立ち飲み屋が会場
お燗名人育成講座の会場は、浜松町駅から歩いて2分ほどにある立ち飲み屋。「名酒センター」になります。
名前や看板は日本酒の広報関係の施設のようにも思える。
店内に入ると、講習用に置かれた木箱や高さの合ってない椅子。冷蔵庫や壁一面に一升瓶が並んでいます。
講習会なんてこの際いいんじゃないかと思える品揃え。
心揺れ動く店内。
約25名の男女が参加。若干女性が多く、年齢層は広い。
今回の「お燗名人育成講座」を主催しているのはNPO法人ウイメンズ日本酒会という団体。日本文化の所産である日本酒の振興を図る事業を行っていて、定期的に利き酒会や日本酒学習会を実施しています。
時には、「お好み焼きと日本酒」、「イタリアンと日本酒」、「お燗でアンチエイジング」と言ったちょっと変わった利き酒会も開催しているそうです。
お好み焼きと日本酒。気になりますね。
1850年から続く蔵の七代目。
そして、こちらが今回の「お燗名人育成講座」の講師。末廣酒造の新城猪之吉さんです。末廣酒蔵は福島県の会津地方にある蔵で、江戸年間の嘉永三年(1850年)に創業。
前半が講義。こちらは後半の実技で使うお猪口。水も用意されてます。
末廣酒蔵では燗酒のうまさを広める為、2005年より「お燗名人」認定制度を設け、ベテラン蔵人がインストラクターとなり「お燗名人育成講座」を各地で開催しているそうです。
講座の内容は講義と実技指導に分かれ、日本酒一般の知識、燗酒に合う酒の種類、温度の違いによる変化など、燗酒についての講義が約60分。実技70分、試験20分となっていました。
燗つけ専用機械の「燗すけ」。中のお湯の温度を燗酒に最適な温度に保ってくれる燗酒ファン垂涎の品。うちにも欲しい。
試験まであると、かなり固い講座に思えますが、懇談会もありまして初心者にも優しい分かりやすい講義になっています。楽しみながら燗酒の魅力について知る会ぐらいの感じです。
実技では4種の酒を3段階の温度に分けて温め味の違いなどをチェック。
利き酒師の試験などとは違い、細かい味について表現するとかは無く、単にどれが一番美味しく感じたかを記入する程度。
燗酒をやってみよう!
では、講座で学んだことを参考に実際に燗酒をつけてみます。
燗酒は温度により以下のような呼び方があります。
20度前後 常温
30度前後 日向燗(ひなたかん)
35度前後 人肌燗(ひとはだかん)
40度前後 ぬる燗
45度前後 上燗(じょうかん)
50度前後 熱燗(あつかん)
55度以上 飛切燗(とびきりかん)
ちなみに、一度温度を上げた後に冷めてきた酒を「燗冷まし」といいます。一度高めに温度を上げて、どの温度帯がよいか探るのに使うことがあります。
どの温度がより美味しいかといえば、酒それぞれに特徴があるので一概には言えません。
燗酒をやる場合は湯煎が最適。徳利でもいいが、こういう燗酒用の容器(「ちろり」といいます)があると便利。
鍋でやるのが面倒な人は、こういう燗酒用の小さい容器もあります。ポットから熱湯を注げば燗酒にできる。
とりあえず、人間は体温より5、6度高い温度に触れると暖かく心地よいと感じるそうなので、歌にもある「ぬるめの燗」あたりが無難な温度帯となります。
慣れた人は容器を触る、酒の表面をみるなどして最適な温度か見極めますが、こういう調理用温度計を使えば簡単です。
また、燗酒に向いている酒は吟醸酒と言われるような香り高いものより、純米酒と言われる旨味のしっかりした物がいいとされています。しかし、これも酒により。吟醸でも燗にしてうまい酒も有るので、これは色々試して探るしかありません。
電子レンジは酒の上部が先に高温になるので燗酒には向きません。直接火にかけるのも急激に温度が上がりすぎるのでオススメできません。
人肌で温めるのも時間がかかるし、ぬる過ぎるし、オッサンが抱いて温めた酒なんて気持ち悪いしオススメしません。
いずれにしろ、あまり難しく考えず、家でも店でも色々試して自分に合う温度帯や酒をさがしてみるのがいいでしょう。
肴は炙ったイカでいい。いや、炙ったのではなく塩麹に漬けたスルメイカ。
または、こういう講習会を探して受けてみるのも楽しいです。探すと結構ありますよ。
講習終了後、お燗名人の認定書貰った。
冬は燗酒を楽しもう!
今年もあとわずか。年末の追い込みで慌しく動いている方。既に片付いて落ち着いている方。様々な形で年の瀬を迎えているかと思います。
今年は例年とは比べ物にならないぐらい様々な事が起こりました。忘れてしまいたい事も色々あったかと思います。来年は忘れたい事よりも、忘れたくない事が増えて欲しいですね。燗酒でも飲みながら「忘年会」ならぬ「望年会」。したいと思います。
来年もよろしくお願いします。
新城さんと記念撮影。ありがとうございました!燗酒うまいです!