じゃなかったからスムーズにできなかった」とちょっと悔しそうな様子で再び現れた。
え、自分の…?え、マイ紐!??
これがマイ紐!!技は『あみ』
『琴』
『ハンモック』
『バリカン』
火であぶって両端を引っ付けて輪にするという処理をしてるのだそう
結び目が邪魔なので、両端を火であぶって引っ付けて輪にするという処理まで施してある。
これはユザワヤなどの手芸店で売ってる『ナイロンコード』という紐らしい。
『パラシュートコード』でもいいが、ちょっと固いので、やっぱり『ナイロンコード』がオススメとのこと。
しかしこれらは太いので、小さい子供には毛糸をくさり編みしたものでもいいらしい。
「ちょっと太め」且つ「結び目がない」紐が子供にはオススメだそう
くさり編みはかぎ針というものさえあれば編み物ができなくても3分ぐらいあれば習得できると思う
ゆるーくあやとりをしてる(しかもごくたまにしかしない)者にとってはそんなにピンとはこなかったが、なるほど。こんなこだわりもあるのか!結び目が邪魔だなんて今まで考えたこともなかった。
答えてもらったアンケートでも、この人だけ情熱がちがいすぎた
得意技『星』はなんと自分で編み出した技
「ネット上を探せば僕のあやとりは多分いっぱい出てきますよ」と言うこの人。一体何者だ。顔出しもNGとのことなので、手のみを撮影させてもらった。
1番の得意技として披露してもらった『星』については、なんと自分で編み出した技らしい。
え、自分で!?どうやって!!
どういう理屈でどうやって、こういうものを考え出せるんだろう…と思うと、どんな技でも元はと言えば考え出した人が居るわけで。
あやとり自体についてちょっと調べると、「起源は不明」「世界各地で自然発生した」ともある。
こういうあやとりへの関心が強い人たちが考えてきた技が今でも残ってるのかな、と思える。
『さかずき』(ここからは既存の技。つづき技。)
『蝶』
『富士山』
『月見』
そして宇宙飛行士の野口さんが宇宙でやったという手品。
まず穴が開いてるものを紐に通して…
しまった…!!一瞬でわからなくなった…
「興味がある方はこれを見て解明しようとしてみてください」ということにしよう。やり方を説明できない…
取れた…!!!!
今まで知らなかっただけで、プロ級の腕前の人たちの間ではこんなの当たり前なんだろう。どうやら『国際あやとり協会』というのまであるぐらいだ。
きっとあやとり界の中の有名人みたいな人も居るのかなと推測するが、今回のブースを出していて最も言われたのは「あやとりと言えばのび太ですよね」だった。
なので、世間的に最も認知されてるあやとり名人は野比のび太…ということだと思う。
ここからは普通の人へのあやとり取材
今回取材させてもらった人の大多数が「あやとりは昔はできたけど久々すぎて覚えてるかなー??」と言いつつ、少しずつ思い出してた様子だった。
「小学生の頃、下校中にやっていた」という当サイトライターの西村さん。得意技は『ほうき』。
「昔はできたけど憶えてない」という編集部工藤さん。6歳ごろまでたまにやってたらしい。
やってるうちに「あ、手が覚えてる…」と言ってた人が多かった。
みんなしばらくやってれば思い出すはず!
『ほうき』が得意という人は多かったが、つくり方は何通りかあった気がする。
得意技として1番多く挙がってたのはこの『四段ばしご』
この得意技として1番人気だった「四段ばしご」だが、私が昔持っていた本には「一段ばしご」から「十段ばしご」まで載っていた。
確か「五段ばしごぐらいまで覚えてしまえば、そこからは応用で十段ばしごまで出来る!」ということだったと記憶している。もうできないけど。
「◇」の数で「○段ばしご」と呼ぶ。これは四段。
今の子供のあやとり事情は?
「昔は…」という大人たちがいっぱい居る一方で、今の子供たちもあやとりはするらしい。
『屋根』??だと思う。逆さだと『さかずき』。
『ほうき』またきた!
アンケートの「いつごろあやとりをしていましたか?」の問いに「いま」って書いてくれた。
そういえばあやとりってちゃんと伝承しないと消えるのかなーとぼんやり思ったが、書籍や手法に関するデータを完全に抹消して、7~80年間一切禁止でもしない限り大丈夫か。
「学校の授業で教わる」という場合もあるそうだ。
『魚とり』???
小2~4年生まで毎日やっていた、と回答してくれたWさん。得意技は『魚とり』だそう。
『あみ』
『さかな』
『かお』
なくなった…
あやとりって星座みたいだなーとふと思った。
言われないと(いや、言われても)何の形か分からないようなところが。
多分これを『水着』と言われても、「あー水着かぁー」となるような気がする。
次のは30代男性Kさん。『かえるの死骸』という技を見せてもらったが、改めて見れば見るほどよく分からなくなってきた。
これ確か『かえるの死骸』って言われたけど、どこがどうなってどこがかえるなんだっけ…?
こっちが死骸??
また紐のこだわりが…!!
最初、毛糸の紐を渡してたが「こっちの方がいい!」とビニール紐を取り出した人が居た。
人によって好みの紐はいろいろだ。
え、ビニール紐…??
「顔写されると仕事さぼってると思われるから顔だけは!」と何度もお願いされた。ちなみに女の人。
『竹やぶの中の一軒家』。「この竹やぶの向こうに家が!」って言われても竹が太すぎて見えない。
よく分からなかったので、細い糸でやってもらったら分かった。あ、奥の方に『家』!
昔よくやった『餅つき』
最後に、長めの紐を使って2人で遊ぶこの『餅つき』を紹介しよう。
小学生のころにこうやって、よく「ペッタンペッタン」と言いつつ遊んでいたのを思い出した。
他のあやとりについては、今やってもちょっとした頭の体操になったり、思い出しつつ楽しめたりするが、この『餅つき』だけは久々にやってみても楽しさがよく分からなかった。
昔、なにが面白かったんだろう、これ。
あやとり、取るだけじゃなくてもいいかも
あやとりについては、もっと大喜利っぽい遊びもできるかもしれないと終わってから思った。…と言っても漠然としてるが。
イベント時に撮らせてもらった写真を今回すべては紹介しきれなかったが、ざっと眺めててちょっと気になった写真をここに載せとこう。なんでこの人、正座なんだろう。